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日本のテレビアニメ作品 ウィキペディアから
『聖戦士ダンバイン』(せいせんしダンバイン、Aura Battler Dunbine)は、1983年(昭和58年)2月5日から1984年(昭和59年)1月21日まで、名古屋テレビを制作局として、テレビ朝日系列で、毎週土曜17時30分から18時(JST)に全49話が放映された日本サンライズ制作のロボットアニメである。
オープニング映像上での作品タイトルは『聖戦士 Aura Battler ダンバイン』だが、公式的にも一般的にも放映当時から『聖戦士ダンバイン』のタイトルで扱われている。
作品タイトルともなっているダンバインとは、主人公ショウ・ザマら「聖戦士」と呼ばれるパイロットが搭乗する昆虫をモチーフにした異形のロボット「オーラバトラー」の名称である。『無敵超人ザンボット3』から展開されたクローバーのアニメロボットシリーズ第7作[1] であり最終作である。
中世ヨーロッパに似た異世界バイストン・ウェルを舞台とするなど、新ジャンルに挑戦した意欲的な内容の作品である。前作『戦闘メカ ザブングル』に引き続き宮崎駿のアニメーション作品を意識しており、総監督の富野由悠季は本作を「『ナウシカ』にぶつけて、『ナウシカ』潰そう」と発言したという[2]。出渕裕は、本作を「富野さん『ナウシカ』に影響受けているよな」「富野版ナウシカ」と言っている[3]。福井晴敏は本作を(同じく1983年に開園した)「ディズニーランド」と評した[4]。
劇中に登場するオーラバトラーは全高が7メートル前後と比較的小型で、曲線を多用した生物的印象を色濃く持つなど、これまでのロボットが持つ直線的なデザインのそれとは一線を画している。メカデザインを担当した宮武一貴は「富野監督はロボットと人間のフィギュアをセットにした商品展開を考えており[5]、フィギュアの顔を主人公と判別できる程度の大きさにした場合、それに合わせてロボットも無理のないサイズに収める必要があった」と、その意図を説明している。
放映当時の日本では、まだファンタジー的世界観が一般には浸透していなかったため、前述のような革新的な試みは視聴者になかなか受け容れられず、結局、番組後半では路線変更として物語の舞台を現実世界に移すこととなった。また、当時の造形技術では複雑な曲線で構成されたオーラバトラーは玩具化・プラモデル化が難しく、昆虫をモチーフにしたデザイン自体も子供には怖がられ、商業的にも不振に終わった。このことについて宮武一貴は「(昆虫は)僕らの子供の頃は馴染みが深かったのでスタッフ達には分からなかった」と話している。また、宮武は同時期の『超時空世紀オーガス』でも曲面主体の主役メカデザインを試みているが、これも、セールス的に不振に終わっている。なお、宮武は『オーガス』でのデザインワークを中心に行うため、本作「聖戦士ダンバイン」の担当を早々に降板しており[6]、以後は出渕裕がメカニックデザインの担当を引き継いだ。ただし、番組後半の主役メカ「ビルバイン」についてはスポンサー企業の仕様要求を基に湖川友謙が手掛けている。
上記の通り、「聖戦士ダンバイン」は番組の特性上、多くの問題に見舞われたが、それでもポスト・ガンダムとして各アニメ誌上で頻繁に特集が組まれていた。また、アニメ放映と並行して富野由悠季自身が『野性時代』に連載した、同じバイストン・ウェルを舞台とする小説『リーンの翼』もヒットし、『現代用語の基礎知識』にて富野がノベルズ作家の1人として挙げられるほどの話題となった。
オーラバトラーの生物的デザインは低年齢層からは敬遠されたが、モデラーを中心とした若年層以上の間では絶大な支持を集め、放映終了後もガレージキットやアクションフィギュアが数多くリリースされ続けている。
OVA作品としては、TVシリーズの後日談に当たる『New Story of Aura Battler DUNBINE』の他、前述の『リーンの翼』、さらにはバイストン・ウェルを舞台としたパラレル・ストーリーの『ガーゼィの翼』が制作されている。
