無観客試合(むかんきゃくじあい)とは、スポーツの試合において、競技連盟や運営者などが観客を入れずに試合を行う措置である。
無観客試合の原因で一番多いケースが、観客のトラブルなどを原因とする規制措置や制裁であり、多くのスポーツにおいて、試合主催者となるチームや観客に対しての罰則として規定されている。試合主催者にとっては、試合の入場料を得ることができなくなり、観客にとっては試合を現地で見ることができない。直接にはプレーする選手が負わされる罰則ではないものの、特に自チームの不祥事などに起因したものである場合、観客がいない故に全く歓声が無いため、いざ試合に入ってもモチベーションを上げられないという選手も中には存在する。ただし規制されるのは観客の場内への入場のみで、場外における観客の応援が規制されない場合もある。後述の2006FIFAワールドカップアジア地区予選、日本 - 北朝鮮戦において無観客試合が適用された際、日本代表のサポーターがスタジアムの外で選手に対して声援を送る光景が見られた。
罰則以外にもテロ・暴動・感染症が起こりうる場合に、選手・関係者のほか不特定多数が集まる観客の安全や健康面への配慮、会場所在地の地域の保安面や防疫などの観点から適用する場合もある。また試合会場の立地・設備や開催時間、災害または、天候不良による開催地の変更などといった要因で観客の来場が困難な場合や観客用の設備が無い施設での試合となった場合、あえて無観客で試合を実施することがある。その他、観客の安全・健康面及び来場・観戦には問題がなくても、試合会場の感覚チェックや民衆から試合開催の是非を問われかねない状況にあるなどの理由で、試合を非公開とすることもある。無観客試合となった原因がテロや暴動の場合、試合会場も選手・監督・コーチ等以外には非公表とする場合もある。
近年では、後述のプロレスや競輪の例のように、会場に観客を入れなくてもテレビ中継等のみで興行・開催が成り立つという理由から、開催経費の圧縮や(無観客であれば場内警備や入退場管理・場内清掃等の費用が原則不要となる)、深夜時間帯の開催(観客の終電や周辺住民に対する騒音に配慮する必要がなくなる)などを目的として、無観客試合を行う例も見られる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響における無観客試合の実施事例については後節を参照。
リモートマッチ
2020年6月15日、日本トップリーグ連携機構は、無観客試合に代わる名称を「リモートマッチ」に決定した。なお、競技によって試合の呼び名が違うため「リモートゲーム」と呼ぶこともあるとしている[1]。略称は「リモマ」、リモートで応援するファン(サポーター)を「リモーター」と呼ぶ[1]。
従来の「無観客試合」の呼称は、不祥事などの制裁という後ろ向きなイメージとも結びつくため、川淵三郎会長が「コロナに打ち勝つような名前を考えてもらいたい」と変更を発案したもの[2]。同日発表されたJリーグの再開日程の公表で[3]「リモートマッチ」の語が初めて使用された。
名称に関しては公募が行われたが、川淵が募集時に海外でも適切な用語がないなどとして「できれば英語で。世界にも広がるようにしたい」と発言していた[4]にもかかわらず、和製英語が用いられることとなった(直訳すれば「遠隔試合」となるが、当然試合そのものは現地で行われるため意味が通らない)。最終候補に残った案も「Stay Home Game」「リモートステージ」「Social Distance Games (SDGs) 」「キズナマッチ (絆マッチ) 」「無限観客試合 (∞観客試合) 」など、いずれも英語圏で通用するとは言い難いものであった[5]。
また前述のように、制裁によるものと区別するための呼称変更を目的としていたが、実際には採用当初からJリーグ等の主催団体およびクラブによる公式の発信においても「リモートマッチ(無観客試合)」と併記されており、事実上この造語が定着することはなかった[3]。
