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大長編ドラえもんシリーズ第14作、映画シリーズ第15作 ウィキペディアから
『ドラえもん のび太と夢幻三剣士』(ドラえもん のびたとむげんさんけんし)は藤子・F・不二雄によって執筆され、『月刊コロコロコミック』1993年9月号から1994年3月号に掲載された「大長編ドラえもんシリーズ」の作品。および、この作品を元に1994年3月12日に公開されたドラえもん映画作品。大長編ドラえもんシリーズ第14作。テレビ朝日開局35周年、テレビアニメ15周年記念作品。
ドラえもん のび太と夢幻三剣士 | |
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Doraemon: Nobita's Three Visionary Swordsmen | |
監督 | 芝山努 |
脚本 | 藤子・F・不二雄 |
原作 | 藤子・F・不二雄 |
製作総指揮 | 藤子・F・不二雄 |
出演者 |
レギュラー 大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太 ゲスト 田村錦人 石丸博也 家弓家正 |
音楽 | 菊池俊輔 |
主題歌 | 世界はグー・チョキ・パー/武田鉄矢一座 |
編集 | 岡安肇 |
制作会社 | シンエイ動画 |
製作会社 |
シンエイ動画 テレビ朝日 小学館 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1994年3月12日 |
上映時間 | 98分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 13億5000万円[1] |
前作 | ドラえもん のび太とブリキの迷宮 |
次作 | ドラえもん のび太の創世日記 |
第12回ゴールデングロス賞優秀銀賞受賞作品。同時上映は『ドラミちゃん 青いストローハット』、『ウメ星デンカ 宇宙の果てからパンパロパン!』。
アレクサンドル・デュマ・ペールの小説『三銃士』をモチーフとした、勧善懲悪の冒険物語。夢を見るという形でゲームの中に入る。のび太の夢世界が舞台であり、『映画ドラえもん』オフィシャルサイトでは、主人公であるドラえもん以外の人物がゲスト扱いとなっている。ストーリーはのび太としずかの関係を掘り下げており、劇中二人の仲は急接近し、夢から覚めてもその余韻を残している。また、のび太としずかが戦死してしまう(伏線があり生き返る)という歴代大長編・映画中でも数少ないメインキャラクターの死[2]が描かれている。ジャイアンとスネ夫はフェードアウトしてしまい、そのままドラえもん・のび太・しずかで最終決戦を終えて完結するという異色作でもある。
元の構想では「夢の暴走」を下敷きとして夢見る機がコントロールを失ったため、ユミルメの魔族たちが現実になだれ込み「夢と現実が混ざる恐怖」を描くという『パラレル西遊記』のような話の予定であった。ドラえもんシリーズにおける原則は「どんな歴史を揺るがす大事件であってもなるべく仲間内で解決し、一般社会には影響を残さない」であり、ドラえもん作品のテーマは「日常に混入した非日常ファンタジー」である。しかし今作はこのルールやテーマを逸脱し、作者本来の理念とは異なる結末になったという。
作者の藤子自身は本作を映画ドラえもん原作の漫画としては「一種の失敗作」と語っており、描き進むうちにキャラが自分の意図と関係なく動き始めて話の筋が作者の思惑と関係の無い異なる方向へと展開してしまった「ゴール大ハズレの極端な一例」としている。
この点について藤子は「長編の組み立ては難しい」「始めから終わりまでの構想をキッチリと立てるということができないので長いストーリーを組むのは苦手」とも語っている[3]。前作『ブリキの迷宮』でも、タイトルだけを先に決めて後から着想されるアイデアを集めていくという執筆方法を採用しており、全容はおろか結末も作者にすら分からないままのスタートだったという[4]。
