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スズキのハッチバック型軽自動車 ウィキペディアから
アルト(Alto)は、スズキのハッチバック型軽自動車(日本国外仕様車においてはAセグメント)のブランド(商標)、および車名である。
初代はフロンテの商用車版姉妹車として1979年に発売され、軽ボンネットバンブームの火付け役となって大ヒットし、以後、ワゴンRの登場まで、同社を代表する軽自動車であった。アルトシリーズ累計生産台数は480万台以上[1]で2019年(令和元年)5月に初代モデルの発売開始から40周年を迎えており、同年6月現在においてもハッチバック型の主力車種として生産・販売され2016年12月12日に、国内累計販売台数(ラパンを除く)がスズキ車で初となる500万台を達成した[2]。
本稿での型式は各世代の中から例を記す。仕様により型式が異なるものもある。型式末尾「S」はセダン、「V」はバン。
また、本稿では以下のモデルについても便宜上記述する。販売戦略上、滅多に正式名称で呼ばれない派生車種「ラパン」については、当該項目を参照。
スズキ・アルト(初代) SS30V/40V型 | |
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前期型 1979年5月 - 1982年10月 | |
概要 | |
別名 | スズキ・フロンテ(5代目) |
販売期間 | 1979年5月 - 1984年9月[3] |
ボディ | |
乗車定員 | 2 / 4人 |
ボディタイプ | 3ドアハッチバック |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
水冷直列3気筒 2ストローク T5B型 0.55 L 4ストローク F5A型 0.55 L |
最高出力 | 28ps/5,500rpm(T5B) |
最大トルク | 5.3kgm/3,000rpm(T5B) |
変速機 | 2速AT / 4速MT |
サスペンション | |
前 | ストラット式 |
後 | 半楕円リーフスプリング |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,150mm |
全長 | 3,195mm |
全幅 | 1,395mm |
全高 | 1,335 - 1,350mm |
車両重量 | 540 - 560kg |
最大積載量 | 200 / 100kg |
系譜 | |
先代 | スズキ・フロンテハッチ |
1979年(昭和54年)5月、発売。軽乗用車フロンテの商用版姉妹車である。型式はH-SS30V。「軽ボンネットバン」と呼ばれる「節税型軽乗用車」ジャンルを創成し、その後の軽自動車市場に大きな影響を与えた。当時、鈴木自動車工業社長に就任して間もなかった鈴木修が、社長就任後初めて陣頭指揮を執って製品化にあたった新型車であり、鈴木修自身にとっても自らの地位を確固たる物とした記念すべきモデルとなった。
1970年代中期以降、日本の軽乗用車市場は排ガス規制対策と550 cc 規格移行前後の混乱・低迷期の最中にあり、各社は在来モデルの排気量・車幅拡大などでお茶を濁す停滞に陥り、新たな展開が模索される状態にあった[注釈 1]。スズキでは排出ガス対策エンジンの開発が不調で、トヨタ自動車からの伝手によって競合するダイハツ工業製のエンジンを購入して自社の軽乗用車に搭載するなど、苦しい状態に置かれていた。1978年6月に社長就任した鈴木修がその打開策として企画したのが、ベーシックカーの原点に立ち返った廉価な新型車の開発であった。
この時点で次期フロンテとなるべき新型軽乗用車の開発が相当に進んでおり、1978年中には発売される予定であったが、鈴木修は「新車発売の1年延期」と「企画の全面的見直し」を敢えて断行し、修の意向によって新型車のコンセプトには大幅な方向修正が図られることになった。
当時の日本で、軽乗用車には15%を上回る高税率の物品税を課されていた。だが軽ボンネットバンを含む商用車は物品税が非課税で、税制面では格段に有利であった。スズキではこの税制のギャップを逆手にとって合法的に節税できる「実質前席2人乗り軽乗用車として機能する軽商用車(軽ボンネットバン)」という商品設定を企画、主に買い物や子供の送り迎えなどに自動車を使う主婦層の需要喚起を新たに狙った。スズキでは開発に際しての市場リサーチで、当時“軽自動車の基本乗車人数は1 - 2名”というデータを得ており、前席の居住性が乗用車並みに確保できるバンの市場商品性に裏付けを持っていた[注釈 2]。
価格設定も大胆なものとなった。同時期の一般的な軽乗用車は新車で60万円を超える価格帯で、これに高率の物品税が上乗せされた。一方、市場調査で当時の日本の中古車市場では40万円から50万円程度の中古車の売れ行きが良好であると判明、鈴木修はそのクラスの需要を狙い、市販価格45万円程度の廉価な新車を提供することを目論んだ。この価格設定で利益を確保するには、製造原価を当時としても極度に低い35万円程度に抑えなければならなかった[4]。「目標達成のためなら灰皿やスペアタイヤ、エンジンまでも外せ」とまでの叱咤と共に、鈴木修から過酷な目標を課された開発部門責任者の稲川誠一(当時常務。のちスズキ会長)ら技術陣は、コストダウンを最優先に、安全上問題ない範囲での製造原価見直しを徹底追求した。
