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1984年放送の日本のテレビドラマ(メタルヒーローシリーズ) ウィキペディアから
『宇宙刑事シャイダー』(うちゅうけいじシャイダー)は、1984年3月2日から1985年3月8日まで、テレビ朝日系列で毎週金曜19時30分 - 20時(JST)に全49話が放送された、東映制作の特撮テレビドラマ、および作中に登場するヒーローの名称。
メタルヒーローシリーズ | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第2作 | 宇宙刑事 シャリバン |
1983年3月 - 1984年2月 |
第3作 | 宇宙刑事 シャイダー |
1984年3月 - 1985年3月 |
第4作 | 巨獣特捜 ジャスピオン |
1985年3月 - 1986年3月 |
『宇宙刑事ギャバン』に端を発した「宇宙刑事シリーズ」三部作の第3弾であり[1][2]、現在では「メタルヒーローシリーズ」の第3弾とされる[注釈 1]。
企画段階での名称案は「ジェンサー[4]」、「シャーロン[4]」などがあった他、初期には主人公・沢村大が塾の講師をしているという設定[4][5]やレイダーによって病気となった大の妹が登場する案[5]も存在していた。正式に採用されたシャイダーの名前の由来は映画『ジョーズ』などに出演した俳優ロイ・シャイダーから[6][注釈 2]。
本作品の特徴として、敵組織である不思議界フーマが、人間の心を支配することで侵略を進める戦略をとったことが挙げられる。「地球を傷付けずに征服するため直接的な武力に訴えない」という説得力ある理由付けがなされていた[注釈 3]。このため衣食住や娯楽、教育などが侵略作戦に利用され、身近なところにまで魔手を伸ばし人間の心の闇をえぐるフーマの魔性が強調された[7]。「百点源太の正体」をはじめ、高い社会風刺性を持ったエピソードも多い。また作戦の性質上、しばしば子どもがターゲットとされるため、子どもが絡んだエピソードも増えた[8]。これは、前作『宇宙刑事シャリバン』で軍師レイダーを視聴者の子供が怖がり敬遠されたことの反省も意図したものであるという[8]。また、前作がエスパーなど怪奇性を加味した物語世界であったのに対して、本作品では不思議というニュアンスを強調し、人間の心の隙を衝くような罠で精神に迫るなど、理性を超えた不条理な美を描いている[2][7]。
一方で、主人公側は訓練途中で派遣された未熟な宇宙刑事と設定され、沢村大とアニーはフーマに心の隙をつけこまれながらも、二人で共闘して乗り越える成長物語としても描かれている[9]。ヒロインであるアニーがアクションを担っているのも特徴である[1][2]。さらに銀河連邦警察の発端に迫る物語も展開し、終盤ではイメージシーンではあるもののギャバンやシャリバンも含めた銀河連邦警察全体での宇宙規模の戦いが描かれた[9]。
商業的には前作の『シャリバン』に引き続き巨大ロボットがメインアイテムである。本作品の巨大ロボであるバビロスは、前作のグランドバースにはなかった三段変形が可能で、巨大ロボ形態のプロポーションも問題のあったグランドバースより大きく改善された。このため大ヒットし、本作品が放映された年はタカトクトイスの倒産によるラインナップの不足や、ファミコンブームの影響などで男児を対象とした商品にとって厳しい市場環境の年であるにもかかわらず、本作品関連の玩具は前作との対比で306%と驚異的な伸びを達成した[10]。
沢村大は地球人の考古学者。銀河連邦警察にスカウトされた彼は、バード星の宇宙刑事訓練養成所で訓練を受けていた。
そんなある日、不思議界フーマによって銀河系の星が次々と消滅させられ、銀河連邦警察は戦力強化を急務として急遽訓練途中の訓練生をも動員して各惑星の警備にあたらせる。そしてフーマが地球に狙いを定めたことを知ったコム長官は、大に「シャイダー」のコードネームを与え、地球担当宇宙刑事に任命した。
大はフーマによって故郷マウント惑星を消滅させられてしまった同じ訓練生のアニーと共に、超次元戦闘母艦バビロスで故郷地球へ向かった。
沢村大がコード「焼結」を発すると、母艦バビロス号よりプラズマ・ブルーエネルギーが放射され、これによって構成された特殊軽合金グラニュームα製のコンバットスーツによりシャイダーへと焼結する。焼結に要する時間はシャリバン同様、わずか1ミリ秒(千分の1秒)である[1][12]。両腕両脚部には小型の高性能サーボコンピュータが配されており、戦闘経験の浅い大をサポートする。胸のディメンションコントローラーにより、異次元や宇宙空間での活動をも可能とする。音声によるコード認識が出来ない場合は、アニーが手動操作で焼結を起動させることもできる。
ギャバン、シャリバンに比べ、固有名称のついた技が少ないことが特徴として挙げられる。そのため不思議界突入前から抜刀することが多く、ギャバン、シャリバンがマクー空間、幻夢界に突入するまでほとんど抜刀しないのとは対照的に描かれている。
宇宙犯罪組織マドー壊滅後に現れた、暗黒銀河の支配者を名乗る宇宙最大にして最悪の宇宙犯罪組織[21]。不思議時空という異次元空間に漂う不思議宮殿を本拠とし、前作の宇宙犯罪組織マクーやマドーを遥かに凌ぐ大軍団で全銀河の征服を企む。全銀河規模で侵攻を図るほどの戦力を有しており、その規模は銀河連邦警察をも凌ぐ。マウント惑星のように直接的な武力行使によって壊滅させた星も数多いが、その星の住人を怠け者にして堕落・退化させたり、不思議ソング病を蔓延させて住人同士を闘争させたりして自滅に追いやるなど、間接アプローチによる侵略も得意。
