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日本のゲームタイトル ウィキペディアから
『Fate/stay night』(フェイト ステイナイト)は、TYPE-MOON開発による日本のコンピューターゲーム。オリジナルプラットフォームは2004年1月30日に、Windows 98/ME/2000/XP用PC(アダルトゲーム)ソフトとしてリリースされた。ジャンルは「伝奇活劇ビジュアルノベルゲーム」。シナリオライターは奈須きのこ。(当項では、この日にリリースされた版を一部で「PC原作版」・「原典版」と称し記述している)
Fate/stay night | |
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ジャンル | 伝奇活劇・ファンタジー |
ゲーム | |
ゲームジャンル | 伝奇活劇ビジュアルノベル、アダルトゲーム |
対応機種 | Windows 98/ME/2000/XP 7/8/10(復刻版) |
必要環境 | Pentium III 400MHz以上 |
推奨環境 | Pentium III 800MHz以上 |
ゲームエンジン | 吉里吉里2 |
開発元 | TYPE-MOON |
発売元 | 有限会社ノーツ |
キャラクターデザイン | 武内崇 |
シナリオ | 奈須きのこ |
メディア | CD-ROM3枚組(CD) DVD-ROM1枚組(DVD) ダウンロードカード(復刻版) |
発売日 | 2004年1月30日(CD) 2006年3月29日(DVD) 2014年1月30日(セット版) 2019年6月28日(復刻版) |
売上本数 | 20万本[1][2] |
レイティング | 18禁 |
キャラクター名設定 | 不可 |
エンディング数 | 5+40 |
セーブファイル数 | 300 |
画面サイズ | 800×600 / 65536色 |
全画面表示モード | あり |
音楽フォーマット | DirectSoundに対応した PCM音源必須 |
キャラクターボイス | なし |
その他 | CD-ROM初回版:設定資料集 『fate/side material』付属 オフィシャル通販特典:特製小冊子 「Fate/side side materiale」 DMMアカウント必須(復刻版) |
ゲーム:Fate/stay night [Réalta Nua] Fate/stay night REMASTERED | |
ゲームジャンル | 伝奇活劇ビジュアルノベル |
対応機種 | PlayStation 2 Windows XP/Vista/7 Windows 10/11(Steam) PlayStation Vita iOS/Android Steam Nintendo Switch |
必要環境 | 600MHz以上(XP) / 1GHz以上(Vista/7) |
ゲームエンジン | AGES mkII [REMASTERED] |
開発元 | TYPE-MOON fuzz [スマホ版/REMASTERED] |
発売元 | 角川書店 [PS2版] 有限会社ノーツ [PC版/スマホ版] 角川ゲームス [PS Vita版] アニプレックス [REMASTERED] |
メディア | DVD-ROM1枚組 ダウンロード |
プレイ人数 | 1 |
発売日 | 2007年4月19日 [PS2版] 2011年12月23日 [PC版「Fate」] 2012年1月31日 [PC版「UBW」] 2012年2月29日 [PC版「HF」] 2012年11月29日 [PS Vita版] 2015年4月19日 [iOS版「Fate」] 2015年5月30日 [Android版「Fate」] 2015年6月18日 [iOS版「UBW」「HF」] 2024年8月8日 [REMASTERED] |
売上本数 | 20万本[PS2版][1] 10万本[PS Vita版][1] 10万本 [REMASTERED版][3] |
レイティング | CERO:C(15才以上対象) |
キャラクター名設定 | 不可 |
エンディング数 | 5+40、追加エピソード1 |
キャラクターボイス | フルボイス(On/Off機能あり) |
その他 | extra edition:PSPソフト 『とびだせ! トラぶる花札道中記』同梱 extra edition予約先着特典: セイバー胸像フィギュア オフィシャル通販特典:特製小冊子 「Fate/side side materiale 3」 |
