少年探偵団 (名探偵コナン)

漫画『名探偵コナン』の登場組織 ウィキペディアから

少年探偵団 (名探偵コナン)

少年探偵団(しょうねんたんていだん)は、『週刊少年サンデー』で連載されている青山剛昌原作の漫画作品、およびそれを原作とするテレビアニメなどのメディアミックス名探偵コナン』の作品に登場する、子供だけで構成された架空の探偵団である。

青山剛昌ふるさと館前に設置されている少年探偵団のブロンズ像。左から、元太、歩美、コナン、光彦、灰原。

概要

要約
視点

少年探偵団のメンバーは、江戸川コナン灰原哀吉田歩美小嶋元太円谷光彦の5人で構成されており、いずれも帝丹小学校1年B組に所属している。

由来は、シャーロック・ホームズが組織したベイカー・ストリート・イレギュラーズ[注 1]と、江戸川乱歩『少年探偵団シリーズ』の少年探偵団から。

キャンプなどで遠出する際には阿笠博士が主に引率役を務めるが、博士が同行できない時は毛利小五郎もコナンの保護者として同行して引率をすることがある。他に、毛利蘭もコナンの保護者的立場として自ら引率したり博士や小五郎の引率時に同行したりすることがある[注 2]

メンバーはコナン・灰原も含めて強い信頼関係を築き合っており、全員で協力し合い事件を解決に導くことも珍しくない。互いに仲も良く、平時からよく集まって遊んでいる。

少年探偵団の中でも歩美・元太・光彦の3人は、灰原を潜り込ませるために考えられたキャラクターである[1]。この3人は、好奇心旺盛で自己顕示欲と英雄願望が強いため興味本位で事件に首を突っ込むが、コナン・灰原とは異なり、その目的のほとんどは手柄を上げることにある。また暗号や不審者を見るとすぐに「宝」や「事件(主に殺人・誘拐)」を連想し、捜査に乗り出した結果、犯人に捕まって命の危機に遭ったり[2][3][4]、周囲に迷惑をかけたりすることがあり[5][6]、身内や目上の人から厳しく叱責されることもある[7][8]。初期はコナンの指示に反して勝手な行動をとることも多かったが[注 3]、現在は多くの事件を経て場慣れしてきており、顧問を自称している1年B組担任の小林先生[注 4]よりも的確な対応ができている。

アニメと異なり、元々の原作初期では少年探偵団は結成されておらず、歩美・元太・光彦の3人もコナンと仲の良い同級生でしかなかったため、阿笠博士と接点も少なく、同伴する保護者は蘭であった。探偵団が結成されて博士がバッジ等の発明品を作るようになってから、遠出時の博士による引率や阿笠邸へ3人が頻繁に出入りするようになることが増えていった。そのため、彼らの出入りの頻度は、学校以外では阿笠邸が主で、次いで毛利探偵事務所という傾向になっている。

基本的にコナンが指揮をとるが、灰原が登場して以降、コナンの不在時に灰原も同様の役割を担っている。当初は不本意であったコナン達も徐々に歩美・元太・光彦を信頼するようになり、小学1年生である彼らに聞き込みなどの捜査を依頼することもある。コナン・灰原が3人を親のような口調で咎めたりする場面も見られる。特にコナンが変声機で推理している際や灰原との電話中などに3人が邪魔した際に灰原が咎める事が多いが、コナンも危険を冒してまで行動した3人を強い口調で説教することがある。