このため漫画版と映画版ではエンディングにおける街の扱いや細部の違いが比較的ハッキリと現れている。
映画版のオープニングムービーではドラえもんが甲冑を纏い、金色の兜をかぶった剣士の姿をしているが、作中ではその姿で登場することはない。映画化15周年記念作品ということで予告編も凝っており、先に嘘の予告編としてのび太が「黄金ハット」となり『超大作 のび太の黄金ハット』とロゴを掲げるが、ドラえもんが「違う!これから始まるの!」と取り上げてしまう。予告編の本編では『ファンタスティックドラベンチャー』と壮大な展開を予測させておきながら、最後はのび太がうっかりくしゃみをして終了する。
この作品から野比家の間取りや外観がリニューアルされ、映画化15周年記念に因むものとなった。
夢の中で良い思いをしたのび太は夢と現実の落差を嘆き、せめて夢の中で良い格好をしたいとドラえもんに懇願する。一度は「もっと現実の世界で頑張らないと駄目だよ!」と怒られるも、結局はカセットを入れることで自分の好きな夢を見られるひみつ道具「気ままに夢見る機」を出してもらう。夢を楽しむのもそこそこに朝を迎えたのび太だが、宿題を忘れていることに気付いて慌てて裏山で取り掛かる。そこに奇妙な老人から「知恵の木の実」を貰ったのび太は宿題を簡単に片付けてしまった。帰り道で再び会った老人に再び知恵の木の実を求めるも、老人は「あなたはもっとすごい力が手に入る。ただし、『夢幻三剣士』の世界でのことだが」と言い残し去っていく。
「夢幻三剣士」とは気ままに夢見る機の夢カセットのことであり、丁度ドラえもんがそのダイレクトメールを受け取っていた。のび太は「夢幻三剣士」の夢で自分はスーパーヒーローになって活躍できると考え、ドラえもんに強請って「夢幻三剣士」のカセットを買ってもらう。この「夢幻三剣士」は強い力を持った夢であり、現実に影響する可能性もあるという。のび太は「現実でも強くなれるかもしれない」と楽観的に考え、意気揚々と眠りに就くものの、そこは都合良く英雄になって良い思いをする世界ではなかった。
「夢幻三剣士」の世界観では、舞台となるユミルメ国は妖霊大帝オドローム率いる妖霊軍団に侵略されており、のび太はユミルメ国を救う伝説の英雄白銀の剣士ノビタニヤンとしての役割を与えられていた。しかし夢の特性上、ノビタニヤンとなっても現実の人格や身体能力がそのままであり、いきなり妖霊軍団の攻撃に巻き込まれて窮地に陥る。案内役の妖精シルクの機転でなんとかその場を脱し、飛ばされた先でスネ夫そっくりに設定された剣士スネミスと出会う。彼が言うにはオドロームを倒した者はユミルメ国の王女と結婚し、国王の地位が約束されると言う。彼もまた、それを夢見て旅をする一人だった。空腹のノビタニヤンは食べ物に釣られてスネミスの家来になってしまい、現実とまるで変わらない惨めさに落胆する。せめてものやる気を出そうとドラえもんに王女をしずかそっくりに設定するように頼むが、その王女シズカリアは顔も知らぬ剣士との結婚をひどく嫌がっていた。翌日、ノビタニアンはスネミスに付き従って「ヨラバタイ樹」という大樹を目指す。その頂上には白銀の剣と兜があり、それを手にした者こそが「白銀の剣士」となれるという。また、竜の谷に住む竜の血を浴びた者は不死身となり、妖霊軍団をも恐れる事はなくなるらしい。しかし旅の途中、罠に掛かっていた小熊を助けたことで、ジャイアンそっくりに設定された剣士ジャイトスに襲われる。スネミスはあっさり降参して家来になり、ノビタニアンの立場は一層惨めになってしまう。やがてヨラバタイ樹に到着し、ジャイトスとスネミスは先を争って登り出すも、ノビタニアンは現実同様に木登りが苦手で早々に脱落する。あまりの惨めさに夢を投げ出しかけたノビタニアンだが、偶然と機転から楽々とヨラバタイ樹の頂上に到達し、白銀の剣と兜を入手する。同時に反発してきたスネミスとジャイトスに力を示して彼らを仲間にし、夢幻三剣士が結成された。
