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2023年の日本のアニメーション映画 ウィキペディアから
『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(えいがドラえもん のびたとそらのユートピア)は、2023年3月3日に公開の日本のSFアニメーション映画。藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』を原作とした、「映画ドラえもん」シリーズ通算第42作目(アニメ第2作2期シリーズ第17作目)[1]。
キャッチコピーは「冒険は、空へ。」、「僕らの「らしさ」が世界を救う。」。
ある日、のび太は学校で出木杉からユートピアの話を教えられ、自分もそんな理想郷で暮らしたいと思う。昔から各国にユートピアの作り話があり、ユートピアを探してみることにする。家で壊れた道具を整理しているドラえもんを見たのび太は、0点のテストを「四次元ゴミ袋」に投げ入れようとするが、ドラえもんに止められる。裏山でのんびりしているのび太は、青い虫で目が覚め、空に浮く三日月形の島に気付く。そこでドラえもんは「タイムツェッペリン」を購入し、しずか・ジャイアン・スネ夫を加え、天気雨が降って虹が出た時、5人で裏山からユートピアを探す旅に出る。
いろんなところへ探しに行ったが、ユートピアは見つからず、家に帰ろうとしたとき、空にこの前のび太が見た島を見る。その島が黒い雲を放ち、「タイムツェッペリン」に雷を仕掛ける。5人は雷に攻撃され、気を失ってしまう。目を覚ますと、先ほど襲ってきたパーフェクトネコ型ロボットソーニャは、5人に謝り、ここが理想の国「パラダピア」だと教えてくれる。ソーニャにここでパーフェクト小学生になれることができると教えてくれるのび太たちは、パラダピアに住みたいと思う。ここを創り上げた三賢人に会って、パラダピアの一員としての証をもらう。
数日後、しずか・ジャイアン・スネ夫が成長するが、のび太は全く成長しない。のび太とドラえもんの喧嘩を見たソーニャは大笑いする。実は、ソーニャがかつてダメなロボットであり、三賢人によってパーフェクトロボットに改造させられたという。夜、謎の女が三賢人を襲おうとするが、ドラえもんとのび太によって止められ、テントウムシにされる。しかし、パラダピアの学校の生徒であるハンナは、その女は悪い人ではない、パラダピアの住人が三賢人に騙されたのだと告げる。その女の正体は、ハンナの家族がパラダピアの秘密を調べるために雇った未来の賞金稼ぎ、マリンバ。三賢人は、人の心を操る光を研究している。その光をあび続けると、三賢人の言いなりになってしまうのだ。そして、未来の狂気の天才科学者レイ博士と三賢人が同じ研究をしていることから、彼らの間に何らかの関係があるのかもしれないと考える。
翌日、のび太はしずか・ジャイアン・スネ夫に家に帰るように勧めるが、みんなはずっとここで暮らしたいと思う。ドラえもん・のび太・マリンバは、ユートピアを脱出するため、タイムホールに逃げ込む。それを発見するソーニャは追いかけ、ドラえもんから三賢人の真実を告げられるが、三賢人の脅しのもと、ドラえもんたちを攻撃する。
三賢人はネオパラダピアンライトの研究を終え、世界中の人の心を支配しようとして「世界パラダピアン計画」を立ち上げ、まずは現代ののび太たちの町から始めようと言う。三賢人はのび太の心を操り、ドラえもんを虫に変えるよう命じる。心を操られたのび太は銃を構えるものの、心の中の葛藤で引き金を引くことはない。激怒した三賢人の命令で、ソーニャによってドラえもんは虫に変えられ、この瞬間、のび太が意識を取り戻す。
三賢人の命令でのび太を虫にしようとするしずか・ジャイアン・スネ夫は、みんなが元のらしさを取り戻したいというのび太の願いに感化され、三賢人の支配から脱する。怒ったレイ博士は、ネオパラダピアンライトを地上に降り注ぐ、人々の心を失わせようとするが、ソーニャに阻止される。ソーニャも自分の心を取り戻す。レイ博士はパラダピアをのび太たちの町に落下させるつもりだった。のび太がパラダピアの住民の避難を助け、ソーニャがパラダピアの落下を止める。裏山のみんながなすすべもないとき、天気雨が降ってきて、虹がかかる。のび太は空に現れたタイムホールと、そこに飛び込むタイムツェッペリンを見て、さっきの青い虫がドラえもんだと気づく。マリンバの力を借りて、ドラえもんが元の姿に戻る。そこで空へ飛び、ソーニャと一緒にパラダピアの落下を止めるため、「ビッグライト」を使って「四次元ゴミ袋」を大きくし、パラダピアを吸い込む。しかし、冷却水がなくなり、ゴミ袋が爆発しそうになる。ソーニャはみんなの「タケコプター」を撃ってみんなを逃がし、自分は爆発で姿を消す。
数日後、マリンバはレイ博士が逮捕されたことをみんなに告げる。ドラえもんは裏山でソーニャのメインメモリーを見つけ、ソーニャが新しい体で復元できると喜ぶ。
