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AV機器のブランド、およびそれを製造する企業 ウィキペディアから
アイワ(aiwa)は、オーディオ・ビジュアル(AV)機器をはじめとする家電機器のブランドである。2代目法人は十和田オーディオの子会社である。グローバル事業本部を有するAIWA Electronics Internationalの本社所在地は台北市[1][2]。
歴史上の源流となる初代法人の創立から現在の2代目法人への事業継承までは、複雑な変遷をたどっており、本項ではこれらを時系列で解説する。
初代法人の倒産後、別の米国企業による製品展開が一時行われたほか、日本では2017年から2023年まで資本系列の異なる複数企業がブランドを共有していたが、2024年現在は「アイワマーケティングジャパン株式会社」が商品展開をしている。
アイワ株式会社(英: AIWA CO., LTD.・初代)は、かつて同ブランドのオーディオ機器を製造していた企業(後述)。1969年(昭和44年)に業績不振によりソニー(現・ソニーグループ)のグループ会社となった。再度の業績不振で2002年(平成14年)12月1日にソニーに吸収合併され、アイワはソニーの1ブランドとなり、2008年(平成20年)に終息した。
2015年にアメリカでアイワブランドが復活(後述)。2017年4月11日に北米・南米以外のほぼ全世界でアイワの商標使用権を取得した十和田オーディオが日本で新たにアイワ株式会社(英: AIWA CO., LTD.・2代目)を設立し[3]、同年12月にCDラジカセ等を発売[4]。
2019年1月現在はCDラジカセ・CDラジオデジタルレコーダー・液晶テレビ・短波ラジオ(ワールドバンドレシーバー)などを販売し、今後もBluetoothスピーカーの発売ほか、順次ラインナップを拡大[5]。
「アイワ」の語はアラビア語エジプト方言で"yes"(はい)の意味で、エジプトなど中東一部地域でソニーよりも知名度が高い[5]。中国語では「爱华」や「愛華」[注 1]と表記する。中国を愛するの意味も含み、ヘッドホンステレオなどが中国大陸で人気が高かった。
安価でありながら基本性能を抑えた堅実なものづくりで、学生や低所得層に人気があり、アジアで市場占有率が高かった。2008年にブランドは終息するが、2015年から一部海外で、2017年から国内を中心として、段階的に復活している。詳細は副節#ブランド復活・#年表などを参照。
1951年に愛興電気産業株式会社(あいこうでんきさんぎょう)として創立。「愛興」の意味は、創業者の池尻光夫(いけじりみつお)が、会社を興す以前から愛知県でマイクロフォンの製造を行っていたため、そこから「愛知県で興した事業」という意味をもつ社名にした。創業時より、愛興の「愛」を丸で囲んだマークを使用しており、そのマークを「愛輪(あいわ)」と呼んでいた事がブランド名の由来になり、その後1959年にブランド名のアイワを社名とした。ブランド名の「アイワ」には「愛と和(ラブ・アンド・ハーモニー)」の心で品質の優れた使いやすい商品を世界の人々に提供したいとの意味が込められている。その他のブランドとしてピュアオーディオ向けの「EXCELIA(エクセリア)」(1987年 - 1990年)とゼネラルオーディオ向けの「STRASSER(シュトラッサー)」(1988年 - 1991年)を展開していた。
1966年に日本初の国産コンパクトカセットレコーダ(TP-707P)を発売。高級オーディオも製造し、ヴェロシティマイクロホンなどはNHKに用いられた。BTS1級のDM68、国会で用いられたDM99等名機を生んだ。尤も、1991年9月に発売された最高級カセットデッキのXK-S9000は音質面でも優れ、ダイレクトドライブ(DD)式モーターを全く使用せず、キャプスタン専用・再生専用・早送り/巻戻し専用にそれぞれ独立したDCモーターを3基搭載し、0.018%という低ワウ・フラッターを達成した超高性能機種故に2020年代の今日でもかなり評価が高く、中古市場でも完動品、ジャンク品に関係なくかなり高い相場で取引されている。ドルビーC(1981年)およびドルビーS(1991年)といった各種次世代ドルビーノイズリダクションシステムやドルビーHX PRO(1982年)といった録音専用アクティブサーボバイアスシステムも世界で初めて搭載された[注 2]。
