糸魚川市
新潟県の市 ウィキペディアから
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糸魚川市(いといがわ し)は、新潟県最西端、上越地方に位置する市。日本海に面する。糸魚川静岡構造線(フォッサマグナ西端)が通り[1]、日本の東西の境界線上に位置する。
いといがわし 糸魚川市 | |||||
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国 | 日本 | ||||
地方 |
中部地方、北陸地方 甲信越地方 | ||||
都道府県 | 新潟県 | ||||
市町村コード | 15216-1 | ||||
法人番号 | 7000020152161 | ||||
面積 |
746.24km2 (境界未定部分あり) | ||||
総人口 |
37,445人 [編集] (推計人口、2024年10月1日) | ||||
人口密度 | 50.2人/km2 | ||||
隣接自治体 |
上越市、妙高市 富山県下新川郡朝日町 長野県:北安曇郡白馬村、小谷村 | ||||
市の木 | ブナ | ||||
市の花 | ササユリ | ||||
市の鳥 市の石 |
カワセミ ヒスイ | ||||
糸魚川市役所 | |||||
市長 | 米田徹 | ||||
所在地 |
〒941-8501 新潟県糸魚川市一の宮一丁目2番5号 北緯37度02分21秒 東経137度51分46秒 | ||||
外部リンク | 公式ウェブサイト | ||||
ウィキプロジェクト |
世界有数かつ世界最古のヒスイの産地で[2]、景勝地の親不知でも知られる。全域がユネスコ世界ジオパーク(糸魚川ジオパーク)に指定されている[3]。
糸魚川市は新潟県の最西端に位置する市町村であり、上越地方(新潟県の南西部の地域)の3市のうちの1つである[4]。
糸魚川の歴史は縄文時代までさかのぼり、日本列島から朝鮮半島まで及ぶヒスイの交易の発祥地点であった[5][6]。
のちには東日本と西日本との文化の交流の拠点および北前船往来による海上交通の拠点として、また越中国、信濃国と越後国との物流の拠点として栄えた[7](詳細は歴史節に後述する)。
2005年(平成17年)3月19日 糸魚川市、西頸城郡能生町及び青海町が合併して、糸魚川市が発足する[8]。
西を飛騨山脈、東を頸城山塊、北を日本海に挟まれた沿岸の平野部に位置する[9]。市街地の西側を流れる姫川がもたらす姫川谷は糸魚川静岡構造線とほぼ一致し、その西側が地質的な西南日本、東側が東北日本に分類される[9]。
市域内には国立公園が2箇所(中部山岳国立公園と妙高戸隠連山国立公園 )存在し、これは全国的にも珍しい[9]。
市内の西部(旧青海町)には断崖絶壁の海岸である親不知・子不知があり、明治以前までは新潟県と富山県を結ぶ北陸道の交通の難所として知られた[10]。
県庁所在地の新潟市までは約168kmも離れており、一方で隣の富山県富山市までは約86kmと半分程度の距離しかない。また長野県長野市までも約105kmほどの距離である[注釈 1]。
ヒスイの産出地としては国内随一であり、世界最古のヒスイ文化発祥の地でもある[2]。
約5,000年前より、糸魚川市内のヒスイ海岸で産出したヒスイ原石が日本列島から北海道や沖縄、朝鮮半島へ至る範囲へ広く運ばれ、装飾品として利用された[11][5][6]。
その後は奈良時代ごろからヒスイの利用が歴史から途絶え、糸魚川を含む日本国内でヒスイが産出していたことも忘れられていた[11]。
しかし、1,000年以上の時を経た昭和期になって市内の旧小滝村においてヒスイの原石が再び発見された[11]ことにより、日本周辺各地の遺跡から出土するヒスイ加工品が海外由来ではなく糸魚川原産であった[5][6]ことが証明された。
現在では市内の産地2箇所が国の史跡名勝天然記念物に指定されており[12][13]、ヒスイは2016年(平成28年)9月に日本の「国石」に認定された[14]。
詳細は糸魚川のヒスイ記事を参照。
四季を通じて降水量が多い。暖候期は比較的日照が長く、寒候期に降水が増える典型的な日本海側気候である。ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候 (Cfa)に属する。北陸地方の他都市と同様、同程度の緯度にある太平洋側の地域に比較すると年間の気温は高めに推移する。
市街地におかれたアメダスでは、最寒月(2月)における最低気温の平年値は0.7℃であり、通年で平均最低気温が0℃を下回ることがない。このため海岸に近い地域では、1 mを超える積雪が見られる年は多くはない。一方で山間部での降雪量は多く、雪国と呼ぶにふさわしい積雪を見ることが出来る[17][18]また山間部は海沿いの市街地に比べても冷え込みが強くなる。
4月から5月にかけては、好天の日が多い。夏は沿岸部では湿度の高さもあって蒸し暑い。8月上旬における最低気温の平年値は24.4℃であり、同じく沿岸部に観測所があり緯度で2度ほど南に位置する横浜の24.6℃に近い数値である。
フェーン現象の影響で、夏から秋にかけて異常な高温を記録することがある。2023年8月10日には、日本国内における一日の最低気温の最高記録となる31.4℃を観測した。同年12月15日には日没後に気温が急上昇、26.0℃に達し12月としては異例となる夏日を記録している。
