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1991年のアメリカのアニメーション映画 ウィキペディアから
『美女と野獣』(びじょとやじゅう、原題: Beauty and the Beast )は、フランスの民話『美女と野獣』(J・L・ド・ボーモン夫人版)を元にした、1991年のアメリカのアニメーション映画である。ゲーリー・トゥルースデイルとカーク・ワイズが監督を務める。
美女と野獣 | |
---|---|
Beauty and the Beast | |
監督 |
ゲーリー・トゥルースデイル カーク・ワイズ |
脚本 | リンダ・ウールヴァートン |
製作 | ドン・ハーン |
製作総指揮 | ハワード・アッシュマン |
出演者 |
アンジェラ・ランズベリー ロビー・ベンソン リチャード・ホワイト ジェリー・オーバック ブラッドリー・ピアース デヴィッド・オグデン・スティアーズ ほかは下記参照 |
音楽 | アラン・メンケン |
編集 | ジョン・カーナカン |
製作会社 |
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーション |
配給 |
ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ ワーナー・ブラザース |
公開 |
1991年11月22日 1992年9月23日 |
上映時間 |
84分(オリジナル) 91分(スペシャルエディション) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $25,000,000[1] |
興行収入 |
$424,967,620[1] $218,967,620 |
配給収入 | 16億円[2] |
前作 | ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え! |
次作 |
美女と野獣 ベルの素敵なプレゼント(美女と野獣シリーズ) アラジン(ディズニー・クラシックス全般) |
続編とした『美女と野獣 ベルの素敵なプレゼント』、『美女と野獣 ベルのファンタジーワールド』が制作された。
日本での公開は1992年9月23日。また、2002年にはIMAXシアター向けに同作品を作り直して上映、2010年にはディズニーデジタル3-D版が上映された。
ディズニー・ルネサンスと呼ばれる時期に作られた成功作のひとつである。アニメ映画史上初のアカデミー賞作品賞ノミネート作品(第64回)である(第82回アカデミー賞で「カールじいさんの空飛ぶ家」がノミネートされるまでは、この作品が唯一であった)。また、作曲賞と歌曲賞を受賞した。
アメリカでは1992年10月30日にホームビデオが発売され、1週間で700万本、1ヶ月で1420万本という売上を記録し、当時1300万本余を販売していた『ファンタジア』を上回る当時の米国記録を達成した[3]。
日本ではワーナー・ブラザース配給のディズニー作品は本作が最後となった。1993年9月17日にブエナ ビスタ ジャパンからビデオが発売された。日本で初めて、セルビデオ(販売用ビデオテープ)のみで100万本を出荷した作品となった[4]。それまでの記録は『ファンタジア』の80万本(レーザーディスクを含めるとミリオンセラー)であった。本作の日本でのセルビデオ累計出荷本数は115万本[5]。
2009年に『エンターテイメント・ウィークリー』誌が発表した「1983年以降に製作された恋愛映画の名作25本」では、第25位に選出された[6]。
IMAX版では大画面の観覧に耐えるよう、細かい部分で書き足しなどを行っている。また最初の上映時には無かった「人間に戻りたい」などの家来たちの心情をアニメーション化するなど、一部シーンが追加されている。エンディングテロップもスクロールではなく、全面表示の切り替わりとなっており、IMAX向けに丁寧に作られていた[要出典]。それらは後にDVD版として発売された。