1980年代にヘッドホンステレオ「カセットボーイ」を発売し、当時のミニ独立国ブームに乗って「カセットボーイ共和国」なる企画も展開した。カセットボーイシリーズはAMラジオ・FMラジオ・TV音声チューナー付きや、タイマー録音も出来るハイスペック機種や、ゴールドモデルを発売するなど、他社との差別化を図った。
ヘッドホンステレオはケンウッド(現・JVCケンウッド)、日本電気(NEC)、A&D(旧・赤井電機)、日立製作所に一部OEM供給された。一時は船井電機(2024年10月24日経営破綻)よりOEM供給を受け、ホームベーカリー「パン工場AHB-15」など、調理家電も販売した。
コンシューマー向けDATデッキを日本で初めて発売した。デッキはEXCELIAブランド、ポータブル及びミニコンポサイズデッキはSTRASSERブランドで販売した。ポータブルDATのHD-S1はSCMS規格対応、ベータ方式のAVimaxのビデオデッキ製造も参入した。オーディオメーカーとして音質の高さをアピールし、TVチューナー分離型などユニークな商品も発売した。ソニーブランドのベータデッキも宇都宮事業所で製造を請け負った。
当時のアイワ製品は全般的に低廉良価・高品質な製品が多く、一定数存在する「アンチ大手メーカー」ユーザーを取り込む事にも成功した。
アマチュア無線を用いたパソコン通信の一種であるパケット通信用インターフェース「APX-25」、ターミナルノードコントローラの製造販売にも参入し、後に販売される通信用モデム市場を築いた。1990年代にはニフティサーブやPC-VANに代表されるパソコン通信が流行、それに伴い通信用モデムの需要が増し、オムロンやサン電子と激しくシェアを争った。1995年にWindows 95が発売され、インターネット接続が簡単に行える環境が整い、モデム事業が活況を迎えた。
この頃から、他社よりも安くコストパフォーマンスの良いミニコンポやテレビデオを大量に海外生産し、大手家電量販店にて大量販売しアイワは売上を伸ばした。ラインナップ拡充の為、車載可能な「10型ブラウン管テレビデオ」に関しては、当時ホームセンター販売が主流だったオリオン電機から調達して販売した。
1992年にAMステレオ放送が開始されると、ソニーとともに積極的にAMステレオ対応機種を発売したが、実際はソニーよりも膨大な数のAMステレオ対応機を発売した。AMステレオ対応ポケッタブルラジオCR-D60は一時期販売店で品薄が続き、「伊集院光のオールナイトニッポン」でリスナーからCR-D60及び他社のAMステレオ対応ポケッタブルラジオの在庫状況を知らせるなどのコーナーがあった。ミニコンポ、ラジカセのほかに上記カセットボーイシリーズもAMステレオ対応機種を発売した。
1990年代前半はオーディオ市場をリードし安泰に乗り切った様に見えたが、後半は新市場の創造創出が出来ず、時流に乗り遅れ始め先行きは陰りを見せ始めた。2000年に入り、デジタル・IT化の流れが急速に押し寄せ、アナログ商品主体だったアイワ単独の生き残り策は描ききれなかった上に、親会社ソニーの不振が決定打となり、ソニーとの合併に至った。当時のアイワ経営幹部は「最新のデジタル関連の技術がわかる技術者がたった10人程度しかいなかった」と苦渋の決断を経済誌[要出典]に語った。
ソニーとの合併後、アイワのブランドは一時的にソニーマーケティング株式会社が扱った。日本国内では低価格のCDラジオ、ラジオ、ラジオカセットレコーダーなどが主力商品であった。特にラジカセとテレビデオはスーパーマーケットやショッピングモールなどの店舗や売り場の前で使用する商品PR用に大量に使用された(合併前も同様)。
デジタルオーディオプレーヤーでは、ソニー/ウォークマンブランドと異なり、MP3のみ対応のプレーヤーも発売していた。MP3CDプレーヤー「XP-ZV1」及びヘッドホン型メモリープレーヤー「AZ-FS256」が発売中止に追い込まれ[注 3]、「HZ-WS2000」および「HZ-DS2000」がHDDを小容量のものに変更して発売されるなど[注 4]、製品トラブルにも見舞われていた。
ソニーのブランドとなった際、ロゴマークが改められた。基本的にソニーのロゴマークは併記されていないが、付属品のACアダプターなどには、ソニーのロゴが入っていた事例があった。
2005年1月21日に発売されたダブルカセットCDシステム「CSD-W330」を最後に新製品の開発は終了。ただし設計はソニーに引き継がれ、2008年2月にソニーブランドとして発売されたダブルカセットCDシステム「CFD-W77」は、前述の「CSD-W330」と一部のデザインを除いてほぼ同一である。
