日本のコンピュータゲームシリーズ ウィキペディアから
ドラゴンクエストシリーズ(Dragon Quest Series)は、1986年5月27日に発売された『ドラゴンクエスト』を第一作とする日本製コンピュータRPGのシリーズ作品。
ドラゴンクエスト | |
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ジャンル | RPG |
開発元 |
チュンソフト ハートビート アルテピアッツァ トーセ レベルファイブ |
発売元 |
スクウェア・エニックス (旧・エニックス) |
主な製作者 |
堀井雄二 鳥山明 すぎやまこういち 千田幸信 中村光一 |
1作目 |
ドラゴンクエスト (1986年5月27日 ) |
最新作 |
ドラゴンクエストIII そして伝説へ… HD-2D版 (2024年11月14日 ) |
スピンオフ作品 |
不思議のダンジョンシリーズ ドラゴンクエストモンスターズ スライムもりもりドラゴンクエスト ドラゴンクエストヒーローズシリーズ ドラゴンクエストビルダーズシリーズ ほか |
公式サイト | ドラクエ・パラダイス |
主にゲームデザイナーの堀井雄二を中心として製作され、スクウェア・エニックス(旧・エニックス)が発売している。略称はドラクエ。また、シリーズ内のほぼ全作品のタイトルロゴなどで、英字表記の「DRAGON QUEST」が使われているが、その頭文字を取った「DQ」も略称として用いられる。
「ドラゴンクエスト」というタイトルは、堀井が劇画村塾時代に小池一夫から学んだ「印象的なタイトルを作るには、やさしい言葉と難しい言葉の組み合わせがいい」「タ行を濁音に変える(ダ行にする)と印象が残りやすい」という教えをもとに作られた[1][2]。
2022年3月時点で、ドラゴンクエストシリーズは全世界で8,500万本以上を販売している。[3][4][5][6] また、リメイク版ドラゴンクエストVIは発売後4日間で日本国内で91万本を販売し、リメイク作品としては非常に高い売上を記録した。[7]
第一作『ドラゴンクエスト』から『IV』まではファミリーコンピュータ、『V』と『VI』はスーパーファミコンソフトだったが、以降はPlayStation(『VII』)、PlayStation 2(『VIII』)、ニンテンドーDS(『IX』)、Wii(『X』)、PlayStation 4・ニンテンドー3DS(『XI』)、Nintendo Switch(『XIS』)など製作発表時に最もポピュラーなゲーム機用ソフトとして開発・製作されている。
上記の「ナンバリングタイトル」と呼ばれる本編作品は、その時代ごとの主流の据え置きハードや携帯ゲーム機用ソフト、携帯電話ゲーム(携帯アプリ)などで度々リメイクや移植がなされている。2014年6月、「最も長く続いている日本のRPG」でギネスブックに掲載された[8][注 1]。
モバイルに関してはNTTドコモを主軸にしており、クラウドゲーム版『X』やコラボレーション携帯などで連携を強めている[9]。ドコモがiPhoneを扱うようになった後はiOS (アップル)、Androidの両プラットフォームでリメイク版やアプリゲームをリリースしている。
「ナンバリングタイトル」のほか、RPG以外のジャンルでのスピンオフ作品や番外編も数多く作られ、その多くもシリーズ化している。
日本国外では1989年にNES用ソフトとして北米進出を果たし『IV』まで発売されたものの、『V』『VI』がリリースされず、約10年近くのブランクが開いたのち、2001年にPlayStationで『VII』が発売された。
米国に既に同名のテーブルトークRPG『DragonQuest』 が存在していたため、商標上の問題で『VII』までは『Dragon Warrior』(ドラゴンウォーリア)というタイトルで発売されていた。2003年10月にこの問題は解決され、『VIII』以降の作品(DS版『IV』以降のリメイクを含む)は 『Dragon Quest』のタイトルとなった。
2005年に『VIII』にて、キャラクターボイスに世界中の訛ったアクセントの英語をあてることにより注目され(北米版に『ファイナルファンタジーXII』体験版が同梱[10]) 、翌2006年には本シリーズが発売されたことのなかったヨーロッパ(5ヶ国語に対応)でも『VIII』が発売され、海外だけで累計100万本以上を売り上げた。また、任天堂が海外での販売を担当した第9作『IX』も100万本を突破している[11]。
旧作の日本国外向け作品中では、キャラクター名や十字架など、特定の宗教を連想させる表現などが大幅に変更(ローカライズ)されていたが、近年の作品では日本国外版へのローカライズを前提に、日本国内版開発時から図案のデザインに対する配慮が行なわれている[12]。
2016年には中国でWindows版『勇者斗恶龙X』(拼音:yŏngzhĕdòuèlóng、『DQX』)がリリースされ、中国でドラゴンクエストシリーズがリリースされたのは本作が初となる。中国版限定のアイテムもあり、日本版に逆輸入されている。
以下、各ナンバリングタイトルの概略を述べる。
機種
1986 | ドラゴンクエスト |
