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兵庫県神戸市にある鉄鋼メーカー ウィキペディアから
株式会社神戸製鋼所(こうべせいこうしょ、英: Kobe Steel, Ltd.)は、兵庫県神戸市中央区及び東京都品川区に本社(登記上の本店は神戸市中央区)を置く、日本の大手鉄鋼メーカー(高炉メーカー)。統一商標・国際ブランド名は「KOBELCO」。日経平均株価およびJPX日経インデックス400の構成銘柄の一つ[2][3]。
神戸製鋼所東京本社 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
市場情報 |
大証1部(廃止) 5406 1949年5月16日 - 2013年7月12日 |
略称 | 神戸製鋼、神鋼、KOBELCO |
本社所在地 |
日本 神戸本社〒651-8585 神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4 東京本社〒141-8688 東京都品川区北品川5-9-2 |
本店所在地 |
〒651-8585 神戸市中央区脇浜海岸通2-2-4 |
設立 |
1911年(明治44年)6月28日 (創立1905年(明治38年)9月1日) |
業種 | 鉄鋼 |
法人番号 | 6140001005714 |
事業内容 |
鉄鋼関連事業 溶接関連事業 アルミ・銅関連事業 機械関連事業 エンジニアリング関連事業 電力関連事業 |
代表者 |
代表取締役社長 勝川四志彦 代表取締役副社長執行役員 永良哉 |
資本金 | 2509億3003万3900円 |
売上高 |
連結 2兆5431億420万円 (2024年3月期) |
営業利益 |
連結 1866億2800万円 (2024年3月期 |
経常利益 |
連結 1609億2300万円 (2024年3月期) |
純利益 |
連結 1095億5200万円 (2024年3月期) |
純資産 |
連結 9776億5300万円 (2023年3月期) |
総資産 |
連結 2兆8747億5100万円 (2023年3月期) |
従業員数 |
連結 38,488人、単独 11,368人 (2023年3月31日現在) |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
主要株主 |
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.34% 日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 3.40% 日本製鉄 2.95% 日本生命保険 2.78% 日本カストディ銀行(信託口5) 1.94% (2018年9月30日現在[1]) |
主要子会社 |
神鋼鋼線工業(株) 42.5% (株)神鋼環境ソリューション 59.07% 日本高周波鋼業(株) 51.86% コベルコ建機(株) 100.00% |
関係する人物 |
鈴木岩治郎 田宮嘉右衛門 牧冬彦 亀高素吉 福川伸次 熊本昌弘 水越浩士 犬伏泰夫 村井秀夫 安倍晋三 |
外部リンク |
www |
大手鉄鋼メーカーの中では最も鉄鋼事業の比率が低く、素材部門・機械部門・電力部門を3本柱とする複合経営が特徴。
素材部門では線材や輸送機用アルミ材、機械部門ではスクリュ式非汎用圧縮機などで高いシェア。電力部門も電力卸供給事業としては国内最大規模を誇る。
第一勧銀グループ(現みずほ銀行系)・三和グループ(旧三和銀行・現三菱UFJ銀行系)の一員であり、三水会[4]とその後身社長会である水曜会およびみどり会[5]の会員企業である。また、神戸経済同友会の代表幹事を三井住友銀行(旧神戸銀行)、川崎重工業と持ち回りで、神戸商工会議所の会頭職を川崎重工業と交互に担ってきた。