メンバー

要約
視点

江戸川コナンと灰原哀の2人については、各リンク先の個別記事を参照。

江戸川 コナン(えどがわ コナン)
- 高山みなみ
明確な入団の意思は示していなかったが、半ば強制的に入団させられた。探偵団の実質的リーダー。
灰原 哀(はいばら あい)
声 - 林原めぐみ
コナンと同じく明確な入団の意思を示していなかったが、転校後すぐに歩美たちに入団させられた。探偵団の副団長的存在。コナン不在時のリーダーでもある。
吉田 歩美(よしだ あゆみ)
声 - 岩居由希子
コナンを少年探偵団に誘った張本人であり、灰原が入団するまでは探偵団の紅一点だった[注 5]。探偵団のムードメーカー的存在でもある。一人称は「歩美」がほとんどだが、「わたし」を使うこともある。
周囲からの呼称は、コナンからは「歩美ちゃん」であるが、事件が起きた場合などの緊急時には「歩美」になる。また、元太からは「歩美」、灰原からは「吉田さん」、阿笠博士からは「歩美ちゃん」または「歩美君」、目暮警部からは「歩美君」、光彦・安室透・目暮以外の警察関係者からは「歩美ちゃん」と呼ばれる事が多い。
おかっぱ頭にカチューシャを着けた好奇心旺盛な少女で、推理よりも暗号解読の方が好み。素直で純情な性格だが、少し天然気味である。年齢以上にお洒落に興味を持っている。作中では誘拐されることが多い[5][10]。動物好き。好きな食べ物はハムサンドとタマゴサンド[注 6]。体重は15キログラム。
連載初期から、元太・光彦の両名から好意を寄せられている[5]。一方、歩美はコナンに「私たちは結ばれる運命」などと発言する[5]ほどに好意を寄せており、まれに小学生とは思えない積極的な言動でコナンに恋心をアピールする[注 7][注 8]。その一方、コナンには好きな人物が他にいるのではと考えたり、灰原が恋のライバルなのではないかと悩むこともある[注 9]。他人の感情や想いに対しては年齢以上に敏感で、特に他人の恋愛などに対しては強い傾向にある。
小学1年生にしてかなりの耳年増であり、「安産型[13]や「A(キスを表す隠語)」[14]など、性にまつわる単語についても探偵団内で一番正確に理解している。また、灰原のイタズラで腫れ上がったコナンの尻をのぞき見る[15]など実際の行動に出ることもある。
時には犯人や被害者の感情に対し、一言つぶやいたり物申したりすることもある[16]
灰原のことは当初一歩引いて「灰原さん」と呼んでいたが、ある事件をきっかけに親しみを込めて「哀ちゃん」と呼ぶようになり、ますます打ち解けるようになった[16][注 10][注 11]
高層マンションの28階[19]に住んでおり[注 12]、母親(声 - 佐藤しのぶ)と手をつないで歩く[20]など、家族との描写は見られるが、作中で顔が描かれたのは父親のみ(それも連載初期の小さな1コマのみ)である[注 13]。職業は両親ともに不明。
10年後には、可愛らしい容姿の美少女へと成長することが予測されている[21]
名前の由来は、推理作家の北川歩実
小嶋 元太(こじま げんた)
声 - 高木渉[注 14]
探偵団の切り込み隊長的存在で団長を自称しているが、他のメンバーはまったく承認しておらず、実質的なリーダーはコナンである[注 15]。初期はコナンを「子分」とも呼ぶこともあった。一人称は「オレ」。
周囲からの呼称は、コナン・小五郎からは「元太」、灰原からは「小嶋君」、歩美・光彦・・阿笠博士・警察関係者からは「元太君」である。
体重は40キログラム[注 16]。歩美に「それ以上太るとブタさんに笑われちゃうよー」と言われるほどの大きさ[22]。頭はおにぎりのような形をしており、左側頭部に10円ハゲがある。
活動的な割に運動はあまり得意ではなく、少し走っただけで息切れしていることが多々見られる。水泳も苦手で、7メートルほどしか泳げない[23]。その一方で、死のうとした灰原を片手で持ち上げ、そのまま走って連れ戻したことがある[21]。身長は探偵団の中では最も高い。
探偵団の中では人一倍食欲が旺盛で、キャンプ等に出かける際には、目的地へ着く前に光彦たちの分のお菓子まで平らげて注意されることが多々ある。また、たまたま訪れた回転寿司のお店で殺人事件に遭遇した時にも、現場保存のために停止したレーンの上に乗ったままになっていたお寿司にまで手をつけようとしたことがある[24]
「玉子焼き」を「おうじやき」と読んでしまう[25]など、勉強はあまりできないが[注 17]、核心をつく大人顔負けの鋭いツッコミを入れることもある[26][13][21]
性格は直情的かつ短気で、思っていることがすぐに顔や言葉に出てしまう。面倒なことからは逃げようとする傾向もある。光彦とは正反対で口調は荒く、相手が大人であっても滅多に敬語を使わず、呼び捨てにしたり「お前」呼ばわりしたりすることもある[注 18]。光彦に怒鳴って胸倉を掴むこともあるが、典型的なガキ大将とは違ってそれほど暴力的ではない。殺人や監禁などの重大事件に出くわしたときでも、金や食べ物が絡むと短絡的な行動をとってしまい、結果的に探偵団を窮地に陥れることが多い。加えてその点を反省することがほとんどないため、探偵団のエピソードでは同様の行動を繰り返して周囲の足を引っ張りがちである[注 19]。さらに、他者に迷惑を掛けた際、自分が悪かったと痛感した時は素直に反省して詫びることがあるが、割合に鈍感なため自覚しない傾向の方が強く、謝罪することは少なめである[注 21]。頭脳面ではコナンと灰原に全く敵わないため基本的に彼らに従うが、いざとなれば危険な事態にも立ち向かう勇気を持ち合わせている。
自身が好意を寄せる歩美には優しく、かっこいいところを見せようとする場面も多い[27][注 22]。一方、灰原に対しては「ツンツン女」と呼ぶなど[28]、一貫して恋愛面での関心は見られない。ただし、灰原の顔を至近距離から見て照れることもある[29]
うな重が大好物[注 23]。灰原から甲殻類アレルギーの疑いがあるとの指摘をされている[30]
家は父・元次(声 - 野島昭生)が経営する酒屋[31][注 24]。本人いわく岐阜県に伯父がいるとのこと。
名前の由来は、小説家の小峰元
円谷 光彦(つぶらや みつひこ)
声 - 大谷育江[注 25]折笠愛(代役)[注 26]
両親とも教師。中学生の姉・円谷朝美がいる[注 27][注 28]。一人称は「僕」。
周囲からの呼称は、コナン・元太からは「光彦」、歩美・阿笠博士・警察関係者からは「光彦君」、灰原からは「円谷君」である。
親が教師であり言葉遣いや礼儀作法に対して厳しいため、同級生に対しても常に敬語を使うなど[注 29]。そのため、マナーをあまり守らない元太に対して注意をすることがよくある。顔にそばかすがあり、髪型は真ん中で分けているのが特徴。ヨーグルトが好きでにんじんが嫌い[注 30]。体重は20キログラム。
実年齢が10〜12歳離れているコナンや灰原には劣るものの、小学1年生とは思えないほど豊富かつ横断的な知識を持っている[注 31]。普段はコナンや灰原の陰に隠れがちだが、彼らの不在時には歩美や元太と協力して推理を組み立て、中心となって事件を解決に導く[25]。劇場版やアニメオリジナルストーリーでは探偵団に対する解説役を担うことも多く、歴史的事項や[33]、建造物に関する経済情報、アーサー・コナン・ドイルの『赤毛連盟[34]などを説明している。さらにで中学受験レベルの数学を用いてアトラクションの待ち時間を計算したり(一種のフェルミ推定[35]、冷静な判断力や記憶力を見せたりすることもある[36]
頭脳面だけではなく、マラソンでバテていたコナン・歩美・元太をよそに息も切らさず涼しい顔をしている体力や、劇場版第10作『探偵たちの鎮魂歌』ではやや遠くにいる犯人にほうきを槍投げの要領で当てる運動神経も持ち合わせている。行動力もあり、「青の古城探索事件」では罠にかかったコナンの追跡メガネを使用してコナン、阿笠、元太を救出している[37]
ヒーロー好きで、暗号を見るとすぐ「お宝」を連想してしまうなど、子供らしい面もある[2][38][39]
以前は一途に歩美のことが好きだったが、途中から転入生として現れた灰原にも心惹かれている[注 32]。灰原登場後も歩美に好意を寄せる描写は続くものの、恋愛対象としての比重は灰原の方へ大きく傾くようになった。[注 33]
名前の由来は、姉弟共に浅見光彦から[41]