また、本作を題材にしたゲーム作品も制作され、PC-9800シリーズ用『聖戦士ダンバイン バイストン・ウェルの炎』、PlayStation用『聖戦士ダンバイン 聖戦士伝説』などが発売されている。また、テレビゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」「サンライズ英雄譚シリーズ」などにも登場した。
本作の企画前には、洋画『ネバーエンディングストーリー』や海外人形アニメ『ダーククリスタル』が相次いで劇場公開され、それまでマニア向けのコンテンツだった「剣と魔法」「異世界ファンタジー」の分野に関心が集まるようになり、本作はそのような世相事情の中で企画された。制作に当たって、総監督の富野由悠季は、世界観について中世ヨーロッパを意識し、妖精の画集やこの時代の欧州を纏めた書籍が、設定制作担当の風間洋によって集められ、具体的な設定として構築されたが、必要経費がサンライズから出なかったため、全て富野のポケットマネーで支払われた。当初、富野が頭に描いたイメージは、「異世界バイストン・ウェルは地球の深海下にあり、空は深海魚の放つ光が星の様に透けて見える」「世界はオーラの力によって支えられ、妖精フェラリオがコントロール役」「フェラリオは修行を積むことで高位を得、地上の深海である天上界の近い場所に上がれる」「暮らす人々は地上界から転生し、コモン、騎士、貴族、領主などの階級を持つ」「オーラバトラーは有機的なシステムを利用し、装甲は昆虫の外骨格を利用」など、大まかに出来上がっていた[7]。
決定稿となった企画書は、通常、テレビ局や代理店、スポンサー企業へ提出するため、清書してから専門業者へ装丁の発注されるが、本作では清書と装丁はサンライズ企画室で行っていた[8]。
地上編の制作の際、架空の存在であるバイストン・ウェルとの差別化を図るため、冨野監督の提案でリアルな絵作りが示され、劇中に登場する自衛隊も、実際に取材を行った上で描写することになった。設定制作担当の風間洋と川瀬敏文が、航空自衛隊の入間基地と海上自衛隊の市谷地区に取材を行ったが、自衛隊側の対応は終始丁寧で、入間基地の受付では担当者が『クラッシャージョウ』のファンで、取材側が戸惑うこともあった。自衛隊からは、どれだけ隊員をミサイルで吹っ飛ばしても、怪獣に踏みつぶしても構わない旨の了承が出たが、国民を守る組織の責務上、国民に銃を向ける描写だけは止めて欲しいとの要請があり、本作でもそれは順守されることになった[9]。
キャラクターデザインについては、富野監督から具体的な指示がなく、シナリオの打ち合わせに同席した設定制作の川瀬敏文が、作業を効率化するため、デザイン担当の湖川友謙に設定を口頭で伝える方針が採られたが、打ち合わせで決まっていない詳細部分は、川瀬のオリジナルのイメージやアイディアが反映される場合があった。そのため、キャラクターの数が増えて来るにつれて内輪ネタが増え、川瀬がモチーフのカワッセ・グーや風間洋の本名である河原よしえモチーフのヨーコ・川原などのキャラが作られた。川瀬曰く、富野監督が具体的な指示を出さなかった背景には、湖川友謙が富野監督の手に余る存在で、それを富野側も熟知していたため、出来上がりには注文は出さず、劇中での活躍の度合で裁定を下す方針を採っていたためとしている[10]。
「聖戦士ダンバイン大全」(双葉社、2004年)によると、企画当初のアニメのタイトルは「サーバイン」が候補になった。また、「アマルガン」の仮タイトルも候補になったが、スポンサーから『玩具が余る』に聞こえるからやめてくれ。との声が上がり、タイトルを変更した。語感を気に入っていた富野は、小説『リーンの翼』の『アマルガン・ルドル』に、名前を流用した。
ダンバインのデザインについて、メインスポンサー企業であるクローバーは不安視しており、設定制作の1人だった川瀬敏文がクローバー本社を訪れた際、「これ売れますかね?」と疑問を呈するほどだった。一方で、サンライズの企画部長だった山浦栄二は「絶対に売れる!!」と豪語していたという[11]。