日本国外においては2007年頃よりアイワブランド製品の販売を順次終了。各国のアイワウェブサイトは製品紹介のページが閉鎖され、サービス告知のみとなった。
日本は2008年春に製品の出荷を終了して5月14日にソニーが正式にアイワブランドの終息を発表した。ただしアイワ時代からのアフターサービスは今後も行う。
アメリカではMarkThomannが運営するシカゴのブランド買収会社、Dormitus Brands社が2015年2月にアメリカでの商標権を取得[8]。同社から商標権を受けた同じくシカゴに本拠を置く一般消費者向けハードウェアスタートアップ企業、Hale Devices社が同年4月より本格的に製品展開を開始した[9]。
日本は、2017年2月に十和田オーディオが北米・南米以外のほぼ全世界で「アイワ」ブランド商標権をソニーから取得し、同年4月に子会社としてアイワ株式会社を設立した。取締役の中村和臣氏は旧アイワ出身、同社出身で音質に詳しいベテラン技術者も在籍する。
アイワのグローバル展開においては、本社となるAIWA Electronics International社を台湾に設立。従来通りのオーディオやAndroid搭載4K液晶テレビ、エアコン・洗濯機・冷蔵庫・掃除機・炊飯器など初代法人では実現できなかった白物家電を発売する。世界100か国以上でビジネスパートナーシップを結び、2021年冬期に世界規模でOLEDスマートテレビの発売を予定している。
日本の販売は角田無線電機の全額出資によるアイワ・ジャパンマーケティング株式会社 (→アイワジャパン株式会社→現・株式会社KINUJO JAPAN)が担当していた。2017年12月の製品発売後、順次ラインナップを拡大しビックカメラグループオリジナルモデルも販売した[4]。なお、2009年以前に製造されたアイワ製品に関するサポートは、引き続きソニーが担当する[10]。法人登録としては十和田オーディオが上位組織となっているが、販売ルートを始め組織所在地や出資元が角田無線となっており、実質、角田無線(ビックカメラグループとも受け取れる)の傘下。また、オーディオメーカーとしてのアイワではなく、販売品目も大部分がTECSUNを始めとする東南アジアで製造流通している製品を輸入販売するジェネリック家電商社となっていた。
その後、2022年にテクミラホールディングス株式会社傘下のJENESISが「aiwaデジタル」ブランドでスマートフォン等の製造・販売を開始し、2023年06月には十和田オーディオ傘下のアイワ株式会社との合弁で「アイワマーケティングジャパン株式会社」(株主比率:JENESIS:90%、アイワ株式会社:10%)を設立して家電製品全般への進出を発表。2024年にはAV商品に関してもライセンスをアイワ株式会社から取得[11]。
一方で2023年5月に、角田無線電機系列であるアイワジャパン株式会社が同グループの株式会社KINUJO JAPANに吸収合併[12]され、合併後も液晶テレビやCDラジカセなどの製品の販売は一年ほど継続されていた。しかし、2024年8月現在、アイワマーケティングジャパンにAV関連のライセンスが移行しKINUJO JAPAN(旧アイワジャパン)の商品領域だったラジカセやポケットラジオなどが「aiwa audio -G」シリーズで発表(一部商品は「株式会社とうしょう」がアイワマーケティングジャパンから公式ライセンスを受け、aiwaブランドでシリーズの一部商品を開発・製品サポート)された事や、アイワ株式会社の「aiwaブランドライセンス商品サポートページ」にてKINUJO JAPAN(旧アイワジャパン)の商品展開が終了している旨の表記[注 5]がされており、KINUJO JAPAN(旧アイワジャパン)のSNSアカウントの投稿更新が一年以上停止中であることを含め、アイワマーケティングジャパン株式会社と入れ替わる形で実質的に商品展開を終了している。
プレスリリースにてAIWA CORPORATION(米国・シカゴ)は「アイワ株式会社(日本・東京)およびアイワジャパン株式会社(日本、東京)、AIWA Electronics International Co., Ltd.(台湾・台北)とは一切関係がない」と発表している。[13]
2020年9月、日本のアイワ株式会社とアメリカのAIWA CORPORATIONが経営統合することを発表[14]。これにより、2つの異なる「AIWA」が併存する状況は解消された。
など。
すべて、旧アイワ時代においてスポンサードしたもの。
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