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神奈川県川崎市川崎区のバス専業事業者 ウィキペディアから
川崎鶴見臨港バス株式会社(かわさきつるみりんこうバス、英語: Kawasaki Tsurumi Rinko Bus Co.,Ltd)は、神奈川県川崎市川崎区に本社を置くバス専業事業者である[1]。略称は臨港バス(英語: Rinko Bus)で[1][3]、これは会社創立時から公式に使用している略称である[4]。
本社 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
略称 | 臨港バス[1] |
本社所在地 |
日本 〒210-0818 神奈川県川崎市川崎区中瀬3丁目21-6[1] |
設立 | 1937年11月18日[1] |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 5020001072478 |
事業内容 | 乗合バス事業、貸切バス事業、特定バス事業 |
代表者 | 取締役社長 野村正人[1] |
資本金 |
1億8000万円 (2019年3月現在)[1] |
売上高 |
102億2,737万円 (2019年3月期)[1] |
純利益 |
6億7,700万円 (2024年3月期)[2] |
純資産 |
170億7,400万円 (2024年3月期)[2] |
総資産 |
217億9,500万円 (2024年3月期)[2] |
従業員数 | 930名(2019年3月現在)[1] |
主要株主 | 京浜急行電鉄(100%) |
主要子会社 | #関連項目参照 |
関係する人物 | 浅野総一郎 |
外部リンク | http://www.rinkobus.co.jp/ |
京浜急行電鉄の完全子会社であり[5]、京急グループに属する[6]。JR鶴見線の前身にあたる鶴見臨港鐵道(戦時買収私鉄。法人組織は東亜建設工業傘下の不動産会社・東亜リアルエステートとして現存)の乗合バス事業を起源として成立したバス事業者である[5][7]。1948年に京急グループ入りし[8]、2006年に京浜急行電鉄の完全子会社となった[5]。社名のとおり川崎駅・鶴見駅を発着する系統を中心に、川崎市東部や横浜市北東部を基盤として路線を展開する[9]。
2000年に分離子会社として臨港グリーンバスを設立し、一部路線を移管・委託していたが、2010年に同社を吸収合併している[5]。
横浜市鶴見区を基盤とする鶴見臨港鐵道のバス部門が子会社として独立した「鶴見川崎臨港バス」が、川崎駅東側の川崎市川崎区を基盤としていた「川崎乗合自動車」を合併して「川崎鶴見臨港バス」となった成立過程を持つ[5][10]。このため一般路線バスの営業エリアは、横浜市では鶴見区・港北区・神奈川区、川崎市では川崎区・幸区・中原区を範囲としており、両市を跨る路線も存在する。
路線の大半は川崎駅・鶴見駅を拠点として、京浜工業地帯の工場や物流拠点への通勤輸送を担う路線も多い。住宅街や鉄道駅へ伸びる路線は、内陸部は東急東横線の駅までが基本であるが、東横線より内陸側まで乗り入れる路線もある。
営業範囲に乗り入れる他のバス事業者は、川崎市バス・東急バス・横浜市営バス・京浜急行バスなどがあり、このうち川崎市バス、東急バスとは一部路線で共同運行を実施している。また、川崎市バス上平間営業所の管理・運行を受託している。
横浜駅に乗り入れる一般路線は存在せず、以前は高速路線にも横浜駅に乗り入れる路線がなかった。2002年10月1日より「高速通勤バス」として横浜駅と東扇島地区・浮島地区を結ぶ路線を京浜急行バスと共同運行している[5]。
かつては東京都内にも、京浜急行バスとの共同運行により一般路線が大田区へ乗り入れていたが1973年に一度撤退し、羽田空港リムジンバスも2021年7月15日をもって撤退していたが、2022年に天空橋駅発着路線を開設したことで東京都内での運行を再開した。また、東京湾アクアライン開業後はアクアライン高速バスが千葉県に乗り入れている。成田空港リムジンバスも運行していたが、2015年5月31日をもって運休、2021年7月15日をもって廃止となっている。
一般路線の系統番号は一部を除き導入されており、「川03」「鶴01」などのように「起終点を表す文字+数字2桁」で表記する。途中に通過停留所のある便は系統番号の代わりに「急行」「快速」「直通」の種別を表記する。
全て神奈川県に所在。所轄路線については各営業所の記事を参照。
営業所を示すアルファベット記号は、営業所名の頭文字を取っているが、神明町営業所がS、浜川崎営業所がHを使用するため、塩浜営業所はA (shiohAma) となっている。