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1987 | ドラゴンクエストII 悪霊の神々 |
1988 | ドラゴンクエストIII そして伝説へ… |
1989 | |
1990 | ドラゴンクエストIV 導かれし者たち |
1991 | |
1992 | ドラゴンクエストV 天空の花嫁 |
1993 | |
1994 | |
1995 | ドラゴンクエストVI 幻の大地 |
1996 | |
1997 | |
1998 | |
1999 | |
2000 | ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち |
2001 | |
2002 | |
2003 | |
2004 | ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君 |
2005 | |
2006 | |
2007 | |
2008 | |
2009 | ドラゴンクエストIX 星空の守り人 |
2010 | |
2011 | |
2012 | ドラゴンクエストX オンライン |
2013 | |
2014 | |
2015 | |
2016 | |
2017 | ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて |
以下、各派生作品の概略を述べる。
入るたびに構造の変わる『不思議のダンジョン』を舞台にしたローグライクRPG。1993年に『IV』の登場人物・トルネコを主役にした第1作がヒットしたため、シリーズ化された(トルネコ1・3は北米未発売)。2006年には『VIII』の登場人物・ヤンガスを主役にした作品も登場した。トルネコは引き続きアドバイザーとして出演する。
ドラゴンクエストシリーズに登場するモンスターを捕獲し、育成・配合しながら冒険を行うモンスター育成RPG。ナンバリングタイトルのパロディ的な要素を含んでいるタイトルもある[注 3]。
スライムを操作して仲間を助けていくアクションアドベンチャーゲーム。
『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』に登場した「モンスター・バトルロード」を舞台にしたトレーディングカードアーケードゲーム。稼働終了直前、カードの意味がなくならないようにWiiに移植された。DSiウェアで専用のスキャナーを使えばカードを転用できる。『バトルスキャナー』『スキャンバトラーズ』はバトルロードの流れを組む作品。今作はチケットを使用する。
リアルタイムのアクション操作によって戦っていくアクションRPG。『IV』のアリーナやクリフト、『VI』のテリー、『VIII』のゼシカなど歴代シリーズの仲間キャラクターたちが登場し、個々に切り替えながら操作できる。ドラゴンクエスト30周年の記念作品となる『ヒーローズII』ではオンラインでのマルチプレイにも対応。ゲームシリーズ作品群では、CERO審査チェック異例のB指定(12歳以上対象)に区分された。
ドラゴンクエストのRPG要素に建物や街を作るサンドボックス要素を追加した「ブロックメイクRPG」。主人公はモノづくりの力を持つビルダーである。
基本プレイ無料の対戦型デジタルカードゲーム。異なるプラットフォーム間であってもデータ連携が可能。
漫画作品である『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』を題材にしたゲーム作品。
歩数計機能を搭載した、たまごっち風電子ゲーム。スライムが成長していく。
『剣神』と『ソード』は実際に剣を振る操作を行う体感型ゲーム。『ウォーズ』は戦略シミュレーション。『シアトリズム』は音楽ゲーム。VRは体感型のVRアクティビティで戦士、僧侶、魔法使いでパーティーを組んで冒険する。
発売年 | ナンバリングタイトル(機種:発売日) | 移植・リメイク作品 | 同年発売の派生作品および派生作品の移植版 |
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1986年 | ドラゴンクエスト(FC:5月27日) |
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1987年 | ドラゴンクエストII 悪霊の神々 (FC:1月26日) | ||
1988年 | ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(FC:2月10日) |
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1989年 | |||
1990年 | ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(FC:2月11日) | ||
1991年 | |||
1992年 | ドラゴンクエストV 天空の花嫁(SFC:9月27日) | ||
1993年 | ドラゴンクエストI・II(SFC:12月18日) | トルネコの大冒険 不思議のダンジョン(SFC:9月19日、発売元はチュンソフト) | |
