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日本における鉄道の駅 ウィキペディアから
日本の鉄道駅(にほんのてつどうえき)は、日本における鉄道の駅について記述する。
日本では駅員が配置されている鉄道駅については乗車券等や入場券を持たないと乗降場に立ち入ることが出来ないようになっているのが一般的である。駅員が乗車券を検査・回収する出入口を改札口と呼ぶ。現在では都市部を中心に、乗車券の自動販売機(自動券売機)や自動改札機が多く用いられている。
また、かつての日本国有鉄道(国鉄)には仮乗降場という施設が存在し旅客の乗降を扱っていたが、こちらは正規の鉄道駅ではなく各地方管理局の権限で設けられた乗降のための施設で、主に北海道内に設置されていた。仮乗降場は1987年の国鉄分割民営化までに所属する路線そのものの廃止や正式な駅への格上げによって姿を消した。
日本における扱う貨客や運営形態、構造などは、おおむね以下のように分類される。以下は基本的に旧日本国有鉄道の定義に準拠する。
旅客と貨物双方を扱う機能を有しているものを指す。営業内容に小荷物取扱が含まれることもあるが、国鉄では荷物列車と共に1986年(昭和61年)11月1日の白紙ダイヤ改正をもって廃止されており、JR各社にも引継がれてはいない。
明治時代の鉄道開業当初の主要駅は、旅客も貨物も扱う一般駅として開業したところが多いが、その後明治中期以降の貨物取扱数増加によって、大都市ターミナル駅では貨物駅を分離させたケースが散見される(例・JR大阪駅と梅田貨物駅)。
一方、路線中間にある駅では、1970年代以降の貨物輸送の低迷による合理化で、1984年に貨物列車の運行形態が車扱貨物からコンテナ列車主体に転換されて貨物取扱駅が整理され、一般駅は大幅に減少した。現状残っている一般駅は、ほとんどがコンテナ取扱拠点を併設していたり、石油類の発着拠点(製油所、油槽所)に接続する駅である。
なお、品川駅や名古屋駅などのように貨物設備がなく一見すると旅客駅のようなものや(品川は1994年まで貨物扱いがあった)、仙台貨物ターミナル駅や東京貨物ターミナル駅などのように旅客設備が無く貨物駅のように見える一般駅(元々は貨物駅だが、いずれも国鉄末期の1986年に形式上旅客取扱を開始し、旅客会社も継承)も存在する。
旅客が乗降するための駅。一般的に「駅」というと、旅客を扱う旅客駅あるいは一般駅を指す。
貨物を積み降ろしするための駅。俗に言う「貨物基地」。貨物列車のみが停車し、一般客は乗降出来ない。列車の組成を行う操車場(ヤード)もこの貨物駅の一種にあたる。拠点となる貨物駅には「○○貨物ターミナル駅」のような名称がつけられているものも多い。また鉄道輸送の速達化によって、E&S(着発線荷役)方式という新技術も導入されているものや、貨物列車の発着がないオフレールステーションとなっているものもある。
駅員が配置されている鉄道駅のこと。運営形態により、さらに下記の3つに分類することが出来る。
鉄道会社の正規社員が駅業務を行う駅のこと。駅の要員規模にもよるが、駅長・副駅長・助役(JR西日本は“係長”も存在)・一般社員全てが配置されている駅、駅長+一般駅員、一般駅員のみ配置の駅も存在する。また委託駅や無人駅などを管理している駅も多く存在する。
鉄道会社の関連会社(ステーションサービスなど)等に、運転取扱を除く全ての業務を委託している駅。利用者にとって直営駅と大差はない。近年は駅ナカ商業施設や車両・駅舎清掃などの駅周辺付帯事業を運営する子会社に駅業務を委託する場合もある。
業務委託駅の駅員は、鉄道会社の制服を着用している場合と、委託先の制服を着用している場合がある。
JRと他社私鉄や地下鉄との共同使用駅の一部では、他社側に駅業務を委託している駅がある。このような駅の場合、JRの乗車券類の発売に制限が生じる場合がある。
なお、JR以外にも駅業務を関連会社に委託している鉄道会社が増えてきている。
一般的に委託駅と言うとこの形式を示すことが多い。業務委託駅と区別するため、「簡託(駅)」「簡委」と通称されることもある。乗車券類の発売(出札業務)が、鉄道会社から市町村・農協・駅前商店・個人などに委託された駅をいう。
基本的に、簡易委託駅の駅員は乗車券類発売など、窓口の出札業務だけを行う。このため、集札及び改札などの業務は、その駅に停車する列車の乗務員(車掌若しくはワンマンの場合は運転士)が行う。ただし、小浜線の美浜駅や、芸備線の備後庄原駅などのように、簡易委託駅でも駅で改札業務を行う駅も存在する。
形態的には駅舎内で乗車券類を発売する駅と、受託者の自宅や商店などで発売する駅がある。