基本構成は、前輪駆動方式を採用した2ボックススタイルであり、車内容積はそれなりに広く、当時としてはそこそこ近代的な外観であった反面、機構的には従来モデルの旧型エンジン(T5A)から基本設計を流用した2ストロークエンジン(T5B)、リアサスペンションには廉価でコンパクトであるが旧弊なリーフリジッドを採用[注釈 3]するなど、簡素な低コスト構造に徹していた。排出ガス規制が緩い商用車であるため[注釈 4]、コストやトルクの面で有利な2ストロークエンジンの採用が容易であった。後部座席は商用車としての規制(荷台スペースを後部座席のスペースと同等以上にする必要がある)から折り畳み式のごく小型なものであったが、実質2人乗りと割り切られていたため大きな問題ではなかった。前輪駆動だがパワーステアリングが小型車で一般化する前の車種であり、プレート型の2本スポークステアリングは径を大きめとして、ラックアンドピニオン式の操舵機構ともども操縦性に配慮している。ブレーキは前輪ディスク式が普及してきていた当時、ややグレードの低い4輪ドラム式であったが、軽量車であったため、性能に見合った制動力は確保されていた。
その随所が、従前の高額化しつつあった軽乗用車とはまったく正反対な、機能最優先に徹した簡潔な仕様であった。少ない点数の大型プレス部材を組み立てたシンプルなボディの装備は、内外装とも極めて簡素に仕立てられていた。一体成形された単純な造形の樹脂製ダッシュボードやインパネ、ヘッドレスト一体型のフロントシート、見栄えはしないが廉価に必要な機能を満たせるゴム製フロアマット、ベニヤ板を背板に使った後部座席、廉価なグレー塗装のスチール製バンパー、電気モーターを全く使用しない手押しポンプ式ウィンドウウォッシャー[注釈 5]などが特徴である。ドア等の内張りを省略できる部分は鉄板塗装処理、ドア開閉用の鍵穴は運転席側のみで、なくとも済む助手席側鍵穴は省略している(キーシリンダーをはめ込む凹みは残してあった。キーシリンダーを装着する仕様のモデルとドアパネルを共用して量産効果を上げるためである)。リアの跳ね上げ式大型ハッチゲートは、アルトの利便性の一つとしてPRされており、リアハッチダンパーを全車に装備していたが、このゲート上の蝶番は露出した外付け構造としてやはり簡略化してあった。
また当初はモノ(単一)グレードで車種内の装備差別化をせず、標準装備はヒーターのみで、ラジオやシガーライターをはじめ追加装備一切は多くがディーラー施工となる50種類以上のオプションで補う設定とした[注釈 6]。
これらの取り組みの結果、当初計画の45万円は達成できなかったが、本体価格「47万円」という、1979年当時の新車の軽自動車としては驚異的な低価格が実現された[注釈 7]。フロンテの最廉価グレード車での物品税課税前価格より約10万円も安かったのである。この価格は、それまでの慣例[注釈 8]を破って戦略的に、自動車業界初の全国統一車両本体価格(ワンプライス)とされた点でも画期的であった。日本全国の顧客に平等な価格を提示できると共に、全国の媒体で等しく「アルト47万円」と銘打った効果的宣伝が可能となったのである。さらに物品税非課税のメリットが加わり、競合車種となる他社軽乗用車との実質価格差は著しいものとなった。
女性ユーザーへのアピールを念頭に赤をイメージカラーに採用したアルトが発表されると、その異例な低価格は市場に衝撃を与えた。発売後の販売台数は当初目標の月間5,000台を軽く凌駕して1万8,000台を記録、ほどなく大量のバックオーダーを抱える人気車種となった。増産のため、工場増築が緊急に行われたほどである。「アルト」の成功を受け、他の軽自動車メーカーも追随して同様のコンセプトの軽商用車を発売し、「セカンドカー」需要を開拓した。またアルト売り上げによる着実な収益で、日本の自動車メーカーでも唯一2ストロークエンジンを主力としていたスズキは、工場設備投資による4ストロークエンジン生産体制拡充に取り組み、アルトも含めた主力車種エンジンの4ストローク切り替えを早めることができた[注釈 9]。
ゼネラルモーターズは、後のサターンとして結実する未経験の小型車開発にあたり、世界各社の小型車を徹底的に分解し、研究していたが、その中の一つであったこのアルトの設計に驚愕し、スズキとの提携を決めたと言われている[要出典][注釈 10]。スズキはOEM契約を結び、GMのロワエンドにあたるジオ(GEO)ブランド向け車種のトラッカー(≒エスクード)、メトロ(≒カルタス)の生産を担当した。
累計販売台数は約84万4000台[5]
2024年11月6日、特定非営利活動法人日本自動車殿堂より「今日の軽自動車の地位を確固たるものにした」点が評価され「歴史遺産車」に選定された[6]。
スズキ・アルト(2代目) CA71V/72V / CC71V/72V型 | |
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JUNA(後期型) 1986年7月 - 1988年9月 | |
概要 | |
別名 | スズキ・フロンテ(6代目) |
販売期間 | 1984年9月 - 1988年9月[7] |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 3 / 5ドアハッチバック |
駆動方式 | 前輪駆動(CA) / 四輪駆動(CC) |
パワートレイン | |
エンジン |
F5A DOHC 12V ICターボ EPI F5A DOHC 12V EPI F5A SOHC 6Vターボ EPI F5A ベンチュリーキャブ F5A シングルキャブ |
変速機 |
3速 / 2速AT 5速 / 4速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,175mm |
全長 | 3,195mm |
全幅 | 1,395mm |
全高 | 1,400 - 1,435mm |
車両重量 | 540 - 630kg |
最大積載量 | 200 / 100kg |
1984年9月、71V型にフルモデルチェンジ。全車4ストロークエンジン(F5A)を搭載。一部車種に回転ドライバーズシートを採用した。また、スポーティーグレードの「S」には12インチラジアルタイヤ(135SR12)&ハーフホイールカバー付12インチスチールホイール、およびアルトとしては初となるフロントディスクブレーキ、およびタコメーターがそれぞれ標準装備となる。CM出演者は小林麻美。