1994年 | |||
1995年 | ドラゴンクエストVI 幻の大地(SFC:1995年12月9日) | ||
1996年 |
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1997年 | |||
1998年 |
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1999年 | ゲームボーイ ドラゴンクエストI・II(GB:9月23日) |
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2000年 | ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち(PS:8月26日) | ゲームボーイ ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(GBC:12月8日) |
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2001年 | ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(PS:11月22日) |
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2002年 |
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2003年 |
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2004年 | ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君(PS2:2004年11月27日) |
| ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険3アドバンス 不思議のダンジョン(GBA:6月24日) |
2005年 | ドラゴンクエストII 悪霊の神々(iアプリ:6月24日) | スライムもりもりドラゴンクエスト2 大戦車としっぽ団(DS:12月1日) | |
2006年 |
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2007年 | ドラゴンクエストIV 導かれし者たち(DS:11月22日) |
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2008年 | ドラゴンクエストV 天空の花嫁(DS:7月17日) |
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2009年 | ドラゴンクエストIX 星空の守り人(DS:2009年7月11日) | ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(iアプリ:11月19日) |
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2010年 |
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2011年 | ドラゴンクエスト25周年記念 ファミコン&スーパーファミコン ドラゴンクエストI・II・III(Wii:9月15日) | ||
2012年 | ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン(Wii:2012年8月2日) |
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2013年 | ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オンライン(Wii・Wii U・Windows:12月5日) |
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2014年 |
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2015年 | ドラゴンクエストX いにしえの竜の伝承 オンライン(Wii・Wii U・Windows:4月30日) |
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2016年 |
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2017年 |
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2018年 | ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ version1-version4(Wii U・Windows・PS4・Switch:7月26日) |
