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名古屋鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
蒲郡線(がまごおりせん)は、愛知県西尾市の吉良吉田駅から同県蒲郡市の蒲郡駅までを結ぶ名古屋鉄道(名鉄)の鉄道路線である。
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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蒲郡線の車窓(西浦-こどもの国間、2005年9月) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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風光明媚な三河湾に沿って走る路線で、沿線には形原温泉、西浦温泉、吉良温泉、愛知こどもの国など温泉地やレジャー施設があり、潮干狩りや海水浴など季節のレジャーも楽しむことができる。そのため、かつては犬山線や知多新線と並ぶ観光路線として脚光を浴び、多数の本線直通特急が運転されていたが、レジャーの多様化や意識の変化による三河湾観光の衰退に伴い、通勤路線へと変貌していった。2008年6月29日のダイヤ改正で西尾線との直通列車が消滅し、現在は線内折り返しのワンマン運転の普通列車のみとなっている。このように西尾線と一体の運行形態を取っていた経緯から、運行が分離された後も西尾線と合わせた通称(総称)として「西蒲線」と呼ばれている。利用者数の激減や国道247号など並行道路の整備状態が良好なこともあり、存続問題が浮上している(後述の存続問題の節を参照)。
運賃計算区分はB(運賃計算に用いる距離は営業キロの1.15倍)。
『鉄道要覧』による起点は吉良吉田駅だが、列車運行および旅客案内、列車番号の設定においては、蒲郡駅から吉良吉田駅へ向かう列車が下り、逆方向が上りとなっている。また、キロポストは三河線からの数字を受け継いでおり、知立駅からの距離の表示となっている(三河線碧南 - 吉良吉田間廃止後もそのまま)。
2011年2月11日にサービスを開始したICカード「manaca」は、蒲郡線三河鳥羽駅 - 蒲郡駅間では導入されなかったため[2]、吉良吉田駅を含まない利用はできない(#ワンマン運転を参照)。manaca導入に伴い、2012年2月29日限りで回数券(普通回数乗車券、時差回数乗車券、土・休日割引回数乗車券)が廃止されたが[3]、蒲郡線各駅相互間には2012年3月1日から「蒲郡線 回数きっぷ10」という回数券が販売されている[4][5]。
元々は三河鉄道(三河線の前身会社)の蒲郡方面延長線として建設された路線で、同社が名古屋鉄道に合併された直後はこの区間も三河線として扱われていた。また、三河鉄道は三河鳥羽駅までを1500V電化で開業させていたものの、残る三河鳥羽駅 - 蒲郡駅間は資金不足により非電化で延伸したため、同区間が電化されるまでは三河鳥羽駅で乗り換えを余儀なくされた[7]。
西尾線の吉良吉田駅(初代)と三河線の三河吉田駅(現、吉良吉田駅)とが1943年2月に統合されると、三河吉田駅 - 三河鳥羽駅間の電圧が600Vに降圧され、同じく600V電化の西尾線と直通運転を行うようになった[8]。1946年10月に三河鳥羽駅 - 東幡豆駅間、1947年4月に東幡豆駅 - 蒲郡駅間が600V電化され、1948年5月16日のダイヤ改正で三河吉田駅 - 蒲郡駅間は「蒲郡線」として三河線から分離した[7]。
その後、1500Vへの昇圧の過程で一時的に三河線直通運転に戻った時期があるものの、西尾線が1500Vに昇圧されてからは再び同線直通運転に戻った[9]。以後、2004年の三河線末端部廃止、2008年の直通運転全廃に至るまで、列車は西尾線への直通が主体であった。