漫画:Fate/stay night | |
原作・原案など | TYPE-MOON |
作画 | 西脇だっと |
出版社 | 角川書店 |
掲載誌 | 月刊少年エース |
レーベル | カドカワコミックス・エース |
発表号 | 2006年2月号 - 2012年12月号 |
巻数 | 全20巻 |
話数 | 82話 + 番外編13話 |
漫画:Fate/stay night [Heaven's Feel] | |
原作・原案など | TYPE-MOON |
作画 | タスクオーナ |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | ヤングエース |
レーベル | カドカワコミックス・エース |
発表号 | 2015年6月号[注 1] - |
巻数 | 既刊10巻(2023年4月現在) |
漫画:Fate/stay night [Unlimited Blade Works] | |
原作・原案など | TYPE-MOON |
作画 | 森山大輔 |
出版社 | KADOKAWA |
掲載誌 | 月刊コミック電撃大王 |
発表号 | 2022年2月号 - |
巻数 | 既刊6巻(2024年12月現在) |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | コンピュータゲーム・漫画 |
ポータル | コンピュータゲーム・漫画 |
後に、性的な表現などを削除しレイティング12歳以上推奨としたうえで、新たにキャラクターボイスや新規CG、追加のラストエピソード「“Réalta Nua”」(レアルタ ヌア)などを加え、PlayStation 2ほかマルチプラットフォームに対応した『Fate/stay night [Réalta Nua]』が発売された。また、2024年8月8日には、画面比率を16:9にしたフルHDリマスター版『Fate/stay night REMASTERED』がNintendo Switch/Steam向けに発売された[4]。
本作が好評を博した事により、後述するように『Fate』を冠した作品がゲームのみならずアニメーション、コミック、舞台劇など様々な媒体で作られ続けている。これは「Fateシリーズ」と総称されており、『Stay night』は「原点」にして「原典」と位置付けられている。
本作品は、それまで同人サークルとして活躍していたTYPE-MOONの商業デビュー作品である。また、TYPE-MOONによるほかの作品、『月姫』や『空の境界』などと世界観を共有していることでも知られている。これらの作品の間にはストーリーの直接的な関係はなくそれぞれの作品は単独で内容を理解することができるものの、共通の設定を背景に描かれており、クロスオーバーする部分も存在している。
その骨子は原作者である奈須きのこが『魔界転生』を模倣して中学生時代にノートに書き連ねていた「真の中二病作品」であり、大学生時代に「それカタチにしようよ」と仲間が声をかけて制作が開始された。
後年発売されたファンディスクも合わせた販売累計は約40万本[1]におよび、アダルトゲームの実販売数が集計されるようになってからは(2011年時点で)最高の売上を誇っている[5]。そのヒットの影響は小さくはなく、本作発売当時はコミックマーケットをはじめとする同人誌即売会において「島」と呼ばれるジャンルの一角を担うに至った。また普段アダルトゲームをプレイしない層にも「名前くらいは聞いたことがある」人もいる程度の知名度は獲得した。インターネット上では「Fateは文学」というコピペも流行した[6]。
物語の途中の選択肢によって生まれる状況の差異により、ストーリーが計3ルートに分岐する方式が取られている(後述)。
2006年1月から同年6月まで、「Fate」ルートを基本にし他のルートの内容も盛り込んだ全24話のテレビアニメが放送された。また2010年1月23日に劇場版アニメ「Unlimited Blade Works」が公開された。
2014年秋に「Project Fate/stay night」が始動(『Fate/stay night (アニメ)』を参照)。それに基づいた新たなプロジェクトチームにより、2014年10月より分割2クールのテレビアニメとして「Unlimited Blade Works」が放送された。2014年7月27日には劇場版アニメとして「Heaven's Feel」の章形式での制作も発表され、第一章が2017年10月14日より公開、第二章が2019年1月12日に公開された。第三章は2020年8月15日に公開された。また、2019年12月に開催されたTYPE-MOON展にてPC版から他機種への移植版「Réalta Nua」にて追加されたエピソード「Réalta Nua(ラストエピソード)」の一部が映像化された[7][8]。