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2019年 | ドラゴンクエストX いばらの巫女と滅びの神 オンライン(Wii U・Windows・PS4・Switch:10月24日) |
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2020年 |
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2021年 | ドラゴンクエストX 天星の英雄たち オンライン(Wii U・Windows・PS4・Switch:11月11日) |
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2022年 | ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン(PS4・PS5・Switch・Steam:9月15日) | ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ version1-6(Windows・PS4・Switch:10月20日) | ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤(Switch:12月9日) |
2023年 | ドラゴンクエストX 眠れる勇者と導きの盟友 オフライン(PS4・PS5・Switch・Steam:5月26日) |
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2024年 | ドラゴンクエストX 未来への扉とまどろみの少女 オンライン(Windows・PS4・Switch:3月21日) | ドラゴンクエストIII そして伝説へ…(PS5・XBOX SERIES X/S・Switch・Windows:11月14日・Steam:11月15日)[26] | |
2025年 | HD-2D版 ドラゴンクエストI&II(発売予定) | ||
未定 | ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎 |
ドラゴンクエストシリーズでは、主人公は「プレイヤーの分身」という位置付けとなっており、名前はゲーム開始時にプレイヤー自身が自分で付けることになる。『III』『IV』『IX』『X』では性別も選択できるほか、『IX』『X』では外見も詳細に設定できるようになった。
主人公とその仲間がパーティ(集団)を組んで、モンスターを倒しながら世界を冒険する。パーティの人数は、第1作は1人、『II』は最大3人、『III』『VII』『VIII』『IX』は最大4人である。『IV』『V』『VI』『XI』では最大で10人または8人のパーティを組むことができるが、戦闘に参加できる上限人数は3人または4人である。『X』は基本は4人までだが、クエストによってはパーティ2つが同盟を組んだり、NPCを加えた5人で戦うことがある。最終的には世界の平和を脅かす敵の親玉(作品によって呼称が異なるが、「魔王」と呼ばれることが多い)と決戦する。
移動画面では、主人公たちを動かし、目的地へと移動する。移動の途中にコマンドウィンドウを開くことにより、人と「はなす」、足元や目の前のものを「しらべる」、「どうぐ」(アイテム)や「じゅもん」(呪文)を使用する、「つよさ」でステータスを見る、「さくせん」で作戦や設定を変更する、などといったことができる。スーパーファミコン以降の作品では「べんりボタン」が導入され、「はなす」「しらべる」がボタンひとつで可能となっている。
マップによっては移動中に敵モンスターとの戦闘が発生することがある。『VIII』までの作品では、一部の例外を除き、移動画面で敵の姿が見えず、移動中に突然画面が切り替わり戦闘が始まるランダムエンカウントシステムである。『モンスターズジョーカー』や『IX』、『X』、『XI』とリメイク版『VII』『VIII』ではマップ上を徘徊するモンスターに接触すると戦闘が始まるシンボルエンカウントシステムを採用している。
主人公たちが移動する空間(マップ)は、世界地図の形をした「フィールドマップ」と、城・町・村・ほこら、ダンジョンとに分けられる。
プレイヤーキャラクターと敵キャラクターとの戦闘は、「ターン」とよばれる区切りの中で、自軍・敵軍の各キャラクターが一回ずつ行動していく(中には複数回連続行動するキャラクターもいる)、いわゆるターン制。第1作は1対1、それ以外の作品では敵側・プレイヤー側とも1体から複数のキャラクターが参加する。