なお名称公募の理由として「従来の無観客試合は懲罰の意味合いが強い」「感染対策による無観客試合を表す適切な用語がない」ことが挙げられていたが、日本国外においては制裁によるものとコロナ禍における感染対策として行われるものとで特に呼称が区別されることはなく、一例として当の英語圏であるイングランド・プレミアリーグではコロナ禍においても制裁時と同様に英語で「密室」「非公開」を意味する「Behind Closed Doors (BCD) 」が用いられている[6]。このように「リモートマッチ (Remote Match) 」の名称が海外で用いられることはなく、Tリーグ[7]を除く日本トップリーグ連携機構に加盟していない団体でも使用していないため、事実上は日本国内の一部競技限定の呼称となっている。
後節の「新型コロナウイルス感染症の影響」を除く主な事例を以下に列記する。
相撲
- 1945年(昭和20年)6月場所は、両国国技館(1909年開館の旧国技館)で非公開で行われた[31](本来5月開催のところ空襲による会場難や閑院宮逝去による自粛などで延期。国技館も空襲で屋根が焼け落ちており晴天七日間の興行であった。)。非公開となった理由はアメリカ軍の空襲が激烈な時期であり、東京都内で多人数を集めての興行を行うと危険であったこと、東京大空襲の直後とあって「この非常時に相撲の本場所とは」という批判を恐れたことなどがある。 備州山大八郎が7戦全勝で平幕優勝した(ただし傷痍軍人が招待されていた)[31]。
- 幕下以下に関して、1944年5月(両国国技館)・11月(明治神宮外苑相撲場)、1945年6月(春日野部屋)の各場所は、十両以上と切り離して非公開で行われていた。
公営競技
競馬
- フランスではストライキなどにより開催ができずに競馬の代替開催をする場合は、予定にない開催のために観客を入れずにレースを行う場合がある。
- 中央競馬では前身の「日本競馬会」(日本中央競馬会(JRA)の設立は1954年)時代の1944年に戦局の悪化を理由に「能力検定競走」として東京優駿(日本ダービー)、中山四歳牝馬特別(現在の桜花賞)、帝室御賞典(現在の天皇賞・春)、農商省賞典四歳(現在の皐月賞)、京都農林省賞典四歳呼馬(現在の菊花賞)の5競走が無観客で施行されたことがある。しかし菊花賞では京都競馬場の芝3000メートルのコースを内回り2周すべきところを各騎手が誤認し、内回りを1周した後に外回りコースに入ってしまったためレース不成立となり、1位入線のカイソウは「幻の菊花賞馬」と言われた[34][35]。
- 後述の新型コロナウイルス蔓延以外では、2021年7月に開催される予定の第1回[注釈 2]福島競馬場の開催が、同年2月13日深夜に発生した福島県沖地震により、観覧スタンドの損壊が著しいことから、復旧工事に時間を要することを理由に[36]、船橋競馬場では大規模改修工事による観客受け入れ困難のため、それぞれ無観客開催となった。
- なお福島競馬場は2022年も同様の地震が3月16日に発生し、復旧工事が広範囲にわたるという理由で、2022年度第1回開催を当初の4月9日から1週順延して4月16日から5月1日(これに付随して第1回新潟競馬場も4月30日開幕を1週順延し5月7日から5月29日に変更)としたうえで、無観客開催とすることが発表された[37]。
競輪
- 2011年より開始した『ミッドナイト競輪』は、経費圧縮と夜9時前〜11時台という開催時間の関係で、周辺住民への配慮から無観客で実施されている。レースの模様はSPEEDチャンネルや動画配信サイト、BSよしもと「競輪LIVE!チャリロトよしもと」(毎週月曜から金曜のみ)で中継され、車券は原則としてインターネットを通してのみ(一部の場外車券売場では前売りを実施)販売される。
- ドーム競輪場である小倉競輪場にて試験的に開催したところ好評だったことを受けて、継続的に開催されることとなった。特に近年は車券の売り上げも高い伸びを示している(詳細は当該項目を参照)ことから開催する競輪場は増えており、2023年11月時点で全国の競輪場の半数超に当たる31場で開催されている。また、設備が整っている別の競輪場を借り上げたうえでミッドナイト競輪を開催する施行者もあり、それらも加えると全43場のうち40の競輪場がミッドナイト競輪を開催していることになっている。
- モーニング競輪は、原則として有観客で行われているが、朝早い開催では競輪場が開門(基本的に朝10時)する前の午前8:30ごろから第1レースが行われており、その開場前のレースのみ無観客で行われている[38]。
- PIST6を開催するTIPSTAR DOME CHIBAでは、新型コロナウイルス感染症の影響における無観客措置解除後も、一般チケットを発売しない開催も実施している(2022年2月3日・4日の節が初めての該当)[39]。