1983年2月、アニメ「聖戦士ダンバイン」の放送がスタートしたが、放送初期の頃から「聖戦士ダンバイン」は子供たちの間で人気が出なかった。ダンバイン関連の玩具・商品は作ってもあまり売れず、スポンサー企業は業績の低迷に苦しんだ。その玩具の売上不振を打開するため、アニメの物語の中では、ウイング・キャリバーからオーラバトラーへの変形を売りにした新主役メカ「ビルバイン」の投入と、物語の舞台をバイストン・ウェルから現実世界へと移行させ、派手なロボットバトルを前面に打ち出すことなど物語の路線変更が図られた。しかし、そんな努力もむなしく、メインスポンサー企業であるクローバーが倒産してしまった。アニメ本放送のシーズンの途中で、メインスポンサーの企業が倒産するのは前代未聞・異例のことであった。そこで、急遽、本作のプラモデルを販売していたバンダイが「聖戦士ダンバイン」のメインスポンサーとなり、新スポンサーにトミー(現・タカラトミー)を迎えて、ビルバインの玩具販売を請け負ってもらうことになった。こうして、「聖戦士ダンバイン」はアニメ番組の打ち切り危機から逃れたのである。
総監督を務めた富野由悠季は、バンダイにメインスポンサーを引き受けさせたサンライズ営業の努力には触れてもトミーの件には触れておらず、「この十数年、ダンバインのメインスポンサーが潰れたことを忘れていた」「バンダイ発じゃなかったから本作が消えていった(ガンダム一辺倒になってしまった)」などと発言している[3]。 角川書店『リーンの翼』KADOKAWAノベルズ三巻後書きに富野は当時の忸怩たる思いをしたためている。
ダンバインまでのスポンサー・クローバーは、タカラ(現・タカラトミー)の系列会社タカラ工業に玩具製造をアウトソーシングしていた。クローバーの大口債権者であったタカラは、その気になればガンダムを含めたクローバーの版権資産を接収できた。が、当時の社長の判断で、それをしなかった。これはバンダイが翌々年に『機動戦士Zガンダム』をスタートさせる切っ掛けのひとつになったと思われる。
物語の途中で地上編となり、物量戦に話が展開したことについて、富野由悠季は物量戦への移行はスポンサー側の要望だったと認めつつ、地上編に関しては予定通りの展開だったとして、「TVシリーズの句読点になっていると思うので、嫌悪感は一切ないです」「地上とバイストン・ウェルの繋がりを見せることができたと思う」と語っている[12]。
制作当時、ガンダムの他にもう1本ヒット作が欲しいという欲があり、ガンダムと似て非なるものとして本作が生まれたと述懐して、ガンダムでシンプルだった人間関係を複雑化して戦国時代の陣取合戦がしたい思惑と、当時のドラマやアニメのテンプレな人物設定に拒否反応があって、それが恋愛要素に留まらない複雑な人間ドラマの展開に発展したと語った上で、劇作家になれない自身の焦りの中で生まれた思い出したくない作品であると明かしている。そして、オーラバトラーを「良い理想」「悪しき理想」に二極化させる踏ん切りがつかず、永井豪の『デビルマン』に嫉妬して、人が何かに変身することに嫌悪感があったことも影響して、オーラバトラーを人の化け物(化生)の象徴として描いてしまい、ファンタジーとして描けなかったことが失敗の理由だったとして、自身が戯作者になれない本質が此処にあると述べている[13]。
第1話について、富野由悠季は「そもそもあれが作劇上の失敗で、異世界に召喚されたショウ・ザマを一晩寝かせ(ワンクッション置いて)、翌朝から作品世界の説明をだらだらとやった結果、主人公としての動機付けができず、その後も状況に対し能動的に動けない流されがちなキャラクターになってしまった。あそこで戦火の只中に投げ入れておけば、もっと物語も弾んだことだろう」と悔いている。また、第1話の完成したフィルムを見た時点で、富野は「自身の趣味性のみで作品を制作している」と感じ、番組内容を当初の構想から大幅に変更することを決意した。エピソード「東京上空」を可能な限り前倒しにし、オーラマシンが地上に出た時点で終わる予定だった内容を変更した。同時に自分の趣味性だけで終わらないようにシーラ・ラパーナを男性の老人から美少女に変更(これは脚本の富田祐弘が提案)した。それに伴いエンディングのみの予定だったエル・フィノも本編に登場することとなった。
