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兵庫県神戸市長田区から姫路市を結ぶ山陽電気鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
本線(ほんせん)は、兵庫県神戸市長田区の西代駅から同県姫路市の山陽姫路駅までを結ぶ山陽電気鉄道の鉄道路線である。駅ナンバリングで使われる路線記号はSY。
以下、本文では乗り入れ先の阪急電鉄・阪神電気鉄道にはともに神戸三宮駅・大阪梅田駅など別位置ながら同一駅名があることを踏まえ、区別のため山陽電鉄の表記に倣い、正式駅名に「阪急」または「阪神」を付けて表記する。
神戸と明石・姫路間の都市間輸送(インターアーバン)を行っている。西代駅を通る全列車が阪神神戸高速線に直通し、神戸市の中心駅である神戸三宮駅やさらに阪神本線に直通して阪神大阪梅田駅に至る[2][報道 1]。
全線で西日本旅客鉄道(JR西日本)の山陽本線(JR神戸線)と、西代駅 - 板宿駅間では神戸市営地下鉄西神・山手線と並行している[3][4]。舞子公園駅 - 山陽明石駅間ではJR神戸線と完全に並走しているが[報道 1][5]、路線があるエリアが異なることからそれぞれ棲み分けがなされており、板宿駅・明石駅での乗り換え利用も多いほか、駅間隔の短さからJR線のフィーダー輸送の役割も担うなど、直接的な競合は存在しない。
JR線とは山陽須磨駅・山陽塩屋駅・山陽垂水駅・舞子公園駅・山陽明石駅・山陽姫路駅で接続している。山陽姫路駅ではさらに山陽新幹線とも接続しており、関西の私鉄では数少ない新幹線との接続駅となっている。人身事故などのトラブルがあった場合には、JR線と当線で振替輸送を行う[5][6]。
国土交通省への届出上の路線名は社名が付かない「本線」である[注 1]。
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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普通列車と速達列車の組み合わせで構成されている。全長50km超に及ぶ路線ではあるものの、他の私鉄によく見られるような地域ごとの運転本数のばらつきがほとんどなく、日中ではほぼ全線にわたり直通特急と普通列車を15分間隔(それぞれ1時間あたり4本)で交互に運行するパターンダイヤが組まれている(ただし板宿駅以東では直通特急に停車駅の差異が生じるほか、普通列車が1時間あたり2本、山陽線内各駅停車となる阪神特急への接続による代替となるなど、若干の崩れが生じる)。西代駅を通る全ての列車が神戸高速線に直通するため、西代駅を始発・終着とする列車は存在しない。
速達列車は、阪神大阪梅田駅 - 山陽姫路駅間に運転されている直通特急が主体で、全列車が阪神本線に直通する。また、朝と深夜には特急・S特急が運転されている。速達列車のうち直通特急と(山陽)特急は6両編成、S特急は4両編成、普通列車は4両編成または3両編成で運転される。
普通列車は、山陽電鉄から神戸高速線(西代駅 - 阪急神戸三宮駅・元町駅間)を経て阪急方面は阪急神戸三宮駅まで、阪神方面は阪神神戸三宮駅まで乗り入れる列車が運転されている。阪神神戸三宮行きの列車は、同駅の大阪側に引き上げ線がないため、一部を除き回送列車として大石駅まで運行し折り返している。また、相互乗り入れを行っている阪神の車両も直通特急のほか、阪神電鉄線内特急として当線の須磨浦公園駅まで乗り入れる列車が運転されている。阪神からの乗り入れ列車は直通特急をのぞき阪神神戸三宮駅以西の神戸高速線・山陽電鉄線内は各駅に停車する。