競艇(ボートレース)
- 競艇(ボートレース)では、オートレース同様にエンジン(競艇では「モーター」と呼ぶ)から発生する騒音の問題からミッドナイト開催が遅れていたが、2021年10月20日からの下関競艇場での開催を皮切りに『ミッドナイトボートレース』を開催している。競輪、オートレースと同様に無観客で行われているが、レースの開催は夕方5時台〜夜9時台としており、競輪、オートレースよりも最終レースの発走時刻は早めの設定となっている。
2019年末から継続する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行においてもさまざまな影響が出ている。
サッカー
- UEFAチャンピオンズリーグ 2019-20、UEFAヨーロッパリーグ 2019-20決勝トーナメント1回戦の一部試合が無観客。特にパリ・サンジェルマンvsドルトムントのセカンドレグではスタジアム外に3000人のサポーターが集結した[53]。
- Jリーグは、2020年6月15日に再開後の2020Jリーグの日程発表をした[3]。J1第2節・第3節、J2第2節・第3節、J3第1節、第2節については「リモートマッチ(無観客試合)」での開催とされた。以後、7月10日から同月一杯は原則として上限5000人(キャパシティーが少ない競技場は、5000人、または収容人員の50%までのどちらかの小さいほうの上限を選ぶ)、アウェー応援席の設置を行わないことを原則とする「超厳戒体制(強化された規制)」、8月以降予定にはキャパシティの50%までを上限とする「厳戒体制(緩和された規制)」での有観客試合へ移行する計画も明らかにした[54]。またJFLについても、開幕節の第16−17節全試合を含む各クラブ最初の主管試合開催日は、無観客試合とする取り決めが発表された[55] が、その後コロナ蔓延によりJリーグ・JFLとも超厳戒試合を継続した。(一部試合は無観客開催あり)
- 2021年も多くのクラブで超厳戒体制での試合としたが、4-5月の緊急事態宣言発動後、対象の4都府県を本拠地とする各クラブ主催の試合がすべて無観客(JFLは一部延期)があった。その後5月の緊急事態宣言の延長時は、日本国政府が大規模イベントの有観客開催を「5000人まで(または上限50%の少ないほう)」であれば開催可能とする規制緩和策を受けて、大阪府以外の5都府県については「超厳戒体制」に緩和したが、大阪府に関しては同府から引き続き原則として大規模なイベントの開催を自粛・ないしは無観客で開催するように勧告されているため、当該クラブの主催試合は5月中は無観客開催を維持した。
- この場合、無観客試合(年間シート(年間パスも含む)を含めすべて払い戻し)以外では、クラブや試合日によるが、発令日前に発券されたチケットが有効となる場合、あるいは年間シート(パス)が無効となり、年間シート(パス)購入者限定の優待割引チケットの発売などを行うなど、対応が区々である。
- 2021年3月30日、2022 FIFAワールドカップ・アジア2次予選グループFのモンゴル 対 日本戦はフクダ電子アリーナにて無観客で開催された。当初は2020年3月31日にMFFフットボールセンターで開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため予選自体が延期となり、再開後もモンゴル国内では厳しい感染防止策のため試合開催ができず、モンゴル連盟の意見を聞いた上で会場変更・無観客開催となった。
野球
- 日本プロ野球では2020年の春季非公式試合(オープン戦)2月29日以降に開催予定の全72試合が無観客試合で行なわれることになった。また春季教育リーグも全33試合を無観客試合にて開催されることになった[56]。その後、3月20日の開幕予定日以後、暫定的に公式戦とはせず、公式戦の日程に準じた形での無観客練習試合として行うことを決めたが、3月23日に公式戦開幕がさらに延期されたことを受けて、パ・リーグは即日、セ・リーグは3月25日を最後に当面無観客練習試合の開催も中止した。その後6月19日にプロ野球が無観客で開幕し、そのタイミングで6月に入ってから練習試合を無観客で再開した。こちらもJリーグに倣い、7月10日から超厳戒体制、8月以後は厳戒体制の有観客試合へ移行する予定[57] だったが、これも超厳戒体制を維持し、10月以後は一部の試合で上限を緩和する試合があった。