オーラシップは当初、オーラバトラーを運ぶための小型母艦として設定されていたが、「地上編」近くに来てオーラバトラーを有する各国が巨大なオーラバトルシップを建造、圧倒的な火力で地上を焦土と化す場面も見られた。中でもゴラオンは戦艦然としたデザインになっており、これについて富野は「例えばこういう言い方が出来る。出渕のアホが(笑)」ともしている[14]。ただし、当の出渕によればゴラオンは富野の指示で"ヤマト"的にした物であり[15]、巨大戦艦の存在自体にも否定的であった[16]。
ウィング・キャリバーの1つであるフォウを上手に活躍させられなかったと具体例を挙げて、格闘戦や地上戦、歩兵関係を生々しく描写できなかったことが、自身の演出としての失敗だったとして、この反省点が小説『オーラバトラー戦記』を執筆する動機になったとしている[17]。
最終話のシナリオ段階では、命を落とした登場人物達がミ・フェラリオとして生まれ変わることになっていた[18] が、「それでは『伝説巨神イデオン』と同じ結末になってしまう」という富野の演出意図により、完成したフィルムからは削除されている。翌年アメリカのアニメイベントにパネリストとして参加した富野由悠季が、現地のファンから「『聖戦士ダンバイン』のラストは、あなたにとって不本意だったのでは?」との質問を受けた際に前述の返答をしたところ、なおも「それは了解したが、作品全体として考えると、やはりあの終わり方は消化不良なのではないか」と指摘され、富野は「ゴメン!」と謝った。
2017年、Blu-ray BOXの発売に際しては(『ガンダムに負けている』と相変わらずキツメの評価もしつつ)「『ダンバイン』も頑張ってたんだねえ」とのコメントを寄せている。
制作設定を担当した河原よしえ(当時は風間洋名義)は、「時代の斜め2歩先を競歩状態で歩んだ試作品」「乗りこなせなかったドラゴン」と評し、メディア業界の常套文句である「時代の半歩先を行け」を遥に飛び越してしまった作品であるとして、「恰好をつければ試作品(プロトタイプ)だが、仕事上の立場から言えば、どうやって、このドラゴンのような未知の生き物の手綱を捌いて良いのか解からないまま、一年を過ごしてしまった」と反省の念を述べている[19]。
バイストン・ウェルは、輪廻する魂の休息と修錬の場。海と陸の間に存在し、生体エネルギー「オーラ力(ちから)」によって支えられている。コモンと呼ばれる種族は中世ヨーロッパ的な封建制国家群を形成し、妖精の姿をしたミ・フェラリオ、その上位種族であるエ・フェラリオ、蛮族ガロウ・ランなどがそれぞれの勢力圏で互いに影響(ガロウ・ランが、自らの超人的な能力をコモンに提供することで対価を得るなど)し合いながら暮らしている。エ・フェラリオは、バイストン・ウェルの天井部分に当たる水の天界「ウォ・ランドン」に棲息しているが、下級妖精のミ・フェラリオは30センチ前後の大きさで背中に2対の翅を持ちコモンの世界にも現れる。本来、生死以外にバイストン・ウェルと地上界を往来することは不可能だが、エ・フェラリオの力や偶発的な事故などによって開かれる「オーラ・ロード」を通ることで、稀にそれは発生する。
ある日、コモン界にある「アの国」の地方領主ドレイク・ルフトは、捕獲し水牢に幽閉したエ・フェラリオのシルキー・マウを脅し、地上人(ちじょうびと=我々の住む地上界の人間)ショット・ウェポンとゼット・ライトをバイストン・ウェルに召喚する。ロボット工学に明るいショットはバイストン・ウェル固有のオーラ力に着目し、それをエネルギー源とする「オーラマシン」を開発、バイストン・ウェルに初めて「機械」をもたらした。当初はユニコン・ウー(馬に似た動物)に代わる移動手段程度の物だったが、やがて飛行兵器オーラ・ボム、さらには巨獣の甲殻を外装にまとい、内蔵された人工筋肉を電子制御によって駆動する人型兵器「オーラバトラー」(「巨人騎士」とも呼ばれる)へと発展した。