テレビアニメ第1作の放送開始に合わせて『月刊少年エース』にて西脇だっとによる「Fate」を基本にした漫画版の連載が開始され、2012年12月号まで連載された。また『ヤングエース』で2015年6月号[注 1]より「Heaven's Feel」の漫画版が、『月刊コミック電撃大王』で2022年2月号より「Unlimited Blade Works」の漫画版がそれぞれ連載中。
ゲーム形式で販売された作品に限定して記載する。そのほかの関連作品については#外伝作品を参照。
物語の途中の選択肢によって生まれる状況の差異により、ストーリーが計3ルートに分岐する方式が取られており、全てのルートで全てのサーヴァントの役回りが異なる壮大なビジュアルノベルとなっている。また、分岐できるようになる選択肢が現れる条件から、プレイ可能なシナリオの順番は固定されており、隠された真相が後のルートで明かされるという相互補完的な要素が盛り込まれているのも大きな特徴である("Heaven's Feel"シナリオの長大化の原因ともなった)。標準的な攻略時間は60時間にも及ぶ[注 3]。エンディング45の内、バッドエンドやデッドエンドが40という多さも特徴である。
構想段階では3ルートではなく、ライダールートやキャスタールートなど、もっと多くの分岐が考えられていたという。ところが、開発時間の不足と攻略時間の軽減のために削られていき、物語上必須であったイリヤルートまでが削除された結果、イリヤルートの一部は桜ルートに統合されることになった。
本編でデッドエンドやバッドエンドを迎えた時に登場する「へんてこヒントコーナー」。全40回。回をこなすごとにタイガースタンプに記録されていく。
道着を着た「タイガ」こと藤村大河と、体操着を着た「ブルマ」こと弟子1号(イリヤスフィール・フォン・アインツベルン)が活躍するが、ポンチ絵で描かれた「へたれセイバー」やタバコらしきものくわえた「やさぐれRIN」など、本編のほかのキャラクターも回によってはデフォルメやモザイクがかかった状態で登場する。ただし、リズと黒桜だけはそのままの姿で登場している。基本的にメタフィクション的な視点で進行するが、本編でどのようなエンディングを迎えたかによって、タイガー道場でのキャラクターたちも微妙に変化する[注 5]。
一応、グッドエンドやトゥルーエンドへのヒントを語っているが、回によってはキャラ同士の掛け合いに終始するだけで、ヒントになっていないこともある。
タイガースタンプ10個につきミニ劇場が1つずつ開放され、となりで眠っているトラの絵が活発化していくギミックになっており、全40回と本編のエンディングを全て見ると、タイガとイリヤのお宝映像を見ることができる。
日本のとある地方都市「冬木市」に数十年に一度現れるとされる、持ち主のあらゆる願いを叶える「聖杯」。7人の魔術師(マスター)は7騎の使い魔(サーヴァント)と契約し、聖杯を巡る抗争「聖杯戦争」に臨む。聖杯を手にできるのはただ一組、ゆえに彼らは最後の一組となるまで互いに殺し合う。ただし、この闘いも魔術も一般人には厳に秘匿されていた。
高校二年生の冬に、遠坂凛は、前回の聖杯戦争で命を落とした父の遺志を継ぎ、聖杯戦争に挑もうとしていた。凛は男性のサーヴァントを召喚するが、彼は年若い魔術師である凛を侮る態度に出たため、思い通りに動かそうと回数制限のある絶対命令権である令呪を使用するという暴挙に出てしまう。抽象的な命令のため効果は薄かったものの自身に作用してくる卓越した魔力に、凛をマスターと認めた彼はアーチャー(弓兵)のサーヴァントだった。
翌日、凛は学校に構内の人間を害する目的の結界が張られていることに気付き、学生の居ない夜間に調査を開始するが、そこに別のサーヴァント・ランサー(槍兵)の妨害が入りアーチャーと戦闘になる。しかし、この戦いを学生に目撃されたランサーは口封じのためにその学生を殺害してしまう。その学生の衛宮士郎は凛にとっては密かにであるが大切な縁があったため、出来る限りの蘇生魔術を施してその場を後にするが、ランサーが殺しそこなった目撃者を見逃すはずは無いと気付き、アーチャーと共に士郎の家に向かったところ、衛宮邸前に現れた新たなサーヴァントに襲撃される。そのサーヴァントは小柄な金髪の少女で、凛が真に召喚を望んでいたサーヴァント・セイバー(剣士)だった。