- 2021年の春季キャンプ開催時は、当初は事前の申し込み制、ないしはチケット購入制などを取り入れた入場制限付き有観客開催(見学可能な場所もメイン球場のスタンドなど極限定的な形で行う)を取る予定だった球団もあったが、日本政府が首都圏・愛知県・三重県・京阪神・福岡県の11都府県に緊急事態宣言を発動したのと、開催地の宮崎・沖縄両県にもそれぞれ独自の緊急事態宣言を出したことを受けて、双方の緊急事態宣言が解除されるまでは原則無観客(チケット購入制だった球団は払い戻し、記念グッズ贈呈もなし)、報道陣も入場制限するように勧告が行われ、結果最終日まで無観客開催が続いた。
- 2021年4-5月の緊急事態宣言時は、対象都府県に本拠地を置く巨人・ヤクルト・オリックス・阪神が主催する地元開催分と、東京ドームにおいての日本ハム主催試合については原則無観客とするが、4月25日のセ・リーグ3会場については、事前の告知期間が短いため混乱をきたす恐れがあるとして、入場人員上限数の制限、アルコール飲料の提供見合わせなどの条件付きで有観客開催が認められたほか、巨人軍主催の5月2日の中日戦、同8日のヤクルト戦(いずれも東京ドーム)は開催を見合わせ、前者は7月8日の延期が決定した(後者は日程未定)。その後ヤクルト主催の4月29日の巨人軍戦、5月3日の阪神戦、11日の広島戦(いずれも明治神宮野球場)、オリックス主催の4月29日の楽天戦(京セラドーム大阪)についても開催中止・延期(うち、ヤクルト対広島戦のみ予備日に指定されていた13日に順延することを決めるも、雨天中止となり、これも含めすべて代替日未定)となった。
- この緊急事態宣言下の開催とは別に、日本ハムの選手からコロナ陽性反応者が多数発生し、一軍公式戦の登録に必要な人員が不足することから、5月2日の西武戦(札幌ドーム)、5月3-5日のビジターでのロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)の4試合、また広島の選手からも同様のコロナ陽性者の発生により、5月21-23日の阪神戦(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)がすべて中止・延期(すべて代替日未定)された(「天候不順以外で中止・打ち切りになった日本プロ野球の試合」を参照)。
- 緊急事態宣言の延長により、5月12日以後は原則上限人員5000人までの制限付き有観客(オリックスのほっともっとフィールド神戸での主催試合を含む)に戻すが、オリックスの京セラドーム大阪での主催開催については、上述の大阪府の原則無観客開催の継続を要請したという理由から5月中の無観客開催を維持した。ただ、無観客試合によって生じる興行的なリスクを避ける観点から、ほっともっとフィールド神戸など京阪神周辺地域での開催に移行することも示唆されている。またソフトバンクの福岡PayPayドームでの主催試合についても、当初は原則上限5000人までの入場としていたが、5月18日以後の5月残りの開催分(二・三軍含む)をすべて無観客(年間シートも含め全無効)となった。
- ただし、この場合、阪神主催試合(甲子園)については車いす席を含む一般販売は行わず、チケットは年間シート購入者・ないしはそれをチケットリセール[注釈 3] やプレゼントなどで受け取った人に限定したものとする。それ以外も原則チケットの新規販売を見合わせるか、発売時期・スタンドの座席上限を調整したうえで販売するが、5月11日以前に購入されたチケットに関しては(年間シート購入者を含め)そのまま有効となることから、5000人を上回る事例もある。
- イースタン・リーグでは、ロッテ浦和球場開催分について当面の間全試合を無観客試合にすることにした。ロッテ浦和球場は菓子工場の敷地内にあり、厳しい感染症防止対策が困難なための措置である。
- また多くの大学野球リーグがコロナの感染拡大により2020年の春季リーグを中止・延期しており、8月開催を表明していた関西学生野球連盟についても、同連盟に参加している京都大学の学生(野球部員ではない)からコロナ反応があり、部活動が全面停止になったことや、他の参加校も練習などの制限・条件が設けられていることなどを総合的に判断し、春季大会を完全中止することになった[58]。