1998年2月15日に阪神との直通特急が運転開始されるまでは、山陽電鉄の列車が阪急神戸本線の六甲駅まで、阪神・阪急の主に特急が当線の須磨浦公園駅まで乗り入れていた。また、2001年3月10日の直通特急増発までは、特急・普通ともに阪神大石駅まで乗り入れていた。阪急・阪神からの須磨浦公園駅乗り入れ列車は、当線内は各駅に停車し、西代駅 - 須磨浦公園駅間では、日中は片道山陽特急4本のほか、乗り入れ車を含む普通10本が運行されていた。
2009年3月20日に開通した阪神なんば線によって、これまで神戸高速鉄道を介しての阪神・阪急に加え近畿日本鉄道(近鉄)とも線路がつながった。近鉄線と直通する定期列車はないが、2013年・2014年に阪神の車両を用いて近鉄奈良駅 - 山陽姫路駅間直通のイベント列車が運転されたことがある[広報 2][7][広報 3][8]。
日中1時間あたりの運行本数は以下のようになっている。
(黄色の直通特急は神戸三宮 - 板宿間各駅停車)
阪神電鉄からの乗り入れ列車は「阪神本線」を参照。現行の停車駅は「駅一覧」の節も参照。以下、運行の変遷や過去の種別の解説において、阪急三宮駅・阪神三宮駅とあるのは、それぞれ現在の神戸三宮駅である。
運行形態の項で記したとおり、終日、阪神大阪梅田駅 - 山陽姫路駅間(早朝・深夜に一部区間運転あり)で運転されている。山陽電鉄線内では基本的に15分間隔での運転である。
山陽電鉄線内の停車駅は、直通特急とほぼ同一である。かつては阪神本線内は各駅停車となり、大石駅発着で終日運転されていたが、前述の直通特急増発に伴い運転本数が大幅に減少し、現在は東二見車庫への入出庫を兼ねて、早朝・深夜に東二見駅 - 山陽姫路駅間で運転されるのみとなっている。
現在の特急のルーツは戦後1949年4月15日に兵庫駅 - 姫路駅間で運転を再開した2代目特急で(1968年以前は兵庫駅が神戸側のターミナルであった)、設定当初の途中停車駅は戦前と同様[要出典]長田駅(現・高速長田駅)・明石駅・飾磨駅の3駅のみであった。それでも当時は兵庫駅 - 姫路駅間を約75分と、停車駅が9駅追加された現在より約20分も遅く走っていた(現在は新開地駅 - 姫路駅間を12駅停車、約55分で走っている)。その後、車両の高性能化や種別整理に合わせて停車駅の追加と所要時間の短縮が幾度となく繰り返され、現在に至っている。
早朝の平日下りと深夜の上りに東二見駅 - 山陽姫路駅間を阪神車両で運行する山陽特急が存在する。2006年10月改正で一旦廃止されたが2012年3月改正で復活した。2006年10月改正以前の阪神車の方向幕には「特急 東二見」の表示が存在せず「直通特急 東二見」の表示を出していたが、2012年3月改正にて阪神車にも「特急 東二見」・「特急 姫路」の方向幕表示が整備されている。毎日早朝に東二見発山陽姫路行きで山陽特急が3本運行されている。この山陽特急は平日ダイヤ、土休日ダイヤ共に阪神車が充当されており、2022年12月のダイヤ改正以前は山陽車が充当される山陽特急は夜間時間帯の山陽姫路発東二見行きのみであっため、山陽車による「特急 姫路」の表示は通常では見ることが出来なかったが、このダイヤ改正で朝に1本増発され、朝の3本のうち1本が山陽車の充当となったので、山陽車の『特急・姫路』の表示が再び見られるようになった。
なお、1991年4月改正までは夜間に阪急三宮発高砂行きの特急(東二見から各駅停車)が運行されていたが、この改正でS特急に統合されている。
2009年3月20日のダイヤ改正で、直通特急・特急が月見山駅に停車し、種別幕が黄色の直通特急は阪神三宮駅 - 山陽須磨駅間各駅停車となった(2016年3月19日改正で各駅停車区間を阪神神戸三宮駅 - 板宿駅に短縮)。また、土休日夜間の山陽特急が種別幕黄色の直通特急に置き換えられたため、山陽特急としての運転は下りは高速神戸駅以西、上りは東二見駅以西のみとなり、阪神三宮駅発着は消滅した。この時点で東二見駅以東で残存した山陽特急は、早朝の高速神戸発山陽姫路行き1本のみで、これは西代駅・東須磨駅・須磨寺駅を通過する唯一の列車となっていたが、この列車も2016年3月19日改正にて高速神戸始発の種別幕黄色の直通特急に置き換えられ、山陽特急としての運転は東二見駅 - 山陽姫路駅間のみとなった。
