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漫画『ドラえもん』の長編作品 ウィキペディアから
『大長編ドラえもん』(だいちょうへんドラえもん)は、藤子・F・不二雄[注 1](藤本弘)による日本の児童・SF漫画『ドラえもん』の長編作品。1979年(昭和54年)から1997年(平成9年)まで、1年を除き毎年1作が執筆された。
大長編ドラえもん | |||
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ジャンル | 児童漫画、SF漫画 | ||
漫画 | |||
作者 | 藤子・F・不二雄[注 1] 藤子・F・不二雄プロ(第18作以降) | ||
出版社 | 小学館 | ||
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掲載誌 | 月刊コロコロコミック | ||
レーベル | てんとう虫コミックス (TC) 藤子不二雄ランド (FF) 藤子・F・不二雄大全集(F全) てんとう虫コミックススペシャル (TCS) 他(詳細は#単行本を参照) | ||
発表期間 | 1980年1月号 - 2020年3月号 | ||
巻数 | 【1〜24作】TC:全24巻 【1〜17作】F全:全6巻 他 【25作〜】TCS:既刊8巻 | ||
テンプレート - ノート |
藤本の手による作品は全17作。タイトルは必ず「のび太の」もしくは「のび太と」から始まる。すべて同名の長編アニメ映画となって、連載開始の翌年に公開された。
通常の『ドラえもん』が掲載1回毎の完結を基本としているのに対し、『大長編』は映画1作の分量となる1つの長編が数回に分けて連載され、多くの作品でドラえもん、野比のび太、源静香、剛田武(ジャイアン)、骨川スネ夫の5人が作品ごとに異なる様々な冒険に立ち向かう様が描かれている。
1996年(平成8年)の藤本の死去後も新作(またはリメイク作)の大長編漫画が連載され、藤子・F・不二雄プロの著者名で単行本化されている。単行本は、短編の『ドラえもん』から独立した『大長編ドラえもん』として発行されている(2006年以降の作品は「映画ストーリー」シリーズなどの名称で発行)。
同様に歴史冒険やSF的な要素が強い『T・Pぼん』が「大長編ドラえもん」に影響を強く与えた可能性も指摘されている[1]。
以下では『大長編ドラえもん』の名称で単行本が出版されているシリーズに加え、2006年以降に同様に『月刊コロコロコミック』に連載された長編漫画(2作を除き「映画ストーリー」のシリーズ名で単行本化)や、長編映画ドラえもんを元にしたその他の長編漫画作品についても述べる。
『ドラえもん』の大長編作品は、下記の3期に区分できる。
VOL | タイトル | 初出年 | 開始 月号 | 完結 月号 | 連載 回数 | 初出名義 | F全 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | のび太の恐竜 | 1979 | 1980年 1 | 3 | 3 | 藤子不二雄 | 1 | 1979年12月15日発売の1980年1月号から連載開始。短編版の初出は1975年。 |
2 | のび太の宇宙開拓史 | 1980 | 9 | 2 | 6 | 藤子不二雄 | 1 | |
3 | のび太の大魔境 | 1981 | 9 | 2 | 6 | 藤子不二雄 | 1 | |
4 | のび太の海底鬼岩城 | 1982 | 8 | 2 | 7 | 藤子不二雄 | 2 | 連載第4回までのタイトルは「のび太の海底城」。 |
5 | のび太の魔界大冒険 | 1983 | 9 | 2 | 6 | 藤子不二雄 | 2 | |
6 | のび太の | 1984 | 8 | 1 | 6 | 藤子不二雄 | 2 | |
7 | のび太と鉄人兵団 | 1985 | 8 | 1 | 6 | 藤子不二雄 | 3 | |
8 | のび太と竜の騎士 | 1986 | 11 | 3 | 5 | 藤子不二雄 | 3 | |
9 | のび太の日本誕生 | 1988 | 10 | 3 | 6 | 藤子不二雄Ⓕ | 4 | 2月号まで藤子不二雄Ⓕ名義。3月号のみ藤子・F・不二雄名義。 |
10 | のび太とアニマル | 1989 | 10 | 3 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 4 | |