- アメリカの大リーグは開幕が2020年7月下旬に延期されたため、リーグ戦の試合数を60試合に縮小、インターリーグを含め同一ブロック内のリーグ戦のみを基本無観客で行うことになった。その後のポストシーズンは制限付き有観客で行われた。
高校スポーツ
2020-21年度の高校スポーツにおいては、対応は以下の通り。
- 保護者、学校関係者のみ見学可能 バスケットボール、サッカー(準々決勝まで)
- 完全無観客(保護者入場不可。学校関係者も控え部員など最低限の人数に制限) 駅伝(たけびしスタジアム京都)、バレーボール、ラグビー、サッカー(準決勝以降)
- 高校サッカーは、開会式を簡略化し、入場行進は事前収録したもの、選手宣誓もオンラインに変更された。
- 条件付き有観客 野球(選抜高校野球選手権大会)
- アルプス席は学校関係者・保護者のみに販売(その際でも楽器類はチアガールのポンポン以外使用禁止)。その他(外野席も有料)については、1試合1万人を上限として一般販売を行った。
2021ー22年度においては、夏の甲子園が一般客の入場を認めず、保護者、野球部員、応援団(途中から応援団の入場は不可となる)に限定する形をとったほか、全国高等学校総合体育大会(北陸5県)も、学校関係者・一部を除く競技者の保護者を除き無観客[59]で行われた。2022年1月開催の春の高校バレー(東京体育館ほか)についても、学校関係者・競技者の保護者を除き、一般の入場不可となった[60]。
公営競技
- 競馬では香港ジョッキークラブが2020年2月8日から当面の間、一部の関係者を除き、一般客の入場を一切受け付けない無観客競馬として実施することを発表した[61]。また英国競馬統括機構も3月16日から同月末まで無観客競馬が予定していた[62] が、後に中止となっている。
- アメリカでは、ケンタッキーダービーが2020年5月から9月に順延され、その際、メイン会場となるチャーチルタウンズ競馬場は内馬場を閉鎖、入場者を最大23000人までに制限するなどの処置を施した条件付き有観客[63] とすることが一度決まっていたが、その後感染拡大の影響を考慮しさらに制限を強化、一般の観客の入場を原則として禁止する無観客開催に変更された[64]。代わりに歴代三冠馬13頭でバーチャルケンタッキーダービーを行い、セクレタリアトが優勝した。
- 日本でもこれ以上の被害を防止するため2020年2月から3月にかけ、日本中央競馬会(JRA)を始め、地方競馬全場でいずれも無観客で実施。勝馬投票券はインターネット・電話投票での発売に限定され、各競馬場や場外勝馬投票券発売所での発売は行わない[65][66][67][68][69]。その後場外発売は6月14日から、観客の入場は帯広競馬場が7月11日の開催から順次再開した。また中央競馬は2020年8月9日までは全会場とも無観客開催を続け、同15日から新潟競馬場に限り、新潟県在住で指定席を前売り購入したファンの中から、各日最大600人を上限とした有観客開催を復活する予定を一度発表していた[70] が、その後のコロナの感染拡大傾向が顕著であるという理由で、8月8日に、この第3回新潟開催においても観客の受け入れを見合わせ無観客を継続することが発表された[71]。その後中央競馬では10月10日からインターネット抽選予約で購入した人に限定する形で順次入場が再開されたが、2021年1-3月と4-5月の緊急事態宣言発令時は対象となる都府県の競馬場・ウィンズなどが閉鎖され、競馬場では無観客開催、ウィンズなどでは払い戻し業務のみ実施(4-5月の場合は払い戻しも実施せず 関東地区は2021年4-5月の緊急事態宣言時は東京都のみ発令中だったが、周辺県で蔓延防止処置重点地域の対象地域があることを踏まえ、埼玉・茨城・千葉・神奈川の場外発売所も対象とした)となった。その後、上記の緊急事態宣言発動下でも上限制限付きの有観客が認められたため、5月15日以後は従来のネット前売り利用者限定の形で、東京競馬場の入場は認められたが、ウィンズ(競馬場のパークウィンズも含む)などについては引き続き発売・払い戻しを見合わせていた。
