羽幌線
かつて日本の北海道に存在した鉄道路線 ウィキペディアから
かつて日本の北海道に存在した鉄道路線 ウィキペディアから
羽幌線(はぼろせん)は、日本国有鉄道(国鉄)が運営していた鉄道路線(地方交通線)。北海道留萌市の留萠駅で留萠本線から分岐して日本海に沿って北上し、天塩郡幌延町の幌延駅で宗谷本線に接続していた。 国鉄分割民営化(JR化)を2日後に控えた1987年3月30日、全線が廃止された。
全線が国鉄北海道総局旭川鉄道管理局の管轄であった。
停車場・施設・接続路線(廃止当時) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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もともとは羽幌町の炭鉱開発と運炭、そしてニシンの輸送を主な目的として建設された路線だった。
大きく留萠駅 - 羽幌駅間と羽幌駅 - 幌延駅間に分けられ、この2つの区間がそれぞれ留萠駅と幌延駅を起点として、南北から建設が進められた。
留萠駅 - 羽幌駅間は軽便鉄道法により計画され、国有鉄道留萠線(るもいせん)の支線として1927年(昭和2年)10月25日に開業した路線である[5]。1931年(昭和6年)8月15日までに古丹別駅までの区間が開業した後[5][新聞 1]、同年10月10日に留萠線から分離され、羽幌線に改称された[新聞 2]。
羽幌駅 - 幌延駅間は、改正鉄道敷設法別表第144号に規定する「天塩国羽幌ヨリ天塩ヲ経テ下沙流別付近ニ至ル鉄道」である[6]。1927年(昭和2年)8月には幌延村長の高橋文之助から農林政務次官東武(あずまたけし)に宛てた陳情書の中には「遠別線鉄道促成ノ件」が挙げられていた。1932年(昭和7年)2月には幌延・天塩間の線路選定が終わり[6]、1935年(昭和10年)6月30日に国有鉄道天塩線として、幌延駅 - 天塩駅間が開業[5]。1936年(昭和11年)10月23日には天塩駅 - 遠別駅間が延伸開業した[5]。
これらの建設工事は太平洋戦争により一時中断したものの、1958年(昭和33年)10月18日に最後の未開通区間である初山別駅 - 遠別駅間が開業[5]。これに伴い天塩線が羽幌線に編入され、留萠駅 - 幌延駅間が全通した[5]。
なお、開業当初は、羽幌線の列車は留萠駅を発車した後、深川方面の東留萠信号場まで1.3 km 走行し、同信号場でスイッチバックして羽幌方面に北上していた。これを解消するため、1941年(昭和16年)12月9日に留萠駅 - 三泊駅間が新線に付け替えられ[5]、留萠駅にも羽幌線用の4・5番ホームが新設された。なお、東留萠信号場 - 留萠駅間は留萠本線・羽幌線の重複区間だったが、新線敷設と共に解消され、東留萠信号場も廃止された。
全通後、炭鉱の閉山とニシン漁の不振、沿線人口の減少によって貨物・旅客の輸送量が減り、並行道路(国道232号)の整備も進んでいたため存在意義を失っていった。国鉄再建法の施行に伴い、1984年(昭和59年)6月22日に特定地方交通線(第2次)に選定され、北海道旅客鉄道(JR北海道)へ承継されることなく、国鉄分割民営化前の1987年(昭和62年)3月29日限りで廃止[新聞 3]。本路線の廃止が、国鉄最後の路線廃止の事例となった。
なお、「留萠駅」「留萠本線」は羽幌線営業時・廃止当時の表記で、羽幌線廃止後の1997年(平成9年)4月1日にそれぞれ「留萌駅」「留萌本線」に変更されている[7][1][新聞 4]。
廃止直前の普通列車は全線直通が6往復、さらに区間列車が運行されていた。
優等列車としては、1962年(昭和37年)5月1日から札幌駅 - 深川駅 - 留萠駅 - 羽幌駅 - 幌延駅間を直通する急行「はぼろ」が1往復運行されていたほか、留萠本線の急行「るもい」が羽幌線内に普通列車として乗り入れていた。さらに、観光シーズンには臨時急行「天売」も運行されていた。
「はぼろ」は札幌駅 - 留萠駅 - 幌延駅間(函館本線・留萠本線・羽幌線経由)の急行列車として、1962年(昭和37年)5月1日から1往復のみ運行されていた[5][11][12]。1986年(昭和61年)11月1日に急行「るもい」と共に廃止され[16][11][12]、これによって羽幌線の優等列車は消滅した。運行開始から廃止まで2両編成で運行された。この列車の札幌駅 - 幌延駅間の所要時間は、宗谷本線経由の急行列車「宗谷」とほぼ同等であった(距離では羽幌線経由の方が約40km短い)。