2013年7月6日には、朝5時台に35度を超える気温を観測した。同年10月9日には最高気温が35.1℃に達し、日本での観測史上初となる10月の猛暑日を記録した[19]。2018年10月6日、新潟県内4地点において猛暑日が観測された際に同月の国内最高気温記録は更新されたものの、10月9日は日本国内における最も遅い猛暑日の観測記録となっている。
頻発するフェーン現象は、地域にもさまざまな影響をもたらす。2016年12月22日の糸魚川大火当日もフェーン現象が発生しており、その影響を受け火災が大規模化したと見られている[20]。
糸魚川(標高8 m、糸魚川市東寺町)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 17.5 (63.5) |
23.6 (74.5) |
26.0 (78.8) |
30.7 (87.3) |
31.8 (89.2) |
36.8 (98.2) |
37.2 (99) |
39.3 (102.7) |
37.6 (99.7) |
35.1 (95.2) |
28.1 (82.6) |
26.0 (78.8) |
39.3 (102.7) |
平均最高気温 °C (°F) | 7.0 (44.6) |
7.4 (45.3) |
10.9 (51.6) |
16.3 (61.3) |
21.2 (70.2) |
24.3 (75.7) |
28.5 (83.3) |
30.3 (86.5) |
26.6 (79.9) |
21.3 (70.3) |
15.7 (60.3) |
10.2 (50.4) |
18.3 (64.9) |
日平均気温 °C (°F) | 3.6 (38.5) |
3.8 (38.8) |
6.7 (44.1) |
11.8 (53.2) |
16.8 (62.2) |
20.7 (69.3) |
25.0 (77) |
26.6 (79.9) |
22.8 (73) |
17.3 (63.1) |
11.6 (52.9) |
6.5 (43.7) |
14.4 (57.9) |
平均最低気温 °C (°F) | 0.9 (33.6) |
0.7 (33.3) |
2.9 (37.2) |
7.6 (45.7) |
12.9 (55.2) |
17.7 (63.9) |
22.3 (72.1) |
23.6 (74.5) |
19.7 (67.5) |
14.0 (57.2) |
8.2 (46.8) |
3.4 (38.1) |
11.2 (52.2) |
最低気温記録 °C (°F) | −5.3 (22.5) |
−5.2 (22.6) |
−3.1 (26.4) |
−1.3 (29.7) |
5.1 (41.2) |
10.7 (51.3) |
15.4 (59.7) |
17.2 (63) |
11.4 (52.5) |
4.8 (40.6) |
0.8 (33.4) |
−4.2 (24.4) |
−5.3 (22.5) |
降水量 mm (inch) | 354.8 (13.969) |
225.5 (8.878) |
204.5 (8.051) |
135.1 (5.319) |
120.5 (4.744) |
168.0 (6.614) |
237.8 (9.362) |
223.3 (8.791) |
251.4 (9.898) |
232.4 (9.15) |
341.0 (13.425) |
407.4 (16.039) |
2,901.5 (114.232) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 24.8 | 19.8 | 18.9 | 13.2 | 11.4 | 11.8 | 14.2 | 11.7 | 14.0 | 15.2 | 19.1 | 23.4 | 197.3 |
平均月間日照時間 | 52.9 | 85.2 | 135.4 | 178.8 | 205.3 | 160.4 | 159.2 | 195.2 | 138.9 | 133.9 | 99.7 | 66.6 | 1,611.5 |
出典1:理科年表 | |||||||||||||
出典2:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1978年-現在)[21][22] |
能生(1991年 - 2020年)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 17.5 (63.5) |
22.5 (72.5) |
24.9 (76.8) |
29.6 (85.3) |
30.2 (86.4) |
32.8 (91) |
36.5 (97.7) |
36.9 (98.4) |
36.6 (97.9) |
33.5 (92.3) |
26.9 (80.4) |
22.9 (73.2) |
36.9 (98.4) |
平均最高気温 °C (°F) | 5.6 (42.1) |
6.0 (42.8) |
9.6 (49.3) |
15.7 (60.3) |
20.8 (69.4) |
23.9 (75) |
27.8 (82) |
29.4 (84.9) |
25.6 (78.1) |
20.2 (68.4) |
14.5 (58.1) |
8.8 (47.8) |
17.3 (63.1) |
日平均気温 °C (°F) | 2.2 (36) |
2.1 (35.8) |
4.9 (40.8) |
10.4 (50.7) |