1984年12月、四輪駆動を追加。発売当初は「スノーライナー」シリーズと呼ばれていた。プッシュボタン式のパートタイム方式で、今回から四輪駆動車にフロントディスクブレーキおよびオートフリーホイールハブが採用された。1986年7月にマイナーチェンジを受け、72V型となる。異形ヘッドランプの採用と、フロント周りおよびインパネの変更を行い、軽自動車初の気筒あたり4バルブ化された3気筒DOHCエンジンを搭載した「ツインカム12RS」シリーズを追加。これと同時に既存の「アルトターボ」はグレード名を「ターボSX」に改名。リアサスペンションには新開発の「アイソトレーテッド・トレーリング・リンク(I.T.L.)」式リジッドコイルサスペンション[注釈 12]を四輪駆動車およびスポーティーグレードを含む前輪駆動車[注釈 13]の一部の上位グレードに採用。上記の「ツインカム12RS」の登場に伴い、既存の3気筒SOHC・シングルキャブレター仕様のエンジンを搭載したスポーティー風グレードの「S」が廃止。
スズキ・アルト(3代目) CL11V/21V/22V/CM11V/21V/22V CN11S/21S/CR22S/CP11S/21S/CS22S型 | |
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後期型 1991年9月 - 1994年11月 | |
アルトハッスル 1991年11月 - 1992年9月[注釈 16] | |
概要 | |
別名 |
スズキ・フロンテ(7代目) ※消費税導入により後に本車に統合 |
販売期間 |
1988年9月 - 1994年11月[8] (ハッスルのみ1991年11月 - 1992年9月) |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ |
3 / 5ドアハッチバック 1+2+1ドアハッチバック(スライドスリム後期) 3ドアフルゴネット(トールワゴン)(ハッスル) |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
前期型 F5B型 0.55 L 直3 SOHC 6V F5B型 0.55 L 直3 SOHC 12V F5B型 0.55 L 直3 DOHC F5B型 0.55 L 直3 SOHC ICターボ F5B型 0.55 L 直3 DOHC ICターボ 後期型 F6A型 0.66 L 直3 SOHC 6V F6A型 0.66 L 直3 SOHC 12V F6A型 0.66 L 直3 SOHC ICターボ F6A型 0.66 L 直3 DOHC ICターボ |
変速機 |
4速 / 3速AT 5速 / 4速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,335 mm |
全長 |
3,195 mm(11V/11S) 3,295 mm(21V/21S/22S) |
全幅 | 1,395 mm |
全高 |
1,400 mm (ハッスルのみ1,600mm) |
車両重量 | 540 - 730 kg |
最大積載量 | 200 (100) kg |
系譜 | |
後継 | ハッスルのみワゴンR(初代)に統合 |
1988年(昭和63年)9月にフルモデルチェンジを受ける。初期のCM出演者は浅香唯(標準モデル)、ポパイとオリーブ(ワークス)。
3代目はホイールベースを一気に伸ばし、当時の軽自動車の中で一番長くすると共に、モデルバリエーションに従来のレジーナなどに加えて、国産車初の両側スライドドアを持つ「スライドスリム」を回転ドライバーズシートと併せて新たに加えた[9]。スライドスリムは2024年8月時点においてもほかにH82W三菱・eK(及びH92W日産・オッティ)の実質1車種しか存在しない「全高1600mm未満のスライドドア付き軽自動車」であり、そのうえ『ドライバーファースト』であるフロントスライドドアという点でミニバンの定石たるリアスライドドアを採用する他車種とは一線を画す[10]。
エンジンは先に3代目セルボに搭載されたF5B型直列3気筒SOHC12バルブを一部のグレードに採用した。このモデルからは2代目以降のマツダ・キャロルのベースモデルにも採用された。「ワークス」は独立車種として標準モデルのアルトとは異なるデザインになり、丸形2灯のヘッドランプにエアロパーツで武装した外観を持ち、仕様に関してはF5B DOHCターボのRS系は従来の過激さそのままだったが、F5A SOHCターボ(S系)も設定された。
1989年(平成元年)4月、消費税施行に伴い物品税が廃止されると、ボンネットバンの減税メリットが薄れたため、アルトにも5ナンバー車を設定し、フロンテはアルトに統合される形で生産・販売ともに終了となった。これによって従来のモデルの大半が5ナンバーに切り替わったため、グレード名称の最後に「-S」が付加、さらに、5ドアバンを廃止する代わりに5ドアセダンを4車種設定するなど、セダン重視のラインナップとなる。
1990年(平成2年)3月にマイナーチェンジを受ける。CM出演者は井森美幸に変更。新規格化に伴い、エンジンを550 ccのF5B型から660 ccのF6A型へ変更、さらにフロント部分を大幅変更、前後バンパーも大型化して新規格に対応。ワークスも、バンモデルから乗用5ナンバーモデルへと変化。軽自動車初の運転席SRSエアバッグと同時期のダイハツ・ミラTR-XX同様、4輪ABSがメーカーオプション設定される。レジーナに5ドアを追加設定し、スライドスリムは右側(運転席側)のみをスライドドアとし、左ドア(助手席側)を5ドアのボディパネルに変更して、1:2ドアの形をとった。スライドドアにパワークロージャー機構を採用し、使い勝手を向上させている。
