『キングダム ハーツ シリーズ』のナンバリング2作目 ウィキペディアから
『キングダム ハーツII』(キングダム ハーツ ツー、KINGDOM HEARTS II、略称: KH2、KHII)は、スクウェア・エニックスより2005年12月22日に発売されたPlayStation 2用ゲームソフト。名前は『II』だが、キングダム ハーツ シリーズの第3作目にあたる。
2003年9月の東京ゲームショウ2003で前作『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』(以下COM)と同時発表された。これまでのシリーズと同様、ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーションとして、ディズニーとファイナルファンタジーシリーズから多数のキャラが登場。野村哲也がディレクターを務め、主題歌は再び宇多田ヒカルが『Passion』(英語版は『Sanctuary』)で担当した。ディズニーからはトロンやイェン・シッドといったマイナーな作品や人物が登場し、FFからは『FFIX』のような野村がキャラクターデザインをしていない作品も出るようになった。
『KH』シリーズのナンバリングタイトルとしては第2作目であり、第1作目の『キングダム ハーツ』の続編であるが、シナリオは『KH』→『COM』→『KH2』と連続しているため『COM』との関連性も強く、また『COM』で起こった出来事の詳細は『KH2』上においては省略されている(敵組織であるXIII機関の一部が『COM』で倒されているため欠員がある、「ナミネにお礼を言う」というジミニーメモなど)。製作側は「『COM』を知らなくてもプレイに支障はない」と発言しているが、GBAで発売された『COM』はハードの違いからプレイしていないユーザーも多かったため、本作の英語音声版『ファイナル ミックス』にPS2版リメイク『Re:チェイン オブ メモリーズ』が付属することとなった(詳しくは後述)。
限定版として、『キングダム ハーツ トリニティマスターピース』も発売された。『KH』『COM』『KH2』の3作がまとめられたセットである。
発売後3日で出荷枚数100万本突破という記録を残し、シリーズの人気を印象づける結果となったほか、北米でも発売後1週間で100万本の売り上げを達成しているうえ、欧州での発売によって2006年末には全世界でのシリーズ累計出荷本数が1000万本を突破した。発売前のゲームに送られる「The 9th CESA GAME AWARDS FUTURE」にて優秀賞を受賞した。また、「ファミ通アワード2005」では大賞を受賞し、野村も最優秀クリエイター賞を受賞している。さらに、日本ゲーム大賞2006優秀賞を受賞した。
2014年には、『キングダム ハーツ HD 2.5 リミックス』の収録作の一つとしてPlayStation 3向けにHDリマスターされた。リマスター版は『ファイナル ミックス』を基に音声が日本語に変更されている。詳細については当該記事を参照。
基本的なシステムは第1作『キングダム ハーツ』を基に、カメラワークの変更や新システムの導入など全体的にブラッシュアップされている。これにより第1作とは趣の変わった戦闘ができるようになり、戦略の幅が広がった。戦闘以外にも、第1作ではセーブポイントでしか変えられなかったパーティメンバーをどこでも変更できるようになったり、ダンジョンが単純化(それに伴いジャンプアクションも減少)、ワールド間の移動「グミシップ」がよりシューティングゲームらしくなっているなど、様々な変更点がある。
第1作に続き、条件を満たすとエンディング後に観られるシークレットムービーが見られる。今回のタイトルは「Gathering」で、『キングダム ハーツ バース バイ スリープ』(以下BbS)の予告編的な内容となっている。難易度によって解放条件が異なり、プラウドモードでは条件が緩くなる。ビギナーモードでは閲覧不可。
前作で「たたかう/まほう/アイテム/?(状況に応じて変化する)」だったコマンド欄は「たたかう/まほう/アイテム/ドライヴ」になり、「たたかう/しょうかん/チェンジ/れんけい」のコマンド欄に切り替えられるようにもなった。それらの新システムの中から、特筆すべきものを以下に記述する。
新たに追加された「DRIVEゲージ」を消費してフォームチェンジを行い、ソラの戦闘能力を上げられるシステム。使用するとソラの服の色と戦闘スタイルが変わる。発動の際にはHP・MPが全回復し、周囲の敵を吹き飛ばせるようになるため、ピンチの時の切り札にもなる。変身できる時間は限られているが、時間の上限はフォームのレベルやアビリティにより、上げられる。各フォームにはアクションやサポートに関わる固有のアビリティが設定されており、自分でカスタマイズすることは不可能となっている。また、敵を撃破した後に発生する会話イベントなどは変身したフォーム姿のままでイベントが進む。
ソラがパーティメンバーや召喚キャラと連携攻撃を繰り出すシステム。ソラのMPをすべて消費することにより、多数の敵を巻き込む強力な技を使用できる。