補足

  • 歩美・元太・光彦と似ている人物として、特別編第32巻「杉の精にさらわれた少年」に種ヶ島 夏美たねがしま なつみ)・大神 甘太おおかみ かんた)・牡鹿 国彦おが くにひこ)が、OVA『コナンと平次と消えた少年』に声や容姿がよく似た江坂 繭美えさか まゆみ)・大沢 健太おおさわ けんた)・八木 幹彦やぎ みきひこ)がそれぞれ登場している。後者の声優は岩井・大谷・高木が兼任で担当。また特別編29巻「少女探偵団!?」に桐野 あきみきりの -)・松下 えみまつした -)・武下 ひとみたけした -)という三人の少女たちが登場している。
  • 歩美・元太・光彦の3人はアニメ版では第1話から登場しており[注 34]、劇場版でも全作品に登場する。3人は揃って登場するのがほとんどだが、歩美のみ単独で登場したことが一度だけある[42]
  • 警視庁の人々との交流も多く、特に高木渉佐藤美和子とは会う機会が多い。一方で服部平次[注 35]怪盗キッドと共演する機会は少ないが、劇場版・OVAでは原作・アニメに先行して彼らと会っている。
  • 歩美・元太・光彦は黒ずくめの組織の存在を全く認識していないが、組織が起こした事件に巻き込まれたことはある。また、灰原以外の組織の関係者(脱退者・潜入捜査官を含む)にも沖矢昴(赤井秀一/ライ)、安室透(降谷零/バーボン)、沼淵己一郎原佳明[注 36]とは面識があり、記憶喪失になっていたキュラソー[注 37]と交流したこともある。
  • 2019年に竣工した読売テレビの新社屋の正面玄関前には、少年探偵団5人の銅像が建てられている[44]

脚注

関連項目

外部リンク

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