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フィクション作品のサブジャンル ウィキペディアから
異世界(いせかい)は、語義としては現実世界とは異なる世界のことであるが、日本のフィクション作品(主にライトノベル、漫画、アニメなど)におけるサブジャンルのひとつとしても用いられ、現代とは異なる魔法が有効などのファンタジー世界を舞台にした物語。派生ジャンルとして、現代で死んで異世界に生まれ変わる異世界転生、異世界に移動する異世界転移(召喚)、異世界の人物に心が乗り移る異世界憑依(成り代わり)などがある。
物語の類型として、近代人が中世もしくはそれに似たファンタジー世界にタイムスリップまたは転移し、自分の時代の知識を持ち込むという設定の作品の早い例にマーク・トウェインの『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』[1]、C・S・ルイスの『ナルニア国物語』がある。
欧米ファンタジーの影響を受けた異世界召喚ものの嚆矢は高千穂遙『異世界の勇士』(1979年)とみられている[2]。
1992年から刊行されている『十二国記』シリーズが累計1000万部を突破する人気作となるなど、異世界ものは継続的に人気を得ているが、今日のジャンルの広がりは、2004年から刊行された『ゼロの使い魔』のヒットから、小説投稿サイト「小説家になろう」に異世界ものの作品が多数投稿され、そこから書籍化・アニメ化される作品が増えていったことを発端とする[3][4]。なお、1994年には聖悠紀がコミック『黄金の戦士』を書いている。
「ヒーロー文庫」「アルファライト文庫」など、事実上の異世界専門レーベルも相次いで創刊され、異世界を舞台にした作品が多くあるジャンルがなろう系と呼ばれるようになり[5]、2015年から2016年にかけて募集、選考された「小説家になろう」開催の第4回ネット小説大賞では受賞作が軒並み異世界ものという事態になった[6]。異世界を題材にした作品があまりにも増えているため、2017年にはKADOKAWAのライトノベルレーベル「NOVEL 0」主催の小説コンテストや、文学フリマならびに「小説家になろう」協同主催のコンテストではこのジャンルの作品を投稿することが禁止になった[7]。2018年に『週刊少年ジャンプ』が開催した新人賞「Jスタートダッシュ漫画賞」の投稿作で一番多かったのは主人公がいきなり死亡したり死後の世界から始まるもので、同誌は「衝撃的ではあるが、単に馴染みのない人間(キャラクター)が死んでいる、というだけでは興味を持ってもらいにくいぞ!どんなキャラクターがどんな死に方をするのか、というところまで踏み込んで描写してみよう!!」としている[8]。
異世界転生を競技化し娯楽として観戦するなど、ジャンル自体をパロディ化した作品も発表されている[9]。
「小説家になろう」では、「異世界転生」と「異世界転移」を以下のように定義している。
他にも、「異世界憑依」があり、これは異世界で既に存在している人物の身体に入り込み、現地(異世界)の人物として生きることである。
『はたらく魔王さま!』などのように、(地球人から見た)異世界から現実世界(地球人の世界)に転移する作品や、『異世界食堂』や『異世界居酒屋「のぶ」』、『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』など、何らかの形で現実世界と異世界を往復する作品、『はぐれ勇者の鬼畜美学』や『異世界おじさん』のように異世界で活躍し役割を終えた後で現実世界に戻ってからの後日談を描いた作品も存在する。『十二国記』シリーズのように、複数の人間が異世界へ転移するが、異世界側では人が生まれる前に流されて地球で生まれることがあるという設定もある。また同作品には地球で生まれてしまったが、異世界へ連れ戻される人物も登場する。
その他、『この素晴らしい世界に祝福を!』や『異世界はスマートフォンとともに。』など、現実世界で一度死亡しながらも、人物としての同一性を保ったまま異世界に移動するという作品も存在する[注釈 1]。
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