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鳥取県境港市にある商店街 ウィキペディアから
水木しげるロード(みずきしげるロード)とは、日本の鳥取県境港市に整備された商店街。観光対応型商店街であり[1]、漫画家・水木しげるが描く妖怪の世界観をテーマとした観光名所として日本では[注 1]広く知られている。正規の日本の妖怪像として文化的価値も認知されている。
境港駅から本町アーケードまでの全長約800メートルの間に、水木の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』のキャラクターを中心として日本各地の妖怪たちをモチーフとした銅像など多数のオブジェが設置されており[1]、商店街は、同じ主題、共通のコンセプトを持った上で、思い思いの販売・サービスを展開する各種店舗・施設の集合体に成長した[2]。
境港市が市民から親しまれるコミュニティ道路にしようと、全市一体となって整備したもので、同市出身の漫画家である水木しげるの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する鬼太郎やねずみ男などの妖怪たちのオブジェ、絵タイル、モニュメントなどを歩道に設置して「水木しげるロード」と名付けた[3]。JR境港駅前から延びる駅前通りは商店街となっており、歩道には100体を超す妖怪たちの銅像が設置されている。この奇抜な発想が反響をよび、マスコミなどにも取り上げられるようになってからは全国的に知られるようになり、観光スポットとして各地から多くの観光客を集めるようになった[3]。この人気にあやかり、妖怪のオブジェのほかにも「妖怪神社」ができたり「妖怪ポスト」が設置され、さらにゲゲゲの鬼太郎のイラストの入ったラッピング列車も走るまでになり、水木しげるロードの人気を後押しした[3]。
キャラクターを使った商店街活性化(地域おこし、まちづくり)の成功例であり、シャッター通りであった商店街の空き店舗に新規出店があるなどの好影響を生んでおり、その取り組みは商店街・地域活性化のモデルケースとして注目されている。2004年(平成16年)12月、水木しげるロードは「美しい日本の歩きたくなるみち500選」に入選。2006年(平成18年)5月には、水木しげるロード周辺商店街[注 2]が「がんばる商店街77選」に入選した[1]。さらに人気を裏付けるように2017年8月、水木しげるロードは一般社団法人アニメツーリズム協会が選定する日本国内外のアニメファンの投票を参考にした「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2018年版)」の1つにも選ばれている[4]。
同商店街で行なわれるイベントも盛んで、毎年夏には、妖怪フェスティバルや鬼太郎祭、妖怪オブジェコンクールが催される[3]。オープンと同時に運行開始されたJR境線の「鬼太郎列車」を皮切りに、これら日本妖怪および水木妖怪[注 3] のキャラクター性と水木しげるロードの知名度を活かして、多くのタイアップ事業が展開されている(後述)。また、「世界妖怪会議」「妖怪そっくりさんコンテスト」など、多くの妖怪関連イベントが開催されている。
2017年から実施された大規模なリニューアル工事は2018年7月に完成し、歩道の拡張、夜間照明の新設、銅像の再配置などが行われた[5]。
境港市は日本有数の漁業によって成り立つ地域であり、それにともなって商店街も発展していった。しかし、1970年代に到来したモータリゼーションによる交通の変化や、1974年(昭和49年)以降の大規模小売店の進出(cf. 大規模小売店舗法)などに押されて衰退し、空き店舗の増加(シャッター通り)など、商業の空洞化が起きていた[6]。
境港市は1989年(平成元年)に各界の著名人の提言を受け、「緑と文化のまちづくり」の一環として商店街に境港市出身の漫画家・水木しげるの代表作である『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』『河童の三平』に登場する妖怪をモチーフにした銅像(ブロンズ製オブジェ)を設置する「水木しげるロード」の整備を決める。当初の目的は周辺地域の商店街への回帰であった。オブジェの製作にかかわる水木への著作料については無料とする協力も受けている[7]。
このようにして、水木しげるロードは1993年(平成5年)7月18日、銅像23体の設置をもってオープンした。 当初は像の一部が壊され盗まれるなどといった事件が発生したものの、これらの騒動が全国規模で報道されたのがきっかけとなり県外での知名度が高まっていった。その後、徐々に像の数を増やしていき、1997年(平成9年)には目標であった80体が完成した。2005年(平成17年)には広く出資を募り、16体の寄贈を受けた。その後も2006年(平成18年)に120体、2010年(平成22年)には139体に達し、2012年(平成24年)にはスポンサー公募による11体と水木しげる記念館内に3体が新設されて合計153体に、2018年(平成30年)にはロード全体のリニューアルが行われて銅像は177体となった[5]。
銅像が設置された1993年(平成5年)には2万1000人であった観光客数も、1994年(平成6年)には10倍以上の28万1000人に、1997年(平成9年)には38万344人と上がっていった。以後の一時期は横這いとなったものの、2003年(平成15年)の水木しげる記念館(後述)の開館、2005年(平成17年)に公開された映画『妖怪大戦争』のヒットなどによる妖怪ブームによって、来場客はさらに増加した。2007年(平成19年)には『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビアニメシリーズ・第5期が新たに開始され、また、同作品の実写版映画『ゲゲゲの鬼太郎』(その1作目)が公開された影響もあり、同年8月にそれまで目標としていた「年間観光客数100万人」を突破。最終的に147万人が訪れ、鳥取砂丘を超える一大観光地となった。続いて2008年(平成20年)には172万人が訪れた。