特に地球に対しては、戦闘によって星を傷付けることなく、美しいまま乗っ取るため、人間の心を闇で覆い、内面から支配する方法を基本戦略として採用[22]。衣食住や娯楽、教育などを利用して大衆洗脳を図った他、次世代を担う子供を堕落させることで社会の崩壊を狙う長期的作戦も何度か実行している。地球を特別扱いするのは、1万2千年前、彼らが地球に植民地ムー帝国を築いていたからでもある。
フーマの構成員たちの忠誠は厚く、使命のためなら命を投げ打つことも厭わない。首領である大帝王クビライを全知全能の神として崇める宗教的な雰囲気を持つ組織であり、その求心力は非常に高い。そのため番組の終盤では銀河各地へ大規模な侵攻を繰り広げ、圧倒的な優位に立っていたにもかかわらず、最終話でクビライがシャイダーに倒され、その情報が銀河全域に伝わると、全軍の士気が低下して戦況は瞬く間に逆転し、程なく壊滅した。
前2作では主演にJACのアクション俳優を起用していたが、本作品では前二作と変化をつけるべくパートナーの女宇宙刑事をJACから抜擢することになった。主演のシャイダーこと沢村大には、円谷プロダクション芸能部からの売り込みで主演オーディションに参加していた円谷浩が、メインライターの上原正三が強く推薦したこともあって選ばれた。円谷プロで脚本家デビューを果たした上原にとって、円谷プロの社長を務めていた円谷一は恩人でもあり、息子の浩を主演へと推薦することで円谷一の恩に報いたかったのが、最大の推薦理由でもあったという[38][8]。特撮監督を務めていた矢島信男は、松竹の社員時代における円谷英二や、『ミラーマン』などにおける円谷一、そして本作品における円谷浩との出会いを指して、「親子三代に渡る不思議な縁ですね」と当時を振り返っている。円谷と並んで前述の主演オーディションに最後まで残ったのが、神官ポーを演じた吉田淳である。これは放送当時ファンロードのインタビュー(マンガレポートという形で掲載された)で円谷自身が明らかにしており、もし大役に吉田が選ばれていたらポーは円谷が演じていた可能性もあったという[要文献特定詳細情報]。
一方でパートナーのアニー役として起用された森永奈緒美による、ミニスカート姿でのアクションも人気となった[39][40]。アニーのアクションが中心となった理由として、上原正三は円谷浩のアクションが、森永やJACのメンバーと比較するとテンポが全然違うため、『ギャバン』の大葉健二や『シャリバン』の渡洋史と同様に動かすことができなかったためと述べている[38]。
ナレーションは前2作までの政宗一成に代わり、前年度の『科学戦隊ダイナマン』までスーパー戦隊シリーズのナレーションを連続して務めた大平透が起用されている。
シャイダーのアクション用スーツは、前年までメインで担当していた村上潤が『星雲仮面マシンマン』へ移ったため、柴原孝典が引き継いだ[42][43]。
円谷浩を主役に推薦したことも手伝い、本作品でもメインライターを務めた上原正三は東映のスタッフに対し、本作品における劇場版を含む全話の脚本を一人で執筆してみせることすら約束した[5]。そして上原は、同時期に開始された『星雲仮面マシンマン』や『ビデオ戦士レザリオン』『北斗の拳』の脚本も兼ねながら、実際に全49話を一人で執筆し続けることで、東映と円谷への恩返しをも同時に果たしている。アクション俳優ではないことを逆手に取って「訓練学校を卒業したばかりの、未熟な戦士の成長物語」を課せられた円谷浩も、一年間に渡る過酷な撮影生活を全うすることで、俳優としてさらなる成長を遂げた。
パイロット監督は前作までの小林義明に代わり、吉川進プロデューサーの意向により澤井信一郎が登板している。小林と同じく東映の社員監督であった澤井だが、これまで特撮番組に携わったことがなかったこともあり最初は依頼を固辞したものの、前作『宇宙刑事シャリバン』の完成度の高さに感心し参加を決意したという。「不気味」ではなく「不思議」な世界観作りに拘った澤井監督の意向は、不思議ソングや神官ポーといったイメージやキャラクターにも強く反映され、宇宙刑事シリーズにまた違った新風を吹き込んだ。同時期の『星雲仮面マシンマン』終了後は日笠淳がプロデューサー補として参加したほか[48]、中盤からは『マシンマン』と掛け持ちで小笠原猛も参加し、『マシンマン』終了後はそのまま本作品にスライドした。
『超電子バイオマン』までスーツアクターを務めていた竹田道弘は、同作品終了後に金田治に志願してアクション監督補佐を務めた[49][50]。竹田は、最終話の撮影の1日分で金田の代理を務めた後[注釈 16]、次作『巨獣特捜ジャスピオン』の特撮班でアクション演出を務める[49]。
不思議獣のデザインは前作より引き続き参加の野口竜がその大半を手がけているが、第30話の不思議獣ブヨブヨのみ渡部昌彦が担当した[52]。また第8話登場の不思議獣ケロケロについては神田正宏のラフデザイン、第11話の不思議獣ゲトゲトは渡部昌彦のラフデザインをそれぞれ元にしている[53][54]。
オープニングテーマとエンディングテーマには、『バトルフィーバーJ』や『大戦隊ゴーグルファイブ』で見送られてきた女声コーラスを採用したアレンジ手法を用いている。
