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日本のアニメ映画、劇場版『名探偵コナン』シリーズの第1作目 ウィキペディアから
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(めいたんていコナン とけいじかけのまてんろう)は、1997年4月19日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズの1作目である。上映時間は95分。興行収入は11億円[1][2][3][4][5][6]、配給収入は6億1000万円[7]。キャッチコピーは「真実はいつもひとつ!」。
名探偵コナン 時計じかけの摩天楼 | |
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Detective Conan The Time-Bombed Skyscraper | |
監督 | こだま兼嗣 |
脚本 | 古内一成 |
原作 | 青山剛昌 |
出演者 |
高山みなみ 山崎和佳奈 神谷明 山口勝平 茶風林 緒方賢一 岩居由希子 高木渉 大谷育江 |
音楽 | 大野克夫 |
主題歌 | 杏子 「Happy Birthday」 |
撮影 | 野村隆 |
編集 | 岡田輝満 |
制作会社 | キョクイチ東京ムービー |
製作会社 |
小学館 よみうりテレビ 小学館プロダクション ポリグラム キョクイチ東京ムービー |
配給 | 東宝 |
公開 | 1997年4月19日[注 1] |
上映時間 | 95分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 11億円[1][2][3][4][5][6] |
配給収入 | 6億1000万円[7] |
次作 | 名探偵コナン 14番目の標的 |
テレビアニメ『名探偵コナン』のヒットを受けて制作された初となる長編アニメ映画作品であり、以後は毎年春に新作の劇場公開が恒例となる。第1弾の本作は主人公とヒロインが一番のメインキャラクターとして描かれ、江戸川コナンたちの住む米花町で起きる爆破事件と、彼の正体である工藤新一の誕生日前夜(5月3日)における彼と幼なじみの毛利蘭の恋愛描写が物語の軸となる。大規模な爆破シーンが展開されるが、事件の黒幕による個人的な殺人は描かれず、爆弾捜索が事件のメインとなっている。
冒頭の作品解説のうち、新一の新聞記事から身体が縮み蘭と再会してコナンと名乗るまでの部分は、2023年現在まで毎回流れている[注 2]。また、作品解説部分のアニメーションは次々作『世紀末の魔術師』まで使用されており、第4作『瞳の中の暗殺者』以降はデザインが変更されている。
劇場版第1作ということからも、登場人物が初めて現れるシーンではそれぞれに名前テロップが添えられている。また、テレビアニメの放送が軌道に乗り始めた時期に製作されたため、製作委員会に日本テレビがまだ参画していない[注 3]など小規模だった一方、初期のアニメシリーズの音楽制作を担当していたポリグラム(ユニバーサルミュージック)が参画している。1997年のテレビアニメの主題歌からビーイングに変更され、劇場版の主題歌も2011年の第15作『沈黙の15分』まで、テレビアニメ・劇場版共にビーイング所属アーティストの起用が慣習となっていた。2000年に発売されたアルバム『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜名探偵コナン テーマ曲集〜』に本作の主題歌「Happy Birthday」が収録されないのも変更のためだったが、2006年に発売された『THE BEST OF DETECTIVE CONAN 〜The Movie Themes Collection〜』では収録された[注 4]。本作から第4作『瞳の中の暗殺者』までの主題歌は、1コーラス目の後に間奏を挟みラストサビに行く形で使用されていた。第5作『天国へのカウントダウン』以降はフルバージョンか一部をカットして使用されているうえ、舞台となった風景の実写が背景で流され、最後のアニメ映像がコナンが前を見据えるシーンは本作から第18作『異次元の狙撃手』まで毎回使用された。エピローグは尺が10秒程度と短く、BGMはなし、台詞があるのはコナンのみだったりと、以降の作品より簡素な構成となっている。