ドレイクはオーラマシンの圧倒的な力を手に入れたことでバイストン・ウェル全土を掌握するという野望を抱き、既に旧式となったオーラマシンやその技術を他国に輸出することで莫大な資金を得た。さらには強力なオーラ力を持った地上人を戦士として利用するため、再びシルキー・マウに「オーラ・ロード」を開かせ、試作オーラバトラー・ダンバインのパイロットとしてショウ・ザマ、トッド・ギネス、トカマク・ロブスキーの3人を召喚した。ショウは突然の異世界に戸惑いながらも、ただ言われるままにドレイクの対抗勢力である同じアの国の地方領主「ギブン家」との戦いを重ねていたが、ドレイクの娘でギブン家の長男ニー・ギブンと恋仲のリムル・ルフト、ギブン家に味方する地上人マーベル・フローズンの説得によりドレイクの真意を悟り、ダンバインと共に出奔。ニーの指揮するオーラシップ「ゼラーナ」に身を寄せる。
各国はオーラマシンの開発競争にしのぎを削り、戦乱は拡大の一途をたどると共に混迷の様相を呈していった。オーラ増幅器によりオーラバトラーを扱えるようになったコモンの騎士の登場やドレイクの新たな地上人の召喚を経て、遂には主要各国が巨大なオーラ・バトル・シップを持つまでに至った。フェラリオの長であるジャコバ・アオンは、目に余るコモンの蛮行に業を煮やし、その意志と力により全てのオーラマシンとそれに関わる全ての者をバイストン・ウェルから放逐した。これにより、世界各地にオーラマシンが出現し戦いの舞台は地上界へと移る。オーラマシンの圧倒的な力で地上をも我が物にせんとするドレイク率いるアの国とビショット・ハッタが治めるクの国、その野望を阻止せんとするナの国の若き女王シーラ・ラパーナとラウの国のエレ・ハンムの下に集う連合軍は、世界各国を巻き込んだ全面戦争へと突き進んで行く。
激化する戦いの果て、マーベルとトッドは戦死し、ショウは宿敵の黒騎士と刺し違えて命を落とす。これ以上の戦火の拡大と犠牲の増加を危惧したシーラは、戦争を終結させるため、持てる全てのオーラ力を開放して全ての悪しきオーラを浄化し、バイストンウェル関係者の全ての魂を元いた世界に送り返すことで戦いを終結させる。
ただ独り地上に取り残されたチャムは海上を漂っていたころを救出してくれたアメリカ軍にこれまでに起きた出来事の全てを「バイストン・ウェルの物語」として語り、いずこかへと姿を消すのだった。
地上人であるショット・ウェポンが造り出したオーラ力と呼ばれる人の精神エネルギーを動力源とする機動兵器の総称。主に「恐獣(強獣)」と呼ばれる巨大肉食獣の筋肉繊維や甲殻等を用い製造され、多くは昆虫に似た外観(一部の物やオーラシップは除く)を持つ。基本素材に生物の一部を利用しているため、長期間稼動しないと腐敗や劣化が進むことがあり、水中に沈めて保存する場合がある。
地上界でオーラマシンを使用した場合の特徴として、その火力はバイストン・ウェルとの大気の密度の違いから膨大な破壊力を発揮する反面、深度の深い海中などで活動した場合は生体パーツによる問題から水圧に耐え切れず圧壊しやすい。
用途・形状などにより「オーラ・バトラー」(人型ロボット)、「オーラ・シップ」(空中艦船)、「オーラ・ボム」(飛行戦闘艇)、「ウイング・キャリバー」(航空機)などに分類される。
(オープニングクレジットより)
上記4曲を収録したEPレコードは、いずれもキングレコード(スターチャイルド・レーベル)から発売され、何度かCD化もされている。
サブタイトル、脚本、演出、作画監督の出典→[34]
数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | ストーリー ボード | 演出 | 作画監督[注 11] |
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1 | 1983年 2月5日 | 聖戦士たち | 斧谷稔 | 鈴木行 | 湖川友謙 | |
2 | 2月12日 | ギブンの館 | 富田祐弘 | 斧谷稔 | 関田修 | |
3 | 2月19日 | ラース・ワウの脱出 | 渡邉由自 | 井内秀治 | 佐々門信芳 | |
4 | 2月26日 | リムルの苦難 | 今川泰宏 | 遠藤栄一 | ||
5 | 3月5日 | キーン危うし | 富田祐弘 | 鈴木行 | 佐久間信計 | |
6 | 3月12日 | 月の森の惨劇 | 関田修 | 篠田章 | ||
7 | 3月19日 | 開戦前夜 | 渡邉由自 | 菊池一仁 | 佐々門信芳 | |