1991年(平成3年)11月、5ドアのBピラー以降の全高を1,600 mm まで高め、荷室容積を拡大したトールワゴン/トールバンモデルの「ハッスル」を追加。コンパクトカーが大きな荷箱を背負った、フランス車に多く見られるフルゴネットスタイルは欧州では大衆的な存在だが、日本ではこのハッスルを含め数例の市販車があるものの主流となり得なかった。ハッスルのボディーは全て3ドアで、バンの「Hu」、ワゴンの「St」と「Le」の各グレードがあり、定員(バン「Hu-2」のみ2名)、トランスミッション、駆動方式(前輪駆動と四輪駆動)の違いで計10車種からなる。通常のアルトを改造して生産する特装車扱いとなる。また、ワークスには青色のボディーカラーの設定があったがこれは1990年(平成2年)の1年間の限定生産であった。型式からわかるように、このモデルは後に登場したセルボとプラットフォームが共通である。
大韓民国においては、この型の5ドアモデルをベースにGM大宇(現在の韓国GM)より「ティコ」の名で同国軽車規格の上限であるエンジンを800㏄に拡大してライセンス生産・販売された。
1994年11月にフルモデルチェンジを受けた。5ドア車では特徴であったリアクォーターウインドウが廃止されたが、全体的には先代からのキープコンセプトで、ホイールベースを含むボディサイズも先代から据え置かれている。「レジーナ」や「スライドスリム」などのバリエーションはなくなり、3ドアと5ドアの標準モデル、そしてスポーツモデルの「ワークス」のみとなる。内装では、先代後期型のオーディオスペースは2DIN[注釈 18]であったが、こちらは1DINとなっている。
「ワークス」の上級グレードとなる「RS/Z」のエンジンは、新開発のオールアルミ製直列3気筒DOHC12バルブインタークーラーターボのK6A型660 ccエンジンとなり、ECUも16ビットへ進化、最高出力64 ps/6,500 rpm、最大トルク10.5 kgm/3,500 rpmを発揮する。なお、F6A SOHCインタークーラーターボの「ie/s」のECUは従来どおり8ビットのままであるが、最高出力64 ps/6,000 rpm、最大トルク10.0 kgm/4,000 rpmと、先代のSOHCモデルよりも性能が向上している。
標準モデルのCM出演者は鷲尾いさ子。
先代はベスト・アルトのコンセプト通り大ヒット作となったが、コスト削減の影響と新ジャンルを築き上げたワゴンRの登場によってやや影の薄いモデルとなってしまった。
スズキ・アルト(5代目) HA12S/22S/23S/12V/23V型 | |
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セダン(前期型) 1998年10月 - 2000年12月 | |
ワークス(前期型) | |
バン(後期型) 2000年12月 - 2004年9月 | |
概要 | |
別名 |
マツダ・キャロル(4代目) 光岡・レイ(2代目) |
販売期間 |
セダン:1998年10月 - 2004年9月[15] バン:1998年10月-2005年1月 |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 3 / 5ドアハッチバック |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
F6A型 0.66L 直3 SOHC 6V F6A型 0.66L 直3 SOHC 12V K6A型 0.66L 直3 DOHC F6A型 0.66L 直3 SOHC ICターボ K6A型 0.66L 直3 DOHC ICターボ |
変速機 |
CVT 4速 / 3速AT 5速 / 4速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,360mm |
全長 | 3,395mm |
全幅 | 1,475mm |
全高 | 1,440 - 1,455mm |
車両重量 | 600 - 720kg |
系譜 | |
後継 | ワークスのみKei「ワークス」、およびアルトラパン「SS」へ統合(間接上) |
1998年10月7日、軽自動車規格改正と共にフルモデルチェンジ。初期のCM出演者は小泉今日子(標準モデル)。
プラットフォームを共有していたキャロルは本代(同4代目)より純粋なOEM車となった。(エンブレムとグレード体系・装備設定の有無、ターボ車グレードの設定がないなどの違いはあるが、機構・機能面などの基本部分は両車とも共通。)改正に伴い当然ながらサイズはアップしたが車両重量は極力押さえ最小回転半径も4.2メートルにするなどの改良も行われている。最上級グレードの「エポP2」はオートエアコン、後席分割シート、シートベルトアジャスターを装備した。また、「Sc」にはDOHCリーンバーンエンジン搭載車(電子制御スロットル搭載)を設定し、10・15モード測定値で29km/Lの低燃費を実現。スポーツ仕様の「ワークス」はエンジンに可変バルブ機構・ドライブ・バイ・ワイヤを採用し軽自動車としては究極ともいえる高性能化を図った[注釈 19]。ただし今回は競技仕様車である「ワークスR」の設定はなくなった。コスト削減のため、前輪駆動車・四輪駆動車ともボディ(フロア)構造が同一となったため、従来は異なっていた前輪駆動車・四輪駆動車の型式が同一となる。なお2シーター、「Va」・「Sc」の4MT車はニーズの少ない可能性が高いためこの代より受注生産となる。先代モデルのパワーウィンドウなし仕様やバンはドアにベニヤ板とビニールを貼っただけの仕様であったがプラスチックながら全グレード成形ドアトリムになるなど内装の質感も向上した。またバンのエアコン装着車やセダンにはエアコンの装置にエアコンフィルター挿入口が実装され標準でフィルターが付属するようになった。安全装備は登場当初はすべて標準装備ではなかったものの一部の廉価グレードを除き運転席エアバッグのみならず助手席エアバッグ、シートベルトプリテンショナー、ABS(これらの安全装備はセットでメーカーオプション)が選べるようになり販売店独自の特別仕様車の一部では全て装備される場合もあった。
