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東京都練馬区にあった遊園地 ウィキペディアから
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 〒176-8531 東京都練馬区向山3-25-1 |
設立 |
1984年5月26日 (インターベストトレーディング株式会社) |
業種 | サービス業 |
法人番号 | 8011601000652 |
事業内容 | 遊園地、クアハウス、運動場、興業場および遊技場の経営など |
代表者 | 依田龍也(代表取締役社長) |
資本金 | 1000万円 |
純利益 | 33万4000円(2020年03月31日時点)[1] |
総資産 | 2億9489万6000円(2020年03月31日時点)[1] |
従業員数 | 128名(2019年4月1日現在) |
決算期 | 3月末日 |
主要株主 | 西武鉄道 100% |
特記事項:現法人は、2005年3月25日にインターベストトレーディング株式会社が商号変更したもの。詳細は「#歴史」参照。 |
西武グループに属する株式会社豊島園(後の株式会社西武園ゆうえんち)が運営した。1926年(大正15年)から94年間営業して2020年(令和2年)8月31日に閉園した[2][3][4]。現在は庭の湯と古城の塔が残り、跡地はスタジオツアー東京と都立練馬城址公園となっている。
本園を舞台とするホラー映画も本項で述べる。
西武豊島線豊島園駅の北西に隣接した。室町時代に築城された練馬城の城址を中心に造園された。名称は同城を築城して治めた豊島氏に由来する[5][6]。豊島区内あるいは北区豊島所在ではなく、練馬区向山三丁目に所在した。開園した当時の地名は、東京府北豊島郡上練馬村であった。
日本で最も古い遊園地の一つで、首都圏有数の規模であった。各種遊戯施設のほか、春のソメイヨシノと初夏のアジサイで花の名所、夏のプール、など地域住民が多く訪れる都会のオアシスとなっていた。コスプレイベントを開催するなどイベント企画も多かった。併設のグラウンドは企業・学校の運動会に利用され、地域密着型の遊園地だった。
「水と緑の遊園地」と自称して園内は水や自然を生かした施設が多く、広大な屋外プールエリアは、夏場はプール、冬場は釣り堀として利用されていた。プールエリアは世界初の流れるプールや波のプールのほか、日本初で国内最大級の高度なウォータースライダーのハイドロポリス (HYDROPOLIS) が存在した。
としまえんの閉園は、防災公園化の都市計画に伴う東京都からの閉園要請に応えるためであり、経営悪化や施設老朽化などの理由ではないことが、公式に明言されている[9]。近年、入園者数は右肩上がりに増えており、改修や新施設導入などの投資が閉園直前まで行われていた。
1957年、としまえんを練馬城址公園として整備する東京都の都市計画が指定された。それ以降は地域住民の反対があり話が進まなかったものの、2011年に東日本大震災の教訓を活かすべく、東京都が避難場所として広大な公園を作るため、当時の石原慎太郎都知事が中心となって、より具体的な防災公園化計画を開始し、西武鉄道に対して土地買収および閉園の交渉を始めた[10][11]。その後は再び計画が停滞したが、2019年にワーナー・ブラザースが交渉に加わり、西武鉄道に対してハリー・ポッターシリーズのテーマパーク建設案が浮上し、東京都からの土地買収および閉園要請の回答期限が2020年度であったことなどから、2020年6月12日に同年8月末での閉園が正式決定。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行するなか、2020年7月13日から遊園地・プールともに入場制限が開始され、同年8月31日に閉園した。隣接する敷地で営業していたトイザらスも同日に閉店した。付帯する温泉施設「庭の湯」はとしまえん閉園後も引き続き営業している。
石神井川の南側、ウォータースライダー「ハイドロポリス」のある付近はかつて矢野山城址と呼ばれ[12]、室町時代に豊島氏によって築城された練馬城があった。太田道灌との戦いに敗れ廃城となった跡地に再び城が築かれることもなく、雑木林や畑となった。のちに板橋の「なべや」が同地を所有し、さらに上練馬村長の増田藤助が入手した。石神井川の北側は沼地・湿地であったが、のちに田地となった。
アトラクションの一部は、同じ西武グループが運営する横浜・八景島シーパラダイスや西武園ゆうえんちのほか、グループ外では八木山ベニーランドなどへ移設された[32]。一方で機械遺産にも指定された回転木馬「カルーセルエルドラド」は移設・廃棄も含め今後は未定である。開園時から唯一残る「古城の塔」については、練馬城址(じょうし)豊島園「古城の塔」の保全と活用を考える会や日本建築学会関東支部が保全・活用に向けて要望を出しているが、2024年4月現在保全されるか解体されるかについては東京都から発表をされていない[33]。