ようやく乗り気になって目が覚めたのび太だが、現実のジャイアンやスネ夫の態度は相変わらずだった。そこで気ままに夢見る機のマイクロアンテナを付けて、しずか、ジャイアン、スネ夫をそれぞれシズカリア、ジャイトス、スネミスを演じさせる事にする。ドラえもんも魔法使いドラモンとして参加し、一行は次の目的地である竜の谷を目指す。しかしドラモンはとりよせバッグでどら焼きを取り寄せたり、タケコプターで飛んだりと世界観を壊す行動を取り、ノビタニアンの怒りを買う。とりよせバッグはノビタニアンに捨てられ、流れ星とドラモンの箒と一緒に飛んでいってしまった。一方、結婚を嫌がったシズカリアは男装して剣士シズカールとなり、城を抜け出したものの馬の暴走でどことも知れぬ場所に放り出されていた。
現実にて、自身の行為を反省したドラえもんは四次元ポケットを置いていく事と、気ままに夢見る機の隠しスイッチを使う事を決意する。それは現実と夢を入れ替えるという危険な機能だった。こうして現実となった「夢幻三剣士」の世界にて、ノビタニアン一行は竜の谷に乗り込む。そこでノビタニアンはドラモンの箒と一緒に飛んできたシズカールを正体も知らないまま仲間に加え、なんとか竜を倒したものの罪のない竜を殺す事を躊躇って剣を納める。その行動に心を打たれた竜は、血の代わりに自身の汗の流れた温泉にノビタニアン達を浸からせ、一度だけ生き返れる力を与える。
ノビタニアン一行は川を下り、アンデル市に到達する。その街は妖霊軍団の攻撃で追い詰められていたが、一行はシズカールが拾っていたとりよせバッグとそこから取り寄せた四次元ポケットによる「魔法」で反撃し、妖霊軍団将軍であるスパイドルとジャンボスを倒す事に成功する。しかし祝杯の最中にオドロームが自ら襲撃し、ノビタニアンは殺されてしまう。竜の汗で蘇生するも窮地に変わり無く、もう駄目だと思った矢先に「夢」と化していた現実にてのび太のママが隠しスイッチを押し、夢は覚めた。
気ままに夢見る機の危険性を思い知ったドラえもんは返品を決め、のび太はジャイアン達のマイクロアンテナを回収する。しかしその夜、気ままに夢見る機からシルクが飛び出してのび太達を激しく責め立てた。夢は終わってなどいなかったのだ。白銀の剣士が姿を消したことで守る者がいなくなったユミルメ国は妖霊軍団によって滅ぼされかけていた。責任を感じたのび太とドラえもんは隠しスイッチを押し、再び夢世界に舞い戻る。しかしドラモンは四次元ポケットが無いことに気付く。アンデル市での戦いで敵に奪われていたのだ。今度死んだら生き返れず、ひみつ道具も使えない絶望的な状況の中、ノビタニアンとドラモンは妖霊軍団の本拠地幽冥宮へと乗り込む。
一方、連絡の行き違いでマイクロアンテナを外していなかったしずかもシズカールとして幽冥宮に来てしまっていた。オドロームに見つかって殺されるも、竜の汗により蘇生。そこで保管されていた四次元ポケットを発見する。やがてノビタニアンとオドロームの最後の対決が始まり、その強大な魔力の前にノビタニアンは追い詰められる。とどめを刺されそうになった瞬間、シズカールが放ったビッグライトによって白銀の剣が巨大化し、オドロームを貫いた。オドロームの死と共に幽冥宮も崩れ去っていく。こうしてユミルメ国は救われたのだ。人々がノビタニアンに喝采を送る中、王女として城に戻ったシズカリアは「あの方となら…」とノビタニアンとの結婚を了承。とうとう結婚式の時が来たのだが、折悪くそこで未来デパートのロボットが現れて気ままに夢見る機を回収し、今度こそ夢は終わってしまった。
のび太が夢の結末を惜しみながら登校していると、しずかが駆け寄ってくる。二人はゆうべの夢について語り合い、学校に向けて駆け出した。その学校は何故か山の上に聳え立っていたのだ。まるで、あのユミルメ国の王城のように。
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