2000年12月5日にマイナーチェンジを受ける。フェイスリフトを行い、エンジンは全車、オールアルミ製のK6A型DOHCエンジンに統一されワークスを含むターボモデルは廃止される。これにより、国土交通省の「優-低排出ガス車(☆☆)」認定を軽自動車で初めて取得(リーンバーンエンジン搭載車を除く)。「ワークス」、「アルトC」、「エポP2」が廃止され、オーソドックスな実用モデル(3ドア「エポ」、5ドア「エポ」、5ドア「エポエクストラ」、バン・3ドア「Vs」)のみの設定となる。また、上級仕様を装備しつつ、価格を抑えた新グレード「21世紀記念スペシャルLx」を新設定。なお「ワークス」の名称は生産終了から約2年のブランクを経てクロスオーバーモデルの「Kei ワークス」へ引き継がれ、2005年1月の生産終了まで約6年10か月間にわたって生産・販売された。またこの型のバンは車重が特に軽量であることから改造ベースとしてよく用いられる[注釈 20]。
5代目の累計生産台数は54万2000台[15]。
スズキ・アルト(6代目) HA24S/24V型 | |
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G 四輪駆動(前期型) 2004年9月 - 2006年12月 | |
室内 | |
概要 | |
別名 |
マツダ・キャロル(5代目) 日産・ピノ(このモデルのみ) |
販売期間 | 2004年9月 - 2009年12月[20] |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン | K6A型 0.66L 直3 DOHC |
最高出力 | 40kW(54PS)/6,500rpm |
最大トルク | 61N・m(6.2kg・m)/4,000rpm |
変速機 |
4速 / 3速AT 5速MT |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,360mm |
全長 | 3,395mm |
全幅 | 1,475mm |
全高 | 1,500 - 1,510mm |
車両重量 | 720 - 810kg |
2004年9月13日にフルモデルチェンジを受ける。このモデルより長年ラインナップされていた3ドア車や2シーター、エアコン・パワステ無しの仕様が廃止される。また、グレード体系も見直し、「E」・「G」・「X」となる。変速機は「E」・「G」は5速MTと3速ATの2種類、「X」は電子制御式4速ATのみの設定。室内高は5代目に比べ30mm高くなっている。ボディカラーのムスクブルーメタリックはオートカラー・アウォード2005[21]でオートカラーデザイナーズ賞のエクステリアカラー部門を受賞している。5代目に引き続きマツダにキャロルとしてOEM供給している。
エンジンは先代に引き続き全車K6A型DOHCエンジンを搭載するが、先代に存在していたVVT仕様とリーンバーン仕様、液晶付きフルオートエアコンはこの代ではそれぞれ廃止されている。
キーレスエントリー未装着車はキーシリンダーが先代同様3か所(運転席ドア・助手席ドア・バックドア)設けられているが、キーレスエントリー装着車は運転席ドアのみとなり、バックドアにドアハンドルが設けられたことで室内用バックドアオープナーは廃止された。
2005年1月12日、バンもフルモデルチェンジ。この代からバンも5ドアとなり、16年ぶりに5ドアバンが復活する。ボディカラーはスペリアホワイト(26U)1色のみの設定で前後バンパーには同社のキャリイ同様、塗装はがれの心配がない白色樹脂を使用している。
先代ではメーカーセットオプション扱いとなっていた運転席・助手席SRSエアバッグは標準装備となったが、4輪ABSはメーカーオプションでも用意されない。
6代目の累計販売台数は約27万台[20]。
スズキ・アルト(7代目) HA25S/HA25V/HA35S型 | |
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アルト(1型) | |
アルトエコ ECO-L 四輪駆動(3型) | |
アルトバン VP | |
概要 | |
別名 | マツダ・キャロル(6代目) |
販売期間 |
セダン/バン: 2009年12月 - 2014年12月[23] エコ: 2011年11月 - 2014年12月 |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
アルト/アルトバン: K6A型 0.66L 直3 DOHC VVT アルトエコ: R06A型 0.66L 直3 DOHC 吸排気VVT |
変速機 |
CVT / 4速AT / 5速MT (CVTは乗用モデルのみの設定) |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット式 |
後 | I.T.L.式 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,400 mm |
全長 | 3,395 mm |
全幅 | 1,475 mm |
全高 |
1,520 mm(エコ) 1,535 mm(前輪駆動) 1,545 mm(四輪駆動) |
車両重量 | 710 - 810 kg |
2009年(平成21年)12月16日フルモデルチェンジ、同日より販売開始。月間販売目標は7,000台と発表されている。