8 | 3月26日 | 再び、ラース・ワウ | 井内秀治 | 金山明博 | ||
9 | 4月2日 | 天と地と | 富田祐弘 | 今川泰宏 | 坂本三郎 | |
10 | 4月9日 | 父と子 | 鈴木行 | 遠藤栄一 大森英敏 (湖川友謙) | ||
11 | 4月16日 | キロン城攻防 | 渡邉由自 | 斧谷稔 | 関田修 | 佐々門信芳 |
12 | 4月23日 | ガラリアの追跡 | 菊池一仁 | 佐久間信計 | ||
13 | 4月30日 | トッド激進 | 富田祐弘 | 井内秀治 | 篠田章 | |
14 | 5月7日 | エルフ城攻略戦 | 今川泰宏 | 金山明博 | ||
15 | 5月21日 | フラオン動かず | 渡邉由自 | 鈴木行 | 遠藤栄一 大森英敏 (湖川友謙) | |
16 | 5月28日 | 東京上空 | 関田修 | 佐々門信芳 | ||
17 | 6月4日 | 地上人たち | 菊池一仁 | 川瀬敏文 | 坂本三郎 | |
18 | 6月11日 | 閃光のガラリア | 井内秀治 | 秋野洋一[注 12] 矢木正之 大森英敏 遠藤栄一 (湖川友謙) | ||
19 | 6月18日 | 聖戦士ショウ | 富田祐弘 | 今川泰宏 | 坂本英明 大森英敏 (湖川友謙) | |
20 | 6月25日 | バーンの逆襲 | 鈴木行 | 篠田章 | ||
21 | 7月2日 | 逃亡者リムル | 渡邉由自 | 今川泰宏 | 関田修 | 佐々門信芳 |
22 | 7月9日 | 戦士リムル・ルフト | 菊池一仁 | 川瀬敏文 | 佐久間信計 | |
23 | 7月16日 | ミュージィの追撃 | 富田祐弘 | 川手浩次 | 井内秀治 | 遠藤栄一 矢木正之 北爪宏幸 (湖川友謙) |
24 | 7月23日 | 強襲対強襲 | 鈴木行 | 金山明博 | ||
25 | 7月30日 | 共同戦線 | 渡邉由自 | 今川泰宏 | 大森英敏 坂本英明 (湖川友謙) | |
26 | 8月6日 | エレの霊力 | 井内秀治 関田修 | 関田修 | 佐々門信芳 | |
27 | 8月13日 | 赤い嵐の女王 | 富田祐弘 | 川手浩次 | 井内秀治 | 坂本三郎 |
28 | 8月20日 | ゴラオンの発進 | 渡邉由自 | 今川泰宏 | 川手浩次 | 矢木正之 遠藤栄一 (湖川友謙) |
29 | 8月27日 | ビルバイン出現 | 富田祐弘 | 鈴木行 | 坂本英明 大森英敏 (湖川友謙) | |
30 | 9月3日 | シルキーの脱出 | 渡邉由自 | 関田修 | 佐々門信芳 | |
31 | 9月10日 | 黒騎士の前兆 | 富田祐弘 | 井内秀治 | 金山明博 | |
32 | 9月17日 | 浮上 | 斧谷稔 今川泰宏 | 今川泰宏 | 坂本三郎 | |
33 | 9月24日 | マシン展開 | 渡邉由自 | 斧谷稔 川手浩次 | 川手浩次 | 大森英敏 北爪宏幸 (湖川友謙) |
34 | 10月1日 | オーラ・バリアー | 関田修 | 遠藤栄一 坂本英明 矢木正之 (湖川友謙) | ||
35 | 10月8日 | 灼熱のゴラオン | 富田祐弘 | 井内秀治 | 佐々門信芳 | |
36 | 10月15日 | 敵はゲア・ガリング | 鈴木行 | 金山明博 | ||
37 | 10月22日 | ハイパー・ジェリル | 渡邉由自 | 今川泰宏 | 大森英敏 北爪宏幸 (湖川友謙) | |
38 | 10月29日 | 時限爆弾 | 富田祐弘 | 川手浩次 | 坂本三郎 | |
39 | 11月5日 | ビショットの人質 | 渡邉由自 | 関田修 | 佐々門信芳 | |
40 | 11月12日 | パリ炎上 | 富田祐弘 | 井内秀治 | 遠藤栄一 坂本英明 矢木正之 (湖川友謙) | |
41 | 11月19日 | ヨーロッパ戦線 | 今川泰宏 | 金山明博 | ||
42 | 11月26日 | 地上人の反乱 | 渡邉由自 | 鈴木行 | 大森英敏 北爪宏幸 (湖川友謙) | |
43 | 12月3日 | ハイパー・ショウ | 富田祐弘 | 川手浩次 | 佐々門信芳 | |