11 | のび太のドラビアンナイト | 1990 | 9 | 2 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 4 | |
12 | のび太と雲の王国 | 1991 | 10 | 3 | 4+2 | 藤子・F・不二雄 | 5 | 藤本の体調不良により1月号で中断。2,3月号は絵物語形式(藤子プロ作画)。 後に『ドラえもんクラブ』2号(1994年5月1日)に完結編漫画を描き下し。 |
13 | のび太とブリキの | 1992 | 9 | 3 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 5 | 1月号休載。 |
14 | のび太と夢幻三剣士 | 1993 | 9 | 3 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 5 | 1月号休載。 |
15 | のび太の創世日記 | 1994 | 9 | 3 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 6 | 12月号休載。 |
16 | のび太と銀河 | 1995 | 9 | 2 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 6 | |
17 | のび太のねじ巻き | 1996 | 9 | 3 | 6 | 藤子・F・不二雄 | 6 | 絶筆。連載第3回の執筆中に藤本が死去。藤本によるペン入れは連載第1回の扉と4色ページのみ。連載第3回までは藤本の下描きを藤子プロの作画スタッフ(萩原伸一ら)が仕上げた。死去後は遺された藤本のネーム、原案等に基づき藤子プロが制作。11月号休載。 |
1982年の大長編連載前の『月刊コロコロコミック』7月号にて、「読者のみなさんが考えた長編ドラえもんのストーリーと、藤子先生が描いたストーリーをくらべる」という企画趣旨で物語の案が募集された(400字詰原稿用紙5枚以内。『のび太の海底城』のタイトルのみ予告に掲載済み)。下記の2作が優秀作に選ばれ、10月号にあらすじが掲載された。その際に、藤本がそれぞれ1コマずつ挿絵を描き下ろした(藤子・F・不二雄大全集『大長編ドラえもん』第2巻に収録)。
VOL | No | タイトル | 初出年 | 開始 月号 | 完結 月号 | 連載 回数 | 作画 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
18 | 1 | のび太の南海大冒険 | 1997 | 10 | 3 | 6 | 萩原伸一(藤子プロ) | 映画でのクレジットは「原作作画:萩原伸一(藤子プロ)」。序盤で使用されている短編漫画「南海の大冒険」を藤本が描いたのは1980年。 |
19 | 2 | のび太の宇宙漂流記 | 1998 | 10 | 3 | 6 | 萩原伸一(藤子プロ)[注 2] | 映画でのクレジットは「原作作画:萩原伸一(藤子プロ)」。序盤で使用されている短編漫画「宇宙探検すごろく」を藤本が描いたのは1979年。 |
20 | 3 | のび太の太陽王伝説 | 1999 | 10 | 3 | 6 | 藤子プロ[注 3] | 映画でのクレジットは「原作作画:藤子プロ」。本作の舞台のモチーフとなっているマヤ文明を扱った漫画『T・Pぼん』「チャク・モールのいけにえ」を藤本が描いたのは1980年。 |
VOL | No | タイトル | 初出年 | 開始 月号 | 完結 月号 | 連載 回数 | まんが | 映画シナリオ | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
21 | 4 | のび太と翼の勇者たち | 2001 | 2 | 3 | 2 | 岡田康則(藤子プロ)[注 4] | 岸間信明 | 映画でのクレジットは「原作作画:藤子プロ」。本作に登場するひみつ道具「バードキャップ」がはじめて登場する短編漫画「バードキャップ」を藤本が描いたのは1984年。 |
22 | 5 | のび太とロボット | 2002 | 2 | 3 | 2 | 岡田康則(藤子プロ)[注 4] | 岸間信明 | 映画でのクレジットは「原作作画:藤子プロ」。 |
