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日本の兵庫県伊丹市の地方公営企業 ウィキペディアから
伊丹市交通局(いたみしこうつうきょく、英称:Itami Municipal Transportation Bureau)は、兵庫県伊丹市の組織のうち、地方公営企業として路線バスを運営する部門である。路線バスの通称は『伊丹市営バス』。
営業所は伊丹市広畑3丁目1番地(広畑営業所)にあり、最寄りのバス停は「三師団・交通局前」である(広畑車庫を併設している)。
かつて伊丹市では民営のバスが運行されていたが、第二次世界大戦の激しい被災を受けて途絶えてしまった。その後、戦後間もない1949年に地元に所在する三菱電機伊丹製作所が試作した電気バスを使用して現在の市バス事業がスタートした[1]。電気バスは1952年9月をもって早々に引退したが[1]、後述する通り、2023年には電気バスによる運行が再び始まっている。
伊丹市は市域が狭く、特に市の北部や西部からは鉄道の便が悪いため、網の目のように路線網を増やしていった。市の東部には阪急バス、市の西部には阪神バスが乗り入れており、一部競合する区間もあるが[注釈 1]、市内の鉄道駅に乗り入れるバス路線はこの市バスが中心であり、阪急バスと阪神バスは郊外の地域を経由して隣接する他の市の鉄道駅に発着する路線が中心である。
運賃は1回の乗車につき大人230円・小人120円均一である。隣接する尼崎市の阪神バス尼崎市内線と同様に、関西地区では少数派の「前乗り後降り、運賃先払い」方式を採用している[注釈 2]。ただし、釣り銭方式の阪神バス尼崎市内線に対し、伊丹市では両替方式である[2][3]。
なお、隣接する尼崎市も同様に1948年より市営のバスの運行を開始したが(現在の阪神バス尼崎市内線、こちらも当初は電気バスを使用していた)、1964年には合併問題が取り沙汰されたことがあった[注釈 3][4]。尼崎市営バスは2016年3月19日をもって、全路線を阪神バスと尼崎市の外郭団体である尼崎交通事業振興に移譲する形で運行を終了したため、兵庫県では神戸市(政令市営)の市バス以外で唯一かつ、国内有数の一般市営の公営バスとなっている[注釈 4]。
伊丹市内を初めとして、隣接する尼崎市や宝塚市・川西市への路線があるほか、「伊丹空港」の通称を持つ大阪国際空港への路線が大阪府豊中市内まで乗り入れている(空港ターミナルの公式の所在地は豊中市である)。また、経路上で大阪府池田市も走行しているが停留所はない[注釈 7]。
拠点となるのは、阪急伊丹・JR伊丹の各駅である。その内、前者には市内最大のバスターミナルが整備されており、1990年代までは多くがここを起終点としていた。その後、JR伊丹駅が属するJR宝塚線の輸送改善が進んだこともあり、2000年11月より同駅前への乗り入れを開始[1]。現在は大半の路線が「JR伊丹」を起終点とし、「阪急伊丹」を経由地としている。また尼崎市内においては、阪急塚口駅(「塚口」停留所)を南側のターミナルとしており、駅北口に発着する[注釈 8]。
2023年3月より、バス車両の系統番号の表示を行先の左側から右側に変更した[15]。
便宜上、ここでは「JR伊丹・阪急伊丹発着」と「塚口発着」に大別して列挙する。
公営事業者としては珍しく、長らくメーカーをいすゞ自動車製のみに揃えていた[注釈 14][注釈 15][21]が、2019年に三菱ふそうの車両が22年振りに導入された。ツーステップ時代には、県内でいすゞ車主体で導入していた事業者(山陽バス、淡路交通、全但バス)とは異なり、尼崎市交通局(当時)と同じく西日本車体工業架装の車両も多く導入されたが、現在は純正ボディとしている。座席の配列などに、阪神バス尼崎市内線の車両(尼崎市交通局時代に導入されたもの)や尼崎市交通局の外郭団体として強い影響を受けた尼崎交通事業振興の車両とも類似点が見られる。
塗装は白とダークグリーンのツートンカラーで、ノンステップ化されてからはオレンジを入れるようになった。創業当時はクリーム色と茶色の2色で、1999年には運行開始50周年記念として『プリンバス』の名称で3台が復刻塗装となって導入された[7]。運用される路線は特に固定されていなかったが、末期は塚口や大阪国際空港発着便への充当が多かった。この『プリンバス』は自動車排出ガス規制の改定により路線バス車両としての基準を満たさなくなったため[7]、2012年11月28日朝の運用を最後に引退となり、同日付で車籍も抹消された。このうち1台は官公庁オークションに出品されたが[7]、最終的には「車両」として再利用されることはなくスクラップ扱いで解体された。『プリンバス』以外を含む引退となった各車両は、とさでん交通(旧・土佐電気鉄道)や越後交通などに譲渡している。
2023年、将来の本格導入を見据えて中国・アルファバス製の電気バス2台を試験導入した。同年3月から実証実験を兼ねて運行を開始する予定だったが、2月22日、中国・BYD製の電気バスの部品に日本自動車工業会が自主規制している六価クロムが含まれていることが判明した。それを受け、導入する車両とはメーカーは異なるものの同じ中国製であることから、自主規制物質の使用有無確認のため一旦運行を取りやめることとなった[22]。その後部品交換などの対応を行い、同5月15日より運行を開始した[13]。運行開始から当面は25系統に充当し、平日2便・土休日1便体制で運行に就いている(点検・整備により一般の車両に置き換えられる場合や、運行時刻・ルートを変更する場合がある)。
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