2010年には『ディズニーデジタル3D』としてオーストラリアやスペイン、日本(2010年10月9日公開)などで公開された。なお、3D版はアメリカでは2012年1月13日に公開されている。
森の奥にある城に、若く美しいがとても我がままで傲慢な王子が住んでいた。ある夜、醜い老女が城を訪ね、一輪のバラを宿代代わりに差し出し城に一晩泊めてほしいと頼む。しかし王子は老女の醜さを理由にそれを断る。老女は「見かけで人を判断すると、心の奥底の真実が見えなくなってしまう」と忠告するが、王子は聞く耳を持たず再び追い返そうとした。するとその瞬間に老女は美しい魔女に変わり、優しい心を持たず人を外見で判断する王子と、王子をそのように育てた召し使いたち、さらにその城全体に魔法をかけ、王子を恐ろしい野獣の姿に、召し使いたちを家財道具の姿に変えてしまった。魔女はどんな物をも映し出す魔法の鏡と初めに見せた一輪のバラの花を置き消えていった。そのバラの花びらが全部散るまでに、王子が人を愛し人に愛されることを学び、「真実の愛」を見つけることができなければ、王子たちにかけられた魔法が解けることはない。王子は己の醜い姿を恥じて城に閉じこもり、絶望と失意のうちに十年の歳月が流れた。
とある街に住む発明家モーリスの娘・ベルは街一番の美貌の持ち主で、読書と空想が大好きな父親思いの娘だった。ベルはそんな自分の夢見がちな性分を風変わりと捉える街の人々に馴染めず、街一番のハンサムで人気者だが乱暴で下品な自惚れ屋である狩人・ガストンの執拗な求婚に辟易していた。
モーリスが発明大会に出かけた日、愛馬フィリップが父を乗せぬまま戻ってきたのを見たベルは父に何かあったに違いないと考え、フィリップと共にモーリスとはぐれた森の奥地の城へとやってくる。モーリスは森で道に迷った上に狼たちに襲われてフィリップとはぐれ、辿り着いた城で一夜の宿を頼んだ。それを見かねた蝋燭のルミエールとティーポットのポット夫人はモーリスをもてなそうとしたのだが、怒った城の主である野獣に不法侵入者として捕らえられ、牢獄に繋がれていたのだった。解放を願うベルは父と引き換えに自分が城に留まることを申し出る。野獣はその条件を受け入れ、反対するモーリスを強制的に魔法の馬車に乗せ街へと追い返してしまった。
こうして城に残ることになった失意のベルを、ポット夫人やルミエール、置き時計のコグスワースなど家財道具に変えられた城の召し使たちは快く受け入れ持てなしてくれた。ベルも次第に気を取り直し城の生活に馴染もうと努力するが、礼儀知らずで我がままな野獣の凶暴な振る舞いに耐えかねて城を飛び出してしまう。そして吹雪の中で野生の狼に襲われるが、すんでの所で駆けつけてきた野獣に救われる。その事件をきっかけにベルは醜く横暴な野獣の心の中に残る優しさに気づき、野獣も彼女の優しさに触れお互いに心を通わせるようになる。日々をともに過ごしていく中で、野獣は徐々に人間らしい心を取り戻してベルに想いを寄せるようになり、ベルもまた、野獣に惹かれていく。
二人だけの舞踏会を開いた日の夜のこと、楽しさの中にも父のことを思い沈んだ表情を隠せないベルのために、野獣は魔法の鏡を与えてモーリスの姿を映し出させる。そこに映し出されたのは、病身のままベルを探し求めて森をさまよった末に行き倒れたモーリスの姿だった。彼は酒場で騒ぐガストンたちに野獣の存在を知らせ助けを求めたものの相手にされず、独りでベルを助けに行ったのである。狼狽するベルの姿を見た野獣は、自分の中のベルへの愛情を自覚しつつ、愛するベルの気持ちを思いやり、ベルに魔法の鏡を与えた上で解放する。自分に対するベルの愛情を確かめられぬまま彼女を手放してしまえば、二度と魔法が解けないことを知りながら。
父を助け街に戻ってきたベルは、ガストンが自分の結婚を承諾させるために「城に野獣がいる」と主張するモーリスを狂人として精神病院に入れようと企んでいることを知り、激しく彼を拒絶。モーリスの言うことが事実であることを証明するために魔法の鏡で野獣の姿を見せ、その姿に怯える街の人々に「見た目こそは恐ろしい野獣だが、優しい心の持ち主」と説得するが、その時のベルの様子から彼女と野獣の関係を察したガストンは、ベルから野獣呼ばわりされて拒絶されたことで嫉妬と怒りに駆られ、野獣が恐ろしい存在であると街の人々に吹聴して扇動し、野獣を殺すために城へ夜襲をかけに向かってしまう。自宅の地下貯蔵庫に幽閉された二人は途方に暮れるが、ベルの鞄にこっそり隠れてやってきたポット婦人の息子・ティーカップのチップの妙案により脱出。野獣に襲撃を知らせるために大急ぎで城へと引き返す。
