梶ヶ谷貨物ターミナル駅
神奈川県川崎市宮前区にある日本貨物鉄道の駅 ウィキペディアから
神奈川県川崎市宮前区にある日本貨物鉄道の駅 ウィキペディアから
梶ヶ谷貨物ターミナル駅(かじがやかもつターミナルえき)は、神奈川県川崎市宮前区梶ケ谷にある日本貨物鉄道(JR貨物)の貨物駅である。武蔵野線所属。
川崎内陸部工場地域の貨物利用、および、多摩田園都市・港北ニュータウンなど周辺地域の人口を背景とする消費物資の到着が期待できることから、小杉トンネルと生田トンネルに挟まれた明かり区間に設置された貨物の拠点駅である。開業により、南武線の稲城長沼駅・武蔵溝ノ口駅の貨物取扱業務が当駅に集約された。また、尻手黒川道路を介して東名高速道路・第三京浜道路・国道246号(厚木街道)に近く、これらの幹線道路によって東京都南西部をも駅の勢力圏内とできることから、山手線の恵比寿駅・渋谷駅の貨物取扱も当駅に集約された。
『武蔵野線工事誌』によれば、敷地面積は17万7000平方メートルであり、当初、将来的な貨物取扱量は年間170万トン、1日あたり貨車400両と計画された。
築堤(一部高架)上にある高架駅。トンネルとトンネルの間の短い地上区間に設置されている。
1面2線のコンテナホームがある。ホームは長いが、東側約300メートルのみ使用されている。駅構内のホーム付近は、南側から上下本線、着発線4本、仕分け線4本、荷役線、ホーム、荷役線、仕分け線3本の順に並んでいる。荷役線と着発線は、府中本町駅方面へ伸びる引上げ線で繋がっている。なお、府中本町方面に伸びる引上げ線は生田トンネル内にまで伸びている。なお、駅の業務は神奈川臨海鉄道が受託している。
ホームの北側には、駅舎や総合物流施設「エフ・プラザ梶ヶ谷」などが置かれている。エフ・プラザ梶ヶ谷は2棟あり、旭食品(旭食品棟)、サントリー(サントリー棟)が使用している。また、敷地内にロイヤルホームセンター梶ヶ谷店があり、敷地内の道路はホーム部分を除いて一般車も通行することができる。
駅舎の上には国鉄・JRのコンテナを模した看板が掲げられている。国鉄時代、この看板は帯を巻いたC20形コンテナのようなデザインであった[3]。
近年の年間発着トン数は下記のとおり。
年度 | 発送トン数 | 到着トン数 | 出典 |
---|---|---|---|
1998年 | |||
1999年 | |||
2000年 | |||
2001年 | |||
2002年 | 273,556 | 107,920 | [統計 1] |
2003年 | 262,108 | 100,880 | [統計 2] |
2004年 | 254,078 | 97,432 | [統計 3] |
2005年 | 208,652 | 92,858 | [統計 4] |
2006年 | 132,957 | 69,509 | [統計 5] |
2007年 | 142,696 | 70,939 | [統計 6] |
2008年 | 139,618 | 63,329 | [統計 7] |
2009年 | 131,891 | 57,596 | [統計 8] |
2010年 | 120,838 | 57,284 | [統計 9] |
2011年 | 108,623 | 56,370 | [統計 10] |
2012年 | 112,066 | 53,278 | [統計 11] |
2013年 | 136,842 | 63,060 | [統計 12] |
2014年 | 141,793 | 67,221 | [統計 13] |
2015年 | 142,152 | 64,399 | [統計 14] |
2016年 | 141,168 | 59,043 | [統計 15] |
2017年 | 181,870 | 69,415 | [統計 16] |
2018年 | 190,066 | 67,934 | [統計 17] |
2019年 | 286,342 | 91,314 | [統計 18] |
2020年 |
川崎市の生活廃棄物輸送の発駅で、1日1往復(休日運休)の専用列車「クリーンかわさき号」が神奈川臨海鉄道浮島線末広町駅まで運行されている。
1995年10月、運行開始[2]。市北部地域の住宅地で発生した生活廃棄物を東京湾臨海部の浮島処理センターに運ぶため、川崎市がJR貨物に鉄道輸送を提案した。臭気を憂慮したJR貨物であったが、川崎市が清掃車で培った技術を利用した専用コンテナを作成することで、運行が可能となった。当駅で積み込まれた廃棄物は、川崎区浮島町にある浮島処理センターまで運ばれる。粗大ごみ・一般ごみ・資源ごみ・焼却灰を川崎市の市有コンテナやJR貨物のコンテナで輸送する。なお、このような家庭ごみを運ぶ列車は、2011年5月現在、日本唯一である[4]。2013年9月、新造した専用コンテナ(UM8A-9000)を使った資源ゴミ(プラスチック製容器包装)の輸送を開始した。
従来はトラック輸送であったものを貨物列車に置き換えることで、大気汚染や地球温暖化や道路渋滞といった環境負荷の軽減を図っている。川崎市のゴミ総量の6%に当たる年間約2万5000トンを運び、トラック輸送と比較して二酸化炭素排出量を年間170トンあまり削減している[4]。
なお、新潟県中越沖地震で柏崎市のごみ処理施設が被災し、ごみの処理ができないという問題が発生したため、南長岡駅から当駅を経由し処理施設のある浮島までの貨物輸送を行ったこともある[4]。
当駅直下でリニア中央新幹線の第一首都圏トンネルが交差し、付近に保守用車留置施設と非常口が設置される予定である[5]。 2017年5月26日から、リニア中央新幹線梶ヶ谷非常口及び資材搬入口新設工事によって発生した廃土を、当駅から扇町駅を経て川崎臨海部の三井埠頭までの間を、武蔵野南線・南武線(尻手短絡線・浜川崎支線)・鶴見線本線・三井埠頭専用線経由で運ぶ専用貨物列車の運行が始まった。これには「クリーンかわさき号」の運行実績と、JR貨物が推し進めている静脈輸送の好評が背景にあるという[6]。
駅の東側に尻手黒川道路が走っており、駅はこの道路からインターチェンジまで伸びている。
また、このインターチェンジの下にあり、幅広い貨物駅の下を貫通するトンネル(第二梶ヶ谷架道橋、通称梶ヶ谷トンネル・北緯35度34分49.9秒 東経139度36分29.2秒)内では2006年9月に通り魔殺人事件が発生した。犯人は長らく検挙されなかったものの、別の事件で逮捕・服役していた男が当該事件に関与していたことを2016年1月にほのめかし、2017年10月に逮捕された[7][8]。
この事件後、「貨物駅の下にあり距離が長い」・「トンネルは照度が暗い」・「歩道に柵があり逃げられない」・「落書きが多い」などの問題点が指摘され[9]、行政が対策に乗り出している[10]。2007年8月に地元中学生によって、水族館をイメージした壁画がトンネル内に描かれ、また現在は4カ所に防犯カメラが設置されている。
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