2007年11月18日に「創立70周年記念キャンペーン」、2017年11月18日に「創立80周年記念企画」を実施した。
銀色地に紺色帯の旧塗装(通称「銀バス」)を復刻した車両を運行した。鶴見営業所所属の1T079号車、浜川崎営業所所属の2H055号車の2台。昭和のバスを忠実に再現するため、ラッピングではなく塗装して仕上げている。
2020年3月時点で、乗合バス393台、貸切バス9台を保有する[1]。
川崎鶴見臨港バスの営業所は横浜市と川崎市に所在するため、車両の登録番号(ナンバープレート)は、鶴見営業所の所属車両のみ横浜ナンバー、他の営業所の所属車両は全て川崎ナンバーである。神奈川県で川崎ナンバーが導入される前は全車が横浜ナンバーであったが、1980年の川崎ナンバー導入後は、川崎市内の営業所の車両は順次川崎ナンバーへ変更された。なお、1964年に横浜ナンバーと相模ナンバーに分割される以前は、全て「神ナンバー」で登録されていた。
新車導入・既存車体売却のサイクルが非常に早く、現在はおおむね10年から12年程度のサイクルで車両の置き換えを行っている。また新車導入から約6 - 7年程度経過した車両を対象に、車体更新工事を京急ファインテック金沢事業所で実施している。
かつては沿線に工場があったいすゞ自動車、日野自動車の車両を採用し、営業所によりメーカーが区分けされていた。営業所によっては工場閉鎖後に指定メーカーが変更されている。
営業所ごとの導入車両メーカーは以下のとおり。詳細は各営業所の記事を参照のこと。
ジェイ・バス(いすゞ自動車・日野自動車)、三菱ふそうの3社の車両が在籍している。日産ディーゼル/UDトラックス車の配置はない(ただし一部の三菱ふそう車にUD製のエンジンを搭載した車が在籍する)。UDトラックスからのOEM供給車である三菱ふそう・エアロスター-Sは導入されていない。
大多数はジェイバス(いすゞ)車であり、塩浜営業所・神明町営業所・鶴見営業所に配備されている。ジェイバス(日野)車はかつて浜川崎営業所のみに配備されていたが、2007年秋より塩浜営業所への配備も開始された。三菱ふそう車は1990年代後半に導入された車両が塩浜営業所に少数在籍するのみであったが、2007年秋より新車導入が再開され、浜川崎営業所に配備が始まった。2011年以降は各営業所でAT車が相次いで導入された。2021年現在は再び営業所によって新車を導入するメーカーが分かれている。
かつては大型車のみの配置で、大型短尺車のいすゞ・キュービックLT、いすゞ・エルガLT、三菱ふそう・エアロスターMMも配置されていた。中型車は神明町営業所にいすゞ・ジャーニーK(富士重工6E・8E車体)が少数配置されていたのみだったが、経営合理化の一環として道幅が狭く大型車での運行が難しい路線や、乗客数の比較的少ない路線・時間帯には中型車で運行するようになり、1999年からいすゞ・エルガミオの導入が開始された。日野・レインボーHRの中型長尺車も多数導入された。2010年代以降は再び大型車中心の配置となり、2021年9月現在では浜川崎営業所に中型車が数台残る以外は全て大型車となっている。
低床化への取り組みとしては、1991年に浜川崎営業所へワンステップバスを導入し、1998年には初のノンステップバスを鶴見営業所に導入した。その後は車椅子スロープ付きワンステップバスとノンステップバスを並行して導入してきたが、2009年以降の一般路線車は原則としてノンステップバスのみが選択されている。
低公害車の導入は、ハイブリッドバスの日野・ブルーリボンシティ ハイブリッドを浜川崎営業所と塩浜営業所に、三菱ふそう・エアロスターの尿素SCRシステム搭載車(2007年、2008年式はワンステップ車、2009年式以降はノンステップ車)を浜川崎営業所に導入した。いすゞ・エルガ、いすゞ・エルガミオや日野・ブルーリボン、日野・レインボーもAdBlue使用車を原則として選択するようになり、現在では基本的にエルガは神明町営業所・鶴見営業所、ブルーリボンは塩浜営業所に導入している。
現行の車両カラーリングは、白色地に3本(正面と後面は1本)の濃い青色帯と1本の赤色帯を巻くのが基本パターンである。
かつては銀色地に紺色の帯の「銀バス」と呼ばれたカラーリングであり、後述の創立70周年記念キャンペーンの際に復刻された。
また、過去にはギャラリーバスも運行されており、他のバス車両とは全く異なるカラーリングで絵をペイントされたため目立つ存在であった。現在は一部の車両が車体広告ラッピング車となっている。
車両の装備としては、停留所の着発時や右左折時、狭い道路や交通量の多い道路の走行時などに注意促進のため、早い時期からウィンカーチャイム(右左折警報音)を装備している。ウィンカー点滅中に「キンコン、キンコン」という音が鳴るもので、臨港バスの運行エリアでは頻繁に聞くことができる。臨港バス以外の近隣のバス事業者では都営バスや京浜急行バス、東急バス、相鉄バスなどでも同様のウィンカーチャイムを採用している。
