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気体を構成する分子が電離し運動している状態 ウィキペディアから
プラズマ(電離気体[1], 英: plasma)は、荷電粒子(イオンまたは電子)がかなりの割合で存在することを特徴とする、固体・液体・気体と並ぶ物質の4つの基本的な状態の1つ[2]。狭義のプラズマとは、気体を構成する分子が電離し陽イオンと電子に分かれて運動している状態であり、電離した気体に相当する。プラズマは、中性ガスを加熱するか、強い電磁場にさらすことによって人工的に生成することができる。 主に恒星(太陽を含む)に存在する、宇宙で最も豊富な通常の物質の形態であるが、希薄な銀河間ガスや、銀河団ガスも支配している。
(左上)雷(右上)ネオンサイン(左下)プラズマボール(右下)太陽 |
プラズマは荷電粒子群と電磁場が相互作用する複合系である。粒子の運動は電磁場を変化させ、電磁場の変化は粒子の運動にフィードバックされる。プラズマは固体、液体、気体のいずれとも異なる特有の性質を持つため、物質の第4の状態ともいわれる[2]。狭義のプラズマとは、気体を構成する分子が電離し陽イオンと電子に分かれて運動している状態であり、電離した気体に相当する。狭義のプラズマは、プラズマの3要件
をみたす。
電離層、太陽風、星間ガスなどがプラズマ状態であり、宇宙の質量の99%以上はプラズマ状態である。人工的には、レーザーやマイクロ波の照射により気体を電離させることで生成され、プラズマプロセスや原子核融合など、多様な工学的応用がなされている。広義のプラズマは、プラズマの3要件の一部をみたさず、非中性プラズマ、強結合プラズマ(微粒子プラズマ、固体プラズマ)などを含んでいる。強結合プラズマは、プラズマ粒子が自由に動けず液体や固体に似た振る舞いをする。プラズマ中では、電流や磁場に沿ってフィラメント状の発光領域が観測できるなど、特有の構造が形成される。また、プラズマ中では、プラズマ波動、プラズマ不安定性、発光現象などの特有な物理現象が見られる。
プラズマはクルックス管の中で初めて認識され、1879年、クルックスの著書[3]でradiant matterと記述されている。続いて、1897年、クルックス管で発生した陰極線の正体を電子の流れと特定したのはトムソンである。ラングミュアは、1920年代、デバイ遮蔽やプラズマ振動などのプラズマの基本的性質を明らかにし、1928年、この物質を初めてプラズマと呼んだ[4]。以降、プラズマに対する研究は宇宙物理学や、原子核融合などの工学的応用において進展している。
プラズマ物理#歴史も参照のこと。
ここでは、プラズマの種類を区別するための基準をいくつか示す。
地球上では、雷や電離層などが代表的であり、地球電磁気学や超高層大気物理学によって研究される。
マーチソン広視野電波干渉計を用いた観測によって、高度約600kmの電離層上部からその上のプラズマ圏に向かって地磁気に沿って伸びるチューブ状のプラズマ構造物の存在が確認されている。
我々の生活に必要不可欠な火もプラズマの一種である。
宇宙空間においては全宇宙の質量の99%以上がプラズマであり、プラズマは最もありふれた物質の状態である。地球と太陽の近傍の宇宙の物理現象を扱う太陽地球系物理学、宇宙スケールの現象をプラズマと関連付けて探究するプラズマ宇宙論、天体における物理現象を扱う天体物理学などの研究領域がある。
気体中の放電や、気体をレーザーやマイクロ波などで加熱することで生成される。種々な特性のプラズマが工学的に応用されており、以下ではいくつかの工学的応用例を示す。
プラズマは開放系であることが多く、自己組織化に伴って散逸構造が生成される。以下では、プラズマの自己組織化の例を示す。
複数の研究チームが、ダストプラズマが自己組織化してクーロン結晶が生成されることを確認した(1994年)。
プラズマはエネルギーが外部から供給されてゆらぎが生じると不安定な状態となる。プラズマがゆらいで発生するフィラメント状の構造の代表例は、オーロラである。フィラメントや渦などの構造は、一定の条件ではお互いが生み出した磁場によって、同じ方向に動くほかの渦を引き寄せて自己組織化しながら成長する。これは、パルス発信機を用いてX線放射の実験を行うことで確認でき、プラズマが螺旋状の渦を作ったり、渦糸が結晶構造を作ることもある。また、成長が止まった渦が自然消滅した後に、新たなフィラメントが生成されることもある。このような現象は、銀河の集団が作る気泡状の宇宙構造(グレートウォールやボイド)の生成メカニズムと共通する。[要出典]
地球の電離層を巨大なプラズマ実験室として活用する試みでは、電離層プラズマに対して、100 MW級3 – 10 MHzの強力な電波を照射して、反射層付近で生じるさまざまなプラズマ非線形現象が調査されている。キャビトン乱流が発生しては消えていく、生成と消滅の時間的サイクルを伴った構造などもその一つである。[要出典]
プラズマ中では様々な波動が伝播することが可能である。プラズマ波動は電磁場、イオンや電子の運動、圧力などを復元力として生じる。プラズマ波動の分散関係はプラズマの誘電率テンソルから求まる。分散関係の導出はプラズマ物理を参照されたい。プラズマ波動の位相速度は光速度とは大きく異なる場合もある。
プラズマは、温度、密度が空間的に一様であり、速度分布がマクスウェル分布であるとき安定である。これ以外の場合は、何らかの不安定性が励起されて安定な状態に戻ろうとする。プラズマの不安定性は巨視的不安定性と微視的不安定し大別される[9]。以下では、各不安定性について示す。
プラズマ中の電子が励起状態から緩和するときに、エネルギー準位の差に対応した特定波長の光を放出する。発光スペクトルは、温度、密度、イオン種によって変化し、これを利用してプラズマの状態を測定することができる。この手法を、プラズマ分光と呼ぶ。イオン種ごとの発光スペクトルはNIST Atomic Spectra Database[14]から参照できる。
UFO、霊、ミステリーサークルなどの超常現象(オカルト現象)が目撃されている。高温プラズマは火の玉のように見える。また、マイケル・パーシンガー(ローレンシアン大学脳神経学部)らは、プラズマから発せられる高磁場が脳波へ影響を及ぼすことにより幻覚症状が引き起こされることを経頭蓋磁気刺激法実験で実証した。このため、大槻義彦(早稲田大学)らをはじめとする著名人は、超常現象の真相はプラズマであるとしている[15][16]。
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