44 | 12月10日 | グラン・アタック | 関田修 | 坂本三郎 | ||
45 | 12月17日 | ビヨン・ザ・トッド | 渡邉由自 | 井内秀治 | 大森英敏 北爪宏幸 (湖川友謙) | |
46 | 12月24日 | リモコン作戦 | 今川泰宏 | 金山明博 | ||
47 | 1984年 1月7日 | ドレイク・ルフト | 富田祐弘 | 鈴木行 | 北爪宏幸 (湖川友謙) | |
48 | 1月14日 | クロス・ファイト | 渡邉由自 | 川手浩次 | 佐々門信芳 | |
49 | 1月21日 | チャム・ファウ | 富田祐弘 | 斧谷稔 関田修 | 関田修 | 坂本三郎 |
放送日時は個別に出典が提示されているものを除き、1983年9月時点のものを使用する[36]。系列は本放送当時のものとする。
放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 放送日時 | 備考 |
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中京広域圏 | 名古屋テレビ | テレビ朝日系列 | 土曜 17:30 - 18:00[37] | 制作局 |
関東広域圏 | テレビ朝日 | |||
北海道 | 北海道テレビ | |||
岩手県 | 岩手放送 | TBS系列 | 金曜 17:00 - 17:30 | |
秋田県 | 秋田テレビ | フジテレビ系列 テレビ朝日系列 |
月曜 17:00 - 17:30 | |
山形県 | 山形テレビ | フジテレビ系列 | 火曜 17:00 - 17:30 | [注 13] |
宮城県 | 東日本放送 | テレビ朝日系列 | 土曜 17:30 - 18:00[38] | |
福島県 | 福島放送 | |||
新潟県 | 新潟放送 | TBS系列 | 月曜 17:30 - 18:00[39] | 1983年9月まで |
新潟テレビ21 | テレビ朝日系列 | 土曜 17:30 - 18:00[40] | 1983年10月開局から | |
長野県 | テレビ信州 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
土曜 17:10 - 17:40[37] | |
富山県 | 富山テレビ | フジテレビ系列 | 水曜 16:50 - 17:20(1984年6月27日まで)[41] 火曜 17:20 - 17:50(1984年7月3日、7月10日)[42]。 |
1983年6月22日から1984年7月10日まで放送[43]。 |
石川県 | 北陸放送 | TBS系列 | 木曜 17:00 - 17:30[44] | 1983年4月14日から1984年5月3日まで放送[45]。 |
福井県 | 福井テレビ | フジテレビ系列 | 月曜 - 金曜 16:40 - 17:10[46] | 1984年に帯放送 |
静岡県 | 静岡けんみんテレビ | テレビ朝日系列 | 土曜 17:30 - 18:00[37] | [注 14] |
近畿広域圏 | 朝日放送 | テレビ朝日系列 | 金曜 17:00 - 17:30[37] | 先行放送 |
島根県 鳥取県 |
山陰放送 | TBS系列 | 土曜 15:30 - 16:00 | |
広島県 | 広島ホームテレビ | テレビ朝日系列 | 土曜 17:30 - 18:00[37] | |
香川県 岡山県 |
瀬戸内海放送 | |||
愛媛県 | 南海放送 | 日本テレビ系列 | 水曜 17:25 - 17:55 | |
高知県 | 高知放送 | 金曜 17:00 - 17:30 | [注 15] | |
福岡県 | 九州朝日放送 | テレビ朝日系列 | 金曜 17:00 - 17:30[37] | 先行放送 |
長崎県 | 長崎放送 | TBS系列 | 火曜 17:20 - 17:50 | |
熊本県 | 熊本放送 | 木曜 17:30 - 18:00 | 1984年4月13日まで放送[47] | |
宮崎県 | 宮崎放送 | 水曜 17:25 - 17:55 | ||
