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東海旅客鉄道・西日本旅客鉄道が運行している特別急行列車 ウィキペディアから
ひだは、東海旅客鉄道(JR東海)および西日本旅客鉄道(JR西日本)が名古屋駅 - 高山駅・飛騨古川駅・富山駅間および大阪駅 - 高山駅間を東海道本線・高山本線経由で運行する特別急行列車である。
ひだ | |
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HC85系の特急「ひだ」 (2022年7月 名古屋駅) | |
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 愛知県・大阪府・京都府・滋賀県・岐阜県・富山県 |
前身 | 急行「のりくら」「たかやま」 |
運行開始 | 1958年3月1日 |
運営者 |
東海旅客鉄道(JR東海) 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
旧運営者 | 日本国有鉄道(国鉄) |
路線 | |
起点 | 名古屋駅・大阪駅 |
終点 | 高山駅・飛騨古川駅・富山駅 |
営業距離 |
256.1 km(名古屋 - 富山間) 296.5 km(大阪 - 高山間) |
運行間隔 |
名古屋駅 - 高山駅 10往復 大阪駅 - 高山駅 1往復 高山駅 - 飛騨古川駅 5往復 飛騨古川駅 - 富山駅 4往復 |
列車番号 |
20D+号数(高山・飛騨古川発着) 1020D+号数(富山発着) 2000D+号数(大阪発着) |
使用路線 |
JR東海:東海道本線・高山本線 JR西日本:高山本線・東海道本線(JR京都線・琵琶湖線) |
車内サービス | |
クラス | グリーン車・普通車 |
座席 | #使用車両・編成を参照 |
技術 | |
車両 |
HC85系気動車 (名古屋車両区) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 |
直流1,500 V(名古屋 - 岐阜 - 大阪間)[注 1] 非電化(岐阜 - 富山間) |
最高速度 | 120 km/h |
備考 | |
5・25号と16・36号は岐阜 - 高山間で併結運転 1996年7月25日から2022年3月11日まで全列車「(ワイドビュー)ひだ」として運転 |
本記事では、高山本線で運転されていた優等列車の沿革についても記述する。
特急「ひだ」は、1958年3月1日に名古屋駅 - 富山駅間を運転する準急列車として運転を開始し、同年9月に高岡駅まで運転区間が延長され、1966年3月には急行列車に格上げされた。1968年10月1日から特急列車に変更され金沢駅まで運転区間を延長したが、1985年3月14日に飛騨古川駅 - 金沢駅が廃止された。JR発足後、1989年にキハ85系が導入され、1990年3月10日に急行「のりくら」が廃止されたため、一部列車が富山駅まで運転されるようになった。
しかし1990年代後半以降、飛騨地方への道路交通が発達し、2000年の東海北陸自動車道の高山市街地近く(飛騨清見インターチェンジ)までの延伸、その後2008年の全通で自家用車や濃飛乗合自動車・名鉄バス・ジェイアール東海バスによる高速バス「ひだ高山号」及び富山地方鉄道・名鉄バスによる東海北陸道高速バスなどと競合するようになっている。また1997年の安房トンネル開通に伴い、長野県松本市方面への道路状況も改善し、これまで鉄道では結ばれていなかった首都圏直結の高速バスが開設されている。さらに富山までは1日4往復と少なく、高速バスの方が本数が多いため、列車は劣勢を強いられる状態になっている[1]。
その後2010年代に入り、訪日外国人旅行客(インバウンド)の急増に合わせる形で本列車の利用客も増えており、再び勢いを盛り返してきている。そこでJR東海では、ハイブリッド式の新型車HC85系を導入、2022年7月1日より、名古屋駅 - 高山駅間の一部の列車で営業運転を開始した[2][3]。同年12月1日からは富山駅発着の一部の列車においても営業運転を開始し、2023年3月18日からは大阪駅発着を含む全定期列車がHC85系で運転されている[4]。
列車名は、高山市を中心とする岐阜県北部の旧国名である「飛騨国」および「飛騨地方」に由来している。
「ひだ」のヘッドマークは、1980年10月に合掌造りの家と飛騨山脈をモチーフとした絵入りの物に変更されている。当時気動車で運転されていた特急での絵入りヘッドマークは異例のことで、鉄道ファンや子供たちの間で注目を浴びた。これは、ほかの気動車特急走行区間に比べ、利用者が多かったこともあるが、その背景には高山本線の電化事業が計画されていた頃であり、後に「ひだ」を電車特急として走行させる予定(381系振り子式車両の投入が想定されていた)があったためである。その後は国鉄の経営悪化による電化計画の中止後、JRによって高性能のキハ85系が投入され、当列車で営業運転を開始した。また、1985年には他の気動車特急でも一斉に絵入りヘッドマークが採用されることになった。