一方、野獣はベルを失った絶望に塞ぎ込んで自暴自棄に落ち込み、侵入者の報告を受けても何ら手を打とうとしない。主人と城を守るべく、召し使い達はルミエールの一計で本物の家財道具になりすまし、侵入者たちの不意を突いてから一斉に反撃を開始、撃退することに成功した。
騒ぎの中、一人野獣の居場所を突き止めたガストンは、背後から矢を放って奇襲し野獣をバルコニーに追い詰める。それでもなお野獣は力なく倒れたまま動こうとせず、徹底的に痛めつけられてしまう。だがガストンが止めを刺そうとした刹那、駆けつけたベルの叫び声を耳にして生気を取り戻した野獣は反撃を開始する。ついにガストンを追い詰め、怒りと共にバルコニーから落とそうとした野獣だが、命乞いをする彼の姿を見て命を奪うことは思いとどまり、出て行けと言い放つ。だがその温情が仇となり、屋根を伝ってバルコニーに上りベルと念願の再会を果たした直後、背後からわき腹に短剣を突き立てられてしまう。その拍子に二人は共にバランスを崩し、ガストンは谷底へ落下して死亡する。野獣はベルに掴まれかろうじて救われるものの瀕死の重傷を負い、もはや虫の息であった。途切れ途切れに愛と別れの言葉を口にし事切れた野獣の亡骸にすがり、涙をこぼしながらベルが愛を告白した直後、バラの最後の花びらが散っていく。
皆が悲しみにくれる中、突然空から流星が振りそそぎ、野獣の身体が光に包まれたかと思うと、野獣は元の美しい立派な王子に戻って蘇った。彼の眼差しから王子が野獣本人であることを確信したベルは喜びと共に口づけを交わしあう。すると降り注ぐ光と共に厳めしい形に変えられていた城は元の荘厳な姿に、召使い達は元の人間の姿に戻っていく。ベルの愛の告白により、ついに野獣は愛し愛されることを学ぶ試練を乗り越え、自身と城にかけられた呪いから解き放たれたのである。
こうして、人間に戻った王子とベルは結ばれ、本来の美しい姿に戻ったお城で末永く幸せに暮らすのであった。
詳細は各キャラクターの記事を参照。
役名 | 原語版声優 | 日本語吹替 |
---|---|---|
ベル | ペイジ・オハラ | 伊東恵里 |
野獣 (ビースト) | ロビー・ベンソン | 山寺宏一 |
ガストン | リチャード・ホワイト | 松本宰二 |
ル・フウ | ジェシー・コーティ | 中丸新将 |
ポット夫人 | アンジェラ・ランズベリー | 福田公子 |
歌:ポプラ | ||
ルミエール | ジェリー・オーバック | 江原正士 |
歌:若江準威知 | ||
コグスワース | デヴィッド・オグデン・スティアーズ | 熊倉一雄 |
ナレーター | 鈴木瑞穂 | |
モーリス | レックス・エヴァーハート | あずさ欣平 |
チップ | ブラッドリー・ピアース | 山口淳史 |
ワードローブ | ジョー・アン・ウォーリー | 近藤高子 |
歌:白石圭美 | ||
フェザーダスター | キミー・ロバートソン | 横尾まり |
町娘 | メアリー・ケイ・バーグマン キャス・スーシー | |
ムッシュー・ダルク | トニー・ジェイ | 渡部猛 |
シェフ・ブーシュ | ブライアン・カミングス | |
本屋 | アルヴィン・エプスタイン | 矢田稔 |
フットスツール (サルタン) | フランク・ウェルカー | 原語版流用 |
フィリップ | ハル・スミス |
日本でも2002年10月に発売され、内容はIMAXシアター向けの本編や、“挿入歌「人間に戻りたい」ができるまで”等となっている。同年11月にVHSで、12月にDVDで次作が、翌年春にVHSとDVDで次々作のスペシャル・エディションが発売された。