駅舎内で委託している場合でも、委託駅員が直接客扱いを行うことはなく、窓口で発売される乗車券類も、原則として近距離乗車券や回数券等に限られるなど制約がある。ただし、JR北海道・JR東日本・JR西日本・JR九州管内においては、子会社や市町村などの公益団体、一般企業への委託を中心とした一部の簡易委託駅で委託駅員が集改札や精算を行っているケースもみられるので、一概には言えなくなっている。また、市町村・企業委託などの場合は全国の乗車券・指定券を販売できる契約を結ぶ例もある。簡易委託駅の委託駅員は市販の事務服などの私服や委託企業の制服で勤務しているケースが多い。
受託者側に発売所を置いている場合は、駅舎があっても駅業務には使用されず、外見上には無人駅と変わりがない。また、国鉄時代に簡易委託化される場合は官報または国鉄により公示されていた。公示は単に「無人駅化」であるが、この意味は国鉄職員を配置しないことであり、委託者についてはこの限りではない。
なお、営業時間が24時間でない駅もあるため、高山本線や太多線のように夜間にワンマン列車を運転する路線については、回収ボックスに入れる形式となっている。上記路線の他にも、JR東海管内の東海道本線・中央本線以外の路線では閉鎖時間は車掌が集札を行っている。
簡易委託駅の売上金は、決められた日に管理駅へ納入することになっている。切符販売委託料は各会社ごとに決められており、JR東日本の場合は1枚につき額面金額の5%(ただし定期券は1.8%)となっている。JR西日本では常備券の束が1冊11枚綴りになっており、10枚分の値段で管理駅から購入する。11枚売り上げの内、1枚分が受託者の収入となる。また、市町村委託でJR東海と同様にジェイアール西日本交通サービス等のJR西日本の関連会社や地元の旅行会社・タクシー会社に再委託する場合はマルス端末やPOS端末が設置されたり、指定券の販売をマルス端末または料金専用補充券で行う場合もある。また、市町村やNPO法人などへの委託の場合、券売機やICカードチャージ機の設置で切符販売を取りやめても、券売機やチャージ機の売上から受託者が販売手数料を受取る形で簡易委託扱いを継続している例がある。
駅員が常駐していない駅のこと。「駅員無配置駅」とも呼ばれる。
運営会社より所定の独自裁量権限を与えられている駅。駅長が最高権限を持つ。管理下にある駅(被管理駅)に社員をラッシュ時のみ派遣するといった人事権の一部も認められていることが多い。また近隣の業務委託駅・簡易委託駅の指導や被管理駅・無人駅の整備なども行う。なお、JR九州では業務体制見直しに伴い、無人駅整備に限れば、一部地域で、直営駅ではなく鉄道事業部工務センター担当となっている[注釈 2]。
乗降客の多い駅が管理駅と思われがちだが、実際の分布を見ると乗降人口よりも鉄道施設の充実度が重視されている傾向にある。例えば兵庫県の明石駅は明石市の中心部にあり、隣の西明石駅より1万5千人以上も多くの乗降客があるが、西明石駅傘下となっている(ただし地区駅として駅長を配置)。
また配置人員が少ない管理駅では、近隣の管理駅からの助勤が頻繁に行われている。
JR東日本の場合、管理駅を地区ごとにまとめ、その中で重要な駅を地区駅とし、その地区駅の駅長は「地区駅長」を兼務する。例えばJR東日本仙台支社古川地区の地区駅長は古川駅長が兼務し、石巻駅・小牛田駅・くりこま高原駅を統括していた。各地区ごとに地区指導センター、地区センター、サポートセンター等の後方支援業務を中心に行う部署を設置している支社もある。
JR東日本新潟支社のように周辺駅管理業務を地区駅に集約し、地区駅以外の直営駅は自駅単独管理となっているケースもある。例えば酒田地区は酒田駅と鶴岡駅が直営駅としてあるが、鶴岡駅は自駅のみ管理し、その他の無人駅・簡易委託駅・業務委託駅の管理はすべて地区駅である酒田駅が管理駅として行っている。
JR東日本においてはいくつかの管理駅や地区センター等を融合した営業統括センターやさらに乗務員職場(運転区・車掌区・運輸区)を融合した統括センター化を進めており、従来の地区という区分が薄れつつある。新潟支社のように新潟・長岡・酒田の3地区をそのまま新潟・長岡・庄内の各統括センターとしたところもあれば、高崎支社のように前橋地区を前橋統括センターと渋川営業統括センターに分割したケースもある。盛岡支社のように八戸地区を青森地区に統合したものの、営業統括センター設置にあたり、旧来の青森地区は青森営業統括センター、旧来の八戸地区は八戸営業統括センターと再度分かれたケースも存在する。
なお、会社ごとで用語・体制が異なるためか、JR西日本の場合は、JR東日本での「地区駅」に相当する駅(鉄道部制の線区・区間でも管理駅が複数ある場合もあり)を「管理駅」とし、その傘下にある拠点駅を「地区駅」として駅長(部内的には管理駅の助役)を配置して、管理業務を分担している[2]。
管理駅より限定された裁量権限を与えられている駅。直営駅では助役(複数の場合は筆頭助役)が最高権限を持ち、駅長の肩書きを与えられている場合もある。しかしその裁量範囲は管理駅に委ねられており、重要な決裁は管理駅の駅長が行なう場合が多い。委託駅・無人駅では管理駅長がそのまま兼任したり、管理駅の中で担当助役が任命されているようである。