旧鈴木商店系の大手鉄鋼メーカー。1905年(明治38年)に合名会社鈴木商店が小林清一郎の経営する小林製鋼所を買収し、神戸製鋼所として創業したことに始まる。本来は国家的事業である製鋼業の民間経営は苦難が多かったが、日露戦争後の日本海軍が民間工場育成方針を採る中で、呉海軍工廠を始め、舞鶴、横須賀の各工廠より技術指導を受け、また注文を受けることでその規模を拡大した。日本海軍からの要請で魚雷発射動力用の空気圧縮機と造船用の蒸気機関の開発を手掛けて以降は、機械メーカーとしての道も歩み始める。第一次世界大戦終結後は軍需技術の転換・海外技術の輸入を行なって民生用機械の国産化に注力し、船舶向けディーゼルエンジン、冷凍機、ドリル、電気ショベルなどでは国産第一号の製品を生み出した。
大手鉄鋼メーカーの中では最も鉄鋼事業の比率が低く、素材部門・機械部門・電力部門の3本柱の複合経営が特徴。鉄鋼事業でも他社とは異なり、規模よりも特殊用途の付加価値の高い商材の開発に注力している。特に線材分野では自動車向け弁ばね用線材で世界シェア50%を握り、「線材の神戸」と名高い。薄板分野では高張力鋼板(ハイテン)に強みを持ち、素形材分野では複雑な形状の自動車用部品に使用される鉄粉で国内シェアの50%を占めるほか、海軍時代以来の船舶用の組立型・一体型クランクシャフトでは世界シェアの40%を占めている。また、鉄以外にもアルミ、チタン、銅など複数の金属素材を手掛けており、世界に類を見ない複合素材メーカーである。アルミ分野では、自動車用アルミパネル材や自動車サスペンション用アルミ鍛造部品、鉄道車両用アルミ形材で国内首位。チタン分野では国内初のチタン工業化を成功させたパイオニアであり、航空機エンジンケース部品向けチタンに強みを持つ。銅分野では、自動車端子・コネクタ用銅合金で国内首位。
機械系部門は機械、エンジニアリング、建設機械で構成される。機械では圧縮機や産業機械、真空成膜・表面改質装置、超高圧装置などを手掛ける。圧縮機分野では、非汎用圧縮機においてスクリュ式、ターボ式、レシプロ式の3種類すべてを取り扱う世界唯一のメーカーである。特にスクリュ式非汎用圧縮機では世界シェアの50%を占め、近年は市場拡大が見込まれる大型ターボ圧縮機市場へ参入している。また、産業機械分野ではタイヤ・ゴム混錬機が世界シェア40%、樹脂機械がHDPE向け樹脂混錬機で世界トップシェアを占める。エンジニアリングでは原子力、還元鉄、水処理、廃棄物処理等のプラントの他、新交通システム等の社会インフラも手掛ける。建設機械は子会社のコベルコ建機が生産している。
電力部門は製鉄所での自家発電操業を起源とする電力卸供給事業を展開している。2002年に稼働した神戸発電所1・2号機、2019年10月に稼働した真岡発電所1号機、2020年3月に稼働した同発電所2号機、2022年2月に稼働した神戸発電所3号機に加えて、2023年2月には同発電所4号機が稼働しており、四国電力とほぼ同規模の発電能力を有する。上記発電所のうち、真岡発電所は発電効率の高いガスタービン・コンバインドサイクル発電方式を採用しており、また津波に遭う危険がない内陸部に立地するため、内閣官房と経済産業省による国土やエネルギー基盤の強靭化に資する事例に選定されている。
そのほか、スポーツ事業では、 1928年創部のラグビーチーム・コベルコスティーラーズはトップリーグに参加する国内屈指の強豪チームとして知られている。
1995年1月の阪神大震災では、神戸本社社屋や社宅が倒壊、神戸製鉄所の第三高炉も損壊・緊急停止し、民間企業としては最大の約1000億円の損害を被った。震災後、わずか2か月半で再稼働した第三高炉は「復興のシンボル」となっていたが、競争力強化のため2017年10月に休止されることとなった。近年はアルミや機械、電力など鉄鋼以外の分野への注力が目立ち、「鉄鋼メーカー」を脱し、「鉄鋼も手掛けるメーカー」へのシフトを目指す姿勢が鮮明である。子会社213社。関連会社56社。
※神戸製鉄所は2017年10月31日高炉停止[6]。
加古川製鉄所はグループ唯一の銑鋼一貫製鉄所である。加古川製鉄所は厚板・薄板・線材・棒鋼などの鋼材やチタン製品などを、神戸線条工場は線材・棒鋼を生産している。