士郎は10年前(1994年)に起きた冬木大火災の生き残りで、養父の跡を継ぎそこなった半人前の魔術師だった。高校生になっていた士郎はある日、夜の学校で偶然にもアーチャーとランサーによるサーヴァント戦を目撃したことから、ランサーに殺されかかるが駆けつけた凛によって蘇生魔術を施され帰宅する。だが自宅でランサーに再度襲撃されたため庭にある蔵へ逃げ込んだところ、蔵の床に描かれていた魔法陣が発動し、奇縁によりサーヴァントの1人・セイバーが召喚され、士郎自身も聖杯戦争に巻き込まれることとなる。自分を災害時に救ってくれた亡き養父・衛宮切嗣のような「正義の味方」になりたいと願う士郎は、無関係な犠牲者を増やさないために聖杯戦争に参加することを決意する。
士郎とセイバーは様々な強敵たちと対抗するため、凛やアーチャーと共同戦線を張ることとなる。激闘の末、セイバーは「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」を使用して間桐慎二のサーヴァントであるライダーを撃破。エクスカリバーを使ったことでセイバーの真名はアルトリア・ペンドラゴン(アーサー王)であることが明らかとなり、王の選定の剣を抜いた時から成長が止まり、少女の身のまま男性として振る舞ってきたことが語られる。
その後、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンの城にて士郎たちは最強の敵・バーサーカーと対峙する。一度はアーチャーを失うという敗北を喫するも、雪辱戦では士郎がアルトリアの失われた選定の剣「勝利すべき黄金の剣(カリバーン)」を投影してバーサーカーを倒す。サーヴァントを失ったマスター・イリヤスフィールは衛宮邸で保護され、アーチャーを失った凛も引き続き士郎に協力することになる。
だが間もなく、存在しないはずの8人目のサーヴァント・ギルガメッシュが現れ、その圧倒的な力でキャスターを撃破するという事件が発生する。士郎は単身、8人目のサーヴァントというイレギュラーについて監督役の言峰綺礼に聞き出そうとするが、その言峰こそがギルガメッシュのマスターであり、また残るランサーも言峰がほかのマスターから略奪したサーヴァントであったことが判明する。言峰は士郎を聖杯戦争の勝者と認め、聖杯を士郎に与えると言い、聖杯の力であれば10年前の災厄もなかったことにできるだろうと語りかける。しかし士郎は「起きたことはやり直せないし、そんなことはしてはならない」と言い、それを聞いたアルトリアも「王の選定をやり直す」という自身の願いを改める。しかし、聖杯は万能の盃などではなく、呪われた力の渦に過ぎないことが言峰の口から明らかとなる。間もなく窮地に陥る士郎とセイバーだったが、ランサーの命を賭した足止めによって難を逃れる。
直後、言峰は衛宮邸を襲撃して聖杯の器であるイリヤスフィールを誘拐し、自らが聖杯を召喚しようと企てる。士郎は聖杯の破壊をセイバーに提案し、アルトリアは士郎に同意する。そして士郎は自身に埋め込まれていたエクスカリバーの鞘「全て遠き理想郷(アヴァロン)」をアルトリアに返還。「全て遠き理想郷」はギルガメッシュの「天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)」の一撃をも防ぎ、アルトリアはギルガメッシュを倒し、また士郎も「全て遠き理想郷」を投影し因縁の敵である言峰を倒す。士郎は最後の令呪によってアルトリアに聖杯の破壊を命じ、イリヤスフィールを救出する。そしてアルトリアは、士郎に愛の告白をして彼の前から姿を消す。
聖杯戦争によって起きた被害は、教会から派遣された新しい神父によって元の形を取り戻した。士郎は凛から「セイバーが消えて、もっと落ち込んでいるかと思った」と問われるが、「未練なんてきっとない。いつか記憶が薄れても、セイバーが好きだったことはずっと覚えてる」と言い日常へ戻る。
アルトリアもまた過去に戻り、ベディヴィエールにエクスカリバーを湖に投げ入れるように命じ、剣が湖の乙女に返還されたことを聞き届けたのち静かに安らかな眠りにつく。
紆余曲折の末、凛やアーチャーと同盟を結ぶことになった士郎とセイバーだったが、士郎はアーチャーと反りが合わず、アーチャーからも 「理想を抱いて溺死しろ」とまで告げられる。それでも士郎は何故かアーチャーの刀や剣技に惹かれていくのだった。