なお、管理駅から駅員が派遣されている直営駅のことを派遣駅という。派遣駅は基本的には前述の通りだが、実際には派遣駅在勤の駅員が配置されていることもある。この場合、所属は管理駅だが配置箇所は派遣駅となっている。なお派遣駅在勤の駅員は配置人員が少ないため、日常的に管理駅からの助勤が行われている。
設置された後、原則として通年営業を行う駅。
特定の時期にのみ営業をする駅、あるいはイベントなどで一時的に設置されて営業を行う駅。臨時駅も参照。
駅自体は存在するが、何らかの理由で列車が止まらない駅。休止駅も参照。
JR(国鉄)の鉄道駅は、それぞれに対し1つ所属線が定められている。複数の路線が集まる駅でも同様で、所属線以外の路線が乗入れる形になっている。基本的に駅の設置と同時に開業した路線が所属線となるため、隣の駅でも所属線が異なる場合がある。
また、元々の所属線が他事業者へ転換となった場合、その駅の所属線は残存した接続路線に変更される。これは特に整備新幹線の並行在来線が経営分離されることで発生することが多い。以下に例を示す。
駅は、単に列車の乗客を乗降させるという役割に留まらない。駅ビルを併設したり、ホーム等に売店・食堂などの店舗を設置したりすることは古くから行われてきた。
駅構内にコンビニエンスストアや、複数の飲食店、書店、衣料品店などの、いわゆる「駅ナカ」と称したショッピングゾーンが設置されることがある。これらに加え、コンサートや展示会等のイベントが行われたりするなど、鉄道利用者の生活支援や文化活動なども色々と行われている。
また、2000年に制定された高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(交通バリアフリー法。2006年に高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律へ移行)により、高齢者や障害者に使いやすい環境を整えることが求められている。
これにより、エスカレーターやエレベーター、障害者やオストメイトに対応したトイレの設置が広まり、障害のある人にもより使いやすいようになりつつある。
国土交通省により2010年までに、乗降客5000人以上の駅で段差が5m以上ある場合、エレベータ・エスカレータにより段差を解消することなど、移動円滑化を図ることを目標にしている。さらに、一部の路線の駅では、線路への転落事故を防止するためのホームドアの設置が行われており、安全にも配慮がなされている。
かつては小さな駅でも貨物や運転を取扱うために駅員がおり、小さい駅でも一定以上の規模の駅舎が必要だった。しかし最近は人件費節約や、維持に費用の掛からないもの(メンテナンスフリー)を優先するような経営姿勢により、乗降客が非常に少ない場合は、地方を中心に無人駅化される例が多く見られるようになった。かつての駅舎が撤去され、待合室のみ、出札小屋のみ、あるいは建物が何もない駅なども出てきた。一方、都心部では駅に人が集まることを利用した駅ビルや、自由通路を兼ねる橋上駅舎などが増えている。
駅の利用人員は通常、改札を通過した人員数で表され、乗車のみを集計した「乗車人員」または降車も合算した「乗降人員」が用いられる。日本においては、JRでは前者、その他の事業者では後者が主に用いられている。
この数字には直通運転により事業者をまたがる場合も集計される一方、同一事業者間での乗継は考慮されないなど、感覚的な駅の利用者数とは必ずしも一致しない。
建築基準法には「駅舎」の用語はないが、同法2条でこの法律が適用される「建築物」から除外されるものとして「鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上屋、貯蔵槽その他これらに類する施設」が挙げられている。したがって、プラットホームに接する出改札施設、駅事務室などは同法の適用を受けないとされる。橋上駅や地下駅の階段や通路も同様である。ただし、駅施設と一体になったいわゆる「駅ビル」の商業施設、一般居室ならびに避難設備は構造を含め建築基準法の適用を受ける。詳細の運用は特定行政庁により異なる。また、同法40条の規定により地方自治体が条例で規制を付加することが出来るので、安全やユニバーサルデザインの観点からこれを定めるところがある。また、都心部における土地の有効利用の観点から鉄道を含めた高架工作物の敷地内では、建築基準法の道路斜線、日影規制など集団規定の一部の適用が除外されることとなっている。
など(*は新駅舎への移行または廃線・廃駅により現在駅舎として使用していないもの)
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