藤田好三郎は1881年に兵庫県大久保村の地主の三男として生まれ、東京帝国大学法科大学法律学科(仏法)を卒業後、日本銀行に入行した。学資援助を受けた伊藤長次郎が経営する三十八銀行に請われて移り、その後、岳父・田中栄八郎の兄・大川平三郎が築いた大川財閥の幹部として樺太工業など多くの企業の重役を務めた[34][35]。造園・普請道楽があったといい、豊島園開園以前の1919-1920年に、文京区千駄木に邸宅と庭園を建設したが、関東大震災後、旧安田財閥の創始者・安田善次郎の女婿である安田善四郎 (2代目)に売却、その長男・安田楠雄の没後、安田家から日本ナショナルトラストに寄贈され、現在「旧安田楠雄邸庭園」として保存・公開されている[36]。
としまえんのプールは1929年(昭和4年)開業。当初は競泳用プール・婦人用プールの2つ(のちの大プール・小プール)で[6]、園内では名物の一つとなっていた。昭和時代、第二次世界大戦前は慶應義塾大学水泳部が競泳用プールで夏季合宿を行っていた[37]。
波のプール(1973年(昭和48年)7月14日開業)、流れるプール(1965年(昭和40年)6月19日開業)、ナイアガラプール(1961年(昭和36年)7月1日開業)、こどものプール(1974年(昭和49年)7月14日開業)の4つのプールがメインであった。全盛期はほかに前述の大プール、小プール、飛び込み用プール(1959年(昭和34年)7月1日開業)を含む7つのプールで営業をしていた。
1965年(昭和40年)夏に開業した流れるプールはとしまえんが世界初である。開業にあたり、職員が多摩川に出向き、本当の川に近づけたという逸話がある。1977年(昭和52年)夏に小型のウォータースライダー(水の滑り台)を開業し、1988年(昭和63年)7月23日に23区内では最大規模の大型ウォータースライダー「ハイドロポリス」を開業した。本格的な飛び込み用プールは2006年で営業終了したが、跡地に「ノーティックジェット」という一人乗りウォーターシュートが登場した。2016年から2019年は大プール・小プールに水上アスレチック施設「ふわふわウォーターランド」が開業した。
1996年よりキャッシュレスタグと呼ばれるシステムが導入された。これはICチップが入ったリストバンド状のもので、水着のポケットに入れた小銭が出てプールの底に落ちてしまうという問題を解決するために導入されたものである。あらかじめ現金をチャージしておき、レジカウンターにある専用の読み取り機にかざして支払う。プール内のほか、遊園地内の飲食・物販店でも利用できた。
プールが使える夏期には「水着のまま園内も遊べる」というユニークなシステムも存在していた。夏期以外のプール休業期間中は流れるプールなどで釣り堀を実施していた。
2021年4月の時点で遊園地側の解体工事はほぼ完了し、プール側は解体されず残っていた。そのため閉園後もプールだけは残してほしいと、住民やプール利用者がとしまえんの正門前で署名活動を行い、オンラインでも署名活動が行われ、12,000以上の署名が集まった[38][39]。ただし、計画ではプールエリアも練馬城址公園として整備される予定となっており、2023年にプールエリアの解体工事が進められた。
博報堂所属のコピーライター岡田直也と、アートディレクター大貫卓也を主軸とするクリエィティヴチームによる、ユニークなキャッチコピーを用いた広告が話題となった。
過去には、「暑中見舞い」をテーマに、木にとまったセミがミーンミーンミーンとただひたすらに15秒間鳴き続けるだけのCMや、同様のパターンで、グツグツ煮え立つ鍋料理や、燃えさかるストーブが画面一杯に映され、最後に一言「としまえん」とナレーションが流れ、ロゴが表示されるだけという、当時としてはシュールなテレビCMを流したりしていた。このため視聴者からクレームが多数寄せられたこともある[65]。
高田馬場駅には一風変わった広告が、西武とJRのホームの間に、JR側から見えるよう設置されていた。
園内にある世界最古級のメリーゴーラウンド「カルーセルエルドラド」から生まれた公式キャラクター。2013年9月には木馬をモチーフにしたエルちゃんこと「エル・ドラド」、翌2014年9月には豚をモチーフにしたカルちゃんこと「カルーセル」がお披露目されている。園内ショップではオリジナルグッズも販売されていた。デザインはイラストレーターのBAKAORUこと矢幅薫が手がけた。
閉園後も、BIG BOX 東大和内にある子供向けアスレチック施設「あそびっぐ」でグリーティングがときどき行われている。
園内の案内板や各トイレのピクトグラムに描かれた、男の子と女の子のキャラクター。「T」の字が描かれたシャツを着ている。もともと名前はつけられておらず、従業員の間だけで呼ばれていた[66]。2020年8月に閉園が決定したことから、初めてTシャツやクッションなどのグッズが販売された。