なお、戦前にも特急が運行していた。1934年9月18日のダイヤ改正で設定され、当時は長田・西代・須磨・塩屋・垂水・明石・西新町・東二見・高砂・大塩・妻鹿・飾磨に停車しており、それ以前に運行していた急行の大部分を、停車駅から人丸前・別府・尾上の松を外して置き換える形で設定された。1939年3月の改正では、塩屋・西新町・妻鹿も通過となった。1941年7月6日のダイヤ改正では、急行が終日運転になるとともに大塩も通過となり、長田・西代・須磨・明石・東二見・高砂・飾磨と、概ね10〜14 km間隔に停車駅が絞られた。1944年4月20日に廃止[9]。
阪神大阪梅田駅 - 須磨浦公園駅(一部は東須磨駅)間で運転される。本線内は各駅に停車するため事実上は普通の代替となっており、基本的に山陽須磨駅で山陽姫路駅 - 山陽須磨駅間運転の普通と接続する。
本線に乗り入れる阪神特急は原則として阪神車を使用するが、直通特急の折り返しによる運用の都合やダイヤが大幅に乱れた時に山陽車を使用することもある。
駅の案内では下りは山陽電鉄線内では「普通」として案内されるが、上りは始発駅から「特急」で案内される。
直通特急・特急より停車駅の多い列車で、下りは朝ラッシュ時に霞ヶ丘発高砂行き[注 2]、深夜に阪神神戸三宮発(土休日の3本は高速神戸発)姫路行きが、上りは朝と夕方に高砂発阪神神戸三宮行き(土休日は東二見発阪急神戸三宮行きも運転)が運転される。1991年4月7日のダイヤ改正で朝ラッシュ時の通勤特急と夜間に運転されていた東二見駅 - 高砂間の各駅に停車する下り高砂行き特急を統合する形で登場した。特急と比べて停車駅数での格差が大きく、実質的に他社の私鉄における「急行」(または「準特急」)に相当する種別ではあるが、「急行」を名乗らず「特急」の一種とされている理由は前身の「通勤特急」が設定された背景や、過去に運転されていた急行がS特急とは異なる性格の列車であり、なおかつその急行もあくまで運転休止扱いであることが考えられる(過去に運転されていた急行については急行の節にて後述)。なおS特急の「S」は「Service」「Smart」「Speedy」「Short」等の英単語の頭文字から採られたもので、一般公募により付けられた。
停車駅は通勤特急時代から同じであったが1998年2月改正で月見山駅が追加された。2006年10月改正で高砂行きだった深夜の下り列車を姫路行きに延長、土休日朝に上り列車も新設され停車駅に西代駅を追加した。2009年3月改正で阪急三宮発着の列車を一旦廃止。2016年3月改正で山陽須磨行きが消滅し、土休日上り1本のみ阪急神戸三宮着が再設定された、また平日の山陽姫路発が消滅したことで高砂以西は下りのみの運転になった。2020年3月改正で平日朝の下りと平日夕方の上りの設定がされた。かつては大塩始発列車も走っていた。
土休日の東二見駅発の列車を除き、朝の上り列車は高砂駅で直通特急と接続してから発車する。下り列車はすべての列車が大塩駅で直通特急と接続する。
平日朝の下りは、東須磨発霞ヶ丘行き普通車として運行された後、霞ヶ丘駅から高砂行きのS特急として運転される。連続しての乗車も可能であるが、時刻表上は霞ヶ丘始発とされている。
