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必殺仕置屋稼業
必殺シリーズ第6作、中村主水シリーズ第3作 ウィキペディアから
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『必殺仕置屋稼業』(ひっさつしおきやかぎょう)は1975年7月4日から1976年1月9日まで[2]、毎週金曜日 22:00 - 22:55[3]にABCテレビと松竹(京都映画、現・松竹撮影所)の共同制作で、NETテレビ(現・テレビ朝日)系で放送された時代劇。全28話[4]。主演は沖雅也。
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概要
前作『必殺必中仕事屋稼業』は必殺仕置人殺人事件の影響で番組タイトルから外していた「必殺」の文字を復活させて、シリーズ最高視聴率を記録するヒット作となった(近畿地区で30%台)が放送中にネットチェンジが行われた影響で、視聴率は半分以下の13%台に下降した[5]。そこで人気の高かった中村主水を再々登板させることで挽回を図るべく企画されたのが本作である。後番組の『必殺仕業人』を含め、中村主水を必殺シリーズの看板キャラクターとして定着させようという制作陣の意図が感じられた。また、関係者の証言によると、それ以前の作品は仕置人と仕留人という続編があったものの、個々の作品としては独立したものと考えていたが、「必殺シリーズ」を意識し始めたのは仕置屋からとのこと。
藤田まこと以外のキャストは第1作『必殺仕掛人』以来、シリーズに実績のある中村玉緒と『必殺仕置人』で棺桶の錠を演じた沖雅也を再び起用して、主にホームドラマに出演していた新克利と渡辺篤史にコメディアンの小松政夫らを新たに迎えた。沖雅也が演じた市松は熱血漢であった棺桶の錠とは正反対のクールな性格で、『必殺仕事人V』で組紐屋の竜を演じた京本政樹は「風貌から仕草に至るまで、市松を手本にした」とインタビューで述べている[要出典]。
オープニングは現代(1975年)の京都市(京都市営バス 四条烏丸停留所付近)をスーツ姿で歩く主水。広隆寺前でスクーターに乗車する僧侶姿の印玄。街中(四条河原町北東角の歩道)でアクセサリーの路上販売をしながら雑誌を読む市松が描かれた。それに続く各話のタイトルバックには歌舞伎の附けのような効果音が用いられている。
新聞、テレビ情報誌の番宣広告、番組表、宣伝ポスターでは主水が先頭に記載されているが、劇中のクレジットタイトルは市松が先頭で、主水はトメ(最後尾)となっている[6]。これは沖の養父で、所属事務所社長の日景忠男が主水が主人公であることにクレームを付けた為である。日景は制作スタッフに感謝したという。詳しくは、必殺シリーズ#中村主水の主人公問題を参照。
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あらすじ
裏稼業から足を洗っていた中村主水は組替えにより、北町奉行所から南町奉行所へ転属となった。名目上は栄転であり、目明しの亀吉が下っ引きとして付いたが規律に厳しい南町奉行所では袖の下もままならず、離れの新築があり、中村家の家計は困窮する。
その最中、女髪結いのおこうが主水に接触する。おこうは主水がかつて仕置人だったことを知っており、自分が受けた依頼を行うように主水に頼むが断固として断る。頼み人は無惨な死を遂げて、主水はおこうに裏の仕事に復帰することを約束する。
主水は裏稼業を再開する為、自分を慕う銭湯の釜番の捨三と破戒僧の印玄を仲間とする。殺しの現場を目撃されたことで主水の命を狙っていた殺し屋の市松を裏稼業に引き入れ、「仕置屋」を開業した。
依頼の仕組み
仕置の依頼は原則として、おこうが請け負う。おこうはおさすり地蔵で主水と密会して依頼の内容を伝え、自らの取り分を差し引いた仕置料を主水に渡す。主水は市松、印玄、捨三と竹の湯の釜場で金を分配して作戦を練り、仕置を実行する。
おこうは仲介のみで、仕置は一切関わらない。その為に印玄を知らず、指名手配された島帰りの友人に逃亡幇助金を渡したり(第8話)、印玄の殺しを請け負ったことがあった(13話)。第10、12、14、23、27話はおこうが登場せず、主水、市松、印玄、捨三のいずれかが依頼を直接受けた上で仕置を行っている。
本作での依頼から仕置までの流れは『必殺仕業人』でも踏襲している。
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登場人物
仕置屋
- 中村主水
- 演 - 藤田まこと[7]
- 南町奉行所の定町廻り同心。