グレード体系はセダンが「E」・「F」・「G」・「X」の4グレード、バンは先代同様「VP」のみを設定する。本代でもK6A型エンジンを引き続き搭載するが、6代目で一旦廃止となっていたVVTが再搭載され、インテークマニホールドの形状変更により給気効率を高めた。また、トランスミッションも5代目以来となるCVT車が再設定されたが、パレットで採用[注釈 23]されたジヤトコ製の副変速機構付CVTへ変更された。AT車は全車4速(ジヤトコ・JF405E)に多段化されるとともに、ロックアップ領域の拡大を行った。ボディも空力特性に配慮した形状と板厚の見直し、高張力鋼板の使用拡大などにより軽量化を図ったことで、バン「VP」の前輪駆動・5MT車を除く全車で平成27年度燃費基準を達成。バン「VP」は「平成17年基準排出ガス75 %低減レベル(☆☆☆☆)」認定を同時に取得した。
より丸みを帯び、ヘッドランプが紡錘形となったフロントフェイスは「F」以上のグレードと「E」・バン「VP」で異なる2種類のデザインを採用している[注釈 24]。「F」以上のグレードに標準装備されるCDプレーヤーはインパネ中心部の造形に合わせた専用デザインとなった[注釈 25]。また、シンプルな大型スピードメーターは白地となり、インフォメーションディスプレイは瞬間燃費・平均燃費・走行可能距離の表示機能を追加した。フルモデルチェンジに合わせて復活した最上級グレードの「X」はアルトでは初となるキーレスプッシュスタートシステムやイモビライザーが装備されたが、コスト削減のためにリアワイパーは四輪駆動車のみ装着となった。
2011年(平成23年)11月24日、低燃費仕様の派生モデルアルトエコ(DBA-HA35S)を追加。初期のCM出演者は香里奈・小林星蘭・西田敏行。モデル末期の2014年(平成26年)よりベッキーに変更。
グレード体系は「ECO-L」と「ECO-S」の2グレードを設定する。エンジンを3代目MRワゴンで採用されたR06A型へ変更し、9 km/h以下でエンジンを自動停止する停車前アイドリングストップシステムを搭載。省電力化を図るため、リアコンビランプとハイマウントストップランプをLED化し、燃料ポンプを軽自動車では初となる省電力型に変更。エンジンの変更に伴ってエンジンルーム周りの骨格も一新し[注釈 26]、燃料タンク容量を標準車の30Lから20 Lへ変更[24]するなど、各種部品の軽量化を徹底したことで「G」のCVT車に比べて20 kgの軽量化を達成するとともに、車高を15 mm低くし、フロントバンパーの形状を変更して空力性能の向上を図り、足回り部品やタイヤを変更することで走行抵抗を低減した。これらにより、JC08モードで30.2 km/L(平成27年度燃費基準+20 %達成)を実現した。アイドリングストップシステムにはスズキ車初となる新機構スターターモーターが搭載されており、停車前アイドリングストップ作動中でもブレーキを緩める、ハンドル操作をする、などの操作で瞬時にエンジンが再始動し、スムーズな再加速ができる。このほかエンジンの再始動は、トランスミッションのSモードスイッチ入、ドア開でも行われる。また、坂道発進の際の後退を抑制するヒルホールドコントロールを追加装備している。
なお、燃費性能は改良を重ねるたびに向上しており、2013年(平成25年)2月のマイナーチェンジで33.0 km/Lに向上、同年11月の一部改良で35.0 km/Lに向上されている。
このアルトエコは、株式会社イードが運営する、登録会員がそれぞれの実生活で得られた愛車の実燃費をインターネットを介して入力・管理する燃費管理サービス「e燃費」が主催する「e燃費アワード2013-2014」の「軽自動車部門」において22.6 km/Lを記録し、同部門で1位になった。なお、この数値は、同アワードで「新型車部門」と「ハイブリッド車部門」の2冠を獲得したトヨタ・アクア(2013年11月改良モデル、22.4km/L)の記録を上回って当年度のアワード全部門の中でもトップの実燃費を記録し、ハイブリッド車を上回る実燃費の高さが証明される結果となった[25][26]。2015年2月16日に発表された「e燃費アワード2014-2015」では前年を上回る23.2 km/Lを記録して「軽自動車部門」で2連覇を達成するとともに、総合部門でも「ハイブリッド車部門」で1位となったトヨタ・アクア(22.6 km/L)を上回り、「総合部門」でも2連覇を達成した[27]。
ボディカラーは「アルト」・「アルトエコ」共通で6色を設定[注釈 27]するが、「アルトエコ」ではホワイト系が「アルト」のスペリアホワイトに代わり、緑味を帯びた専用色のリーフホワイトが設定される。なお、スペリアホワイトは2013年(平成25年)5月の仕様変更により「アルトエコ」にも設定されるようになった。また、同年11月のアルトエコの一部改良に伴い、ミルクティーベージュメタリックとブルーイッシュブラックパール3をアルト専用色に移行するとともに、アルトエコには赤系のフェニックスレッドパールとピンク系のシャンパンピンクパールメタリックの2色を追加し、専用色を3色に増やした(どちらも他のスズキ車に設定されているボディカラーである)。
OEM車種については発表翌日にキャロルも本代ベースにモデルチェンジされ、2012年(平成24年)11月には低燃費仕様の派生モデルであるキャロルエコが追加された。
ヨーロッパ向け5代目アルトは2009年から2014年にかけて販売された。インドでマルチ・スズキ・Aスターとして販売された車種の日本国外版であり、ラテンアメリカなど一部地域では「セレリオ」として販売された。なお、同車種の後継は全世界でセレリオの車名に統一される。