原作 | 藤子・F・不二雄 |
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企画・監修 | 藤子プロ |
監督 絵コンテ |
堂山卓見 |
脚本 | 古沢良太 |
キャラクターデザイン・総作画監督 | 小林麻衣子 |
メカニックデザイン | 鈴木勤 |
プロップデザイン | 山下晃 |
演出 | 益山亮司、藤倉拓也、八木郁乃 |
演出補佐 | HAN SEUNGAH |
作画監督 | 小澤早依子、三輪修、岸野美智、やぐちひろこ、神戸佑太、山下晃、曽々木安恵、HAN SEUNGAH |
メカニック作画監督 | 鈴木勤、桝田浩史 |
エフェクト作画監督 | 遠藤正明、桝田浩史 |
作画監督補佐 | 藤原巧和、加来由加里 |
動画検査 | 神谷由季、堀之内梨絵、八木里沙子 |
色彩設計 | 木幡美雪 |
色指定・検査 | 倉内美幸、和田舞奈、林由稀 |
美術監督 | 竹田悠介、益城貴昌 |
美術設定 | 美峰(青木薫、天田俊貴、野村正信) |
3DCG | サンジゲン |
モニター・プロップデザイン | 有馬トモユキ(日本デザインセンター)、宮﨑真一朗、Nivirus(日本デザインセンター)、田中千春 |
回想シーン・モーションデザイン | 宮﨑真一朗 |
撮影監督 | 末弘孝史 |
撮影特殊効果 | 大矢創太 |
撮影 | アニメフィルム |
特殊効果 | 佐藤香織 |
編集 | 小島俊彦 |
編集スタジオ | 岡安プロモーション |
編集助手 | 藤本理子、山田健太郎 |
ポストプロダクション | 東京現像所 |
録音監督 | 田中章喜 |
音響効果 | 北田雅也 |
音響制作 | AUDIO PLANNING U |
音響効果助手 | 北垣杏里、佐藤杜美 |
フォーリー | 東宝スタジオ、東宝ポストプロダクションセンター |
音楽 | 服部隆之 |
音楽協力 | テレビ朝日ミュージック |
学術考証 | 川村康文(東京理科大学教授/スペースLABO館長)、天沼春樹(ドイツ文学者/飛行船博士) |
制作事務 | 平山友紀 |
制作進行 | 吉田拓斗、立花優奈 |
制作デスク | 落合竜太郎 |
協力制作 | 関口勇聖、原口航詩、小笠原卓也 |
チーフプロデューサー | 吉田健司、中島進、八木征志 |
プロデューサー | 小西佑平、勝山健晴、佐藤大真 |
おまけ映像 | 今井一暁、河毛雅妃、山森英司、松井啓一郎、森江康太、藤野真里、杉崎聡、増泉路子 |
製作 | 「映画ドラえもん」製作委員会 (藤子プロ、小学館、テレビ朝日、ADK、ShoPro、シンエイ動画) |
配給 | 東宝 |
第2期の映画の恒例通り、エンドロール後におまけ映像(次作の予告)がある。今回の映像は以下の通り:ドラえもんが飛行機に乗って空中を飛び、その後、オペラカーテンが閉められる。カーテンが開くと、シーンはコンサートの舞台に変わり、おもちゃや楽器が舞台に散らばっている。その後、指揮者の格好をしたドラえもんは登場し、おもちゃに「ロボッター」を使用する。おもちゃたちは楽器を演奏し始めるが、犬はまだ眠っている。ドラえもんは犬を起こし、犬はリコーダーを吹く。ドラえもんが指揮を振り始め、美しい音楽が鳴り響く。「2024年春 公演決定」と表示され、その後、「演」の文字が「開」に変化する。のび太・しずか・ジャイアン・スネ夫が登場し、「お楽しみに」と言う。
今回のおまけ映像は約1分間で、これまでで最も長いものである。
2023年7月6日に『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』が発表された。
『「映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)」オリジナル・サウンドトラック』のタイトルで2023年3月1日に発売。全38曲収録。
監督はテレビアニメ『ドラえもん』で絵コンテ・演出を務める堂山卓見が就任した。脚本は本作が『ドラえもん』初参加となる古沢良太が手掛ける。キャラクターデザインはテレビアニメ・映画『ドラえもん』に原画などで参加し、『僕はロボットごしの君に恋をする』アニメPVでアニメーションキャラクターデザイン・作画監督を務めた小林麻衣子が抜擢された。音楽は前作『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』(2022年)に引き続き服部隆之が本作も手掛ける。ポスターなどキービジュアル制作はイラストレーターのよー清水が担当した[9]。
古沢には本作の何年か前にも脚本のオファーがされていたが、その時点では古沢は断っており、今作での参加は何か新しいことに挑戦したいと思っていたタイミングだったこともありチャレンジすることにしたという[10]。チーフプロデューサーであるシンエイ動画の中島進は2020年初頭に古沢と初対面した[11]。