駅名 | 駅間 キロ |
営業 キロ |
接続路線・備考 | 線路 | 所在地 | ||
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留萠駅 | - | 0.0 | 日本国有鉄道:留萠本線 | ◇ | 留萌支庁 | 留萌市 | |
東留萠信号場 | - | (1.3) | 1941年(昭和16年)12月9日廃止。 | | | |||
三泊駅 | 2.7 | 2.7 | | | ||||
臼谷駅 | 4.0 | 6.7 | | | 留萌郡 | 小平町 | ||
小平駅 | 2.0 | 8.7 | ◇ | ||||
花岡仮乗降場 | - | (11.9) | | | ||||
大椴駅 | 8.6 | 17.3 | | | ||||
富岡仮乗降場 | - | (21.6) | | | ||||
鬼鹿駅 | 8.8 | 26.1 | ◇ | ||||
千松仮乗降場 | - | (29.3) | | | ||||
力昼駅 | 6.9 | 33.0 | | | 苫前郡 | 苫前町 | ||
番屋ノ沢仮乗降場 | - | (35.1) | | | ||||
古丹別駅 | 8.7 | 41.7 | ◇ | ||||
上平駅 | 4.9 | 46.6 | | | ||||
苫前駅 | 3.9 | 50.5 | | | ||||
興津仮乗降場 | - | (54.6) | | | ||||
羽幌駅 | 7.8 | 58.3 | ◇ | 羽幌町 | |||
下ノ滝仮乗降場 | - | (62.7) | 1972年(昭和47年)2月8日廃止。 | | | |||
築別駅 | 6.7 | 65.0 | 羽幌炭礦鉄道線(1970年12月25日廃止) | | | |||
天塩有明駅 | 4.8 | 69.8 | | | 初山別村 | |||
天塩栄駅 | 3.8 | 73.6 | | | ||||
初山別駅 | 5.9 | 79.5 | ◇ | ||||
豊岬駅 | 6.0 | 85.5 | | | ||||
天塩大沢駅 | 2.5 | 88.0 | | | ||||
共成駅 | 3.6 | 91.6 | | | ||||
歌越駅 | 2.6 | 94.2 | | | 天塩郡 | 遠別町 | ||
天塩金浦駅 | 4.8 | 99.0 | | | ||||
遠別駅 | 4.3 | 103.3 | ◇ | ||||
啓明仮乗降場 | - | (106.8) | | | ||||
丸松駅 | 5.1 | 108.4 | | | ||||
北里仮乗降場 | - | (110.6) | 1970年(昭和45年)9月7日廃止。 | | | |||
更岸駅 | 7.6 | 116.0 | | | 天塩町 | |||
干拓仮乗降場 | - | (118.6) | | | ||||
天塩駅 | 6.2 | 122.2 | ◇ | ||||
中川口仮乗降場 | - | (125.3) | | | ||||
北川口駅 | 6.5 | 128.7 | | | ||||
西振老仮乗降場 | - | (131.4) | 1970年(昭和45年)9月7日廃止。 | | | |||
振老駅 | 5.2 | 133.9 | | | ||||
作返仮乗降場 | - | (137.2) | | | ||||
幌延駅 | 7.2 | 141.1 | 日本国有鉄道:宗谷本線 | ◇ | 幌延町[注釈 3] |
※仮乗降場には、営業キロが設定されていなかった。括弧内に実キロを記す。
羽幌駅と、宗谷本線名寄駅間には、苫前炭田が産出する石炭の輸送や、沿線の森林開発などを目的として企図された名羽線計画があったが、結局開通することはなかった。詳細は、「深名線#名羽線」の項を参照。
羽幌線の廃止代替バスは沿岸バスが運行している。2019年8月現在、「幌延留萌線」「初山別留萌線」「羽幌留萌線」「上平古丹別線」など7系統が運行され、一部は羽幌線の運行範囲外の留萌市立病院や豊富駅まで乗り入れている[19][20][21]。
羽幌線運行区間に相当する留萌駅前 - 幌延駅間の各区間のバスの本数は以下の通りである(並行路線は含まない)。
また、これとは別に羽幌線沿線地域と札幌を結ぶ「特急はぼろ号」もあり、札幌 - 留萌 - 羽幌 - 豊富(道央自動車道・深川留萌自動車道経由)間で5往復(予約制)運行されている。
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