2024年(令和6年)3月16日現在、名古屋駅 - 高山駅間で5往復(下り1・9・15・17・19号/上り2・4・10・16・18号)、名古屋駅 - 飛騨古川駅間で1往復(下り5号/上り12号)、名古屋駅 - 富山駅間で4往復(下り3・7・11・13号/上り6・8・14・20号)、大阪駅 - 高山駅間で1往復(下り25号/上り36号)が運転されている[5]。大阪駅発着の編成は岐阜駅 - 高山駅間において、名古屋駅発着の編成(下り5号/上り16号)と併結する[5]。
列車番号は運行区間・運行線区等により異なり、名古屋駅 - 高山駅・飛騨古川駅間運転の列車の場合、下りは号数に20を加えた奇数、上りは同じく偶数となるが、名古屋駅 - 富山駅間運転の列車の場合、下りは号数に1020を加えた奇数、上りは同じく偶数となる。
大阪駅 - 高山駅間運転の列車の場合、列車番号は区間により異なり、大阪駅 - 岐阜駅間は、下り(高山行き)は号数に2000を加えた奇数、上り(大阪行き)は同じく偶数となる。岐阜駅 - 高山駅間は、併結する名古屋駅発着列車にあわせる。そのため、25D・36Dと見かけ上号数と同じ番号となる。ただし、これは多層建て列車として名古屋駅 - 高山駅・飛騨古川駅間運転の列車番号を使用することによる。
交通系ICカードについては、大阪駅 - 米原駅間はICOCAエリア、米原駅・名古屋駅 - 美濃太田駅間はTOICAエリアとなっているため、定期券を除いて両エリアに跨る利用はできない。
HC85系の高山本線車内放送においては、岐阜県立岐阜高等学校のESS(英会話)部が協力している[6]。
運行本数 | 号数 | 東海道本線 (大阪方面) |
東海道本線 (名古屋方面) |
高山本線 | 備考 | |||||||||||||||||||||
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大阪駅 | 新大阪駅 | 京都駅 | 草津駅 | 米原駅 | 大垣駅 | 名古屋駅 | 尾張一宮駅 | 岐阜駅 | 鵜沼駅 | 美濃太田駅 | 白川口駅 | 飛騨金山駅 | 下呂駅 | 飛騨萩原駅 | 飛騨小坂駅 | 久々野駅 | 高山駅 | 飛騨古川駅 | 猪谷駅 | 越中八尾駅 | 速星駅 | 富山駅 | ||||
下り1本 上り2本 | 1号 2・4号 |
= | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||
下り2本 上り2本 | 3・11号 8・20号 |
● | ─ | ● | ─ | ● | ─ | ─ | ● | ─ | ─ | ─ | ● | ● | ● | ● | ─ | ● | ||||||||
下り1本 | 5号(名古屋→飛騨古川) 25号(大阪→高山) |
● | ● | ● | → | ● | → | → | ● | → | → | → | ● | ● | 岐阜駅 - 高山駅間併結 | |||||||||||
● | ● | ● | ● | ● | ● | = | ||||||||||||||||||||
下り2本 上り2本 | 7・13号 6・14号 |
= | ● | ─ | ● | ─ | ● | ─ | ─ | ● | ─ | ─ | ─ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
下り1本 | 9号 | ● | ● | ● | → | ● | → | ● | ● | → | → | → | ● | |||||||||||||
上り1本 | 10号 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ─ | ● | |||||||||||||
上り1本 | 12号 | ● | ← | ● | ← | ● | ● | ● | ● | ● | ← | ← | ● | ● | ||||||||||||
下り1本 | 15号 | ● | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | → | → | ● | |||||||||||||
上り1本 | 16号(名古屋←高山) 36号(大阪←高山) |
● | ← | ● | ← | ● | ← | ← | ● | ← | ← | ← | ● | 岐阜駅 - 高山駅間併結 | ||||||||||||
● | ● | ● | ● | ● | ● | = | ||||||||||||||||||||
下り1本 | 17号 | = | ● | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||||
上り1本 | 18号 | ● | ← | ● | ← | ● | ← | ● | ● | ● | ← | ← | ● | |||||||||||||
下り1本 | 19号 | ● | ● | ● | → | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ─ | ● | |||||||||||||
停車本数 | 下り | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 10 | 3 | 10 | 3 | 10 | 4 | 5 | 10 | 4 | 3 | 2 | 10 | 5 | 4 | 4 | 3 | 4 | ||