本作でオリジナルキャラクターとして初登場する白鳥任三郎は劇場版レギュラーとなり、さらに原作やテレビアニメにも登場することとなる。また、劇場版にはコナン(新一)、蘭、小五郎、博士、少年探偵団、園子の計8人が毎回登場することとなる[注 5]。
第13作『漆黒の追跡者』以降に定番化する著名人のスペシャルゲスト出演は、その前身的なキャスティングが端役ながら本作ですでに行われている。
本作において使用されたバージョンの「名探偵コナン メイン・テーマ」は公開後に放送されたテレビシリーズの一部エピソードにおいてもしばらくの間劇伴として用いられたほか、後年の映画作品のテレビCMにおいても15秒に編集して使われており、2007年7月のリアレンジリニューアル後の現在は主にサブタイトル場面、稀に劇中BGMとして使用されている。
アメリカ合衆国ではファニメーションによる英語吹き替え版が制作された。当時の英語名は「Case Closed: The Time-Bombed Skyscraper」であり、同名でDVDも発売されたが、後年のトムス・エンタテインメントにおける作品紹介では「DETECTIVE CONAN 01 THE TIME BOMBED SKYSCRAPER」と改題されている[8]。
2016年に開催された歴代映画19作品の人気投票で、本作は5位を獲得した[9]。
作者の青山によると、映画化の話が来る前、編集部からの意図しない注文、毎週のカラー作業・グッズ系のカラー作業・事件やトリックのアイデア出しなど、『コナン』を描くのが大変になりすぎていたため、今まで稼いだ金を全部使いきるつもりでアシスタントたちと休みを取り、ラスベガス旅行に行って帰ってきたら『コナン』の連載をやめようと考えていた。しかし、現地のホテルに当時の担当編集者から電話で『コナン』の映画化決定が伝えられ、映画好きだったことから嬉しくなり、「これは改めて頑張らないといけない」と連載終了を思い留まったという[10]。また、本作の企画・プロデューサーである諏訪道彦によると、「やりたいことをすべてやり切るつもりで製作した」とのこと。まず東京で公開されると口コミで評判が広がり、1週間遅れて公開された大阪の映画館では立ち見が出るほどの満席であり、非常に感動したという[11]。また、青山は本作を1番好きな劇場シリーズ作品だと答えている。
ある日の夜、黒川邸で主人の黒川大造が何者かに殺害されるという事件が起こった。現場の状況から黒川家の中に犯人がいるとされ、探偵の毛利小五郎は後妻を犯人と推理するが、ダジャレで犯人にするのかと詰め寄られてしまう。それを見かねた江戸川コナンは、時計型麻酔銃を使って毛利を眠らせ、「眠りの小五郎」として自らの推理を披露し、事件は無事に解決した。彼こそ高校生探偵として有名であった工藤新一であり、現在は迷宮なしの小学生名探偵として活躍する本作の主人公である。コナンは自分の体を小さくした黒ずくめの組織を追うために、小五郎の立場を利用して情報を集めていた。
数日後の4月26日(土曜日)、高名な建築家である森谷帝二から工藤新一宛にパーティーの招待状が届いた。しかし、新一は体が縮んでしまってコナンになっているため、コナンは小五郎を代理人として、幼馴染で小五郎の一人娘である毛利蘭と共にパーティーに出席する。そこで開催されたクイズに正解し、ギャラリーに案内されたコナンと蘭は、殺人事件があった黒川邸が森谷の設計であることを知る。また、蘭は新一の誕生日に2人で映画を見に行く約束をしていることを森谷に伝えるが、行くことができないコナンはどうするべきかと思案する。