監督の堂山は当時テレビシリーズ『ドラえもん』のチーフディレクターだった大杉宜弘と縁があり、「ハツメイカーで大発明」[注釈 1]に絵コンテとして参加[12]。その後2019年の誕生日スペシャル『未来の迷宮(ラビリンス)おかし城(キャッスル)』を手掛けたことが映画監督オファーのきっかけとなった[13]。堂山にオファーがされた時点ですでに古沢は最初のプロットを立てており、第一稿が上がってくるくらいのタイミングだったという[14]。
古沢は当初冒険先に悩み、のび太たちが暮らす町も冒険の舞台になると考え[10]、「のび太の近所だけで完結する(中略)この町が素晴らしいんだというお話」[15]を作った。中島は「いつもと違う道を通ったらそこに幽霊城がある的な、日常を少し変えることで新しい発見があるという、住む街から離れない案」があったと語っており、そこに古沢から出た「完璧なネコ型ロボット」や「時間旅行」といったアイデアから今の物語に変更された[11]。古沢によるとスタッフからやはりどこかに冒険に行ってほしいといわれ、提案された「空」に決めたという[15]。
堂山は「子どもたちが遊びに出られないという状況を古沢さんが強く意識されて、そういうときでも子どもたちに楽しんでもらうにはどうしたらいいのかというところが企画のスタート」[14]と語っており、「コロナ禍で自由に出掛けられないというところからスタートしているので、映画の舞台は自由度が高いところ、開放感のあるところにしたい。そうなると宇宙や空になりますが、前作が『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021』でしたから、「今回は空を飛行船で駆けていくような話がいいのでは」となった」[14]としている。
また、古沢は脚本の執筆中にキャラクターやイメージボードのスケッチを描いており[15]、ソーニャのスケッチは観客動員200万人突破を記念しTwitter上で公開された[16]。ソーニャとマリンバはこのスケッチをベースにし、キャラクターが仕上げられている[11]。
全国380スクリーンで公開され、2023年3月3 - 5日の金土日3日間で動員約54万2000人、興収6億6300万円をあげ初登場1位を獲得、これは2020年新型コロナウイルス感染症の流行以来の最高成績、興収26.9億円を記録した前作『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』の興収比は150.7%[30][31]。
動員数 (万人) |
興行収入 (億円) |
出典・備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
週末 | 累計 | 週末 | 累計 | |||
1週目の週末 (2023年3月3日・4日・5日) |
1位 | 54.2 | 54.2 | 6.6 | 6.6 | [32][33] |
2週目の週末 (3月10日・11日・12日) |
38.4 | 102.5 | 4.7 | 12.5 | [34][35] | |
3週目の週末 (3月17日・18日・19日) |
3位 | 33.9 | 146.6 | 4.1 | 17.8 | [36][37] |
4週目の週末 (3月24日・25日・26日) |
1位 | 32.2 | 211.1 | 3.9 | 25.5 | [38][39] |
5週目の週末 (3月31日・4月1日・2日) |
28.6 | 277.6 | 3.3 | 33.0 | [40][41] | |
6週目の週末 (4月7日・8日・9日) |
16.6 | 324.1 | 2.0 | 38.3 | [42][43] | |
7週目の週末 (4月14日・15日・16日) |
2位 | 10.2 | 337.9 | 1.3 | 40.0 | [44][45] |
8週目の週末 (4月21日・22日・23日) |
4位 | 344.2 | 0.7 | 40.8 | [46][47] | |
9週目の週末 (4月28日・29日・30日) |
6位 | 349.* | 0.5 | 41.5 | [48][49] | |
10週目の週末 (5月5日・6日・7日) |
8位 | 358.8 | 0.6 | 42.6 | ||
11週目の週末 (5月12日・13日・14日) |
圏外 | 360.5 | 42.8 | |||
12週目の週末 (5月19日・20日・21日) |
361.4 | 42.9 | ||||
13週目の週末 (5月26日・27日・28日) |
361.9 | 43.0 | ||||
最終 | 43.4 | [50] |
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