上り | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 10 | 3 | 10 | 3 | 10 | 4 | 5 | 10 | 5 | 3 | 2 | 10 | 5 | 4 | 4 | 3 | 4 |
凡例
観光シーズンの週末などには名古屋駅 - 高山駅間で最大2往復の臨時列車が運行される[7]。そのほか沿線祭事やさわやかウォーキング、誘客キャンペーンなどに合わせて臨時列車が運行される。定例的に運行されている(いた)事例を挙げる。
「高山祭」(高山駅、4月14日 - 15日、10月9日 - 10日)の期間中は、日中に増発されるとともに1日目の夜祭り終了後、上り名古屋行きが運転される[8]。
「おわら風の盆」(越中八尾駅)の本祭最終日以外の日(9月1日 - 2日)には、夕方に一部列車で高山駅 → 越中八尾駅間の延長運転や、深夜に折り返しとなる越中八尾駅 → 高山駅間で臨時「ひだ」の運転が行われる[9]。ただし2005年 - 2007年、2018年は災害による不通のため運転されなかった。2019年(計画では2018年も[10])は復路のみの運行となり[11]、2020年、2021年はCOVID-19禍による祭り中止のためそれぞれ運転されなかった。2022年以降も運行されていない[3][7]。
崇教真光(高山駅)の行事開催日(2018年3月現在ほぼ毎月1回ペース)には、名古屋駅6時15分発高山駅行きの「ひだ61号」が運転される。プレスリリース等では具体的な目的が公表されない。2020年のCOVID-19禍以降は運行されていない[7]。
「古川祭」(飛騨古川駅)の起こし太鼓開催日(4月19日)は夕方の下り「ひだ」が飛騨古川駅まで延長運転される[12]。2012年まではその折り返しで特急「古川まつり号」が飛騨古川発高山行き・全車自由席で運転されたこともあった[13]。ただし、2020年、2021年はCOVID-19禍による祭り中止、2022年は祭りの規模縮小のため運休となった。
また、2011年春季までは定期列車に加えて大阪駅発着の臨時「ひだ」も運転されていたがそれ以降の運転はない[14][15][注 3]。
ひだ | ||||||||||||||||||
← 大阪/岐阜 高山・飛騨古川・富山/名古屋 →
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JR東海のHC85系気動車が使用されている[16]。2022年7月1日に2往復で運用を開始し、段階的な運用拡大を経て2023年3月18日のダイヤ改正で全定期列車がHC85系での運転となった[4]。
編成は以下の3パターンに分類でき、4両編成単独もしくは下記の2編成連結の6 - 8両編成で運行される。
富山駅発着編成が9 - 10号車、大阪駅発着(25・36号)と併結される名古屋発着編成(5・16号)が5 - 8号車となるほかは、1号車から4号車の号車番号が割り当てられている。
多客期には指定席車両が2両単位で増結されることがあり、最大10両で運転する。また、臨時列車に関しては定期列車で富山駅まで乗り入れる編成のみで運行される場合がある。
運転開始当初からキハ80系気動車が1990年まで使用されていた。リニア・鉄道館で保存されているキハ82 73には本列車のヘッドマークがセットされている。
1989年2月18日からキハ85系気動車が1往復のみ運用を開始し、翌1990年3月のダイヤ改正から2022年6月30日まで全列車が名古屋車両区に所属する同系列で運用された。2023年3月17日をもって定期運用から離脱した[4]。
キハ85系の編成は以下の3パターンに分類でき、4両編成単独もしくは下記の2編成連結の7両編成で運行されていた。2022年3月12日のダイヤ改正で4両編成が半室グリーン車連結に統一され、名古屋駅発着の全定期列車にグリーン車が連結されるようになった。1990年3月ダイヤ改正時はグリーン車なしの2両編成も高山駅 - 富山駅間で見られたが[17]、翌1991年3月改正より3両以上の編成となった[18]。
この他には過去にキハ181系気動車を「しなの」から転用する計画があったが、故障やトラブルの多さから現場の反対があったため見送りとなっている。[要出典]また、当初予定された高山本線の電化時には381系電車を使用する予定だったが電化自体が中止となったため幻に終わった。
高山線内はカーブや急勾配区間が多いため、最高速度が出せるのは直線区間である。
大阪駅発着の編成は米原駅、富山駅発着編成は猪谷駅でJR西日本とJR東海の乗務員が交代する。米原駅では2004年3月12日まで、猪谷駅では2009年3月13日まで運転士のみ両駅で交代し、JR東海の車掌がJR西日本区間も担当していた。
第二次世界大戦前は優等列車ではないが、1932年10月8日より名古屋鉄道(当時の呼称は名岐鉄道)犬山線から高山本線(当時の呼称は高山線)に直通する列車が運行されていた。「黒潮列車」のような列車愛称が与えられていなかったものの、1945年まで運行されたとされる。1934年10月25日の高山本線全通時に、岐阜駅 - 高山駅間にも準急列車(当時は料金不要)が運行された[19]が、1937年に休止された[20]。
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