高砂製作所は加古川製鉄所、神戸線条工場に次ぐ主要拠点である。鉄鋼事業部門および機械事業部門の製品である鋳造鋼や鍛造鋼、鉄粉などの鉄鋼・チタン加工品や各種機械類を生産している。
この他、藤沢事業所・茨木工場・西条工場・福知山工場の4か所は溶接事業部門、真岡製造所・長府製造所・大安工場の3か所はアルミ・銅事業部門、播磨工場は機械事業部門の生産拠点となっている。
代 | 氏名 | 在任期間 | 在任年月 | 出身校・前歴 |
---|---|---|---|---|
初代 | 黒川勇熊 | 1911年(明治44年)6月 - 1915年(大正4年)7月 | 4年1か月 | 横須賀海軍造船学校 / フランス海軍大学[8]
・元佐世保海軍造船艦長 |
第2代 | 鈴木岩治郎 | 1915年(大正4年)7月 - 1920年(大正9年)12月 | 5年5か月 | |
第3代 | 伊藤乙次郎 | 1920年(大正9年)12月 - 1928年(昭和3年)3月 | 7年3か月 | 海軍大学校・元海軍技術本部長 |
第4代 | 永安晋次郎 | 1928年(昭和3年)3月 - 1934年(昭和9年)8月 | 6年5か月 | 東京帝国大学法科大学[9]・元海軍主計中将 |
第5代 | 田宮嘉右衛門 | 1934年(昭和9年)8月 - 1945年(昭和20年)9月 | 11年1か月 | 高等小学校[10] |
第6代 | 浅田長平 | 1945年(昭和20年)9月 - 1946年(昭和21年)12月 | 1年3か月 | 京都帝国大学理工科大学採鉱冶金科[11] |
第7代 | 町永三郎 | 1946年(昭和21年)12月 - 1952年(昭和27年)11月 | 5年11か月 | 大阪工業大学(現・大阪大学工学部) |
第8代 | 浅田長平 | 1952年(昭和27年)11月 - 1958年(昭和33年)11月 | 6年 | 京都帝国大学理工科大学採鉱冶金科 |
第9代 | 外島健吉 | 1958年(昭和33年)11月 - 1972年(昭和47年)5月 | 13年6か月 | 京都帝国大学工学部 |
第10代 | 井上義海 | 1972年(昭和47年)5月 - 1974年(昭和49年)11月 | 2年6か月 | 東京帝国大学法学部 |
第11代 | 鈴木博章 | 1974年(昭和49年)11月 - 1976年(昭和51年)9月 | 1年10か月 | 京都帝国大学法学部 |
第12代 | 杉澤英男 | 1976年(昭和51年)9月 - 1977年(昭和52年)10月 | 1年1か月 | 京都帝国大学工学部 |
第13代 | 高橋孝吉 | 1977年(昭和52年)10月 - 1983年(昭和58年)6月 | 5年8か月 | 大阪帝国大学理学部 |
第14代 | 牧冬彦 | 1983年(昭和58年)6月 - 1987年(昭和62年)6月 | 4年 | 東京帝国大学法学部政治学科 |
第15代 | 亀高素吉 | 1987年(昭和62年)6月 - 1996年(平成8年)6月 | 9年 | 神戸経済大学(現・神戸大学) |
第16代 | 熊本昌弘 | 1996年(平成8年)6月 - 1999年(平成11年)3月 | 2年10か月 | 東北大学法学部 |
第17代 | 水越浩士 | 1999年(平成11年)4月 - 2004年(平成16年)3月 | 5年 | 東京大学経済学部 |
第18代 | 犬伏泰夫 | 2004年(平成16年)4月 - 2009年(平成21年)3月 | 5年 | 大阪大学経済学部経済学科 |
第19代 | 佐藤廣士 | 2009年(平成21年)4月 - 2013年(平成25年)3月 | 4年 | 九州大学大学院修士課程冶金学専攻 |
第20代 | 川崎博也 | 2013年(平成25年)4月 - 2018年(平成30年)3月 | 5年 | 京都大学大学院工学研究科 |
第21代 | 山口貢 | 2018年(平成30年)4月 - 2024年(令和6年) | 6年 | 北海道大学法学部 |