冬木市内で魔力を集めるために暗躍するキャスターは士郎を柳洞寺におびき出して自分と手を組むよう迫るが、士郎は乗り込んできたアーチャーとセイバーに救われる。その際、柳洞寺の山門の守護にあたっていたアサシンは実はキャスターの傘下にあったことが判明する。さらに士郎と凛は学校に張られた結界の対応にあたるが、結局結界は発動し、その後の戦闘の中で結界を張っていたライダーが何者かに敗れて脱落する。キャスターのマスターは実は凛の担任教諭・葛木宗一郎であり、ライダーを斃したのは彼だった。キャスターの策略によりセイバーと士郎との契約は断たれ、セイバーの令呪はキャスターに奪われてしまう。サーヴァントを失った士郎だったが、なおも単身で聖杯戦争を続行する。
続いてアーチャーが離反してキャスターに与し、孤立した凛は士郎と行動を共にして打開策を練る。同盟相手を模索してアインツベルンの城を訪れるが、そこで士郎たちはバーサーカーが間桐慎二率いるギルガメッシュに敗れ、イリヤスフィールも心臓を抉られて殺害されるという場面に遭遇する。途方に暮れる2人だったが、ランサーの協力を得たことで再びキャスターに挑む。苦戦を強いられる士郎たちだったが、裏切ったアーチャーによってキャスターと葛木は倒される。
しかしアーチャーは凛の元へは戻らず、士郎にその刃を向ける。そこでアーチャーの目的が士郎の殺害であるということが判明する。そこで凛は救出されたセイバーと再契約して危機を脱するが、アーチャーの宝具と言わしめる魔術、固有結界「無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)」を見せつけられ、決闘を条件として凛を攫われてしまう。
アインツベルンの城で、アーチャーの正体は未来において英雄になった衛宮士郎であること、またその末路を聞かされ、「お前の理想は間違いだった」と告げられるが、士郎はそれを否定し対決する。一方で拘束されていた凛はランサーによって救出されるが、ランサーはマスターである言峰と相打ちになって果てる。未来の自分の姿であるアーチャーに士郎は苦戦し、またアーチャーは士郎の理想を衛宮切嗣の借り物にすぎないと否定して士郎を追い詰めるものの、士郎もまたその理想が間違いではないという信念を貫く。その様を見たアーチャーはかつての自分を思い出して次第に手が止まり、最後は士郎を認め敗北する。そして終結の最中に突如として現れたギルガメッシュの攻撃から士郎を庇い「お前が倒せ」と言い残してアーチャーは消える。
柳洞寺にてギルガメッシュは聖杯の器であるイリヤスフィールの心臓を慎二に埋め込んだ不完全な聖杯、アヴェンジャーを現界させる。士郎と凛は聖杯のもとへ、セイバーはギルガメッシュのもとへと二手に別れて向かうが、士郎達の前にギルガメッシュが現れ、セイバーはなおも山門を守護していたアサシンに阻まれる。凛は慎二の救出へと走り、そして士郎はギルガメッシュと対峙する。ギルガメッシュの圧倒的な力に劣勢を強いられる士郎であったが、アーチャーの固有結界である「無限の剣製」を自身の手で発動させたことによって形勢を逆転させ、ギルガメッシュを追い詰める。一方、凛は消滅を免れていたアーチャーの援護もあり、聖杯の核となっていた慎二の救出に成功し、アサシンを破ったセイバーの宝具によって聖杯も破壊された。核を失った聖杯は、士郎と交戦中だったギルガメッシュを新たな核として取り込もうとするが失敗し、ギルガメッシュを巻き込んで消滅する。そしてアーチャーは凛に士郎の後事を託し、満足しながら消滅する。
その後、日常に戻った士郎は理想の自分と対峙したことを感慨深く振り返り、理想を追い求める決意を固める。そして、アーチャーもまたかつての自分と対峙したことを抱きつつ、正義の味方になることを誓った切嗣との思い出の光景を浮かべながら、「それでも―俺は、間違えてなどいなかった―」と口にし、自分を受け入れていくのだった。
凛に同盟を提案されるがこれを拒否した士郎とセイバーは、新都で一般人を襲っていたライダーとそのマスターである間桐慎二に勝利する。敗北のショックで荒んだ慎二から守るため、士郎は慎二の妹である間桐桜を衛宮邸に匿う事を決める。
その頃、桜たちの祖父である魔術師・間桐臓硯によって柳洞寺のアサシンを生贄にもう1人のアサシン(真アサシン)が召喚される。またキャスターやランサーは何者かの策略に嵌まり早々に脱落する。監督役である言峰綺礼からも警戒を促された士郎は、セイバーとともに夜の市内巡察を行う。そして士郎や凛たちは、深夜の市街地で謎の「黒い影」と遭遇する…。
なおも探索を続けていた士郎とセイバーだったが、セイバーが真アサシンに敗れ、黒い影に取り込まれてしまう。サーヴァントを失った士郎だったが、ライダーが実は桜のサーヴァントであったということ、そして桜とその命は臓硯の手中にあるということを知らされる。冬木に被害をもたらすかもしれないという桜を士郎は守ると誓う。士郎はイリヤスフィールを頼ろうとするが、そこで士郎は消滅したはずのセイバーがバーサーカーを破る光景を目撃する。真アサシン、そして黒い影を味方に付けたセイバーは士郎たちにも牙を剥くが、アーチャーの犠牲によって士郎たちはなんとか生還する。そしてそこで左腕を失った士郎は、アーチャーの腕を移植することで命脈を保つ。