2014年12月12日にフルモデルチェンジを予告するプロモーションサイトが開設[32]され、同年12月22日に発売。OEM車種のマツダ・キャロルについてもアルトから遅れて3日後にフルモデルチェンジを発表し、1か月遅れで販売を開始した。
2015年3月11日には、5代目以来約14年3か月ぶりとなるターボ車「ターボRS」を追加発売[33]。同年12月24日には「アルトワークス」が約15年のブランクを経て復活した[34]。
これにより、バリエーションはセダン・バン・ターボRS・ワークスの4つに増え、特にホットハッチモデルに関しては歴代初の2モデル体制となったが、ターボRSは2018年11月をもって廃止され、ワークスに統一された。
商用モデルの「バンVP」に関しては乗用モデルの生産終了に先駆けて2021年7月30日をもって生産終了[35]、同年12月までに販売終了となり、9代目に商用モデルが設定されなかった(派生車種のラパンを含めて乗用モデルのみのラインナップ)ことから、商標当初から続く軽ボンネットバンは8代目限りで終了となった。なお、2022年8月26日に軽トールワゴンのスペーシアに商用モデル「スペーシア ベース」が発売されている。
2019年6月15日にパキスタン向けアルトが発売された[36]。スズキの海外拠点で初めて、現行の日本における軽自動車規格と同一のボディー・排気量を採用したモデルで、8代目アルトをベースに、ボディーとエンジンは日本仕様と同じだが、バンパー、およびフロントフェンダーの材質をそれぞれ樹脂製から鋼板製に変更し、更に最低地上高を高く(全高は日本での「F」・「L」・「S」よりも15mm高い1,490mm)するなどパキスタンの道路事情に合わせて仕様が変更されている。トランスミッションは5MTとAGSの2種類が設定されている。
スズキ・アルト(9代目) HA37S/97S型 | |
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L 2WD (アップグレードパッケージ装着・ホワイト2トーンルーフ仕様車) | |
HYBRID S 2WD | |
HYBRID X 2WD (ホワイト2トーンルーフ仕様車) | |
概要 | |
別名 | マツダ・キャロル(8代目) |
販売期間 |
2021年12月22日 - (発表:2021年12月10日) |
ボディ | |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
プラットフォーム | HEARTECT(ハーテクト) |
パワートレイン | |
エンジン |
R06A型 0.66L 直3 DOHC R06D型 0.66L 直3 DOHC 吸排気VVT |
モーター |
WA04C型:直流同期電動機 (マイルドハイブリッド車のみ) |
変速機 | CVT |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット式 |
後 |
トーションビーム式(2WD車) I.T.L.式(4WD車) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,460 mm |
全長 | 3,395 mm |
全幅 | 1,475 mm |
全高 | 1,525 mm |
9代目では、ホットハッチモデルの「ワークス」を廃止、バンも8代目末期で既に廃止となっており、最初から全グレードが5ナンバー(いわゆる軽乗用車)となった。外観は8代目のコンセプトを基本としながらも、ラパンのような丸みを帯びたフォルムに楕円形のモチーフが取り入れられたスタイルとなり、フロントフェイスは一部のグレードにメッキフロントバンパーガーニッシュが採用され、ヘッドランプも一部のグレードにLEDが採用された。8代目同様に最上位グレードにはスポーク形状のアルミホイールが装備される。2トーンカラーは8代目のバックドアから他の一部のスズキ車と同じルーフに、カラーもミディアムグレーからホワイトに変更したホワイト2トーンルーフとなった。また、8代目ではリアバンパーに組み込む形で横型に配置されていたリアコンビネーションランプは7代目以来となるリアバンパーから独立した中央配置の縦型に戻され、8代目ではアンバー色となっていたフェンダーサイドターンランプも7代目以来となるクリアに戻された。内装ではインパネとドアトリムにネイビーが採用され、シートは表皮にデニム調・背面をブラウンとした2トーン仕様とした。
8代目で低くなった全高は再び高くなり、50mm拡大している、それに合わせて、車内高が45mm、フロントドア開口部の高さが20mmそれぞれ高くなった。併せて、室内幅も25mm拡大されたが、最小回転半径は8代目から0.2m大きい4.4mに抑え、小回り性は継承されている。また、バックドア・センターピラー・サイドドアでそれぞれ環状構造を形成する「環状骨格構造」とすることでボディ全体の剛性が向上され、ボディのルーフパネルとルーフメンバーの接合部に高減衰マスチックシーラーを採用したことでこもり音や雨音が低減された。
パワートレインはR06A型エンジン+エネチャージを構成するガソリン車(HA37S型)に加え、R06D型エンジン+ISG(モーター機能付発電機)で構成された歴代のアルトで初となるマイルドハイブリッド車(HA97S型)[注釈 31]を新たに設定。加速時にモーターがエンジンをアシストする機能が備わったことで、2WD車はWLTCモードによる燃料消費率で軽自動車No.1となる27.7km/Lを実現し、軽自動車で初となる「2030年度燃費基準95%達成車」となった[37]。なお、トランスミッションは一部のグレードに用意されていた5MTや5AGS(AMT)の設定が無くなり、軽量化と高効率化を実現した新型CVTへ一本化された。