プレイヤーキャラクターの行動は基本的に、コマンド選択により命令を与えることによって決定する。プレイヤー側全員の行動が決定した時点で、1ターンが始まり、そして敵かプレイヤー側のどちらかが全滅するまでターンが繰り返される。敵が倒されるか逃げ出して敵全員がいなくなるとプレイヤー側の勝利となり、倒した敵の分の経験値とゴールドが得られる。逃げた敵の分は手に入らない。さらに『II』以降は確率によって敵の所持アイテムを入手できることもある。プレイヤーキャラクターが全員倒されれば全滅となり、所持金が半分となり、前回セーブした場所に戻されるが、ゲームオーバーとはならず、全滅時点での状態のままプレイを続けることができる。一部のイベントで登場するボスキャラクターにおいては、(通常のプレイを行う限り)必ず全滅し、全滅後もそのままストーリーが進行する場合がある。場合によっては、プレイヤー側のキャラクターがまだ生き残っていても全滅扱いになることもある。敵から逃げることに成功した場合も戦闘終了となるが、この場合は何も得られない。
また戦闘ではプレイヤーか敵モンスターの先制攻撃が発生することもある。敵が不意を突かれればプレイヤーの先制攻撃に、運が悪くプレイヤーが敵に不意を突かれると敵の先制攻撃になる。
『IV』以降の作品と携帯アプリ版のリメイク『III』では、主人公を除くキャラクターにあらかじめ「作戦」を与えておくことにより、コンピュータがAI(人工知能)によって各自の行動を自動的に決定する。オリジナル版の『IV』『V』『VI』ではパーティ全体に、『VII』以降[注 6]および『III』『IV』『V』『VI』のリメイク版ではキャラクターごとに設定する。リアルタイムで適切な行動を取ることなどが強みだが、必ずしも望んだような最適な行動をするとは限らない。
本シリーズの戦闘画面は、『VII』以前では、画面内にプレイヤーキャラクターの姿は映らず、現れた敵キャラクターの姿のみが映し出される。ただし、『VIII』以降では3D化に伴いプレイヤーキャラクターの姿も映し出されるようになった。
『X』では戦闘中に自由な移動が可能であり、敵のブレスや範囲攻撃魔法を離れて回避したり、敵キャラクターを押すこともできる。
敵を倒すことによって得られる経験値(Ex、Experienceの略)が一定値に達することによってキャラクターのレベル(Lv、Levelの略)が1段階上昇し、それと同時にキャラクターのステータス(強さを表す能力値)も上昇する。また、所定のレベルになると呪文や特技を新たに覚える。得られる経験値は基本的に強い敵ほど多く、また、主人公側のレベルの数値が高くなるほどレベルアップに必要な経験値も多くなっていく。
その他、『VI』『VII』では職業熟練度、『VIII』以降(モンスターズも『ジョーカー』以降)ではスキルといった成長システムもある。
キャラクターのステータスには主に以下のようなものがある。これらのステータスはレベルアップ時だけでなく、種や木の実などのアイテムの使用や特定の武器・防具・装飾品などの装備によって上昇させることもできる。これらのステータスはモンスターにも設定されていて、攻撃側のステータスと攻撃を受ける側のステータスの差により、ダメージポイントなどが決定される。
このほか、「かしこさ」のように作品ごとに役割の異なるステータスや、「たいりょく」、「うんのよさ」、「かっこよさ」「きようさ」といった一部の作品にのみ登場するステータスがある。「かしこさ」が登場していない作品も一部ある。
モンスターの攻撃などによって、主人公たちが以下のような異常な状態に陥る場合がある。逆に敵に対して状態異常を起こさせることも可能。
呪文を唱えることで様々な魔法の力を行使できる。使用の際にはMPを消費し、使用することによって敵へのダメージ、味方の回復、瞬間移動など様々な効果が現れる。攻撃呪文・攻撃補助呪文・補助呪文・回復呪文・移動中専用の呪文などに分類され、『III』以降の作品では系統別に整理されている。
特技とは、炎や吹雪を吐く、地面に結界を張る、踊りを踊る、特殊な剣技や武術などといった、呪文以外の特殊行動のことを指す。特技には、MPを消費するものと、MPを消費せずに使用できるものとがある(作品によっても異なる)。
アイテム(道具)は、イベントで入手する、店でゴールドを払って買う、宝箱や壷・箪笥・足元を調べる、戦闘に勝利したときに敵の落とした宝箱から、などの方法で入手することができる。入手するとパーティのキャラクターの持ち物(または「ふくろ」)にそのアイテムが加わる。
不要になったアイテムは、店で売ってゴールドに変えるか、「すてる」コマンドでその場に捨てるといった方法で手放すことができる。ただし、ストーリー進行にかかわる重要アイテムなど、売ろうとしても店で買い取りを拒否され売ることができず、捨てようとしても捨てられないアイテムもある。また、呪いの武器防具を自由に外せない作品では、呪いの武器防具を装備している場合、それを売ったり捨てたりすることはできない。このほか使わないアイテムを預けるための「預かり所」や「ふくろ」が登場する作品もある。
本シリーズに登場するアイテムは、主に次のように分類される。ゲーム内ではいずれも「どうぐ」として総称される。
シリーズは全般を通して中世ヨーロッパファンタジー風のいわゆる「剣と魔法の世界」をベースとした世界観になっている。