衛宮邸で安静にしていた桜であったが、その実聖杯の器として既に覚醒しており、黒い影を操る正体であったことが判明する。ギルガメッシュをも取り込んで力を得てしまった桜は、兄・慎二を殺害してしまったことから遂に正気を失ってしまう。真の聖杯の器であるイリヤスフィールを連行した桜と臓硯であったが、士郎は言峰と協力してイリヤスフィールを奪還。そこで士郎はセイバーと同じく黒い影に囚われたバーサーカーと対峙し、アーチャーの腕を解放することによって限界以上の力を発揮する方法を自覚し、バーサーカーを撃破した。
間桐臓硯は聖杯として膨大な魔力を得た桜に離反され、真アサシンも桜によって殺害される。桜を救いたいというライダーの協力を得た士郎は、セイバーを激闘の末に倒す。また時を同じくして凛は桜に挑むが、情から桜を殺すことができずに敗れ、桜は罪の意識にさいなまれる。そこへ現れた士郎によって桜はついに黒い影から解き放たれ、臓硯も現れたイリヤスフィールと対峙し、この世への未練を捨て去り昇天する。
大聖杯を破壊するために1人残った士郎だったが、そこへアヴェンジャーの誕生を悲願とする言峰が現れる。士郎は言峰と激闘を繰り広げ圧倒されるが、言峰もまた既に限界を突破しており、その戦いの最中に息絶える。士郎は最後の力を振り絞って大聖杯を破壊しようとするが、イリヤスフィールがそれを制止し、その力を使い果たして大聖杯の起動を収めた。士郎は肉体こそ死亡したが魂だけは生存し、第三魔法によってその魂を新たな身体に移す事に成功。これによって第五次聖杯戦争はその幕を閉じた。
この作品は、他のTYPE-MOON作品の多くと世界観を共有している。
声の項は特筆しない限りテレビアニメ第1作、[Réalta Nua]、テレビアニメ第2作のもので共通。相違する場合は特筆する。PCゲーム版はバーサーカーの咆哮を除きボイスは存在しない。
『Fate/stay night [Réalta Nua]』(フェイト ステイナイト レアルタ ヌア)は、原典版『stay night』のアダルト描写(R18シナリオ・ストーリーとCG)を削除したうえで新規エピソード・“Réalta Nua”を追加し、新規CG・演出・キャラクターボイス(前年放送されたアニメ版のキャスティングを継承)を追加した版(“Réalta Nua”の詳細は#攻略ルートを参照。)。Réalta Nuaは、アイルランド語で「新しい星」を意味する。
2007年にPS2へ原典版を移植する際に作られたのが初版。以降「stay night」を他機種へ移植する場合は全て“Réalta Nua”版となっている。シナリオの削除による部分的な内容の変更が発生しているため、設定面で原作PC版と“Réalta Nua”版を区別する場合もある。
『Project Fate/stay night』の企画の一つとして、シリーズの全ての元となる『Fate/stay night [Realta Nua]』をスマートフォン(iOS&Android向け)のネイティブアプリとして配信する企画。「Fate(セイバールート)」、「Unlimited Blade Works(凛ルート)」、「Heaven's Feel(桜ルート)」を3分割して配信するが、特に「セイバールート」に関しては当初期間限定で無償配布を行うと告知された。これは、ufotable代表の近藤光が武内崇の「セイバールートがすべてのFateの中心にある」という言葉を聞き、それならテレビアニメ『Unlimited Blade Works』放送のタイミングでみんなが無償でセイバールートを楽しめる環境を作りたいと武内に相談したことにより決まった。このアプリ版は原典のPC版よりも高解像度(1280×960)グラフィックになっているほか、機種の横・縦持ちどちらにも対応する。オープニングアニメーションはPS Vita版に使用されたufotable制作のアニメーションが同じく使用されている。
セイバールートの配信予定は「Project Fate/stay night」の公表当初から告知されていたが延期され、2015年4月19日からiOS版が配信開始、2015年5月30日からAndroid版が配信開始(公式に動作可能を保証している機種は限られている。詳細は配信サイト[26] を参照)。この影響で、当初は2015年6月末までと告知されていた無料配信機期間は同年10月末に延長。更に10月初頭には無料配布の期限そのものを撤廃。(配信が続く限りは)「永久無料」化される事になった。