予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」は8代目から強化され、衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者も検知可能なステレオカメラ方式の「デュアルカメラブレーキサポート」となり、他の装備を含め、全グレードに拡大して標準装備された。エアバッグは運転席・助手席SRSに加え、フロントシートSRSサイドとSRSカーテンを加えた6エアバッグに増強。また、全方位モニター用カメラや標識認識機能を備えたヘッドアップディスプレイのメーカーオプションが追加された。
トレーを助手席インパネやフロアコンソールにも設け、運転席・助手席のドリンクホルダーは紙パックにも対応。大型のスマートフォンも収納可能なインパネセンターポケットを設けるなど収納スペースを充実化させた。オーディオは全車レス仕様が基本となり、日本国内のスズキ車で初となる7インチのディスプレイオーディオをメーカーオプションに設定(グレードにより、バックアイカメラ付又は全方位モニター付となり、USB電源ソケット2個も装備される)。ラジオやBluetooth接続による音楽再生・ハンズフリー通話に加え、設定時に一緒に装備されるバックアイカメラ又は全方位モニターの映像が表示されるほか、燃費や渡航可能距離・エンジン異常などの車両警告情報の表示が可能。さらに、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応しており、スマートフォンとの連携により地図アプリの表示も可能となる。なお、8代目まで標準装備となっていたラジオ付CDプレーヤーは販売店アクセサリーの純正オーディオ[注釈 32]での対応となった。
なお、マイルドハイブリッド車については、パワーステアリング・エアコン・電波式キーレスエントリーなどを装備して121.18万円(2023年11月一部仕様変更モデル、10%の消費税込)からの価格設定となっており、かつてアルトとメカニカルコンポーネンツを共用し販売されていた2ドアマイクロクーペのツインに設定されていたハイブリッド車よりも割安となる[注釈 33]。
OEM車種のキャロルはアルトから13日遅れの12月23日にフルモデルチェンジを発表。8代目となった。
日本国外で販売されてきたアルトは日本仕様とは異なる部分がある。
日本国外向けの初代はSS80型となる。これはSS40型フロンテをベースに40psを発揮する直列3気筒796ccエンジンを搭載したもので、ヨーロッパでは1981年から1984年まで販売された。インドではマルチ・ウドヨグ(現:マルチ・スズキ・インディア)によってマルチ・800として、パキスタンではパック・スズキ・モーターによってスズキ・FXとして製造が行われた。
日本国外向けの2代目はCA91/92/CB91/92型(SB308型とも)。CA71/72型フロンテをベースに796ccエンジンを搭載した。インドでは2代目マルチ・800として、パキスタンではメヘラン (Mehran) として生産された。また、中華人民共和国では長安汽車、吉林江北機械廠、湖南江南汽車によって生産された。ヨーロッパでは1984年から1993年まで販売されたが、日本市場向けがCL11型にモデルチェンジしてからはインドからの輸入に切り替わった。
CL11型は大宇国民車(現:韓国GM)が大宇・ティコとして大韓民国、ポーランド、ルーマニア、ウズベキスタンで生産した。中国ではティコが安徽安馳汽車によって「安馳(Anchi)」(MC6330)のネーミングで1994年から2003年まで、および親会社の哈飛汽車によって「百利(Baili)」(HFJ6330E)のネーミングで1999年から2004年まで生産された(エンジンは直列4気筒870cc)。また、エジプトのスペランザ社でもライセンス生産(1996年 - 2008年)された。
1994年から2002年にかけてはセルボモードをベースに1Lエンジンを搭載した車種がヨーロッパ向け3代目アルトとしてインドから輸出された。なお、この車種はインドでは「ゼン」の車名で販売された。
インド市場で最初に「アルト」の車名を冠した車種は2000年に登場した。HA12型をベースに直列3気筒 F8D型 796ccエンジンを搭載しており、新興国向けにはこちらが輸出された。ヨーロッパ向け4代目アルトは直列4気筒 F10D型 1061ccエンジンを搭載したモデルがインドから輸出され、2002年から2009年にかけて販売された。1.1L車はインド向けにも上級グレードとして設定されたが、やがてカタログから落とされ、2010年8月に直列3気筒 K10B型 998ccエンジンを搭載した車種が「アルトK10」としてデビューした。アルトK10もまた新興国向けに輸出されている。HA12型はパキスタンでも製造が行われていたほか、コロンビアではゼネラルモーターズによって現地組立が行われてシボレー・アルトとして販売された。
2022年8月18日には、インド市場向けのアルトK10がフルモデルチェンジを発表し発売された[43]。外観はヘッドランプを大型化し、フロントグリルは大型のハニカムパターンを採用。内装はグレーを基調にベージュのアクセントが採用され、オーディオユニットをフローティングデザインとした。7インチのディスプレイオーディオ「SmartPlay スタジオインフォテインメントシステム」が採用され、Apple CarPlayやAndroid Autoといったスマートフォンとの連携機能にも対応。スピードメーターをデジタル表示とし、インパネにフロントパワーウィンドウスイッチを備え、リモートキーレスエントリーが装備された。エンジンはK型エンジンの新世代型でデュアルVVTを備えた「デュアルジェットエンジン」へ換装され、トランスミッションには5MTに加えてAGS(オートギアシフト)が追加された[44]。
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