23 | 6 | のび太とふしぎ風使い | 2003 | 2 | 3 | 2 | 岡田康則(藤子プロ)[注 4] | 岸間信明 | 映画でのクレジットは「原作作画:藤子プロ」。本作の主要キャラクター「フー子」が登場する短編漫画「台風のフー子」を藤本が描いたのは1974年。 |
24 | 7 | のび太のワンニャン時空伝 | 2004 | 2 | 3 | 2 | 岡田康則 | 岸間信明 | 岡田は「まんが作画」で映画にもクレジット。序盤で使用されている短編漫画「のら犬「イチ」の国」を藤本が描いたのは1980年。 |
2006年以降の作品の多くは「映画ストーリー」のシリーズ名で単行本化されているが、一部の作品は「大長編ドラえもん」のタイトルで連載された。
# | 大# | タイトル | 単行本 | 初出年 | 開始 月号 | 終了 月号 | 連載 回数 | 著者 | 原作 | まんが | シナリオ[注 6] | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
25 | - | のび太の恐竜2006 DS[注 7] | OC | 2006 | 2 | 3 | 2 | - | F | 岡田康則 | セガ | 著者表示なし。第1作のリメイク映画『のび太の恐竜2006』の公開時に発売されたゲームのストーリーをモチーフにした漫画[注 8]。 |
26 | - | のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜 |
ES | 2006 | 2007年 1 | 3 | 3 | FP | F | 岡田康則 | 真保裕一 | 第5作(初出は1983年)のリメイク。2006年12月15日発売の2007年1月号に連載第1回が掲載。2007年3月発売の単行本で完結編を描き下ろし。岡田は「まんが作画」で映画にもクレジット。 |
27 | 25 | のび太と緑の巨人伝 | ES | 2008 | 2 | 3 | 2 | FP | F | 岡田康則 | 大野木寛 | 2008年3月発売の単行本で完結編を描き下ろし。岡田は「まんが作画」で映画にもクレジット。序盤で使用されている短編漫画「さらばキー坊」を藤本が描いたのは1984年。 |
28 | - | 新・のび太の宇宙開拓史 超まんが外伝 |
- | 2009 | 3 | 4 | 2 | - | F | 岡田康則 | 単行本未発売。著者表示なし。第2作『宇宙開拓史』(初出は1980年)を再構成した状況説明後に、新キャラクター「モリーナ」「ホシナガスクジラ」らが登場する外伝ストーリーを展開。岡田は「まんが作画」で映画にもクレジット。 | |
29 | 26 | のび太の人魚大海戦 | ES | 2010 | 2 | 3 | 2 | FP | F | 岡田康則 | 真保裕一 | 2010年3月発売の単行本で完結編を描き下ろし。岡田は「ストーリー協力・まんが作画」で映画にもクレジット。序盤で使用されている短編漫画「深夜の町は海の底」を藤本が描いたのは1990年。 |
30 | 27 | のび太と奇跡の島 | ES | 2011 | 11 | 4 | 6 | FP | F | むぎわら | むぎわらは「企画・原案協力 / まんが」で映画にもクレジット。序盤で使用されている短編漫画「モアよドードーよ、永遠に」を藤本が描いたのは1978年。 | |
31 | 28 | のび太のひみつ道具 |
ES | 2013 | 2 | 4 | 3 | FP | F | むぎわら | 2013年4月発売の単行本で完結編を描き下ろし。むぎわらは「企画・原案協力 / まんが」で映画にもクレジット。 | |
32 | 29 | のび太の |
ES | 2014 | 12 | 5 | 6 | FP | F | むぎわら | むぎわらは「企画・原案協力 / まんが」で映画にもクレジット。ヒーローのモチーフとなっている漫画『ミラ・クル・1』を藤本が描いたのは1979年。 | |
33 | 30 | のび太の新恐竜 | ES | 2019 | 10 | 3 | 6 | FP | F | むぎわら | [脚本] 川村元気 | 第1作(初出は1979年)のオマージュを盛り込んだオリジナル作品。2020年3月発売の単行本で完結編を描き下ろし。むぎわらと作品名が「まんが」で映画にもクレジット(ときわ藍の漫画も併記)。 |