なお、凛ルート・桜ルートはiOS版が2015年6月18日から配信開始されている。
批評家の東浩紀は、例えば「そもそも聖杯戦争に参加しない」という選択肢がない(厳密には選択肢はあるものの、選ぶと必ず殺されてしまう)など本作は自由度が低く、美少女ゲームという形式を採用してはいるが事実上漫画やアニメのシミュレーションに近い存在であり、かといって自由度が低いということに特別な意味がこめられているわけでもないと述べた。そして、1995年のアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』以降、美少女ゲームを含むオタク文化圏には、それまでにはなかった思春期の自意識を直接的に扱うというパラダイムが定着したが、本作では主人公である衛宮士郎の内面の葛藤も描かれず、『機動戦士ガンダム』以前の物語へ回帰していると指摘している[27]。
評論家の前島賢も、本作が『新世紀エヴァンゲリオン』以前の物語消費に回帰したという前述の東の史観を支持すると述べている[28]。
評論家の宇野常寛は、衛宮士郎が戦いを躊躇しないのは『新世紀エヴァンゲリオン』以前への回帰ではないとして東の見解を批判している。宇野によると、21世紀に入るとアメリカ同時多発テロ事件や聖域なき構造改革の影響で、『新世紀エヴァンゲリオン』での碇シンジのような自意識の問題を織り込み済みで「なにもしなければ生き残れないから自力でどうにかする」というサヴァイヴ感を前面に押し出した作風へと物語系想像力のパラダイムシフトが起こっており、本作も後者の想像力の中のひとつと考えられるという[29]。
コンテンツプロデューサーのまつもとあつしは、2014年アニメ化された『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の放映にあたり、「人を救いたい」「正義を貫こう」と苦闘する主人公が辿る道は、勝ち抜くことが出来たとしても、苦さや暗さを含んだ結末となるにもかかわらず、発表から長期に渡って受け入れられているのは、逃れられない「Fate=運命」に翻弄され抵抗するという現実的な様相が共感を得ているせいではないかと考察している[30]。
アニメーション化は、2006年に「Fate」ルートを軸に他ルートの要素も盛り込んで映像化した、テレビアニメ『Fate/stay night』から始まり、「Unlimited Blade Works」ルートが2010年に劇場アニメ『Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS』、2014年から2015年にかけてテレビアニメ『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』として映像化された。
さらに、2017年に上映が開始された「Heaven's Feel」ルートのアニメーション化作品『劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel]』全三部作をもって、3つあるルートが全てアニメ化されたことになる。
また、2019年12月に開催された「TYPE-MOON展 Fate/stay night -15年の軌跡-」にて、PC版から他機種への移植版「Réalta Nua」にて追加されたエピソード「Réalta Nua(ラストエピソード)」の一部が映像化された[7][8]。
角川書店『月刊少年エース』2006年2月号から2012年12月号まで連載された。作画は西脇だっと。単行本レーベルは角川コミックス・エース。全20巻。
シナリオはセイバールートをベースにしながらも、慎二が生存するなどの遠坂凛ルートの要素を織り交ぜた、独自構成となっている。また、番外編を『エースアサルト』と『TYPE-MOONエース』に掲載していた。
『ヤングエース』(KADOKAWA・編集角川書店)2015年5月号にプレ連載を掲載した後、2015年6月号より連載開始。作画はタスクオーナ。桜ルートのコミカライズとなっている[31]。
『月刊コミック電撃大王』(KADOKAWA)2022年2月号より連載開始。作画は森山大輔。凛ルートのコミカライズとなっている[32]。
これらを含め、「Fateシリーズ」と総称する。
注意:複数回コラボした場合は最初のみ記載されている。 |
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