第22代 | 勝川四志彦 | 2024年(令和6年)4月 - 現職 | 神戸商科大学商経学部 |
USスチール、フェストアルピーネとは自動車用鋼板で、REP、アスコメタルとは特殊鋼関連で技術提携し、日米欧の世界三極で高級鋼材を供給できる体制を整えている。
神戸製鋼グループの社会に対する約束事であり、グループで共有する価値観。
神戸製鋼グループに属する全社員がKOBELCOの3つの約束を果たすための誓い。
優秀な社員を兵庫県尼崎市の産業技術短期大学(1962年一般社団法人日本鉄鋼連盟が設立)に派遣して、人材育成を行っている。具体的には、「製造現場における知識創造と人材の多機能育成政策・綿密な能力開発策のひとつとして、企業内選抜を経て中堅技術者への昇進に結びつく産業技術短期大学への派遣を行う政策の実行」であり、このような人材育成形態(教育訓練形態)を「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング・OFF-JT」という。
グループブランドである「KOBELCO」の由来は、神戸の製鋼所を表す「KOBE STEEL」、会社を表す「LCO」(Limited COmpany) からなる造語である。
1969年10月、東亜相互企業株式会社[注釈 2]から、福島県西郷村小田倉[注釈 3]の、馬場坂と黒森の両地区合わせて82万m²を購入した[注釈 4]。市場地価は坪単価850円から2000円で、この価格で東亜相互企業も買収していたが、神戸製鋼に対する売値は坪あたり12000円という高値であった[注釈 5]。警視庁が恐喝等の疑いで捜査するも、神戸製鋼側は「工業用地として買った」と言い張り、事件は立証されなかった[注釈 6]。神戸製鋼所の本社のある神戸の暴力団は、事件を知り大挙上京した[15]。
加古川・高砂両製鉄所と長府製造所が、加古川・高砂・下関各市の市議会議員計5人(現役社員3人、OB2人。いずれも労働組合が推薦)の後援会に対し、選挙事務所設営費や人件費などの選挙資金を肩代わりしていたことが発覚。政治資金規正法に違反する疑いがある。この事態を受け、当時の同社の水越浩士会長と犬伏泰夫社長が、2009年(平成21年)3月末を以って引責辞任した[17]。
同社のグループ会社である神鋼鋼線ステンレスが、2007年4月から2016年5月にかけ製造したばね用の鋼材のうち、7,400トン中55.6トンについて、強度が日本工業規格を満たさないにもかかわらずJISマーク表示をしていたことが、2016年6月9日に明らかになった[22]。
2017年10月8日、アルミニウム、銅、鉄粉などに関し性能データの改竄や顧客に了解を得ない特採が常態化していたことが発覚した。製品は航空機、自動車、鉄道などで幅広く使用されており、三菱重工業、川崎重工業、IHI、SUBARUなどでデータが改竄された素材を使用した製品が販売されていたことが判明した[23][24]。
影響は海外の取引先にも及び、2017年10月17日の世界鉄鋼協会年次総会でも話題となった。世界鉄鋼協会会長の進藤孝生は「データ改竄が起きた原因や影響の分析が必要だ」とした[25]。
この問題に関し、松井巖弁護士(元福岡高等検察庁検事長)を委員長とする外部調査委員会が設置され、その後社内品質ガバナンス再構築検討委員会や品質問題調査委員会における検討結果と併せて、2018年3月6日に「当社グループにおける不適切行為に関する報告書」と題する最終報告書が発表された[26][27]。要旨は以下の通り。
事実関係
原因分析
再発防止策
おわりに
2018年7月19日、東京地方検察庁特別捜査部は、不正競争防止法違反(虚偽表示)の罪で法人としての神戸製鋼所を起訴した。法人とともに書類送検された工場の担当者4人はいずれも不起訴処分とした[28]。2019年3月13日、立川簡易裁判所は神戸製鋼所に対し罰金1億円を言い渡した[29]。
ほか
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