脚本は全話上原正三のため割愛。
放送日 | 放送回 | サブタイトル | 登場不思議獣、その他 | 監督 |
---|---|---|---|---|
1984年 | 3月 2日1 | 不思議界 |
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澤井信一郎 |
3月 | 9日2 | 踊れペトペト! |
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3月16日 | 3 | アニー応答なし |
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田中秀夫 |
3月23日 | 4 | 犬になった子供達 |
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3月30日 | 5 | 突然!なまけもの |
| |
[注釈 17]4月13日 | 6 | 不思議料理の逆襲 |
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小西通雄 |
4月20日 | 7 | 見たかギャル変幻 |
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4月27日 | 8 | 星からの非行少女 |
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田中秀夫 |
5月 | 4日9 | 青ガキ隊大キライ |
| |
5月11日 | 10 | トワイライトの家 |
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辻理 |
5月18日 | 11 | アニーにおまかせ |
| |
5月25日 | 12 | 百点源太の正体? | 田中秀夫 | |
6月 | 1日13 | 金メダル仕掛け人 |
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6月 | 8日14 | 恋のミュータント |
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小林義明 |
6月15日 | 15 | 渚のマリンブルー |
| |
6月22日 | 16 | たまげた異星生物 |
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田中秀夫 |
6月29日 | 17 | 銀河警察の謎文字 |
| |
7月 | 6日18 | 謎が謎呼ぶ太平洋 |
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小笠原猛 |
7月13日 | 19 | アニー危機一髪 |
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7月20日 | 20 | 不思議ソング |
|
辻理 |
7月27日 | 21 | ヤーダ!珍獣家族 |
| |
8月 | 3日22 | 人魚が呼ぶ海の怪 |
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小笠原猛 |
[注釈 18]8月24日 | 23 | 傷だらけの大脱走 |
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8月31日 | 24 | 美しきポーの仮面 |
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小林義明 |
9月 | 7日25 | エスパークイーン |
| |
9月21日 | 26 | 魔界ゾーン大当り |
|
小西通雄 |
9月28日 | 27 | デスマッチの魔島 |
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10月 | 5日28 | 魔宮の裏切り兄弟 |
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田中秀夫 |
10月12日 | 29 | 百面相だよ女刑事 |
| |
10月19日 | 30 |
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小笠原猛 | |
10月26日 | 31 | 猛獣缶詰バーゲン |
| |
11月2日 | 32 | 僕と君のメロディ |
|
小林義明 |
11月 | 9日33 | 散歩する腹話術師 | ||
11月16日 | 34 | クビライの秘密 |
|
田中秀夫 |
11月23日 | 35 | 謎を射る黄金の矢 |
| |
11月30日 | 36 | ユメコン狂時代だ |
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小笠原猛 |
12月 | 7日37 | 吼えろビームガン |
| |
12月14日 | 38 | 魔少女シンデレラ |
|
澤井信一郎 |
12月21日 | 39 | 仮面が踊る聖歌隊 |
| |
12月28日 | 40 | バビロス号SOS |