- 組替えで、北町奉行所から南町奉行所へ転属となった。目明しの亀吉が下っ引きとして付き、厳しい規律のために袖の下は得られず、新築した離れの代金や表の仕事の失敗による減俸で中村家の家計は困窮する。他方で、村野の出す金一封のために職務に励む姿が見られる。飯屋の女中であるおはつに一目惚れし、隙を見ては飯屋に出入りする。
- 裏稼業から足を洗っていたが、おこうの再三の誘いを受けたのを機に復帰する。『必殺仕置人』『暗闇仕留人』とは裏稼業に対する考え方が明確に変化。死んだ被害者の心情を記した手紙の受け取りを拒否する(第1話)など悪に対する義憤を燃やすことなく、「稼業」として淡々と仕置を行う姿勢となった。仲間への不信といったシビアさも前作に比べ、目立つ。
- 最終回で、自分の命と市松の命を天秤に掛けて悩んだ挙句に後者を選び、伝馬町牢屋敷の牢屋見廻り同心に降格。ただし、おこうの死に際の頼みを受けて、以後も裏の仕事は継続した。
- 市松
- 演 - 沖雅也
- 竹細工師。
- 整った顔立ちの色男で、情に流されない冷淡な性格。殺し屋としてのプロ意識が非常に高く、万難を排して仕置を遂行する。
- 主水に自分の殺しの現場を見られたため彼の命を狙うが、命のやり取りを経て仕置屋となる。他の組織からも別件の殺しの依頼を受けており、それが上手く噛み合うことがあったが最終回では仇となり、仕置屋グループ崩壊の原因を招いてしまう。
- 幼少期、殺し屋だった父親の市造[8]が仲間の罠に嵌まり死亡。その後は悪人の養子となり殺し屋として育てられたが、市造の死の真相を知ったことにより悪人を自らの手で始末した(第2話)。
- 感情を面に表さず、仲間意識も乏しいように見えるために主水や捨三から警戒されることが多い反面、堅気の人間に対しては無償の優しさを示し、竹細工の玩具で遊ぶ子供たちの前では温かい笑顔を見せる。自分に言い寄って来る女性には冷淡だが、悪人に苦しめられる女性には優しい。
- 最終回で奉行所に捕えられるが、主水や捨三の助力により逃亡し江戸を離れた。次作『必殺仕業人』では[9]逃亡先で赤井剣之介と出会い、主水を彼に紹介した。
- 印玄
- 演 - 新克利
- 破戒僧。
- 坊主頭の中年男性で竹の湯の釜場に入り浸り、女湯を覗いている。捨三の友人で設定年齢は30歳(第26話)。本名は「多助」(第13話)[10]。
- 上州で過ごした幼少期は家庭環境に恵まれず、母と生き別れる。以後は父と暮らしていたが、生活苦から父が無理心中を図り、道連れになる寸前に生き残った。青年になった頃に母との再会を果たすが、既に母には息子や夫への愛情はなく、息子に対し肉体関係を求める。これに失望し、情夫とともに母を仕置した(第13話)。
- 基本的に明るい性格だが、躁鬱と呼べる程に気分の浮き沈みが激しい。
- 裏の仕事に出向く前に女郎屋に足を運んで、女を抱くのが習慣になっている[11]。
- 市松の不遜な態度に不快感を示すことがあるが、捨三と違い邪険にされても市松との交流を深めようという姿勢を見せる。最終回では、仕置屋の中で唯一、市松の身の潔白を主張した。
- 最終回、悪人に捕らえられたおこうを救出。屋根からおこうを下ろす最中に悪人に背後から匕首で刺されるが、おこうを市松に託した後に悪人を道連れにして屋根から飛び降り、死亡した。
- 捨三
- 演 - 渡辺篤史
- 銭湯「竹の湯」の釜番。
- 仕置屋の密偵で、自分の勤める釜場が仕置屋の隠れ家となっている。
- かつて掏摸をしていた頃に主水から目こぼしを受けて以来、彼を慕うようになる。主水シリーズの他の密偵たちが基本的に主水と対等な関係として描かれるのに対して、主水と捨三のそれは完全な主従関係である。
- 主水に対する忠誠心が強く、主水に対する市松の不遜な態度に食って掛かったり、悪人が主水に向けた短筒の前に身を呈して庇ったりと、主水に尽くす場面が多い。
- 仕置屋であることに矜恃を持ち、市松に対しては、不快感と不信感を抱く一方で仲間としての意識は強く、最終回では伝馬町牢屋敷へ護送される市松の逃亡を幇助するため身体を張っての危険を冒している。
- 第1話の時点で、主水の裏の顔を知っていたが経緯は不明。主水の裏稼業再開に際して、友人の印玄を紹介した。自らは情報収集と連絡係を担っている。初期は変装術を駆使した(第1、6、9、11、14話)。
- おこう
- 演 - 中村玉緒[12]
- 女髪結い。
- 新富町で髪結い床を営んでいる。客に対する、おべっかが上手く、金にはがめついが弱者への情に厚い。上方出身で京言葉を話す。
- 主水がかつて仕置人として裏稼業を行っていたことを知り、彼を復帰させた。彼女が頼み人から依頼を受けて、おさすり地蔵で主水と密会したうえで仕置を依頼する。主水が間に入るため仕置自体については殆ど知らないが、市松のことは知っていた。
- 主水に想いを寄せており、「主水が中村家から離縁されても自分が養う」とまで言い切るほどだったが、最終回で悪人の報復により熾烈な拷問を受ける。印玄と市松に救出されるが、主水に裏稼業を続けるよう頼み死亡した。
