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人力以外の動力で動く複雑で大規模な装置 ウィキペディアから
機械、器械[1](きかい、フランス語、英語、オランダ語:machine、ドイツ語:Maschine)とは、広義には、ある力が有用な働きをなし、あるいは他のエネルギーの形態に変化する力の伝達を行うような装置の総称(Brockhausによる定義)[2]。
通常の用語では機械(machine)は一般に簡単な構造を有する器具(implements)または道具(tools)とは区別され、2つ以上の抵抗物を組み合わせて互いに相関的運動を行う工作物をいう[2]。日本語で「機械」は主に人力以外の動力で動く複雑で大規模なものを言い、「器械」のほうは、人力で動く単純かつ小規模なものや道具を指すことが多い[1]。
機械は英語のmachineにあたる語で、ギリシヤ語のmakkiné又はmekhané、ラテン語のmachinaを語源とし「手段」を意味するものであった[2]。
Oxford English Dictionary(1933年)では、広義には力を伝達しその作用を変えるために用いられるものをいうとし、狭義には一定の機能を営む数多くの連結した部分品からできた機械的な力を使用するための装置をいうとする[2]。
広義の機械には梃子や車軸のような単純機械とそれらを組み合わせた複合機械がある[2]。この定義では支点に支えられた梃子、使用中のプライヤー、用力点のある滑車なども機械に含まれる[2]。しかし、これらには相関的運動がみられないため通常の意味では機械に含めない[2]。相関的運動がみられないハンマー、鋸、のみ、鉋などの道具も通常の意味の機械には含まれない[2]。
Webster's New International Dictionary(1951年)では、機械学上の広い意味では、歯車、滑車、車軸や心棒、ロープ、鎖やベルト、カム、ばね、密閉した液体等の機械的部分品を多少とも複雑化した結合体であって、ある予想された一定の方式でものを変化させるために設計されたものをいうとする[2]。なお、農業機械学では農業用の機械だけでなく道具や器具などの農具も研究対象にしており各分野の研究対象は機械に限られない場合がある[2]。
機械の定義は時代によって移り変わっており、歴史的には以下のような定義がある[3]。
蒸気機関が開発されるまでの機械についての定義は、現代における建築に関わる記述中によく見られる。
機械とは、重いものを移動するとき、極めて大いなる利益をもたらす、1個の物質的装置
機械とは、重荷の移動に対して優れた本質を持つ一組の木製の装置
蒸気機関が開発されると、建築以外の分野でも機械が多用され、機械を作るための機械である工作機械も作られるようになり機械の定義が拡張された。これが現代における機械の定義の原型とされる。
機械は人工的製作物であり、その助けを借りて運動を起こすことが出来て、時間や労力が節約出来るもの
機械とは、抵抗力を有する物体の組み合わせで、その助けにより一定の運動を生じるように組み合わされたもの
ルーローの説より発展し、現在では機械とは次のような性質をもつ人工の道具を指すことが多くなった。
日本では江戸時代以前はおもにカラクリと呼ばれていた[注 1]。明治時代以降、machineに対応する言葉として機械ということばを作った。
経済学でも様々な経済学者により機械が定義されてきた。
経済学的見地では、人間労働の技術的補助手段で、道具とは異なる自律作業能力をもち、人間の労働を軽減し同時に代替する作用を果たすものをいう[2]。
機械は素朴な織機のように人力で動くものであったり、水車や風車、ウマなどを動力源として動いていた。
水車などに見られるように、動力源の単純な運動を別種の運動に変換する必要性から機械は徐々に複雑なものとなり、歯車やカム、滑車、クランクといった機構が次第に開発されていった。
こうした近代化以前の機械のなかでもっとも精巧なものは時計であり、1736年にはジョン・ハリソンが正確なクロノメーターを完成させるなど、18世紀ごろにはヨーロッパにおいてかなりの精度の時計が生産できるようになっていた。時計産業は多くの部品を必要としたため個人での制作は効率が悪く、必然的に分業により制作する方式を採用していたが、これによって精度の高い部品を正確に組み合わせることのできる高度な技能を持った職人集団が成立し、この技術を他の機械製作にも応用することで蒸気機関や紡績機といった高い精度の必要とされる機械の生産が可能となり、産業革命の技術的基礎となった[4]。また、1690年にドニ・パパンが原始的な蒸気機関を開発し、1712年にはトマス・ニューコメンによって蒸気機関が実用化された[5]。
産業革命はまず、紡織機械の改善からスタートした。
1733年にジョン・ケイが飛び杼を開発したのを皮切りに[6]、1764年にはジェームズ・ハーグリーブスがジェニー紡績機を開発して紡績工程が改善され[7]、1770年にはリチャード・アークライトが水力紡績機を開発することで紡績機械は人力から動力を利用するものへと変化した[8]。
1769年にはジェームズ・ワットが復水器を独立させた新しい蒸気機関を開発し、これによって真に強力な動力源を得た人類は工業化を行うことが可能となった。
1785年にはエドモンド・カートライトが蒸気機関を動力とした力織機を開発した。蒸気機関を交通に応用することも行われ、1804年にはリチャード・トレビシックが蒸気機関車を発明し、1807年にはロバート・フルトンが蒸気船を実用化することで、輸送機械と呼ばれる新たな機械が誕生した。
また、1800年にはヘンリー・モーズリーが実用的なねじ切り旋盤を発明した[9]ことによってボルトとナットの生産が容易になり、機械化の基盤となった。このことから、モーズリーは工作機械の父とも呼ばれる。
19世紀に入るとこうした機械技術の進歩を基盤として工業化が急速に進むようになり、それまで人力によって行われていた工業分野が次々と機械化されていくようになった。
大規模な産業機械が工場に備え付けられるようになり、成立した工場制機械工業は世界の工業化を急速に推し進めることとなった。
19世紀後半にはミシンや洗濯機が発明され各家庭に徐々に普及し、家事労働にも機械が使われるようになっていった。
19世紀の終わりころにはアメリカで発明家トーマス・エジソンによって電力会社が設立され、そこで天才ニコラ・テスラも雇われたことで三相交流や電気モーターの研究・利用が推進されることになった。20世紀初期には電気式の掃除機も発明された。
産業分類(機械器具製造業)では、はん用機械器具、生産用機械器具、業務用機械器具、電気機械器具、情報通信機械器具、輸送用機械器具に分類される(他に電子部品・デバイス・電子回路も機械器具製造業に含む)[10]。
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機械遺産分類では、工作機械、動力・エネルギー機械、交通機械、産業機械、測定器・実験機器、機械構造物、機巧・機械要素、その他の資料に分類される[11]。
メカとは、メカニズムの略語であるが、フィクションの分野(アニメやライトノベル、SF映画など)においては特に「空想的な機械装置」を指す用語になっている。
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