なお、舞子公園駅はS特急が通過し直通特急が停車するため千鳥停車となる。字幕は緑色に白抜きで表示されるが、フォントは他の種別・行き先のように丸ゴシックではなく、オリジナルの書体となっている。側面は編成によって異なり、種別のみ表示している編成がほとんどだが、一部は種別・行先を表示する編成もある。その場合、字幕式は種別がS特、LED式はS特急と表示する(例、阪神神戸三宮行きS特急→(字幕式)S特 阪神神戸三宮、(LED式)S特急 阪神神戸三宮)。字幕式は3050系の4両編成、LED式は5000系4両編成と6000系の4両編成のみ。
駅でのLED発車標の表示では、神戸高速線では「S」のみ緑文字で「特急」は赤文字、山陽電鉄線内では3色LED表示では緑文字で、フルカラー表示では緑地に白抜き文字で表示される。阪急三宮駅では乗り入れ廃止まで赤地に白抜き文字(阪急特急と同じ)で表示されていた。
各駅に停車する種別で、駅構内や車内では「普通車」と案内される。ほぼ終日、阪急神戸三宮駅 - 山陽姫路駅間で運転されている。過去には山陽姫路駅から網干線直通も運行されていた。平日昼間時は1時間あたり山陽須磨駅発着が2本、阪急神戸三宮駅発着が2本交互に運転されており、山陽須磨駅 - 山陽姫路駅間では15分間隔となっている。山陽須磨駅始終着の列車は、同駅にて須磨浦公園駅折り返しの阪神特急と連絡している。ただし土休日の一部列車は阪神神戸三宮発着となり、折り返しの都合で大石駅まで回送される。
1998年までは阪急六甲駅まで、2001年までは大石駅まで定期運転を行っていた。また、朝・夕に神戸高速線内での折り返し列車として高速神戸・新開地発着列車も運転され、夜間は上りが新開地行き、下りが高速神戸発が主体となる。近年では3両編成での運用が増えてきている。直通特急の運転開始以前は西灘駅を通過していた時期があった。これは山陽の車両が阪神の普通用車両(ジェットカー)と比べて加速度が低いため、通過駅を設定することでダイヤ調整を図ったことが理由として挙げられる。
ほとんどの列車が東二見駅と大塩駅で直通特急(早朝・深夜は山陽特急)と緩急接続する。日中は霞ヶ丘駅で直通特急の通過待ちを行い、朝夕は山陽須磨駅、山陽明石駅で直通特急の待ち合わせを行う。上りS特急の運転時間は山陽明石駅での待避がなくなるが、山陽須磨駅、藤江駅でS特急と接続するほか、霞ヶ丘駅と藤江駅で直通特急の通過待ちをする。
2016年3月17日まで、深夜の阪神大阪梅田駅23時20分発須磨行き阪神特急は直通特急用の山陽車で運行される関係上、高速神戸での乗務員交代の際に、方向幕を「普通・須磨」に変更して運行された。また、山陽須磨駅到着後は東須磨駅まで回送され、翌日朝5時18分発新開地行き普通列車として運行するため、唯一6両編成で運行する普通列車でもあった(ダイヤ乱れ時には阪神車での代走もあった)。翌18日より、当該列車は阪神の車両に変更されたほか、19日のダイヤ改正後は先述の阪神特急のうち、阪神神戸三宮駅 - 東須磨駅・須磨浦公園駅間の列車が「普通」に変更された。これらは急行系車両(赤胴車)の6両編成で運行された。なお、2022年12月17日のダイヤ改正でこの須磨行き阪神特急は廃止された。
その他にも、東須磨・山陽須磨・山陽明石・霞ヶ丘・東二見・高砂・飾磨発着の列車も設定されている。
2006年10月28日のダイヤ改正で昼間時の阪急三宮駅発着が再開されたが、逆に2009年3月20日のダイヤ改正では平日昼間の4本中2本また土休日の昼間時の一部が山陽須磨駅での折り返し運転になり、日中に神戸高速線内まで運転される列車は阪急三宮駅発着のみに、また平日夕ラッシュ時の一部は阪神梅田発の特急(山陽電鉄本線内は各駅に停車)の須磨浦公園行きまたは東須磨行きに置き換え(これは阪神側の平日夕ラッシュ時の運転間隔を12分から10分に変更するため)となった。また日中の山陽須磨駅・山陽明石駅での待避が霞ヶ丘駅での通過待ちに変更された。またこのダイヤ改正で平日の下りに1本だけ明石行きの列車が新設された(明石駅到着後は東二見駅まで回送)。