新一の誕生日前日の5月3日(土曜日)、コナンは火薬庫からプラスチック爆弾用の爆薬が何者かに盗み出され、黒川邸など4件の邸宅が相次いで放火されるという事件のニュースを見ていた。その時、新一宛てに爆破予告の電話がかかって来る。電話の主は、爆弾を盗み出したのは自分であり、早くしないと子供たちが危険だと宣告する。それを聞いたコナンは爆破を防ぐため、急いで堤向津川緑地公園へ向かう。
堤向津川緑地公園に着いたコナンは、ラジコン飛行機で遊ぶ少年探偵団の3人を見つける。知らない男からラジコン飛行機を貰ったという話を聞いたコナンは、ラジコン飛行機にプラスチック爆弾が装備されている事に気付きリモコンを奪うが、その拍子にリモコンが壊れて操作不能に陥ってしまう。コナンは咄嗟の判断でラジコン飛行機に向かってリモコンを蹴り、爆弾を上空で爆発させることに成功する。しかし、犯人は近くのビルからその様子を見ており、電話で次なる犯行を予告する。
次の犯行場所として宣告された米花駅前に向かったコナンは、ファストフード店の2階から駅前の様子を窺い見る。その時、老婆が捨て猫をキャリーバッグと共に持ち去る様子を見たコナンは、キャリーバッグにプラスチック爆弾が仕掛けられていると推理し、必死で止めようとする。しかし老婆はタクシーに乗り込んでしまい、コナンはターボエンジン付きスケートボードを使って追い掛けることになる。が、途中でスケボーが破損してしまったため、止む無く近くに居た少年の自転車を奪い、追い掛ける。何とかタクシーに追い付いたコナンは、キャリーバッグを老婆から奪って、人気のない場所へ持って行こうと自転車に載せて近くの河川敷へ向かう。間一髪で爆弾を人気のない場所で処理することには成功[12]したコナンだったが、爆風の影響で木にぶつかって負傷し、緑台警察病院へ緊急搬送され、病院で手当てを受けることになる。
病室では目暮警部らが、今回の犯人は新一を指名して脅迫している事から、彼に恨みを持つ者の犯行と見て、過去に新一が解決した事件の中で最も注目を集めた、西多摩市長が逮捕されたOLひき逃げ事件を挙げていた。この事件はOLを轢いた車の運転手として警察が市長の息子を逮捕した事に新一が異を唱え、真犯人が市長自身である事を突き止めたものである。これにより、市長の進めていた西多摩市の新たな都市開発計画は頓挫することとなった。
そんな折、犯人から電話で「東都鉄道の東都環状線に5つの爆弾を仕掛けた。その爆弾は列車が時速60km未満で走行した場合か、日没までに取り除かなかった場合に爆発する。仕掛けた場所のヒントは『××の×』で、×は漢字一文字だ」と伝えられる。目暮はすぐに東都鉄道へ連絡し、連絡を受けた東都鉄道の司令員もすぐに全車両をノンストップで時速70km走行を維持するよう緊急司令を出した。小五郎や目暮は「××の×」と言う犯人からのヒントに対し、「座席の下」「網棚の上」「車体の下」と言った場所を思い付くが、日没までに取り除かなければ爆発すると言う仕掛けに注目したコナンが、「線路の間」であることを突き止める。芝浜駅[13]貨物線に環状線の列車を退避させた上で無事5つ全ての爆弾を発見、一同は安堵する。
一同が今回の事件の犯人について話し合う中、コナンの助言によって、放火事件が全て森谷帝二の設計した建築物を標的としていることが判明し、爆弾事件も東都環状線の爆弾の1つが同じく森谷の設計である橋の上に仕掛けられていたことから、同一犯の可能性が浮上した。急いで森谷邸へ向かった博士以外の一同は、森谷本人に自身を恨んでいる人物に心当たりはないか尋ねるが、そのような人物に心当たりはないと返される。こっそり森谷邸を見て回っていたコナンは、西多摩市の都市開発計画を森谷が主導していた事実を知り、新一の声で一同をギャラリーに集めると、情況証拠とハッタリを用いて森谷自身が犯人であることを暴く。森谷は若き日より建築家として活躍していたが、その時の作品には法的問題や建築主の注文などによって自身の意図しないものとなったものも含まれており、建築家としてのプライドからその作品を抹殺したいと考えていた。そんな時に新一の活躍で西多摩市長が逮捕されたことにより自身が主導していた都市開発計画が頓挫した結果、森谷は新一を逆恨みし、若手時代の作品の抹殺と新一への復讐を目的に今回の事件を引き起こしたのだった。