2007年のゴールデンウィーク期間中には1日で5万8000人が来場し、想定していた観光客数を大幅に上回り、駐車場が不足するという事態も起きた。そのため、観光シーズンには駐車場の臨時増設などを行っているが、関係機関はJR境線などの公共交通機関での来場を呼びかけている。
2010年(平成22年)には、NHKの連続テレビ小説において『ゲゲゲの女房』(原作は水木しげるの夫人の武良布枝の自伝の同名作品)が放送され、人気を呼んだ。それとともに水木しげるロードを訪れる観光客も増加し、8月15日に観光客数は177万人を突破、過去最高の年間172万人(2008年)の記録を軽々と塗り替えたばかりか、それから一週間余りしかたっていない8月23日には悲願であった200万人の大台に乗った[8]。11月中旬には映画版『ゲゲゲの女房』が公開されることから、集客数250万人を年間目標に掲げた境港市観光協会であったが、9月22日の時点で早くも達成し、3度目の上方修正を行って目標300万人とした。しかしこれも10月31日に達成し、12月5日には350万人を突破。年間観光客数は最終的に史上空前の370万人を達成した[9]。これは、前年までの最高記録であった2008年の倍以上の数字である。これらの功績が評価され翌2011年1月に「第8回関西元気文化圏賞・特別賞」を、同年10月には「第3回観光庁長官表彰」を受賞した。
なお、境港から隠岐汽船(鬼太郎フェリー)で結ばれ、かつ、武良家の先祖のある隠岐の島町への「水木しげるロード」の延長も進められており、島にはすでに銅像10体が設置されている[7][10]。
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水木しげる記念館 | |
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水木しげる記念館、正面。2010年6月撮影。 | |
施設情報 | |
正式名称 | 水木しげる記念館[86] |
専門分野 | 水木しげるの作品、妖怪 |
来館者数 | 約400万人(2019年9月12日現在)[73] |
事業主体 | 境港市 |
管理運営 | 境港市 |
開館 | 2003年3月8日 |
所在地 |
〒684-0025 鳥取県境港市本町5番地 (本町アーケード通り) |
位置 | 北緯35度32分47.2秒 東経133度13分52.5秒 |
アクセス | 境港駅から徒歩約10分 |
外部リンク | http://mizuki.sakaiminato.net/ |
プロジェクト:GLAM |
当館は水木しげるの画業および関連事業の集大成として、水木自身が世界中から集めた妖怪関連のコレクションや独自に制作したオブジェの展示などを中心に[1]、水木しげると妖怪の世界を展示・紹介する博物記念館である。水木しげるロードの最終地点であり、ゴールデンウィークや夏休み期間中は観光客で長蛇の列ができる。
当初は1996年(平成8年)に記念館の創設が提唱され、1999年(平成11年)4月のオープンを目指したが、境港市の財政難が響いて凍結される結果となった。しかしその後、水木しげるロードの集客力が当初の予想を大きく上回る規模となり、観光客数の劇的な増加に対応すべく、係る観光地域の中核を成す記念館の必要性が強まった。そうして2003年(平成15年)3月8日、水木しげるの誕生日をもって水木しげる記念館が本町アーケード内にて開館する。初日の来館者数は1,747人であった[87]。2012年(平成24年)3月8日、オープン以来初めて館内がリニューアルされ、新たな展示物などが追加された。2018年(平成30年)の開館15周年記念リニューアルでは、「ゲゲゲの食卓」コーナーが「企画展示室」に変わり、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』展が開催された[88]。開館以来、入館者は400万人に達した(2019年9月12日現在)[73]。
境港市観光協会、境港商店街連合会、水木しげるロード振興会、水木プロダクションの民間4団体が組織する「妖怪ブロンズ像設置委員会」が、制作・運用・管理に当たる。公式が「妖怪ブロンズ像」もしくは「妖怪立体ブロンズ」と呼ぶオブジェは、妖怪を始めとして、神(死神、閻魔、倉ぼっこなど)、悪魔(メフィスト)、架空の人物(河童の三平、悪魔くん、サラリーマン山田)や動物(龍)、実在の人物(水木しげる・武良布枝夫妻)などをモチーフとした、多種多様なブロンズ像(銅像)群である。像高は、人が見上げるほどには高くないものが大半で、ごく小さな妖怪像が御影石[要出典]で出来た大きな台座に乗っている形の物も多い。
ただし、妖怪の像の台座にされている石の中には、島根県の八雲山付近で採石された
像の大半は境港市による整備計画の下で設置されたものであるが、計画がいったん終了してしまった2003年(平成15年。cf. 2003, 2004)を機に妖怪ブロンズ像設置委員会が立ち上げられ、委員会は像の新設のため、寄贈者(スポンサー)の公募を始めた。この場合、1体の制作・設置費用は一式で最低100万円(当時)であった[11][13]。全国の熱烈な水木ファンがこぞって寄贈者となったこの時期に設置された像は16体を数える。
1作品を1体と数えることはせず、1キャラクターを1体と数えてナンバリングするため、例えば、目玉おやじを乗せた鬼太郎の像は1体ではなく2体、2点としてナンバリングされる。また、「1キャラクター= 1体」は「妖怪1体= 像1体」ではなく、例えば、2体で1作品のキジムナーなどは1体・1点としてナンバリングされている。
銅像は2018年のリニューアルで177体となり、「水木マンガの世界」「森にすむ妖怪たち」「神仏・吉凶を司る妖怪たち」「身近なところにひそむ妖怪たち」「家に棲む妖怪たち」の5テーマに沿って再配置された[90]。
2018年7月時点における銅像の全リストをここに示す。
銅像の名前の後ろに付けた略号「*」は、該当する銅像の画像がリンク先のページに存在することを示す。
水木マンガの世界(1〜51)
森にすむ妖怪たち(52〜58)
神仏・吉凶を司る妖怪たち(59〜78)
身近なところにひそむ妖怪たち(79〜148)
家に棲む妖怪たち(149〜177)
ブロンズ製レリーフ(妖怪レリーフブロンズ)5基、絵タイル(妖怪絵タイル)8枚が設置されている。
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