15.8 (60.4) |
19.8 (67.6) |
23.9 (75) |
25.1 (77.2) |
21.1 (70) |
15.5 (59.9) |
9.9 (49.8) |
4.8 (40.6) |
13.0 (55.4) |
平均最低気温 °C (°F) | −0.6 (30.9) |
−1.1 (30) |
1.0 (33.8) |
5.6 (42.1) |
11.1 (52) |
16.1 (61) |
20.6 (69.1) |
21.6 (70.9) |
17.6 (63.7) |
11.8 (53.2) |
6.0 (42.8) |
1.6 (34.9) |
9.3 (48.7) |
最低気温記録 °C (°F) | −7.3 (18.9) |
−8.1 (17.4) |
−5.8 (21.6) |
−2.2 (28) |
2.7 (36.9) |
7.6 (45.7) |
13.4 (56.1) |
14.3 (57.7) |
7.8 (46) |
2.6 (36.7) |
−0.5 (31.1) |
−6.1 (21) |
−8.1 (17.4) |
降水量 mm (inch) | 387.3 (15.248) |
233.3 (9.185) |
208.1 (8.193) |
136.8 (5.386) |
124.6 (4.906) |
174.3 (6.862) |
243.4 (9.583) |
237.9 (9.366) |
281.9 (11.098) |
293.6 (11.559) |
404.4 (15.921) |
474.4 (18.677) |
3,223.5 (126.909) |
降雪量 cm (inch) | 204 (80.3) |
181 (71.3) |
62 (24.4) |
2 (0.8) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
0 (0) |
72 (28.3) |
505 (198.8) |
平均降水日数 (≥1.0 mm) | 25.2 | 20.1 | 18.9 | 13.1 | 11.5 | 12.1 | 14.5 | 11.5 | 14.8 | 15.8 | 19.2 | 23.9 | 201.2 |
平均月間日照時間 | 41.3 | 70.3 | 118.9 | 175.2 | 198.5 | 142.7 | 140.0 | 185.8 | 129.2 | 126.9 | 96.7 | 57.2 | 1,478.3 |
出典1:Japan Meteorological Agency | |||||||||||||
出典2:気象庁[23] |
糸魚川市 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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雨温図(説明) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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糸魚川市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 糸魚川市の年齢・男女別人口分布(2005年) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
■紫色 ― 糸魚川市
■緑色 ― 日本全国 | ■青色 ― 男性 ■赤色 ― 女性 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
糸魚川市(に相当する地域)の人口の推移
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総務省統計局 国勢調査より |
市内で良質な石灰岩が産出されることから、セメント製造を始めとした鉱工業が盛んである。
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※この項は糸魚川市公式サイトを出典とする。
市域内は西日本旅客鉄道(JR西日本)の北陸新幹線、大糸線、えちごトキめき鉄道の日本海ひすいライン、あいの風とやま鉄道のあいの風とやま鉄道線、計4路線が経由している。新幹線開業以前は金沢駅方面、新潟駅方面、越後湯沢駅方面に特急列車(「北越」「はくたか」等)が設定されていたが、2019年時点では在来線は市内および隣接市町村を結ぶ列車のみが運行されている。
2015年(平成27年)3月14日に北陸新幹線が延伸開業したことにより、東京駅から長野駅や上越妙高駅を経由して糸魚川駅を発着し、富山駅や金沢駅へと運行するようになった。これにより糸魚川市に隣接する富山県および沿線の東京都、長野県、石川県との移動時間が短縮された。
糸魚川市から県庁所在地の新潟市までの移動には最短でも2時間以上を要する[注釈 2][31]一方で、隣接する富山県の県庁所在地である富山市までは新幹線で乗り換えなしに27分程度、長野県の長野市までは35分程度、また石川県の県庁所在地である金沢市までも50分程度、さらに東京都までも2時間20分程度で移動できる[32]ようになった。
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