一部の上り列車は東二見駅で車両交換を行う。2020年3月14日のダイヤ改正までは、駅で配布の時刻表の当該列車に※印が付けられていたが、同改正以降は東二見止まりの普通車が東二見始発の上り普通車に接続するよう案内されるようになった。
阪神特急用の急行系車両の送り込みを兼ねる形で、阪神神戸三宮駅 - 東須磨駅・須磨浦公園駅間で運行される。元々これらの列車は阪神特急として運行されていたが、実質的に全区間各駅に停車していた。2016年3月のダイヤ改正で、急行系車両の方向幕を整備した上で「普通」に統一された。
普通系車両を使用して阪神神戸三宮駅以東から乗り入れる阪神普通は、2006年10月28日改正から2009年3月20日改正まで東須磨駅発着が運行されていたことがある。
主要集落最寄駅に停車する種別であったが、沿線の人口増で各駅の利用者数に大きな格差がなくなり、主要駅に停車する特急と各駅に停車する普通の組合せによる連携ダイヤに吸収される形で縮小され、1984年より運転されなくなっている。
最末期の停車駅は姫路・飾磨・妻鹿・白浜の宮・大塩・荒井・高砂・別府・東二見・藤江・西新町・明石・西舞子・垂水・須磨以東各駅であった。
種別表示幕は白地に赤文字で「=急=」と表記されているのが特徴だった。なお、2009年3月以降のダイヤにおいては、ラッシュ時間帯のB直特の停車パターンがこれに近いものとなっている。
1923年8月19日、明石 - 姫路間開業と同時に運行を開始した。当初は明石駅前(現:明石)- 姫路駅前(姫路)間で運行を開始し、途中西新町・東二見・尾上の松・高砂町(現:高砂)・大塩・飾磨町(飾磨)に停車し、後に別府北口(別府)・曽根町(曽根)・妻鹿が停車駅に加えられた。1928年8月26日の改正で電鉄兵庫まで延伸され、長田・西代・須磨寺・須磨・塩屋・垂水・山田(西舞子)・人丸前に停車するようになった。その後、1931年2月21年改正で須磨寺・曽根が停車駅から外されたほか、1929年9月15日から1934年9月18日までは山田も通過していた。1941年7月6日の改正で荒井、1943年3月5日の改正で林崎(林崎松江海岸)・江井ヶ島・白浜の宮が停車駅に追加された一方、1944年2月3日の改正で塩屋、人丸前が停車駅から外され、1945年6月に一旦休止される[9]。
1948年3月1日に運行を再開した時は、戦時中に追加された4駅と妻鹿が停車駅から外された。1948年12月25日改正で停車駅が最も少なくなり、長田・西代・須磨・明石・西新町・東二見・別府・高砂・大塩・飾磨に絞られた。しかし翌1949年4月15日の改正で、特急の運行再開とともに急行は停車駅が増え、板宿・垂水・西舞子・藤江・白浜の宮・妻鹿が停車駅に追加された。1957年9月1日改正では月見山も停車となり、ラッシュと早朝深夜のみの運行となった。神戸高速鉄道開業に伴う1968年4月7日の改正で須磨以東各駅停車となり、この停車駅で1984年まで運行された。
1928年8月26日から1931年2月20日まで、1934年9月18日から1939年3月まで、1947年5月10日から1948年2月29日までの三度に渡って使用された列車種別[10]。基本的に急行より下位に当たる種別で、1928年8月26日時点での停車駅は、長田駅、西代駅、須磨寺駅、須磨駅、塩屋駅、垂水駅、山田駅、人丸前駅、明石駅前から姫路駅前までの各駅、1929年9月15日当時および1934 - 1939年の停車駅は、兵庫駅 - 須磨駅前駅間の各駅と塩屋駅、垂水駅、山田駅、人丸前駅、明石駅前駅および同駅から姫路駅前駅までの各駅であった[10][9]。戦前に運行されていた時は、普通電車が早朝・深夜を除き西新町以東の運行だったので、明石以西の各駅停車はほぼ「直通」のみの運行であった[9]。