鹿児島県 | 鹿児島放送 | テレビ朝日系列 | 土曜 17:30 - 18:00[37] |
富野由悠季は、本作以降もバイストン・ウェルを舞台とする小説やアニメを多数発表しており、ガンダムシリーズと並ぶライフワークとなっている。
『コミックボンボン』および『TVアニメマガジン』の連載はテレビシリーズ放映と同時期、『サイバーコミックス』の掲載はシリーズ終了後。
テレビ放映終了後に全3巻の総集編が1988年2月から8月にかけてにバンダイビジュアルより順次発売された。各巻に1話ずつ、全3話からなる新作(OVA)『New Story of Aura Battler DUNBINE』が1話ずつ収録された。設定上はテレビシリーズの続編(未来世界)とされるが、世界観などの内容はやや異なる。
発売元はバンダイビジュアル
バイストン・ウェルにおける長さの単位「メット」をメートルと解釈し、72分の1スケールと48分の1スケール、ダンバインのみは24分の1スケールも含めてのオーラバトラー各機がプラモデル化された。また、550分の1スケールで主人公の母艦であるオーラシップ・ゼラーナが発売された。
メカニカルなロボットではなく「巨大生物の甲羅を装甲材料にしている」という設定を反映し、当初の製品は表面に「梨地加工」という不規則な細かい凹凸状のモールドが施されていた。しかし、パーツの合わせ目を消すためにやすりをかけると、その部分の梨地モールドも消えてしまい、合わせ目を消した上で全身を均一な質感に仕上げるためには、結局全ての梨地を削り落とす必要があるため、模型雑誌やモデラーからは不評の対象となった。さらに、最初期に出た主役機である「72分の1 ダンバイン」は「似ていない」という評価があったため、放送中に金型を作り直して修正版が発売され、バンダイの発売する冊子『模型情報』1983年8月号で告知された。
プラモデル自体の評価はそれほど高くなかったが、ボックスアートとして使用された開田裕治によるテレビ版以上にファンタジー要素豊かに描かれたオーラバトラーのイラストは好評だった。開田の描くオーラバトラーの翅の描写は模型にフィードバックされ、当初は分厚い磨りガラス状の透明パーツで成形されていた翅が、後期の商品では昆虫の翅のようなデザインとなっている。
なお、プラモデルの旧態依然としたロボット的解釈に飽き足らないモデラーにより、模型雑誌には生物的表現の改造作例が数多く発表された。これを受けて、怪獣模型の解釈を取り入れたガレージキットが海洋堂、コトブキヤなどから発売された。これらの製品には、出渕裕が『B-CLUB』誌に発表した企画、「オーラ・ファンタズム」に登場するオリジナル・オーラバトラーの模型も含まれていた。ガレージキットによって得られたノウハウは、後にバンダイやメガハウスのアクションフィギュアに活かされることとなる。
2000年になって、当時の最新技術でリメイクされた「HGAB(ハイグレードオーラバトラー)」としてシリーズ化され、72分の1スケールのダンバイン、トッドダンバイン、トカマクダンバイン、ビルバイン、ズワァース、レプラカーン、ビアレス、ライネックの8種類が発売された。
また、同年には35分の1スケールの「MG(マスターグレード)ダンバイン」も発売された。
2020年代に入ってから、HGシリーズでリアルロボット模型の更なる見直しとして、各番組メカのリリースが行われたのに伴い、72分の1スケールで新登場のサーバイン、リメイクとしてダンバイン、ビランビーが発売された。
「ぱちんこCR聖戦士ダンバイン」として2015年にサミーより登場。キャラクターデザインは一新されている。
2023年には後継機として「ぱちんこP聖戦士ダンバイン2 -ZEROLIMIT HYPER-」が登場した。
永野護の漫画『ファイブスター物語』に登場するモーターヘッド・ファントムとバナロッテは1994年頃、永野が『聖戦士ダンバイン』の劇場用完全新作に向けたオーラバトラーのデザイン依頼を富野から受けて描いたものである[49]。
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