タイトル | 単行本 | 初出年 | 開始 月号 | 終了 月号 | 連載 回数 | 著者 | 原作 | まんが | 脚本 | 備考 |
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のび太の新恐竜 〜ふたごのキューとミュー〜 |
ちゃおコミックススペシャル | 2019 | 2020年 1 | 4 | 4 | FP | F | ときわ藍 | 川村元気 | 少女漫画の画風で映画をコミカライズ。2019年12月1日発売の2020年1月号から連載開始。 |
『コロコロコミック』に掲載された長編映画ドラえもん関連漫画作品のうち、長編以外のもの。いずれも単行本未収録。併映作品の漫画は「Template:ドラえもん映画作品」の「漫」欄と、各作品の個別ページを参照。
第1作となる『のび太の恐竜』の連載は、1979年(昭和54年)12月15日に発売された『月刊コロコロコミック』1980年(昭和55年)1月号より『映画ドラえもん』のタイトルで開始された(藤子不二雄の藤本弘による執筆作品)。1979年に『ドラえもん』の映画製作が決定したため、1975年(昭和50年)に発表した短編『のび太の恐竜』に大幅に加筆し、映画製作用の長編にした。
第2作『のび太の宇宙開拓史』は1980年9月号から、映画化を前提としない連載漫画として開始され、連載途中で映画化が発表された。この第2作以降は全て描き下ろしとなる。概ね毎年8月号〜10月号に連載を開始し、映画上映日が近い1月号〜3月号に完結。大長編1作につき6回程度の連載というスケジュールが恒例となった
第3作から第5作も連載途中で映画化が発表されたが、第6作の『のび太の宇宙小戦争』以降から、連載第1回目から「映画化決定」と記載されるようになった。
『大長編ドラえもん』という表記が扉に初めて記載されたのは、第4作の連載第2回目である。
「大長編ドラえもん」は「映画の原作漫画」と呼ばれることもあるが、映画はあくまでも未完結の漫画作品を元に作られている場合が多い。漫画の連載は映画制作よりもわずかに先行して開始されるが、連載と重なったスケジュールで映画が作られ、映画の制作が漫画連載を追い抜く速度で進行するためである。
藤本は、存命中のほぼすべての映画ドラえもん長編作品で「藤子不二雄」または「藤子・F・不二雄」の名前で「原作・脚本」として映画にクレジットされているが、実際にはほとんどの作品で「文字原稿として完成した脚本」は作成されず、藤本が連載する『大長編ドラえもん』の漫画を脚本として映画監督が絵コンテを描くことで映画の制作が進められた。漫画連載の5、6回目は映画公開間近の時期に雑誌に掲載されるため、作品終盤の内容は藤本によるシノプシス(あらすじ)や資料を元に絵コンテが描かれた(『夢幻三剣士』公開後の芝山努監督のインタビューより[3])。この状況には芝山ですら「いつも最後の方に来て、やっと佳境に入って展開やテンポが早くなる。原作が月刊連載・全5回だとしたら、4回目までが映画の前半で、残り1回が後半」と苦言を呈し、芝山はせめてもの抵抗として映画化する際には前半を省略しつつ後半の展開を膨らませて、美術設定を時間を割いてまで新しく書き上げ、シチュエーションを変更したりした[4]。
また、『夢幻三剣士』の場合は8月の初めに、藤本が執筆した連載漫画第1回の完成原稿を見ながら、プロデューサー、監督、作画監督、美術監督、藤本で打ち合わせを行い、9月の初めに美術設定、キャラクター設定等が決定されたという[5]。
それでも尚、物語がラストシーンまで固まっていない状態で制作現場が動いていたため、映画の舞台の世界観の設定が固まっていない状態でアニメーター達が背景原図を起こしていた[6]。
連載漫画の後半に出てくる舞台の景観や、メカ等は、藤本が個人でデザインしたものもあれば、アニメ映画の専門スタッフがデザインしたものが漫画に取り入れられる場合もあった。例えば、『のび太の恐竜』の場合は映画制作が1979年内から開始されていたため、黒い男、ドルマンスタインらのキャラクターデザイン、タイムマリン等のメカデザインはアニメスタッフによるもので、同一のデザインが漫画にも取り入れられた[7]。
さらに、漫画の単行本は映画の公開後に発売されたが、その際には藤本が内容を修正することが常で、多数のページが加筆される場合も多かった。そのため、単行本だけを読んで「原作漫画のここが映画ではカットされている」等の指摘を行っても、的はずれとなってしまう場合がある。