1958年には三河湾が国定公園に指定されるなど、1950年代後半から三河湾沿岸の観光開発が盛んになり、名鉄は蒲郡線を三河湾観光路線と位置付けるようになった[9]。1965年9月15日のダイヤ改正で蒲郡線にも本線直通の定期特急が設定され[10]、最盛期には日中毎時2本の特急が乗り入れていた[11]。そのため、名鉄はさらなる増発に備えて蒲郡線の複線化を計画し、1970年には認可も受けていた[注釈 2]。
しかし、日本国内各地にできた新しいテーマパークなどとの競合で三河湾観光の衰退が顕著になると、名鉄もうさぎ島などを閉園するなど蒲郡線沿線の観光事業から撤退した。周辺道路網の整備によって元々高かった沿線地域の自動車普及率がさらに高まり、鉄道利用率は低かった。また鉄道においても蒲郡線経由よりルートが短く、複線で線形が良い東海道線が1980年代後半の国鉄末期から始まる名古屋近郊区間のダイヤ拡充で優勢となっていた。東海旅客鉄道(JR東海)発足後は特別快速や新快速などの投入で所要時間の差がさらに広がったほか、それまで蒲郡競艇場への主要な交通アクセスを担っていた蒲郡競艇場前駅の真横に三河塩津駅が開業したことにより、競艇場利用客には東海道線を利用するという選択肢が増えた。
JR蒲郡駅は快速停車駅で名古屋駅へは約40分で行けるのに対し、名鉄は最低1回の乗り換えを要するだけでなく、所要時間も倍以上になり、運賃も高くなるので(名鉄は1290円、JRは990円)下の写真にもあるように名鉄ですらもJRの利用を推奨するような状況になっている。
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
1997年12月19日、名鉄の箕浦宗吉社長(当時)は定例記者会見の席で「不採算路線の整理・統廃合を関係自治体と協議したい」と発言し、谷汲線や八百津線(これらは2001年に廃止済み)などとともに西尾線・蒲郡線の西尾 - 吉良吉田 - 蒲郡間が廃止検討路線の候補に挙げられた。その後ワンマン運転導入や途中駅の無人駅化などの合理化が行われたが、依然として利用客の減少に歯止めがかからない状況が続いていたため、2005年12月20日には名鉄の要請で西尾 - 吉良吉田 - 蒲郡間の利用促進と経費節減を図る目的とする、沿線の2市2町と名鉄で構成された「名鉄西尾・蒲郡線対策協議会」が設立された。
協議会で名鉄はワンマン運転で蒲郡線と一体的に運用されている西尾線内2駅[注釈 3]が、新システム用の自動改札機導入に伴い、設置費用面から維持困難のため廃止の方向であるとし、その後に根拠として「1日の乗降客数が300人に満たない市街地以外の駅」という条件を公表した。この具体的数値を示す手法は蒲郡線に対しても行われ、「バスへの転換等を検討する指標である輸送密度の目安が4000人/日であるのに対し、蒲郡線は2857人/日(2005年度)である」と廃線を強く匂わせたが、これに対し沿線自治体側は「名鉄の公共交通機関としての責任」などを訴え、存続を要望した。この中で、蒲郡線の均一制運賃やサイクルトレインの導入も検討され、実際に2007年3月1日から5月31日までの間、西尾線福地駅 - 蒲郡線蒲郡競艇場前駅の各駅(こどもの国駅を除く)でサイクルトレインの試験運用が実施された[12]。
2007年度の乗車人員は過去最低の292万7000人となり、名鉄は2008年3月に西尾線・蒲郡線の西尾 - 吉良吉田 - 蒲郡間の利用活性化策を同年末までに、沿線の西尾市、吉良町、幡豆町、蒲郡市(吉良町と幡豆町は現在西尾市)に対して示すように求めた[13]。名鉄からは「大量輸送機関として鉄道の特性が発揮できないほどに利用者が少ない」「企業努力はすでに限界を超えている」という会社の認識が示された[14][15]。また全線に拡充を進めていた磁気式乗車カードシステム「トランパス」を蒲郡線三河鳥羽駅 - 蒲郡駅間には導入しないことが2008年度の設備投資計画で発表された[16]。後に導入されたICカード乗車券「manaca」も当該区間は対象外となっている。
2009年9月に開催された第6回対策協議会からは愛知県も参加するようになった。また、2010年11月開催の第8回対策協議会では以下の取り決めがなされた。