園外でも西武鉄道練馬駅の改札内に、階段やエスカレーターの付近にとしまえん行き乗り場(2番ホーム)の方向を示す看板や、大江戸線豊島園駅のホームにあった「もうすぐ土曜日」の広告にも登場していた。閉園前には西武鉄道豊島園駅のホームに「としまえん 豊島園 あとちょっと…」と書かれた看板にも使われていた。
としまえん内に入園する場合は、当日の日付が入っている入園券が必要となっていた。としまえん各入園口付近のチケットブースにて当日購入のほか、オンラインで前売り券を購入することもできた。
2020年7月13日から閉園日の8月31日まで、新型コロナウイルス感染症対策として入園制限を実施していた。ウェブチケットサイト「アソビュー!」にて日付指定前売り券を購入した場合のみ入園できた。すでに手元にチケットがある、割引券を持っているなどの場合は事前予約すれば入園できた。木馬の会会員は事前予約なしで入園が可能だった。
原則として、木馬の会会員以外は再入園不可だった。ただし、トイザらス利用時の再入園は東ゲート入園口でのみ可能だった。東京都民の日や埼玉県民の日のキャンペーンとして入園無料となる日は、木馬の会会員以外も自由に出入りができた。
各乗り物の指定料金および園内には現金でしか体験できない乗り物や施設があった。
料金等については、としまえんの乗り物に掲載。
鉄道
バス
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を受けて、としまえんでは次のような対応を行った。
2011年9月9日に「東京都がとしまえんの敷地を買収し、防災公園として整備する方針である」と一部マスコミが報じた。これらの報道では東京都は西武グループと近く買収交渉に入るというが[72]、西武ホールディングスは「としまえんの敷地を売却する予定はなく、今まで通り営業を続ける」とコメントした[73]。2010年9月に「練馬区がとしまえんの敷地内にサッカースタジアムを建設し、Jリーグの東京ヴェルディとなでしこリーグの日テレ・ベレーザがホームスタジアムとする」と報じられ[74]、東京都による買収報道を受けて、これら2つの機能を統合した形となるのではという報道もされた[75]。
2011年12月に東京都の都市計画公園・緑地の整備方針が改定され、としまえんの敷地は「練馬城址公園」として優先整備地区に新規設定された[76]。2012年9月に公表された『「練馬城址公園」の整備にかかる考え方』では、既存の遊具施設を一部残しつつも、アニメ・漫画関連施設、防災拠点としての機能を併設したサッカー場などを新設する基本方針が示されている[77]。
2020年2月3日に、としまえん内の施設を段階的に閉鎖し、防災機能を備えた大規模な都立公園(防災公園)の新設とともに新たなテーマパークを2023年春に開園する予定があると関係者が語ったと一部で報道された[78][79][80][81]。跡地は東京都が買収したのち、一部をワーナー・ブラザースが借地し、ハリー・ポッターをテーマとした施設を運営するという協議が進行中で、正式決定は2020年春の予定と報道された。西武鉄道広報部は報道のあった2020年2月3日時点で、閉園やテーマパークができるという話も特段何も決まっている話ではない、とコメントしたが[82]、2020年6月12日に東京都と西武鉄道の間で覚書を結んだことを受け、8月31日に閉園することが正式に発表された[4][24]。跡地は都に売却し、一部は引き続き西武鉄道が保有する予定[24]である。
2020年8月18日、跡地の一部に「ワーナーブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター」の施設の開発に関する契約を締結したことを発表された[29]。
としまえんの解体工事は閉園後まもなく開始され、2021年2月の時点でプールと、プール側のサイクロンおよびフリュームライドの走路の一部を除いたすべてのアトラクションが撤去されているほか、樹木もほとんど伐採されている[83]。
開園時より唯一残る古城の塔は、練馬城址豊島園「古城の塔」の保全と活用を考える会や日本建築学会関東支部が保全・活用に向けて要望を出し、パブリックコメントでも71件の保全を求める意見が提出されたが、2024年4月現在保全されるか解体されるかについての東京都からの発表はない[84]。
としまえんに伝わる都市伝説をとしまえん全面協力の下、サスペンスホラー映画として映像化した作品。タイトルは『としまえん』とも、タイトルロゴに合わせた『映画 としまえん』とも表記される。
大学生の早希は、ある日、高校時代に仲のよかった女友達と一緒にかつてよく遊びに行った遊園地・としまえんを訪れる。インターネットで噂になっていた「としまえんの呪い」があるという古い洋館(古城の塔)を見つけた早希たちは、噂を冗談半分で試すが、その直後から恐ろしい現象が次々と起こり、一緒に来ていたメンバーが一人、また一人と次々に消えていく……。仲間たちを必死に探すうち、早希は呪いが誕生した、恐ろしい過去の秘密を知ってしまう。
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