「大長編ドラえもん」の多くの作品には「連載漫画版」「映画版」「単行本漫画版」の3種類の内容があることを理解しておく必要がある(作品によってはさらに多くの種類がある)。
1988年(昭和63年)公開となった『のび太のパラレル西遊記』のみ、藤本の体調不良のために漫画が執筆されていない。このため、映画では第10作となる『のび太の日本誕生』は『大長編ドラえもん』では第9作となり、以降の作品では映画と漫画の通算数に1つのずれが生じている。
また、1991年(平成3年)から1992年(平成4年)にかけて連載されたVOL.12『のび太と雲の王国』は藤本の肝臓癌のために最終2話が連載当時には執筆されず、『コロコロ』には藤子・F・不二雄プロによる「完全ビジュアル版イラストストーリー」(イラストと文章)が掲載された。連載同年の単行本発行もされずにいたが、1994年(平成6年)に完結編が『ドラえもんクラブ』に掲載され、同年に単行本も発行された。このため、例年通りに発行されたVOL.13『のび太とブリキの迷宮』よりも遅い単行本化となっている。「完全ビジュアル版イラストストーリー」は映画と漫画のどちらの物語展開とも異なる内容だが、単行本や関連書籍には未収録となっている。
1996年(平成8年)、VOL.17『のび太のねじ巻き都市冒険記』の執筆中に藤本が意識を失い、その後肝不全により死去。同作が遺作となった。自身でペン入れまで行ったのは最初のカラー3ページのみで、連載3回目までは藤本の下描きを元に藤子プロが制作(連載2回目までは藤本自身が仕上がりを確認)、連載4〜6回は藤本が遺したネーム・原案を元に藤子プロが制作した。この『のび太のねじ巻き都市冒険記』までが藤本(藤子・F・不二雄)の作品とされている。
詳細はドラえもん映画作品#年表も参照。
『大長編ドラえもん』が描かれた時期の藤本作品の作画は、下記のような分業が基本となっていた(例外あり。藤本が人物の全身をペン入れすることもあれば、はじめて出てくる背景等を描くこともあった)[8]。
『のび太のねじ巻き
なお、萩原は一般のアシスタントとして『日本誕生』から作画に参加している[10]。
また、『大長編ドラえもん』において人物の体のペン入れを担当していたのは萩原だけではない。『大長編ドラえもん』が執筆された年代の、藤本のチーフアシスタントは下表の通り[11]。
第1作から第19作までの作画への関与の一覧は下記の通り[15]。
VOL | タイトル | 初出年 | コマ割り、 下描き など | 顔の ペン入れ など | 体の ペン入れ など |
背景、 仕上げ など | |
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1 | のび太の恐竜の#1の途中までの短編流用分[16] | 1975 | F | F | 方 | ||
1 | のび太の恐竜の上記より後 | 1979 | F | F | 田 | た | い |
2 | のび太の宇宙開拓史 #1–#4 | 1980 | F | F | 田 | た | い |
2 | のび太の宇宙開拓史 #5–#6 | 1980 | F | F | た | い | |
3 | のび太の大魔境 | 1981 | F | F | た | い | 西 |
4 | のび太の海底鬼岩城 | 1982 | F | F | た | い | 西 |
5 | のび太の魔界大冒険 | 1983 | F | F | た | い | 西 |
6 | のび太の | 1984 | F | F | た | い | 西 |
7 | のび太と鉄人兵団 | 1985 | F | F | た | い | 西 |
8 | のび太と竜の騎士 #1 | 1986 | F | F | た | い | 西 |
8 | のび太と竜の騎士 #2–#5 | 1986 | F | F | い | 西 | |
9 | のび太の日本誕生 | 1988 | F | F | 西 | 萩 | |
10 | のび太とアニマル | 1989 | F | F | 西 | 萩 | |
11 | のび太のドラビアンナイト | 1990 | F | F | 西 | 萩 | |
12 | のび太と雲の王国 | 1991 | F | F | 西 | 萩 | |