1947-1948年間に設定された直通の停車駅は電鉄兵庫駅、長田駅、西代駅、電鉄須磨駅、電鉄垂水駅、西舞子駅、電鉄明石駅および同駅から電鉄姫路駅の各駅で、電鉄兵庫駅 - 電鉄明石駅間のみの運行であった普通列車の補完列車でもあった[要出典]。この時の直通は1948年3月のダイヤ改正(明石以東の1500V昇圧に伴うダイヤ改正)で、急行と入れ替わる形で消滅した。
1940年4月から1943年3月4日まで兵庫駅 - 東二見駅間に設定されていた[10](ただし1941年7月6日改正以前、西新町 - 東二見間は不定期)。1941年7月6日改正では姫路駅前駅まで運行していた。設定当初の停車駅は、須磨以東の各駅と塩屋・垂水・山田・人丸前・明石以西の各駅で、1939年以前に運行していた「直通」と同じである。1941年7月6日の改正で、藤江駅・魚住駅は通過となった他、東二見以西は本荘駅(現・播磨町駅)・浜の宮駅を除く各駅に停車していた。[9]
1961年10月改正では、朝ラッシュ時に上りのみ山陽須磨以東各駅停車の特急が設定された。現在のS特急のルーツ。
運行区間は当初東二見駅 - 電鉄兵庫駅間であった。設定当初の停車駅は電鉄明石駅・電鉄須磨駅(当時の特急は舞子公園駅・垂水駅・板宿駅には停車していなかった)と電鉄須磨駅以東の各駅で、電鉄須磨駅で種別を「普通」に変えて運行していた。1968年4月の神戸高速鉄道乗り入れに伴うダイヤ改正で阪神大石駅までの運行となり、同時に垂水駅が停車駅に加えられた。
1984年3月改正では阪神方面への乗り入れがなくなり、代わりに阪急三宮駅まで乗り入れることとなった。同時に東二見駅始発から高砂駅始発に変更され、停車駅も大幅に変更されて高砂駅 - 東二見駅間各駅停車、東二見駅以東は電鉄明石駅・電鉄垂水駅・電鉄須磨駅・高速長田駅以東の各駅に停車という形になった。
1987年12月改正で、停車駅に藤江・霞ヶ丘・滝の茶屋を追加して「通勤特急」に発展的解消を遂げた。この改正では板宿駅が停車駅に加えられ、阪神方面への乗り入れが3年ぶりに復活し、阪急六甲駅・阪神大石駅 - 高砂駅間の運行となった。
1991年4月改正で「高砂行き特急」と統合され「S特急」となった。
夜間に下り1本のみ運行されていた特急列車で、東二見駅 - 高砂駅間を各駅停車として運転された。列車種別は特急列車であったが、旅客案内では専ら「高砂行き特急」とされており、時刻表への記載、案内放送など「高砂行き特急」として区別されていた。
1991年4月改正でS特急へ統合される形で消滅した。
1968年4月から1998年2月までは前述の通り、阪急神戸本線からの直通運転も行われていた。阪急線内の種別に関係なく、山陽電鉄線内は各駅に停車していたが、列車の種別表示は阪急線内の種別のままであった(これは現在も運転されている阪神特急と同じ)。須磨浦公園駅発着がほとんどで、まれに東須磨駅発着も存在した。山陽電鉄線内最大6両編成のため、直通列車の編成も6両に制約された(そのため、ラッシュ時は阪急三宮駅で2両ないし4両の増解結を行った)。
1984年3月改正までは、阪急線内特急となる列車が原則として山陽電鉄線内に直通し、ごく一部の例外として急行や普通も直通した。のちに阪急線内特急は8両での運用を重視したため1984年3月改正より休日の山陽直通列車はすべて阪急線内普通となり、1987年12月改正では平日昼間の山陽直通列車も阪急線内普通となった。1995年1月17日の阪神・淡路大震災で直通運転は一時休止となるが、同年8月より直通運転が復活し、昼間の直通列車は再び阪急線内特急が主体となった。
1998年2月改正で阪急からの直通運転は休止となり、その後は夏季の臨時特急が直通することはあったものの、程なく直通運転は終了し、以降、阪急線内からの直通運転はなくなった。