状況に合わせて△ボタンで使用できる。マップ移動中の、宝箱を開けるときや人と話す時にもリアクションコマンドを使う。バトル中の敵の多くにも専用のコマンドが設定されており、バトル中に条件を満たしコマンドを使うことによって強力な攻撃を繰り出せる。いくつかのボス戦ではさらに派手な演出が用意されている。後発の作品である『Re:COM』や『KH1.5』版の『KHFM』でも同じシステムが採り入れられている。
元々は野村が『ファイナルファンタジーVIII』の開発時に考案したアイディアだったものの当時は実現不可能ということで断念したが、本作の開発にあたり、バトルを進化させるためとリアルタイムの操作感の向上のため、採用された。
『キングダム ハーツII ファイナル ミックス+』(キングダム ハーツツー ファイナル ミックスプラス、KINGDOM HEARTS II FINAL MIX+)は、北米版をベースに追加要素を盛りこんだ英語音声版『キングダム ハーツII ファイナル ミックス』と、GBAで発売された『COM』の3Dリメイク『キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ』の2枚組で発売された。
この英語音声版とリメイク作の2枚組により、特別版以上であるということを意味して『ファイナル ミックス+』とされた。野村は後にこの2枚組について「あんな大盤振る舞いは二度とやれない」と語っている[2]。本作の英語音声版については、「日本語版を『ファイナル ミックス』のつもりで作ったので、どうしようか迷っている」[3]、「今回は『ファイナル ミックス』の制作予定はない」[4]といった発言が開発側から出されていたが、2006年9月に制作中であることが明らかにされた。
また、店舗予約特典としてハードカバー仕様のブックレット『KINGDOM HEARTS -Another Report-』が付属した。『KH』のストーリーダイジェストや野村によるシナリオに関する謎についてのQ&A、天野シロによる描き下ろし漫画『扉を閉じたあと』と『WINNIE THE POOH』、金巻ともこによる書き下ろし小説『ROXAS―Somewhere in time』などが掲載されている。
以下は『キングダム ハーツII ファイナル ミックス』における変更点である。『Re:COM』の変更点は当該項目を参照。なお、オリジナル版『KH2』は日本版と北米版が並行して制作されていたため、その内容にほとんど差はなく、下に挙げる追加要素は英語音声以外はすべてが『ファイナル ミックス』独自の追加要素である。
忘却の城での「機関」との戦いを経て失われた記憶を修復するべくソラ、ドナルド、グーフィーは眠りに就いた。それから1年の時が流れる。
トワイライトタウンに住む少年ロクサスは、残り少ない夏休みを仲間のハイネ、ピンツ、オレットらと共に楽しく過ごしていた。しかし、ある日を境に急に見知らぬ少年の夢を見たり、街で自分にしか見えない現象が起こったりと、身の回りでおかしなことばかりが起こり始める。アクセル、ナミネ、ディズと言った謎の人物が彼を翻弄し、やがてロクサスは自身がXIII機関という組織に所属していたこと、そして自身がソラのために消えなければならないという残酷な真実を知る。眠りに就くソラと対面した時、ロクサスの夏休みはあと1日を残して終わってしまった。
一方、デスティニーアイランドに戻ったカイリはソラとリクのいない日常を過ごしていたが、彼女を含めて誰もソラのことは覚えていなかった。しかしある出来事を切っ掛けにカイリはソラの名を思い出し、手紙を詰めた小瓶を海へと流す。
ソラ、ドナルド、グーフィーはトワイライトタウンの屋敷で目を覚ますも、彼らにはアンセムとの戦い以降の記憶が無かった。ひとまず街に出てみた3人はハイネ、ピンツ、オレットと出会い、互いに不思議な懐かしさを感じる。そこにいなくなったはずのハートレスが襲い掛かり、応戦するも現れた王様に列車に乗るよう告げられる。3人の乗った列車は不思議な塔に辿り着き、そこで王様の師匠であるイェン・シッドから、世界に再び異変が起きていることを知らされる。闇に心を奪われた者はハートレスとなるがそれが強い心の持ち主だった場合、残された肉体と魂が稀に別の存在として生まれ変わることがある。その「ノーバディ」と呼ばれる怪物を率いるXIII機関が暗躍しているというのだ。ソラは3人の妖精に服を変えてもらい、装いも新たに、再び世界を駆け巡る冒険に出発する。世界の異変を解決し、行方不明のリクを探すために。
3人はホロウバスティオンを始め、以前行った世界や新たな世界を巡り、幾つもの事件に遭遇する。再び現れたハートレス、ノーバディとそれを率いるXIII機関、復活したマレフィセントなど、様々な要因や思惑が絡み合い、世界の異変は混迷していく。一方、デスティニーアイランドではアクセルがカイリを連れ去ろうとするも、プルートの導きで逃げられる。カイリはトワイライトタウンに迷い込み、ハイネらに保護されるが再び現れたアクセルに拐われてしまった。それをハイネから伝え聞いたソラは改めてカイリとリクを見つけ出す決意を固める。