13 | のび太とブリキの | 1992 | F | F | 西 | 萩 | |
14 | のび太と夢幻三剣士 | 1993 | F | F | 西 | 萩 | |
15 | のび太の創世日記 | 1994 | F | F | 萩 | ||
16 | のび太と銀河 | 1995 | F | F | 萩 | ||
17 | のび太のねじ巻き | 1996 | F | F | 萩 | ||
17 | のび太のねじ巻き都市冒険記 #1の続き–#3 | 1996 | F | 萩 | 萩 | ||
17 | のび太のねじ巻き都市冒険記 #4–#6 | 1996 | 萩 | 萩 | 萩 | ||
18 | のび太の南海大冒険 | 1997 | 萩 | 萩 | 萩 | ||
19 | のび太の宇宙漂流記 | 1998 | 萩 | 萩 | 萩 | 岡 |
原作者である藤本(藤子・F・不二雄)の死後も毎年3月の新作映画公開は続けられた。これに伴い、漫画も藤子・F・不二雄プロによって生前と同様に映画公開に先行する形で『月刊コロコロコミック』に発表が続けられ、単行本も『大長編ドラえもん』の続巻として発行された。ただし、藤子プロ名義の単行本には「まんが版▷映画シリーズ」というシリーズ名が追加され、藤本が執筆したものとは区別されている[注 10]。
この形での連載・単行本化は、『のび太のワンニャン時空伝』が最後となった。全24巻。
そして、映画第25作目でアニメ映画第1期[注 11]最後の映画となった『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』が2004年(平成16年)3月に公開された。
声優を交替して『ドラえもん のび太の恐竜2006』(2006年公開)から始まった第2期[注 12]映画の漫画版は、後の『のび太と奇跡の島』以降の一部の作品は『月刊コロコロコミック』での連載を「大長編ドラえもん」として扱っているが、多くの作品の単行本は「映画ストーリー」シリーズとして発行されている。
『大長編ドラえもん まんが版▷映画シリーズ』では単行本表紙に記載される著者は藤子・F・不二雄プロのみであったが、「映画ストーリー」シリーズでは「岡田康則 [原作]藤子・F・不二雄」のように、漫画執筆者の名前も記載されるようになった。
『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』以降、映画が過去作のリメイク作品の場合は『月刊コロコロコミック』にて本編のアナザーストーリーが掲載されたが、いずれも単行本化はされていない。
『大長編ドラえもん』は映画化を前提に描かれており、1話完結が原則となる短編に比べて物語の規模が大きいのが特徴。短編では「日常の中の非日常」を軸として狭い町内を舞台に数人の登場人物だけで物語が進むことが多いが、このシリーズでは地球上の未知の領域や、他の惑星、過去の世界といった非日常の世界が舞台に据えられており、その世界の住人や強力な敵などさまざまな人物が登場する。
このシリーズでは主要メンバーがドラえもん、のび太、しずか、ジャイアン、スネ夫の5人に固定されており、その作品のゲストキャラとの協力で危機を解決することが多い。
主人公であるドラえもんについては、のび太などの活躍によって出番がやや喰われ気味であるが、頭脳でリーダーシップをとる指揮官としてのポジションは確保している[17]。それだけでなく、作品によっては主人公に相応しい活躍をしたり、終盤で重要な役割を担うこともある[18]。また、どの作品においてもドラえもんのひみつ道具が切り札となっている。ただし、ひみつ道具の一部あるいは全部が一時的に使用不可能になる展開の作品もある[19]。
のび太については、短編と比べて大長編では勇敢になり、大活躍することが多い[注 13]。ただし、非日常的な冒険世界に突入する前の冒頭の日常パートは短編通りのダメ人間であることが多い。また、非日常世界に入った後もドジな点は強調されることが多く、移動のとき1人だけ置いてけぼりになったり、タケコプターのバッテリーが切れるときは何故かいつも彼が一番先という描写がよく見られる。
しずかについては、短編以上に穏和な少女として描かれており、敵に対し、平和的解決を図ろうとする場面が多い(『のび太と鉄人兵団』『のび太と竜の騎士』『のび太と雲の王国』など)[注 14]。また、短編以上にのび太に気があるような描写が目立っており、後の作品ほど顕著になる(『のび太と鉄人兵団』『のび太のドラビアンナイト』『のび太と夢幻三剣士』など)。