例年、大みそかの終夜運転は阪急神戸三宮駅 - 須磨浦公園駅間のみで実施され、それ以外の区間では行わない。ただし例外として、2000年のみ東二見駅までで実施した。2020年以降は終夜運転を実施していない。
明石駅以東は兵庫電気軌道、以西は神戸姫路電気鉄道により開業し、電力会社の宇治川電気の下で合併して直通運転を開始した[注 3]。
この時、元兵庫電気軌道の路線は軌道法で建設された軌道線であり架線電圧は600 V、元神戸姫路電気鉄道の路線は当初から地方鉄道法で建設され架線電圧は1500V(大阪鉄道に次いで日本で2番目の採用)となっており、車体規格も異なっていたため、直通の実現には「木に竹をつなぐ」様な苦労があった。これに対して宇治川電気では、元兵庫電気軌道の車体規格に合わせた日本初の複電圧車を新造するなどして、直通運転を実現させたのである(詳しくは、山陽電気鉄道700形電車の項目も参照のこと)。
その後、元兵庫電気軌道の規格を拡大させた上で1948年に昇圧を実施し、ようやくスムーズな直通ができるようになった。宇治川電気から山陽電気鉄道が分離したのは、1933年(昭和8年)のことである。
開業以来、電鉄兵庫駅が起点であったが、神戸高速鉄道との直通運転開始を機に、路面電車時代の名残で併用軌道が残っていた電鉄兵庫駅 - 西代駅間が廃止され、西代駅が起点となった。
駅番号 | 駅名 | 駅間 営業キロ |
累計 営業キロ |
S特急 | 直通特急 | 特急 | 接続路線・備考 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
直通運転区間 | 阪神電気鉄道神戸高速線経由 ○普通・S特急…阪急神戸高速線神戸三宮駅・阪神本線神戸三宮駅まで ○阪神特急・直通特急…阪神本線大阪梅田駅まで | ||||||||
SY 01 | 西代駅 | - | 0.0 | ● | ▲ | 阪神電気鉄道: 神戸高速線 (HS 39) (直通運転 上記参照) 直通特急は一部停車 |
神戸市 | 長田区 | |
SY 02 | 板宿駅 | 1.0 | 1.0 | ● | ● | 神戸市営地下鉄: 西神・山手線 (S10) | 須磨区 | ||
SY 03 | 東須磨駅# | 0.8 | 1.8 | ▲ | | | S特急は下りのみ停車 | |||
SY 04 | 月見山駅 | 0.8 | 2.6 | ● | ● | ||||
SY 05 | 須磨寺駅 | 0.7 | 3.3 | | | | | ||||
SY 06 | 山陽須磨駅# | 0.4 | 3.7 | ● | ● | 西日本旅客鉄道: 山陽本線(JR神戸線)(須磨駅: JR-A68) | |||
SY 07 | 須磨浦公園駅 | 1.4 | 5.1 | | | | | 山陽電気鉄道:須磨浦ロープウェイ | |||
SY 08 | 山陽塩屋駅 | 1.7 | 6.8 | | | | | 西日本旅客鉄道: 山陽本線(JR神戸線)(塩屋駅: JR-A69) | 垂水区 | ||
SY 09 | 滝の茶屋駅 | 1.0 | 7.8 | ● | ▲ | 直通特急は朝ラッシュ時上りと夕ラッシュ時以降下りが停車 | |||
SY 10 | 東垂水駅 | 0.8 | 8.6 | | | | | ||||
SY 11 | 山陽垂水駅 | 1.0 | 9.6 | ● | ● | 西日本旅客鉄道: 山陽本線(JR神戸線)(垂水駅: JR-A70) | |||
SY 12 | 霞ヶ丘駅# | 1.1 | 10.7 | ● | | | ||||
SY 13 | 舞子公園駅 | 0.8 | 11.5 | | | ● | 西日本旅客鉄道: 山陽本線(JR神戸線)(舞子駅: JR-A71) | |||
SY 14 | 西舞子駅 | 0.9 | 12.4 | | | | | ||||
SY 15 | 大蔵谷駅 | 1.9 | 14.3 | | | | | 明石市 | |||