この決定により西尾市と蒲郡市は年間で2億5000万円(蒲郡市9931万円、西尾市1億5069万円)の支援金を捻出し[17]、愛知県は両市に対し年間計8,300万円の補助を行った。2013年度以降の対策については第12回対策協議会(2012年10月)で検討され、2013年度以降も引き続き沿線の2市が経費を補填した上で運行を継続していくことになった[18]。現在はその後の協議により2025年度(令和7年度)までの自治体支援による路線存続が決定している[19]。
西尾駅 - 蒲郡駅間の2017年度の区間収支は収入3.9億円、支出11.6億円(うち人件費5.7億円)で赤字額は7.7億円となっている[20]。
2008年6月29日改正以降は終日ワンマン運転で、毎時2本運転されている[36]。ワンマン改造された6000系2両編成3本で運用され、昼間は三河鳥羽駅と西浦駅で上下列車がすれ違う。島式ホームの駅のうち、すれ違う駅以外では、運転士が確認およびワンマン操作を容易にできるよう、右側通行で進行方向左側のドアから旅客の乗降を行っている。線内の所要時分は28 - 30分である。
蒲郡線ではワンマン運転対応編成が検査で入場した場合は、予備車両がないため車掌が乗務した6800系や6000系の2両編成が充当され、車両は約3日程度、蒲郡線を走行したあと本線の運用となる。
1998年4月6日改正から2008年6月29日改正までは西尾線直通の西尾駅 - 吉良吉田駅 - 蒲郡駅間のワンマン運転[33][注釈 5]で、朝と夜の一部に新安城駅発着列車や名古屋本線直通列車が設定されていた。
2005年1月29日改正までは蒲郡線内にも「特急」と「急行」が存在していた。昭和の頃には昼間にも名古屋本線直通の特急が運転されており(愛称は「三河湾号」)、主に7000系「パノラマカー」が使用されていた。廃止直前の特急は8800系「パノラマDX」による3両編成で1往復のみ運転されていた[41][注釈 6][注釈 7]。また、1998年4月6日改正までは昼間に蒲郡駅 - 津島線方面間に毎時1往復の直通列車(蒲郡駅 - 西尾駅間は普通で、それ以外の区間は急行)が運転されていた[32]。2005年1月29日改正直前の停車駅は特急・急行とも同じで、吉良吉田駅、西幡豆駅(朝の下り特急は特別通過)、東幡豆駅、西浦駅、形原駅、蒲郡駅に停車していた[42][注釈 8]。
晩年の直通列車は蒲郡線内はすべて普通列車として運行しており、新安城駅や西尾駅などで種別変更していた。また、朝や夜には4両編成の列車も見られた。特に、始発の蒲郡行は吉良吉田駅2番線(旧三河線ホーム)から発車する唯一の列車であった(ホームが3両分しかないため1両は扉が開かない)[注釈 9]。
6000系以外の現有車両で当線での定期運用の実績があるのは6500系・6800系・3100系で、2008年6月29日改正まで5300系・5700系・6500系・6800系が主に朝と夜に乗り入れていた。なお、現用の特急車や3500系・3300系などの4両編成のインバータ制御車、2代目5000系などは当線で定期運用されたことはないが、2000系「ミュースカイ」[37]および1800系は団体列車として当線に入線した実績がある。
蒲郡線は全列車ワンマン運転である。広見線の新可児駅 - 御嵩駅間を除いた他の名鉄線のワンマン運転(三河線、小牧線、豊川線、尾西線、築港線、各務原線、知多新線、広見線の犬山駅 - 新可児駅間)とは利用方法が異なり、車内に運賃箱を設置するなど、専用に改造された2両組成の6000系が使用される。広見線とは異なり、常時方向幕を使用しており通常は系統板を使用しない。車内で流れる自動放送は三河線や瀬戸線で使われている女声のものではなく、広見線と同じ男声のものになっている(ただし、広見線とは異なり、放送開始時にチャイムが鳴る)。運転区間内の無人駅では乗車ドアと降車ドアは決められており、乗車は先頭車両の後ろドア、降車は先頭車両の前ドアで、先頭車両の中ドアと後方車両のドアは開かないが、有人駅の蒲郡駅・吉良吉田駅ではホーム側の全部のドアが開く[43]。