なお、『VI』では『II』・『III』の存在と同名である精霊ルビスが登場しており、「ロト三部作」と「天空三部作」それぞれの世界が繋がりを持つ可能性も示唆されている[注 10]。さらにリメイク版『III』には、『VI』に登場した王の名を冠する、天空城と同一構造のゼニス城が登場。『VIII』では、『III』の存在と同一であることをほのめかす神鳥レティス[注 11]がおり、サブゲームの闘技場には『IV』のキャラクターであるライアン、トルネコも登場している。『IX』では、宿屋にスペシャルゲストとして歴代キャラクターが訪れるほか、歴代ボスが宝の地図のダンジョンに登場する。『X』では、魔法の迷宮に過去作のキャラクターやボスの一部が登場。また、『ドラゴンクエストモンスターズ』などの外伝作品では『VI』のキャラクターであるテリーや『VII』のキーファがロトシリーズの世界を訪れる場面がある。
敵キャラクターは、ほとんどがモンスター(作中では主に「魔物」と呼ばれる)であり、これらは魔王の手先である。作品によっては、主人公たちの仲間となったり、現実世界においての普通の動物のような存在(ペットや友人、手下など)として描かれたりする場合もある。同種のモンスターは主に色違いにより外見の差異を表しているが、第1作の時点で上位種のみ武器を持っていたりする。3Dで表現されるようになってからは異なる部位のものも登場している。攻撃時にモンスターが動く作品と動かない作品がある。
ドラゴンクエストシリーズにおいて、メインシリーズ11作品のうち4作品以上に登場している代表的なモンスターについて解説する。同じ名前でも、作品によって攻撃・弱点特性が異なる場合がある。
エニックスのプロデューサー・千田幸信は、1985年に『ドアドア』でファミコン参入後、パソコンで発売されていた堀井雄二のアドベンチャーゲーム作品『ポートピア連続殺人事件』のファミコンへの移植を決め、堀井と、チュンソフトのプログラマ、中村光一に移植作業を依頼する[30][31]。堀井と中村は、1983年のエニックスの第1回ゲーム・ホビープログラムコンテストの授賞式で知り合った仲でもあり、製作中に意気投合し、パソコンで流行していたRPGについて熱く語り合う仲になっていった。この際にファミコンでのRPGの製作が可能となる重要なアイディア「ふっかつのじゅもん」の構想が生まれ[注 13]、RPG製作の前準備としてファミコンユーザーにコマンド入力に慣れてもらうため、同作のPC版は文章入力方式だったが、一転しコマンド入力式に切り替えた[注 14][33]。
この移植作業が堀井と中村にとって楽しいものであったことから、二人はこの組み合わせでの仕事をもっとやりたがり、堀井は千田にファミコンでのRPGの製作を提案する[34]。当時のファミコンはシューティングゲーム・アクションゲームが主流でありRPGは皆無だったため、エニックス社内では反対の声もあったが、最終的に千田がゴーサインを出し、ファミコン初の本格的RPGの開発・製作が始まった。
二人が熱中したパソコンのRPG(『ウルティマ』、『ウィザードリィ』)の強い影響下に、少数のスタッフで開発・製作が行われた。基本構造は『ウルティマ』型のフィールドと『ウィザードリィ』型の戦闘システムだが、当時はビジネス用のソフトにしか使われていなかったマルチウインドウを導入することで独自色を打ち出した。
なお、堀井はジャンプのゲーム紹介記事「ファミコン神拳」の連載と並行しながらをドラクエを製作していた[35]。同記事でRPGの面白さを説明しつつ[36]、最終的に自分がRPGを出したことに関して、後に「今でいうとステマ」とも述解している[要出典]。
キャラクターデザインに関して、堀井は集英社の『週刊少年ジャンプ』でライターをしていたときからの知り合いである鳥山明のことを、鳥山を担当していた編集者鳥嶋和彦から勧められて、デザインを頼むことに決めた[37]。その際、鳥嶋は鳥山が「『ポートピア連続殺人事件』に興味を持っており、ゲームの仕事をやりたがっている」という嘘をついた。なお鳥山と堀井との対談によれば「ゲームの仕事をやりたがっている」という発言は騙しであり、自身はゲームに関してはてんで無知だったと鳥山は語っている[注 15][38]。この決定により『ドラゴンクエスト』は「週刊少年ジャンプ」と蜜月関係となり、同誌上で開発中の『ドラゴンクエスト』の画像を初披露する体制がとられることになった。
開発は進み、完成に近づいたものの、内部スタッフが作ったBGMが「ずっと聴いていると飽きてしまう」という事態が発生。そこに急遽、ゲーム好きが昂じてエニックスと繋がりができていた作曲家のすぎやまこういちが参加し[39]、「聴き減りのしない音楽」という方針のもと、1週間で楽曲を製作[40]した。なお、千田は鳥山やすぎやまを引き入れた理由について「(アマチュアの空気で作られている現場に)プロを入れたかった」としている[要出典]。
こうして堀井、中村、鳥山、すぎやまらの手によって『ドラゴンクエスト』は完成し、1986年5月に発売された。『ドラゴンクエスト』は当初は売り上げが芳しくなかったが、口コミによりじわじわと売れ始め、最終的に150万本を売り上げるヒット作品となった[41]。そして『I』の完成直後から『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の製作にとりかかる。