ジャイアンについては、短編でのいじめっ子という描写は少なくなり「頼れるいいやつ」としての表現が顕著になる。ただし、非日常的な冒険世界に突入する前の冒頭の日常パートは短編通りのわがままで乱暴で理不尽な性格であることが多い[20]。
スネ夫については、短編での陰険な性格は鳴りを潜める傾向があるが、すぐに弱気を吐露したり「ママー!」と泣き出したりするなど弱虫としての描写が多く見られ[21]、スネ夫がトラブルメーカーとして扱われる作品もある[22]。一方で、持ち前の蘊蓄や観察力、技術力を発揮し、参謀・技師・一行の知恵袋といった「頭脳派キャラ」として活躍する作品も多い[23]。非日常的な冒険世界に突入する前の日常パートでの描写はほぼ短編通りである。
またジャイアンとスネ夫は、お人好しな他の3人との対比で、敵か味方か分からない勢力への疑念や警戒感を持つよう他のメンバーに促したり[24]、負傷した敵の救助に反対したり[25]、身勝手な行動を取って危機に陥る描写も見られる[26]。
主要メンバー5人以外の短編登場人物が問題解決に介入することはほとんどない。
例外はドラミとタイムパトロールであり、『のび太の魔界大冒険』(映画のみの作品では『のび太のパラレル西遊記』も)ではドラミが、『のび太の恐竜』『のび太の日本誕生』『のび太の南海大冒険』ではタイムパトロールが問題解決に大きな役割を果たしている。また『のび太と雲の王国』ではキー坊やドンジャラ村のホイなど短編に登場したキャラクターが登場し、ドラえもんやのび太に力を貸した。
野比のび助(パパ)や野比玉子(ママ)ら主要メンバーの親たちは、大長編にもよく登場するものの、登場は日常パートに限られ、冒険に参加することはない。
しかし冒険の起点がのび太の部屋であることが多いため、ママが意識せず間接的に冒険に影響を及ぼすことがある。部屋に入ってきて「また勉強もしないで」と言って重要な道具を捨てたり、いじったりすることや、お説教と外出禁止処分でのび太の足止めをするのがその典型である。
そうした行動がのび太たちにとって妨害・障害・危険になることもあれば(『竜の騎士』『ドラビアンナイト』『宇宙漂流記』など)、そのおかげで助かる場合もある(『夢幻三剣士』など)。またママがどこでもドアのダイヤルを適当にいじったせいで結果的にドラえもんたちが天上人が地上文明を洗い流そうとしていることを知ることができたこともあった(『雲の王国』)。
基本的に主要メンバーの親たちがのび太たちの冒険に気付くことはない。 ただ、『のび太の宇宙小戦争』ではピリカ星のパピを匿った時は、のび太の両親も受け入れて一緒に食事を取っており、異星人の存在を認知している[注 15]。
また、遺作となった『のび太のねじ巻き都市冒険記』では、のび太たちが過去に「危険な大冒険」をしていたことに気付いており、母親達が揃って、のび太たちがまたそのようなことに身を投じていないか様子を見に来る描写がある。この他『のび太の海底鬼岩城』では、のび太はドラえもん達と一緒に海底探検に行く際、ママには「海水浴に行く」とごまかしていたが、ママはテレビで海底火山の噴火のニュースを聞き、のび太たちが噴火に巻き込まれるのではないかと危惧した場面がある。藤子プロの作品では『のび太と奇跡の島』で、特殊な形でのび太のパパが冒険に参加するが、彼はその後に冒険の記憶を失っている[注 16]。
のび太の両親が冒険の起点になることもあり、『のび太の大魔境』では最序盤、のび太がたまたま拾ってきたペコ(クンタック王子)が、ママが無くした財布を見つけた大手柄によりママの許しを得てペットとして認められ、一時期野比家の家族になったことで冒険が始まっている。『のび太とブリキの迷宮』ではパパがブリキンホテルの予約を取ったことで冒険が始まっている。ただし、どちらもその後冒険するのは主要メンバー5人だけであり、のび太の両親は冒頭以外登場しない。
学校のキャラクターでは出木杉英才と先生が複数の大長編に登場しているが、彼らの登場も日常パートに限られ、冒険に参加することはなく、冒険に気付くこともない。
ただ、『のび太の創世日記』では、異世界の日記は夏休みの自由研究として書かれた物なので、先生への提出を前提としていることになる[注 17]。