この作品は原作の民話やボーモン夫人の『美女と野獣』とは大きくストーリーが異なり、現代的なフェミニズム要素を含むストーリーになっている。有馬哲夫は著書『ディズニーの魔法』[9]において、この違いを詳しく記している。原作では試練のもと成長するのはベルであり、外観ではなく中身の大切さを学び美徳に磨きをかけるが、本作では成長するのは野獣であり、粗暴さを改め、女性を尊重して愛することを学ぶ。野獣は心を入れ替えていくのに対し、ガストンは悔い改めないセクシストであるとしている。
原作にはガストンのような粗暴な求婚者は存在しないが、ジャン・コクトーの映画『美女と野獣』(1946年)では似たような役割の男性が登場する。また原作では「ベル」というのは彼女の本名ではなく、「美女」という意味のあだ名である。本名は作中では明かされない。
なお、ウォルト・ディズニーは1950年代からこの作品をアニメ化する構想を練っていた時期があり、当時の構想は原作の民話やボーモン夫人の話に近いものだったが、最終的に頓挫した過去がある。
本作の3年前に制作された『リトル・マーメイド』において、ディズニー社はヒロインの人魚姫アリエルに海の世界の友達や家族を捨てさせ、白人の王子の下に駆け落ちさせるラストを与え、多くの女性団体から抗議を受けている。[要出典]
「ディズニーによる原作原典の改竄」の一環としての識者からの多くの批判[要出典][10]と併せ、「ヒロインが最終的には男性の下で結婚し、幸せになる」というディズニー映画の普遍のパターンは、女性の生き様を狭く限定するものとして、絶えず受け続けている批判である。この『リトル・マーメイド』での各方面からの抗議に対し、ディズニー社は以後の作品では「より慎重に女性の役割について考える」と公式に約束した。[要出典]こうして制作された本作では、ディズニー社は脚本家に女性を起用し、主人公のベルの性格設定について「現代的な女性で、活動的なフェミニストにした」[要出典]と表明、公開された。
人権団体「New Internationalist(NI)」は、ディズニー映画の性差別主義的内容に対し、それが幼い子供たちを観客主体とすることによる危険性について、長年批判と抗議を行ってきている。「NI」は、この映画での「野獣」が、民話や原作と異なって乱暴な人物にされており、この荒れ狂う「野獣」が、ヒロインのベルの愛情によって「心を入れ替えていく」という内容に改竄されているとして、「これは若い女性への別の危険なメッセージです。ベルが現実世界の人間なら、彼女はほぼ確実に夫から虐待を受ける妻になるでしょう」[要出典]と警告、批判を行っている。
「NI」やイスラエルの人権団体「Haaretz」 は、ディズニーの主人公ベルに対する「フェミニストとしての性格付け」が、「単に読書好きのキャラクター」になっただけであって、「結局は父親のために自己を犠牲にする旧態依然のディズニーヒロインである」としている。また、登場直後は「教育を受け独立した女性」だったベルが、結局は映画の展開の中で「人生における目標は、良い夫を見つけることである」とするただの女性になってしまっており、何の反省もないディズニーのいつものステレオタイプな性差別指向であるとして批判している[11]。
1994年にスーパーファミコン専用ソフトとしてハドソンより発売された。
1993年にSega Genesis(メガドライブ)専用ソフトとしてサンソフトより発売された。日本未発売。
1999年にゲームボーイカラー専用ソフトとして任天堂より発売された。日本未発売。
ウォルト・ディズニー社とスクウェア(現・スクウェア・エニックス)の提携により制作されたゲーム。『キングダム ハーツ』をはじめ続編の『キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ』、『キングダム ハーツII』、『キングダム ハーツ 358/2 Days』の四作に登場している。
ベルや野獣なども登場するゲーム。
映画の世界を体験できる屋内型ライドアトラクション。2020年9月28日、東京ディズニーランドのファンタジーランドに導入された、ディズニー映画『美女と野獣』をテーマにした世界で唯一のライドタイプのアトラクション。
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