第1作製作時、初めてRPGに触れるユーザーに対して、ユーザーが参考材料にするであろう海外のRPGはハードルが高すぎるという判断から、堀井自ら『ファミコン神拳』でRPGというゲームの説明をするなど、間口を広げる方針を取った。これはシリーズ全体の方針ともなり、第1作から『III』までの通称「ロト三部作」は、ファミコンで初めてRPGに触れるユーザーに対して、RPGの面白さ、奥深さを理解してもらえるように、プレイしながらRPGのリテラシーを習得できるように意識して作られている[注 16]。
ロトシリーズ以降もこの方針は貫かれ、『IV』製作後には今更方針を変えることもないだろうと判断したこと、万人向けに作っているため、難しすぎる謎は全部ボツにしていることを表明している[42]。『X』でオンライン化が決まった際にも「いかに敷居を低くするか」が最初のテーマになっている[43]。
ゲームシナリオに関して、ゲームクリエイターの名越稔洋は自著『ゲーム屋人生―名越武芸帖』でおとぎ話を読んでいるような感覚とも表現している[要ページ番号]ほどシリーズ全体の世界観を印象付けている。
なおファミコン時代は容量との戦いでもあり、容量削減のため、数多くの企画・演出がカットされた。一方で『DRAGON BALL』のギャグ「ぱふぱふ」をシリーズ全編に渡って使用しているのも特徴で、ファミコン時代、容量不足で困っていた時代にもこれを削らずに通した。無料の「ぱふぱふ」は相手が親父だったり、女装であったりなどのオチが採用されていたりもする。この容量の問題はシリーズが進むにつれメディアの進化により解決するようになった。
ドラゴンクエストシリーズは「プレイヤー自身がゲームの主人公になりきり、ゲーム内の世界の出来事を体験する」ことが一貫して主なコンセプトとなっており、プレイヤーが主人公に感情移入することを妨げないようにするため、主人公はわずかな例外(ギャグシーンや戦闘中にシステム上喋る「特技」など)を除いて言葉を発しない。「はい」「いいえ」の選択を強制される場面が数多くあるが、文脈的におかしい場面でもこの選択肢が出ることが多々ある。
『ソード』や海外版および3DS版『VIII』では主人公以外のキャラクターにボイスが採用されるなどのシリーズの会話テキストは作品を追うごとに増える傾向にあり、『ヒーローズ』では初めて主人公にもボイスが実装された[44]。その一方、『ヒーローズ』に歴代主人公は登場するのかという問いに対して、堀井は「プレイヤー自身でもある主人公たちが、新たに声を得て登場するのは違和感がある」と述べている[45]。
『X』などのプレイヤーキャラクターの移り変わりがある作品においては対象キャラが非操作状態時では喋ることがあるが、操作状態となった途端に喋らなくなる。
『V』までのチュンソフト(中村光一)時代、視覚面での演出はほぼチュンソフトに任されていた。ルーラで飛ぶ演出はプログラマ同士のお喋りから生まれたものである。『IV』ではファミコンでは実現不可能と目されていた表現を多数披露。当時(発売前の)スーパーファミコンの売りの一つであった機能をファミコン上でさりげなく行うなどしている。当時中村光一は「技術は表現のための手段」という方針を貫き、技術を前面に出した勘違い作品を作らないように苦心していると語っている[46]。なお、『VII』ではハートビートの山名学(元チュンソフト所属)がロード時間短縮という独自技術を開発した。
漫画家・鳥山明によるキャラクターデザインは、堀井雄二によるラフ絵に基づいて描いた物であるが、堀井のラフ絵と全く異なる場合も少なくなく、特にドラゴンクエストの象徴的モンスターとも言える「スライム」は堀井のラフ絵が一般的なスライムだったのに対し、鳥山はこれを水滴型のものとしてデザインし、これが採用された。
なお、堀井のラフ絵は全てが堀井のアイデアというわけではなく、『II』では宮岡寛が関わっている[47]。また、『V』以降は一部のキャラクターデザイン・モンスターデザインに中鶴勝祥ら他のスタッフが参加している。
鳥山のデザインに関しての内部評価は、「鳥山以外の漫画家を起用していたら、おそらくその漫画家のキャラゲーになっていた」「鳥山のデザインだからこそ、ドラクエの世界観が成り立っている」と評されている[要出典]。
ドラゴンクエストシリーズは楽曲の美しさ、多彩さでも知られる。すぎやまこういち作曲による音楽は、ゲーム中で何度も聴かざるをえない音楽ゆえに何度聴いても飽きない「聴き減りのしない音楽」を作るというポリシーに基づいて製作されている。また、ファミコン時代の使えるトラックが少ない時代での制作体制を経ていることから、シンプルであることをモットーにしている。なお、テストプレイをして世界観を把握してから楽曲制作に入るのを常としており、『ソード』は、当初はすぎやまこういちが楽曲を担当する予定だったが、高齢によりテストプレイができない(同作は剣に見立てたコントローラーを振り回してプレイする)ことを理由に担当を辞退している。
ゲーム音楽ということもあり、企画物以外で楽曲をカバーされることは少ないが、1987年に政治家の愛知和男が「この道わが旅」、2000年に高中正義が「おおぞらをとぶ」をカバーしている。
なお、2021年7月23日に行われた2020東京オリンピック開会式の選手入場曲においては、日本を代表するゲーム音楽の一つとして『序曲:ロトのテーマ』のタイトルで最初と最後の楽曲として採用された。