西幡豆駅・東幡豆駅・西浦駅を除く各駅に設置されている自動券売機であらかじめ乗車券を購入し[38]、無人駅で降車する場合は運転台近くの運賃箱に投入(乗り越しの場合は不足運賃も入れる)するか、運転士に手渡す。西幡豆駅・東幡豆駅・西浦駅を除く各駅に自動券売機が設置されているため[38]、路線バスや他社のワンマン対応車両に設置されている乗車整理券発行機やLCD式運賃表示器はない(三角表式運賃表はある)。蒲郡駅で降車する場合は、改札口の駅員に手渡し、吉良吉田駅で降車する場合や西尾線に乗り継ぐ場合は、降車駅の自動改札機に投入する。なお、西幡豆駅・東幡豆駅・西浦駅から乗車する場合は駅ホームに設置されている乗車駅証明書発行機で乗車駅証明書を発行し、無人駅で降車する場合は運転台近くの運賃箱に乗車駅証明書と運賃を投入するか、運転士に手渡す。蒲郡駅で降車する場合は、改札口の駅員に手渡す。吉良吉田駅で降車する場合は乗換改札口の駅員に手渡して、西尾線に乗り継ぐ場合は乗換改札口で降車駅までの運賃を精算する[38]。
蒲郡線では2008年6月28日改正前まで、ワンマン改造された6000系 (6009F - 6013F) の5編成で西尾駅 - 吉良吉田駅 - 蒲郡駅間のワンマン運転(西蒲ワンマン)を行ってきたが、ワンマン運転区間が吉良吉田駅 - 蒲郡駅間に短縮されたことで余剰となり、新たにワンマン運転区間となった広見線に1編成が回された(蒲郡線用には3編成が残り、残りの1編成は一方から他方への送り込み用)。車両は広見線と共用し、平日は西尾8:16発の急行犬山行き、休日は東岡崎9:54発(送り込み車両は新安城で連結)の普通犬山行き、逆方向は岩倉23:01発(休日は22:59発)の普通新安城行きで送り込みを行う。かつては犬山駅 - 新可児駅間でも営業列車を兼ねた送り込みを行なっていたが、同区間は2024年3月16日改正でワンマン運転になり、前記5編成とはワンマン機器が異なりワンマン運転できないので、以後は回送列車で送り込むようになった。
manaca(10種の相互利用ICカード)については蒲郡線三河鳥羽駅 - 蒲郡駅間のみでの利用はできない。また、蒲郡線内の自動券売機は吉良吉田駅を除いて対応していないほか、西幡豆駅・東幡豆駅・西浦駅は自動券売機が設置されていない。ただし、吉良吉田駅を含む区間を利用する場合は、以下の手順による。
manacaが導入されているふれんどバスや名鉄バスの蒲郡地区路線とは条件を満たせば通常どおり乗継割引が適用される。
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 |
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GN13 | 吉良吉田駅 | - | 0.0 | 名古屋鉄道:GN 西尾線 | ◇ | 西尾市 |
GN14 | 三河鳥羽駅 | 3.2 | 3.2 | ◇ | ||
GN15 | 西幡豆駅 | 1.5 | 4.7 | ◇ | ||
GN16 | 東幡豆駅 | 2.3 | 7.0 | ◇ | ||
GN17 | こどもの国駅 | 1.9 | 8.9 | | | ||
GN18 | 西浦駅 | 1.6 | 10.5 | ◇ | 蒲郡市 | |
GN19 | 形原駅 | 1.2 | 11.7 | ◇ | ||
GN20 | 三河鹿島駅 | 1.8 | 13.5 | | | ||
GN21 | 蒲郡競艇場前駅 | 1.8 | 15.3 | 東海旅客鉄道: 東海道本線(三河塩津駅: CA48) | | | |
GN22 | 蒲郡駅 | 2.3 | 17.6 | 東海旅客鉄道: 東海道本線 (CA47) | ∧ |
途中駅はすべて駅集中管理システム未対応の無人駅である。蒲郡駅とこどもの国駅は高架化されている。
名称は廃止時のもの
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