ホロウバスティオンを再訪した3人は王様と再会し、実は3人が倒した闇の探求者アンセムの正体は賢者アンセムの名を騙る別人のハートレスであった事、そしてその偽アンセムのノーバディこそがXIII機関のリーダーである事を知る。王様は本物の賢者アンセムを探し出し、協力を得ようとしていたのだ。その直後、街を大量のハートレスが襲う。レオンらと協力して応戦する3人の前に、偽アンセムこと賢者アンセムの弟子・ゼアノートのノーバディであるゼムナスが現れる。しかし彼はすぐに去り、王様もそれを追って闇の回廊に飛び込んでしまった。続いて現れたアクセルや、彼を追う機関員のサイクスから、XIII機関の目的はソラにハートレスを倒させて心を集め、キングダムハーツを作ることだと知らされる。利用されていたと知って自身の行動に思い悩むソラの前に謎の黒コートが現れ、シーソルトアイスと写真の入った箱を残していく。写真にはハイネ、ピンツ、オレットに加えて見知らぬ少年が写っていたが、何故かソラにはそれがロクサスであることが分かった。
やはり旅を続ける道を選んだ3人は各世界を再訪し、XIII機関と戦いつつ新たな事件を解決していく。やがて写真を手掛かりにトワイライトタウンに戻ると、ハイネらがカイリの行方を探って「もう一つのトワイライトタウンがある」という結論に達していた。そして現れた王様により、賢者アンセムがXIII機関の本拠地に行ったことが判明し、そこに繋がるとされるもう一つのトワイライトタウンを探すことに。ハイネらの協力で一行はロクサスが夏休みを過ごしたデータ上のトワイライトタウンに辿り着き、そこからXIII機関の本拠地に向かうも、その途中で大量のノーバディに襲われる。そこにアクセルが現れ、拐ったカイリに逃げられたこと、そのカイリがXIII機関に捕まったことを告げる。そして自身の全存在を賭けて道を切り開き、ソラに見守られながら安らかに消滅した。アクセルは親友であるロクサスのために行動していたのだった。
XIII機関の本拠地「存在しなかった世界」に乗り込んだ一行は残る機関員と戦い、ソラは彼らに「ロクサス」と呼ばれ混乱しながらも進んでいく。一方、囚われのカイリはナミネによって解放され、脱出を図るもサイクスに阻まれる。そこに現れてカイリを救ったのは謎の黒コートの正体であるリクだったが、闇の力を使うためにゼアノートのハートレスの姿になっていた。やがてソラはリクとカイリとの念願の再会を果たし、リクはXIII機関の言うロクサスがソラのノーバディであると明かす。ソラはホロウバスティオンでカイリを救うべく自らの心を解き放った際に一時的にハートレス化し、その時にロクサスも生まれたのだ。その後、ロクサスはXIII機関に招かれたが何らかの事情で裏切り、無謀にも機関に一人で戦いを挑もうとした。しかしソラの記憶を修復するには彼が必要だった為、リクは彼と戦って無力化し、ディズと協力してあのもう一つのトワイライトタウンへ送り込んだのだ。そしてナミネの正体はカイリのノーバディだった。一方、別行動を取っていた王様はディズの正体であった賢者アンセムと再会。彼は裏切り者である弟子達への復讐に動いていたが、そのために利用したリクやソラに自身の心も動かされ、考えを改めていた。そして開発した装置でゼムナスのキングダムハーツを破壊し、一行に後を託して爆発の中に消えていく。その影響によりリクも元の姿に戻った。
一行は最後の機関員となったゼムナスの元に辿り着くが、キングダムハーツと融合したゼムナスの力は凄まじく王様とカイリは弾き出されてしまい、残る4人で最後の戦いに挑む。激闘の末にゼムナスを倒し、ロクサスとナミネもそれぞれ元の存在であるソラとカイリと同化する。しかし一行が帰ろうとした瞬間、まだ生きていたゼムナスが巨大なドラゴンを駆って襲ってきた。取り残されたソラとリクはたった二人で本当の最終決戦に臨み、今度こそゼムナスを打ち倒す。しかし二人とも闇の世界から帰れなくなってしまう。そこにカイリが手紙を入れて流した小瓶が流れ着く。ソラが手紙を読むと「光への扉」が開き、二人はデスティニーアイランドに帰還する。王様、ドナルド、グーフィーは彼らの無事を心から喜び、そしてソラがカイリに手を差し伸べられた時、ロクサスとナミネも本当の意味で再会を果たした。それからしばらく経ったある日、ソラとリクの元へカイリが駆けてくる。彼女が持ってきたのは王様からの手紙だった。
オリジナル版キャスト(日本語) / 『ファイナル ミックス』版キャスト(英語)の順。ただし『FM』でもシアターモードでは日本語音声を聴ける。
本作では一部を除くほとんどのワールドを時を跨いでから二度(ワールドによってはさらに多く)訪れることになる。そのため、ストーリーのボリュームはシリーズでも最大級となっている。
発売前に公開されたPVと本編の映像では、若干異なるものや削除されたものがある。
以上から、初期のPVから完成に至るまではかなり内容が変更されたことがわかる。また、『KH2FM+』のPVにおいても、追加ムービー内で英語で話しているシーンがあるが、製品版に英語は入っておらず、日本語でしか聞けないという点がある。
※『キングダム ハーツ 358/2 Days』連載により一時休載になり、『Days』完結後に連載が再開した。
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