開発にあたって旧エニックスはプロデュースのみを行い、実際のソフト製作作業は他メーカーに委託していた。旧エニックスは主に財務上の戦略から自社内に開発要員を持たなかったため、こういった委託は本シリーズに限らず、同社から発売されたタイトルでは一般的な形態であった。
ナンバリングタイトルに関しては『I』から『V』までは中村光一が所属するチュンソフトが担当した。『V』をもって開発から手を引いたのは、開発期間が長期間化するようになったことや、作数を重ねるたびにスタッフが増加し製作環境が変わり、それらに伴いプログラマ間での諍いが絶えなくなってしまったことから、中村はプログラマの仲裁[30]や管理をするディレクター作業がメインになり、「割に合わなくなった」からである[48]。
『VI』『VII』はチュンソフトの退社組による山名学率いるハートビートが担当。スクウェア・エニックス発足後は自社内に開発要員を抱えることになったが、『VIII』『IX』は『ダーククロニクル』に惚れ込んだ堀井の依頼によりレベルファイブが担当する一方でプランナーは自社要員で賄われた。『X』では初めて自社での開発となっている。これはネットワーク対応ということでインフラ構築などの運営の都合上から内製のほうが好ましいと判断されたためである。ただし、『X』以降も一部業務の外部委託は引き続き行われている。なお、派生タイトルなどは引き続き外部委託が基本であるが、『ビルダーズ』のように企画の経緯から内製となる場合もある。
CB's Project編(『VIIIの〜』まで)、旧エニックス / スクウェア・エニックス刊。戦闘やサブゲーム、モンスター分布、アイテム、町の人や登場人物、台詞などゲーム中のさまざまなものを徹底検証・解析した結果のレポートが書かれている。
スクウェア・エニックス刊。
コンピュータゲームのほか、ゲームブック、小説、4コママンガ劇場などの書籍を次々と発行。また、キーホルダーやぬいぐるみ、マグカップ、タオルやハンカチなどの小物・雑貨や日用品、鉛筆やサインペンなどの文房具、カードダスやカードゲームなどの子供向け玩具、さらには原寸大の宝箱や1/6スケールの剣といったマニアックなグッズも次々と発売された。
1990年代当初は、エニックスが販売していた物に関してはそれぞれ「○○シリーズ」というラベリングがされており、グッズは「ドラゴンクエストワールドグッズ」と呼ばれていた[注 21]。1990年から1997年にかけては、グッズなどを紹介する「ドラゴンクエスト パーフェクトコレクション」という書籍も年刊で発行されていた。なお、エニックス以外でもドラクエの成り立ち上、『週刊少年ジャンプ』を刊行する集英社が出版に乗り出しており、攻略本のほか、コミカライズなどを手掛けている。
コミカライズされた一部の作品はアニメ化や映画化されるほどの人気を博し、その他にもドラクエの世界観を活かしたオリジナルストーリーのミュージカル(1992年、SMAP主演)やバレエ(1995年初演、スターダンサーズ・バレエ団)、ロト3部作をベースにしたオリジナルストーリーのアクロバティックショー(2016年、ドラゴンクエスト ライブスペクタクルツアー製作委員会主催)などが上演された。
旧エニックスおよびスクウェア・エニックス刊。
各ゲームソフトのストーリーに基づいたゲームブック。双葉社発売のものと、旧エニックス発売のものがある。
本シリーズ各作品のゲーム内容を元ネタとした、複数の作家による4コマ漫画アンソロジー。同シリーズからは衛藤ヒロユキ、柴田亜美などが人気作家になっている。一般読者から募集した「4コマクラブ」会員からの投稿作品を集めた番外編も存在し、その中から多数の漫画家を輩出している。『月刊少年ガンガン』で「ガンガン編」も連載、また姉妹版として「1Pコミック劇場」が『月刊少年ギャグ王』で連載され、いずれも単行本化されている。4コママンガ劇場シリーズは1990年から2005年まで発行され続け、総巻数は100冊を超えた。2005年を最後にドラゴンクエストシリーズの4コマは途絶えていたが、2009年に4年ぶりに『IX』の4コマ劇場が発行されたほか、2013年から2014年にかけて『X』の4コマ劇場が『ヤングガンガン』とガンガンONLINEにて連載された。『IV』と『VI』の2タイトル以外は、作品単体での4コマ漫画劇場が発行されている(ただし『I』〜『III』は過去の作品の再録)。
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キャスト
ほか
スタッフ
ドラゴンクエストライブスペクタクルツアー(2016年、さいたまスーパーアリーナ ほか、出演:中川翔子、風間俊介 ほか)[56][57]
※かつて下記の一部は、カセットテープ・LP盤・MDでもリリースされていた。
ドラゴンクエストの音楽に歌詞を付けて歌った物。
各ゲームソフトのストーリーに基づいて音声ドラマ化したもの。第1作から『VI』と『トルネコの大冒険』が発売されている。
堀井雄二がゲームデザインを手掛けるボードゲーム『いただきストリート』に、ドラゴンクエストシリーズのキャラクターが客演。
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