SY 16 | 人丸前駅 | 0.6 | 14.9 | | | | | ||||
SY 17 | 山陽明石駅# | 0.8 | 15.7 | ● | ● | 西日本旅客鉄道: 山陽本線(JR神戸線)(明石駅: JR-A73) | |||
SY 18 | 西新町駅 | 1.2 | 16.9 | | | | | ||||
SY 19 | 林崎松江海岸駅 | 1.5 | 18.4 | | | | | ||||
SY 20 | 藤江駅# ※ | 2.0 | 20.4 | ● | | | ※神戸・大阪方面のみ待避可能。 | |||
SY 21 | 中八木駅 | 1.4 | 21.8 | | | | | ||||
SY 22 | 江井ヶ島駅 (日工最寄駅) |
1.7 | 23.5 | | | | | ||||
SY 23 | 西江井ヶ島駅 | 1.4 | 24.9 | | | | | ||||
SY 24 | 山陽魚住駅 | 0.7 | 25.6 | | | | | ||||
SY 25 | 東二見駅# | 1.7 | 27.3 | ● | ● | ● | |||
SY 26 | 西二見駅 | 1.3 | 28.6 | ● | | | | | |||
SY 27 | 播磨町駅 | 1.3 | 29.9 | ● | | | | | 加古郡 播磨町 | ||
SY 28 | 別府駅 | 2.3 | 32.2 | ● | | | | | 加古川市 | ||
SY 29 | 浜の宮駅 | 1.9 | 34.1 | ● | | | | | |||
SY 30 | 尾上の松駅 | 1.4 | 35.5 | ● | | | | | |||
SY 31 | 高砂駅# | 1.8 | 37.3 | ● | ● | ● | 高砂市 | ||
SY 32 | 荒井駅 | 1.2 | 38.5 | ● | ▲ | | | 直通特急は朝夕ラッシュ時停車 | ||
SY 33 | 伊保駅 | 1.2 | 39.7 | ● | | | | | |||
SY 34 | 山陽曽根駅 | 1.6 | 41.3 | ● | | | | | |||
SY 35 | 大塩駅# (姫路大学前) |
1.5 | 42.8 | ● | ● | ● | 姫路市 | ||
SY 36 | 的形駅 | 1.4 | 44.2 | ● | | | | | |||
SY 37 | 八家駅 | 2.0 | 46.2 | ● | | | | | |||
SY 38 | 白浜の宮駅 | 1.4 | 47.6 | ● | ▲ | | | 直通特急は朝夕ラッシュ時停車 | ||
SY 39 | 妻鹿駅 | 1.4 | 49.0 | ● | | | | | |||
SY 40 | 飾磨駅 | 1.9 | 50.9 | ● | ● | ● | 山陽電気鉄道: 網干線 | ||
SY 41 | 亀山駅 | 1.4 | 52.3 | ● | | | | | |||
SY 42 | 手柄駅 | 1.1 | 53.4 | ● | | | | | |||
SY 43 | 山陽姫路駅 | 1.3 | 54.7 | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道: 山陽新幹線・ 山陽本線(JR神戸線)(JR-A85)・ 赤穂線[注 5]・ 播但線・ 姫新線(姫路駅) |
前述のような歴史的経緯から、本線では距離を示すキロポストが2つに分かれている。(矢印の方向にキロ数が増える)
高砂駅 - 荒井駅付近で連続立体交差事業(鉄道高架化)を進める計画がある[22]。2022年度に、国から新規着工準備箇所として採択された[22]。
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