- 地方競馬においては、船橋競馬場の所属騎手から、新型コロナウィルスの陽性が判明したため、2020年8月24日[72] の、一般観客(上限200人)を入れたプレ・オープンを含めたレース開催自体を中止、その後26日までレース開催(無観客)も見合わせた[73] が、8月27日から再開。開催見合わせとなった8月24-26日分は8月31-9月2日(スパーキングサマーカップも8月26日から9月2日順延)に代替開催されることになった。またこれに付随して、8月31日-9月4日に予定していた船橋競馬(無観客)についても厩舎周りの密対策を整えるなど、感染防止対策を講じて、9月以後の開催に万全を期すということを理由に開催見合わせを発表した[74]
- その後、2020年秋ごろから段階を追って、事前にインターネットの申し込みサイトでの入場予約を申し込んだファン(応募多数時は抽選)を対象とした上限付きの有観客開催に復帰したが、2021年1月以降、当面南関東4競馬場の無観客開催が再開され、この間すでに募集済みだった1月開催分の申し込み分はすべて無効となった。その後船橋競馬以外は観客の受け入れが再開されたものの、上述した通り大規模改修工事と重なり観客の受け入れが困難であるため、無観客開催を継続している。
- 2020年4月から大井と川崎に関しては事前申し込みによる抽選予約方式での入場を認めることを決めたが、緊急事態宣言発動を受けて、再び無観客に戻り、4月の大井第2回の申し込みはすべて無効となった。
- また園田競馬場についても、2021年5月3-5日、門別競馬場は4・5月の開幕第1・2回の全開催日と、5月の第3回以後のうち特に観客動員が多く見込まれるとされる重賞競走(2021年5月は北海道スプリントカップが対象)については、事前申し込み制(対象日以外は会場内の滞留人数による制限はあるが、自由入場)による有観客開催としていたが、緊急事態宣言により無観客開催となり、同様に申し込み当選はがきは無効となった。
- 競輪・オートレースを管轄するJKAは2020年2月27日の開催より6月11日(当初は3月11日までとしていた[75])まで、全国の競輪場・オートレース場において、ミッドナイトレース以外の開催も含めて全て無観客で実施した。また併せて、他のレース場、専用場外車券売り場による場外発売も休止した[76][77][注釈 4]。その後場外発売は6月1日から、観客の入場は競輪場が武雄競輪場が6月12日の開催から・オートレース場は伊勢崎オートレース場が6月29日の開催から順次再開した。但し、多数の来場(=感染拡大)が予想される競輪のGI開催[注釈 5] とオートレースのSG開催[注釈 6] は引き続き無観客開催の措置を取った。2021年も2月の全日本選抜競輪(川崎競輪場と5月の日本選手権競輪(京王閣競輪場)、8月のオールスター競輪(いわき平競輪場)、9月の共同通信社杯競輪(岐阜競輪場)についても、当初は有観客開催を前提に事前申し込み定員制(応募期間はそれぞれ2020年11-12月、2021年3月、6月、8月。共同通信社杯は開場周辺の中京3県居住者限定)による当選者を対象とした入場券を配布したものの、緊急事態宣言発令の影響により無観客(当日の入場は無効だが、後日有観客開催に戻った際に粗品贈呈に代える)に変更したほか、奈良GIIIなどGI以外でも一部の開催で無観客に変更した競輪場もあった。
- 競艇(ボートレース)でも2020年2月28日の開催より5月21日(当初は3月15日までとしていた[78])、全競艇場全て無観客で実施した[79]。また併せて、他の競艇場、または専用場外舟券売り場による場外発売も休止した。まずは、全国に先駆けて大村競艇場で5月22日の開催から観客の入場を再開したが、長崎県内在住かつ入場時の検温で体温が37度未満であることを条件とした[80][81]。その後も各競艇場及び外向・場外発売所で無観客開催の解除を順次進めている[82]。その後、7月28日からGII競走も有観客開催に戻る事になった。また、多数の来場(=感染拡大)が予想されるG1やSGについては、7月までは無観客開催とし、8月のボートレースメモリアル(下関競艇場)以降の開催は、開催競艇場が立地する都道府県及び隣接都道府県の在住者を対象とした事前抽選による入場制限が取られている。
- レースに出走を予定していた選手(騎手)から新型コロナウィルスの陽性が出たため、競輪では2020年4-6月(静岡競輪場での日本選手権競輪含む)[83] の多くの開催で、競艇では8月3-8日の宮島競艇場[84]、さらに住之江競艇場も8月11-16日[85] の開催が取りやめとなった。