森谷は目暮と白鳥によって現行犯逮捕されるが、「私が抹殺したかった建物はもう1つある」と、犯行がこれで終わりでないことを告げる。そして最後の標的が、森谷が建築に携わるもバブル崩壊による予算カットにより意図しない形で完成した米花シティービルである事をコナンたちは知る。そこの映画館には蘭が新一の誕生日祝いのために来ていたのだが、爆弾の爆発に巻き込まれてしまう。コナンは森谷から奪い取った爆弾の設計図を持って急いで米花シティービルへ向かうが、既に米花シティービルの各所では森谷の仕掛けた爆弾が次々と起爆して火災が発生しており、一刻の猶予も許されなかった。
米花シティービルに着いたコナンは、蘭のいる映画館のロビー前までは何とか辿り着いた。蘭は無事だったのものの、ロビーのドアが爆発の影響で歪んでしまったためコナンは中に入れず、また蘭や他に無事だった人々も中に取り残されていた。コナンはその場で新一の声を使い、爆弾を見付けた蘭に対して爆弾の解体を指示する。解体作業は順調に進み、最後に赤と青2本の導線が残るが、その2本の導線は設計図に記載されていなかった。究極の2択を迫られたコナンは、どちらを切るかについて蘭に一任することに決める[注 6]。
爆発の時刻が迫り、目暮らは諦めかけて森谷はほくそ笑むが、蘭が青の導線を切って爆弾を解体できたことから爆発は起こらず、ビル内に閉じ込められていた全員が助かった。最後は、コナンが蘭に青の導線を切った理由を尋ね、彼女が答えるシーンで終幕を迎える。
森谷と白鳥を除いて、全員担当声優は演者のみエンディングで表記され、役名はノンクレジット。
プロローグのみ登場。
目暮の回想シーンに登場。
今作は上映時間が95分と後の作品と比べると短く[21]、金曜ロードショーでの1回目(通算4回目)の放送から「ノーカット放送」と明記されているが、それでも月曜日時代と同様に枠を超えていない。また、劇場版恒例クイズコーナーは、ノーカット放送ではない作品はほとんどカットされるが、今作はクイズの賞品で「森谷のギャラリーを蘭と共に見に行く」のは、その後の展開に大きく影響する重要シーンのため、月曜日時代の放送全てでカットされていない。
ジャケットイラストは原作者・青山剛昌氏の描き下ろしイラストになっている。 本作のBGMは同年6月2日放送の第61話『幽霊船殺人事件(前編)』からTVシリーズでも劇伴として汎用開始、2007年7月のリニューアル以降は一部の楽曲のみだが、リアレンジされ現在も劇伴に使用されている。
序盤、コナンは自身の誕生日の翌日と前日を「こどもの日」、「憲法記念日」と自ら気づき、4日のみ「ホームズとモリアーティ教授がライヘンバッハの滝壺に落ちた日」としか認識しなかったが映画公開当時、その日は「国民の休日」(現・「みどりの日」)だった。
上記の蘭が考えたサプライズは、2024年2月現在、上映終了時刻が午後11時以降の作品は、東京都青少年の健全な育成に関する条例により保護者同伴でも18歳未満は鑑賞出来ず、16〜7歳の蘭達はもちろん、留年生など例外を除き、高校生以下は実現不可能である[注 11][28]。なお映画公開から同条例は2005年(平成17年)以降、何度も改正されており18歳未満が「上映終了時刻が午後11時以降の映画」を鑑賞できなくなったのはそれ以降になる。
目暮警部の回想シーンを除き、新一の服装は全て「青いタキシードに、赤い蝶ネクタイ」で、このパターンで映画に登場するのは、第26作『黒鉄の魚影』までで唯一の作品になっている(次作以降は全て、制服または私服である[注 12])。
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