- なお、おこう役の中村玉緒と主水役の藤田まことは、本作終了の数ヵ月後に放送された時代劇『夫婦旅日記 さらば浪人』で夫婦役を演じている。
その他
- 中村せん
- 演 - 菅井きん
- 主水の姑。婿養子の主水をいびる。
- 南町への転属当初は主水を褒めていたが心付けが貰えず、離れの新築費用もあり、家計が困窮すると主水をいびるようになる。
- 中村りつ
- 演 - 白木万理
- 主水の妻。せんとともに、婿養子の主水をいびる。
- 亀吉
- 演 - 小松政夫[13]
- 目明し。
- 手柄が無く、主水の南町奉行所 着任に伴い、彼の下っ引きとなる。陽気で、お調子者の性格。
- 主水の無茶に付き従う一方で、せんとりつから小遣いを貰い、主水の行動を監視する役目を仰せ使っている。
- 主水からは「亀」と呼ばれている。
- 後に『新・必殺仕置人』第15話で、ゲスト出演している。
- 与力 村野
- 演 - 宗方勝巳[14]
- 南町奉行所の与力で、主水の上司。
- 規律に厳しい南町奉行所を代表する清廉な人物。昼行灯の主水を叱責することが多いが、他シリーズでは上司から軽んじられる主水の話を公平に聞き、逆に相談を持ち掛け金一封を餌として主水を動かすことがあった。
- おはつ
- 演 - 石原初音[15]
- 主水が行き付けの一膳飯屋で女中をしている少女。
- 自らを目当てに羽織を脱いで飯屋へ足繁く通う主水に対しては、年齢が離れていることもあり「おじさん」と呼んで軽くあしらう。主水が同心ということは全く気付いていない。
- 家庭と職場で軽んじられている主水にとっては、癒しのような存在である。
- おふく
- 演 - 近松麗江[16]
- おはつが勤める一膳飯屋の女将。
- 旗本たちが町で無法行為をした際は奉行所に訴状を持って直訴しに行くなど(第16話)、正義感の強い女性である。
- るみ
- 演 - 香川留美[17]
- おこうが営む髪結い床の店員。
- のぞみ
- 演 - 星野のぞみ[18]
- おこうが営む髪結い床の店員。
ゲスト
- 第1話 「一筆啓上 地獄が見えた」
- 第2話 「一筆啓上 罠が見えた」
- 第3話 「一筆啓上 紐が見えた」
- 第4話 「一筆啓上 仕掛が見えた」
- 第5話 「一筆啓上 幽鬼が見えた」
- 第6話 「一筆啓上 怨霊が見えた」
- 第7話 「一筆啓上 邪心が見えた」
- 第8話 「一筆啓上 正体が見えた」
- 第9話 「一筆啓上 偽善が見えた」
- 第10話 「一筆啓上 姦計が見えた」
- 第11話 「一筆啓上 悪用が見えた」
- 第12話 「一筆啓上 魔性が見えた」
- 第13話 「一筆啓上 過去が見えた」
- 第14話 「一筆啓上 不義が見えた」
- 第15話 「一筆啓上 欺瞞が見えた」
- 第16話 「一筆啓上 無法が見えた」
- 第17話 「一筆啓上 裏芸が見えた」
- 第18話 「一筆啓上 不実が見えた」
- 第19話 「一筆啓上 業苦が見えた」
- 第20話 「一筆啓上 手練が見えた」
- 第21話 「一筆啓上 逆夢が見えた」
- 第22話 「一筆啓上 狂言が見えた」
- 第23話 「一筆啓上 墓穴が見えた」
- 第24話 「一筆啓上 血縁が見えた」
- 第25話 「一筆啓上 不倫が見えた」
- 第26話 「一筆啓上 脅迫が見えた」
- 第27話 「一筆啓上 大奥が見えた」
- 第28話 「一筆啓上 崩壊が見えた」
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殺し技
- 市松
- 竹串で悪人の首筋を刺す。
- 竹串は串先を火で炙って水分を飛ばした状態で硬度を増している。
- 串を装着した白い折鶴を紙飛行機のように飛ばして首筋に刺す[22](第2、4話)。竹串を首に刺して串を折って押し込む(第8、13、28話)。竹とんぼの羽を飛ばして喉を切って、串で刺す(第10話)。竹箒を削った串(第16話)、二又に分かれた串(第17話)、おでん串(第21話)などを状況に応じて使い分ける。
- 殺しのBGMは通常の「仕置」の他、スローバラード調のBGMが使用された。
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スタッフ
主題歌
放送日程
- 強調部は、サブタイトルのフォーマット(「一筆啓上 ○○が見えた」)。
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ネット局
- 系列は放送当時のもの。
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脚注
前後番組
外部リンク
Wikiwand - on
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