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小西通雄 |
1985年 [注釈 19] |
1月11日41 | 直撃じゃじゃ馬娘 |
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1月18日 | 42 | 6年0組の不思議 |
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山田稔 |
1月25日 | 43 | ぼくンちのフーマ |
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2月 | 1日44 | 吹き荒れる大侵略 |
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小西通雄 |
2月 | 8日45 | 火を吐く黄金巨像 |
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2月15日 | 46 | 幻のショータイム |
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2月22日 | 47 | 一万二千年の暗黒 |
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小笠原猛 |
3月 | 1日48 | 正義・友情・愛 |
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3月 | 8日49 | 3人の宇宙刑事 ギャバン シャリバン シャイダー大集合!! |
- |
放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 備考 |
---|---|---|---|
関東広域圏 | テレビ朝日 | テレビ朝日系列 | 制作局 |
北海道 | 北海道テレビ | ||
岩手県 | 岩手放送 | TBS系列 | |
宮城県 | 東日本放送 | テレビ朝日系列 | |
秋田県 | 秋田放送 | 日本テレビ系列 | |
山形県 | 山形放送 | ||
福島県 | 福島放送 | テレビ朝日系列 | |
新潟県 | 新潟テレビ21 | ||
長野県 | テレビ信州 | 日本テレビ系列 | |
山梨県 | テレビ山梨 | TBS系列 | |
静岡県 | 静岡けんみんテレビ | テレビ朝日系列 | |
石川県 | 北陸放送 | TBS系列 | 1984年3月7日から放送[60] |
福井県 | 福井放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
|
中京広域圏 | 名古屋テレビ | テレビ朝日系列 | |
近畿広域圏 | 朝日放送 | ||
島根県 鳥取県 |
山陰放送 | TBS系列 | |
広島県 | 広島ホームテレビ | テレビ朝日系列 | |
山口県 | テレビ山口 | TBS系列 | [注釈 20] |
香川県 岡山県 |
瀬戸内海放送 | テレビ朝日系列 | |
高知県 | テレビ高知 | TBS系列 | |
徳島県 | 四国放送 | 日本テレビ系列 | |
福岡県 | 九州朝日放送 | テレビ朝日系列 | |
熊本県 | テレビ熊本 | フジテレビ系列 | |
鹿児島県 | 鹿児島放送 | テレビ朝日系列 | |
沖縄県 | 沖縄テレビ | フジテレビ系列 |
いずれも発売元は東映ビデオ。
いずれの作品も前述の通りLDの最終巻に収録されている他、DVDとしては2007年12月7日に発売された『東映特撮ヒーロー THE MOVIE BOX』および2009年11月21日の「東映特撮ヒーロー THE MOVIE Vol.5」および、劇場版1は2012年11月に「復刻!東映まんがまつり84夏」に収録された[64]。
本作品より劇伴を収録した「音楽集」と、主題歌・挿入歌を収録した「ヒット曲集」の2枚が発売されるようになる。
番組放送中に発売されたサウンドトラックのLP『宇宙刑事シャイダー 音楽集』(コロムビアレコード)では前作「シャリバン」と同様に、マルチテープに録音されたBGMから選ばれた楽曲のみをステレオにトラックダウンして収録されており[65]、2004年にもCDとして再発売されている。2006年に発売のサウンドトラックCD『宇宙刑事シャイダー オリジナルサウンドトラック』は、アイキャッチ音楽と主題歌のメロオケ曲・挿入歌のカラオケ曲を除く大半の楽曲がモノラルミックスで収録されている。
前作『シャリバン』の商品「プラデラシャリバン」同様、本作品でもクロスアップタイプの「プラデラシャイダー」が発売されている[注釈 21]。2006年には、それまで仮面ライダーシリーズ中心に展開されていたハイターゲット向けアイテム「装着変身」シリーズに、ギャバン・シャリバンとともにラインナップされた。
メガハウスより展開されていたアクションフィギュアシリーズ「ACTION WORKS」より、宇宙刑事三部作の主役3人のアクションフィギュアが2007年11月に発売された。期間限定ながらそれぞれ箱に付いている応募券3枚による懸賞品も用意されており、本作品からはビッグマグナムが応募賞品となった。
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