その他の短編キャラクターでは神成さんが『のび太の大魔境』『のび太と竜の騎士』[注 18]に登場し、空き地に置きっぱなしにされたドラえもんの道具に怒って破壊し、結果的に妨害する役割を果たしている。
スネ夫のいとこスネ吉は直接は登場していないが『鉄人兵団』ではスネ夫のラジコンロボットのミクロス、『宇宙小戦争』ではスネ夫のプラモジオラマの製作者として言及がある。
ジャイ子は大長編に登場したことはない。
主要メンバー以外は冒険に参加しないという事情のため、人間関係も短編とはやや異なる。例えば、短編ではジャイアンやスネ夫がのび太をバカにしたり仲間はずれにした(ここまでは大長編でも導入によく使われる)仕返しに、ドラえもんやのび太はジャイアンとスネ夫を仲間はずれにして、しずかや他の町の同級生たちと道具で遊ぶことがある。しかし、大長編ではジャイアンとスネ夫を締め出そうとしても見つかって失敗することが多く、結局は仲間になる。逆に、短編なら不特定多数の町の子供を誘うような場合でも、大長編では「いつもの5人」以外の町の子供は仲間に入れようとせず、興味を持たれると嘘をついてまでして追い返している描写も存在する(『のび太の日本誕生』、『のび太と雲の王国』)。『のび太とアニマル惑星』『のび太と翼の勇者たち』では、漫画にはあった出木杉の登場シーンがまるまるカットされたこともある。
大長編で描かれる物語はその作品のみで完結しており、その大長編用に登場した世界やキャラクターが他の大長編や短編に登場することはない。ただし、短編「いつでもどこでもスケッチセット」では『のび太の日本誕生』での一シーンが道具によって描かれた絵として登場するなど繋がりが描写されることや、ペットの話になった際に、犬や猫だけでなく恐竜が加えられるなど内容に過去の大長編の内容やその後の時系列を示唆するものが紛れている。
また大長編の作品中では、基本的に主要メンバー5人以外の地球人類(現代の地球の地上で生活するヒト)は、ストーリーの本筋に関与せず、冒険の内容を知ることもない[注 19]。
そのため5人が問題解決しなかったら、地球人類が滅亡の危機に晒されていたような場合でも、地球人類から感謝されたり英雄視されたりすることはなく、5人の生活に変化は生じず、むしろ5人が非日常の事件を解決して短編のような日常生活に戻ることが大長編のエンディングとなることが多い。それによって短編や他の大長編に影響を与えないような物語構造になっている。
大長編で頻繁に登場するひみつ道具は、移動手段として、どこでもドア、タケコプター、タイムマシン、通りぬけフープなど。武器として、空気砲、ショックガン、ひらりマント、スモールライトなど。意志疎通手段としてほんやくコンニャク、桃太郎印のきびだんごなどである。
大長編でのみ使用される新しい道具も少なくない。逆に、あまりにも便利過ぎて簡単に問題が解決してしまう道具[注 20]や、強力過ぎて簡単に敵を全滅させられるような道具[注 21]は登場しない傾向が強い。
本節では『大長編ドラえもん』(第1作〜第24作)の各単行本及び『大長編』をまとめて収録した単行本に類する雑誌増刊の概説を記載する。各単行本の書誌情報については#書誌情報を参照。
いずれも通常の『ドラえもん』とは独立した『大長編ドラえもん』の単行本として発行。原則として1つの長編毎に1冊としてまとめられているが、『大長編ドラえもん大全集』と〈藤子・F・不二雄大全集〉の2つは例外的に1冊に複数の長編を収録している。
連載時の各回ごとの扉絵はカットされ、区切りの無い一つの長いエピソードとして収録されている(ただし、第21作からはいくつかの章に区切られて収録されることもある)。同時に様々な加筆修正も行われている。
1983年(昭和58年)に〈てんとう虫コミックス〉で初単行本化されるまでは、『コロコロ』増刊の〈カラーコミックス〉として1作を1冊にまとめたものが毎年発行された。〈てんとう虫コミックス〉で最初に単行本化されたのは同年に連載が終了したVOL.4『のび太の海底鬼岩城』。以降の作品は原則として連載終了の同年に単行本が発行されている。
以下特記のない限り、書名は『大長編ドラえもん』。中央公論社の〈中公コミックス 藤子不二雄ランド〉を除き、発行は全て小学館。
特記のない限り、著者は藤子・F・不二雄。中央公論社の〈中公コミックス 藤子不二雄ランド〉を除き、発行は全て小学館。
#作品一覧の参考とした。
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