かつては車内案内表示器が設置されていなかったが、2001年度に2段表示のLED式車内案内表示器が採用され、2016年度からは液晶式車内案内表示器を採用した。
過去には方向幕式の車両が多く、黒地に白抜き文字を基本に、系統番号部分や行先部分の色分け、循環経路などの表記に特徴が見られるものもあったが、現在は全車がLED式の行先表示器を搭載している。2003年度以降の導入車ではLED式の行先表示器を採用し、現在は全車LED式行先表示器を装備しており、既存の方向幕式車両も一部はLED式行先表示器に交換された。方向幕の車両は2015年度に消滅している。2018年度からはフルカラーLED搭載車両が導入されている。フルカラーLED搭載車では、方向幕の車両と同様に行先の色分けなどに特徴が見られる。
2009年度導入車からは緑色に着色されて紫外線をカットするUVカットスモークガラスが採用され、2008年度導入車まで中扉開閉時の音はブザー音だったが、一部車両で中扉のドアチャイムおよび開閉ランプが採用された。2012年度導入車からは車内LED照明が本格採用されている。
観光タイプの車両は三菱ふそう・エアロエースが主力で、かつては三菱ふそう・エアロバスのハイデッカー、スタンダードデッカー、いすゞ・ガーラ(初代)が在籍していた。
かつて東扇島線や浮島線に使用されていたいすゞ・エルガのワンロマ車は、2013年頃に川崎浮島橋快速線に転用された。
川崎市・横浜市に所在する特別支援学校のスクールバスを運行受託している。特定車として横浜市立上菅田特別支援学校スクールバス用の三菱ふそう・エアロスター、横浜市立盲特別支援学校スクールバス用の日野・リエッセ、横浜市東部地域療育センタースクールバス用のいすゞ・ガーラミオを保有し、いずれも鶴見営業所に配置されている。これらの車両は通常、鶴見駅付近の鶴見線高架下(総持寺付近)の車庫に留置されている。かつてはいすゞ・エルガ、エアロミディ、三菱ふそう・ローザも配置されていた。
川崎鶴見臨港バスにおける社番(登録番号とは別に、社内で識別のために車両に付与する車号)の付番規則は以下のとおり[58]。
一般路線車と特定輸送車の社番は、数字1字(メーカー)+英字1字(営業所)+数字3桁(固有番号)で表記される[58]。車体の前面と後面にはメーカーを示す数字を省略し、側面には省略せず記載される[58]。
1 | T | 625 |
---|---|---|
メーカー | 営業所 | 固有番号 |
一例として、1T625ならば「1=いすゞ車、T=鶴見営業所所属、625号車」となる。営業所間の転属の際には英字の書き換えも行われる。
なお、臨港グリーンバスの社番を付けた車両は、臨港バス本体への吸収合併に伴う移籍により改番され現存しない。臨港グリーンバス時代の付番規則の詳細については「臨港グリーンバス#車両」を参照のこと。
貸切車と高速路線車の社番は、数字1字(用途)+数字3字(固有番号)で表記される[58]。
3 | 069 |
---|---|
用途 | 固有番号 |
一例として、3069ならば、「3=高速路線車、069号車」となる。
川崎鶴見臨港バスで役目を終えた車両は、全国の地方事業者に譲渡されている。京浜急行バスとともに古くから全国の地方事業者に廃車車両を供給しており、譲渡先は北は北海道から南は沖縄県まで広範囲にわたる。神奈川県を含む首都圏が自動車NOx・PM法による排出ガス規制強化地域に指定された2000年以降はさらに増加しており、近年はワンステップバスも地方事業者へ移籍している。
主な譲渡先は、ジェイ・アール北海道バス、道南バス、苫小牧市交通部(2012年3月事業廃止、道南バスに移管)、秋北バス、羽後交通、福島交通、茨城交通、関東自動車、長電バス、川中島バス(現アルピコ交通)、中鉄北部バス、堀川バス、九州産交バス、那覇バス、琉球バス交通などである。一部の車両はミャンマーなど海外へも輸出されている。
その他、いすゞ・キュービック1両がテレビ番組向けのロケ車として転用され、年末の日本テレビ系列の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』の「笑ってはいけないシリーズ」などに使われた。『絶対に笑ってはいけない科学博士24時』以降は他のバスが使用されている。
川崎鶴見臨港バスは川崎市営トロリーバス計画中に、川崎駅と三井埠頭を結ぶトロリーバスの特許申請を行った[59]。実現すれば1943年の鶴見線戦時買収以来の鉄道事業再参入となるはずだったが、川崎市交通局との競合もあって申請を取り下げることとなった。
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