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キジ科キジ属に分類される鳥類 ウィキペディアから
キジ(雉子、雉[4][5])は、キジ目キジ科キジ属に分類される鳥類。日本産の個体群のみで独立種 P. versicolor とする説と、ユーラシア大陸に分布するコウライキジ P. colchicus の亜種とする説があり、後者の説に従うと P. colchicus の和名がキジとなり本種のみでキジ属を構成する[6]。日本鳥学会などでは2012年現在、Clements Checklistでは2015年現在は後者(キジは日本やユーラシア大陸広域に分布する単一種)の説を採用している[6][7]。以下の内容はIOC World Bird ListおよびBirdlife Internatinal(IUCN)などが2015年現在に採用している前者の説(キジは日本にのみ分布する独立種)に従ったものと思われる[1][8]。
キジ | |||||||||||||||||||||||||||
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キジ(オス) Phasianus versicolor | |||||||||||||||||||||||||||
保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Phasianus versicolor Vieillot, 1825[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Phasianus colchicus robustipes[3] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
キジ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Green Pheasant Japanese Pheasant | |||||||||||||||||||||||||||
亜種 | |||||||||||||||||||||||||||
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日本鳥学会が選定した国鳥[9]であるとともに、国内の多くの自治体でも「市町村の鳥」に指定されている。種小名の versicolor は、ラテン語で「色変わりの」を意味する[4]。日本の古語では「雉子(きぎす)」(10世紀前半成立の『和名類聚抄』巻十八「羽族名」での表記は、「木々須」と記す)。
日本では北海道と対馬を除く本州、四国、九州に留鳥として分布している[11]。日本には、東北地方に生息するキタキジ、本州・四国の大部分に生息するトウカイキジ、紀伊半島などに局地的に生息するシマキジ、九州に生息するキュウシュウキジの4亜種が自然分布していた。ユーラシア大陸が原産地であるコウライキジが、もともとキジが生息していなかった北海道、対馬、南西諸島などに狩猟目的で放鳥され、野生化している。
全長オスが81 cmほど、メスが58 cmほど[11][12]。翼開長は77 cmほど[11]。体重はオスが0.8-1.1 kg、メスが0.6-0.9 kg。コウライキジではもう少し大きくなる。オスは翼と尾羽を除く体色が全体的に美しい緑色をしており、頭部の羽毛は青緑色で、目の周りに赤い肉垂がある。背に褐色の斑がある濃い茶色の部分があり、翼と尾羽は茶褐色。メスは全体的に茶褐色で、ヤマドリのメスに似ているが、ヤマドリメスより白っぽい色をしており、尾羽は長い。コウライキジのオスは首に白い模様があり、冠羽と体色が全体的に茶褐色である。その他亜種間による細部の差異があるが、もともとメスや雛ではコウライキジも含め識別が困難であったこともあり、後述の通り現在では亜種間の交雑が進み、現在はオスも含めて識別が困難な状況になっている。キジとコウライキジの交雑個体としては、コウライキジのように体色が茶褐色であるが、コウライキジに特徴的な首輪模様がなく、頭部と冠羽がキジ同様青緑色の個体や、逆に全体はキジのように青緑色であるが、首輪模様のある個体が観察される。
山地から平地の林、農耕地、河川敷などの明るい草地に生息している[4][11][12]。地上を歩き、主に草の種子、芽、葉などの植物性のものを食べるが、昆虫やクモなども食べる[11][12]。繁殖期のオスは赤い肉腫が肥大し、縄張り争いのために赤いものに対して攻撃的になり、「ケーン」と大声で鳴き縄張り宣言をする[13]。その際両翼を広げて胴体に打ちつけてブルブル羽音を立てる動作が、「母衣打ち(ほろうち)」と呼ばれている[14]。メスは「チョッチョッ」と鳴く[13]。子育てはメスだけが行う[5]。地面を浅く掘って枯れ草を敷いた巣を作る[13]。4-7月に6-12個の卵を産む[4]。オスが縄張りを持ち、メスは複数のオスの縄張りに出入りするので乱婚の可能性が高い。非繁殖期には雌雄別々に行動する[4][13]。夜間に樹の上で寝る[13][5]。
飛ぶのは苦手だが、走るのは速い[11]。スピードガン測定では時速32キロメートルを記録した[15]。人体で知覚できない地震の初期微動を知覚できるため、人間より数秒速く地震を察知することができる[11][16]。
日本のキジは毎年、愛鳥週間や狩猟期間前などの時期に大量に放鳥される。2004年(平成16年)度には全国で約10万羽が放鳥され、約半数が鳥獣保護区・休猟区へ、残る半数が可猟区域に放たれている。2008年(平成20年)10月25日に那須御用邸で天皇と皇后が、キジとヤマドリの放鳥を行った[17]。放鳥キジには足環が付いており、狩猟で捕獲された場合は報告する仕組みになっているが、捕獲報告は各都道府県ともに数羽程度で、一般的に養殖キジのほとんどが動物やワシ類などに捕食されていると考えられている。これはアメリカ合衆国などでも同様であり、その原因として放鳥場所に適切な草木などキジの生息環境が整えられていない点が挙げられている。しかしながら、少数ではあっても生き残る養殖キジはいるため、日本の元の亜種間で交雑が進み、亜種消滅を懸念する声もある。北海道と対馬ではコウライキジが放鳥されている[11][18]。2002年の日本で農作物への被害額は、2,800万円程と推定されていて、カラスの41.6億円と比較すると少額である[19]。大豆の出芽期に子葉を食べる被害が報告されている[20]。
以下の亜種がある[2]。日本には地理的な変異による4亜種が分布されていたが、放鳥により亜種間の交配が進み差異が不明瞭になってきている[11]。以下の亜種の記載者・記載年・和名・分布は日本鳥類目録 改定第7版に従うが、日本鳥類目録 改定第7版では種 P. versicolor ではなく種 P. colchicus として扱っており、日本国内の亜種の分布域は明瞭ではなく検討が必要としている[6]。
東京都で、レッドリストの指定を受けている(区部で絶滅危惧IB類、北多摩で絶滅危惧II類、南多摩と西多摩で準絶滅危惧)[21]。日本で鳥獣保護法により狩猟鳥獣に指定されている[22]。
この節に雑多な内容が羅列されています。 |
キジは、鳥肉料理として焼いたり煮たりする料理の食材として古くから使用されており、四条流包丁書には「鳥といえば雉のこと也」と記されている。少なくとも平安時代頃から食されており、雉鍋、すき焼き、釜飯、雉そば、雉飯などが伝統的な調理法である[25]。
『大鏡』(11世紀末成立)に、藤原兼通(10世紀)が寝酒の肴(さかな)に「雉の生肉を好んだ」事が記述されており、高階業遠がこっそり雉を逃した話が出ている。仏教が普及している社会にあっても、雉肉が美味で食されていた事がわかる。
兼好法師の随筆『徒然草』(14世紀前半)第118段にも、最も品位の高い食用の鳥として言及されている[26]。同書によれば、中世日本では天皇・皇后の御湯殿上(女官の詰め所および簡易的な調理場)の棚の上に、調理前の死体の姿で置くことを許された鳥はキジだけだった[26]。ところが、あるとき、後醍醐天皇の中宮(正妃)である西園寺禧子の宮殿の御湯殿上の棚の上に、キジより品位の劣る雁の死体がそのままの姿で置かれていた[26]。それを見てびっくりした元太政大臣の西園寺実兼(禧子の父親)は、娘の禧子に散々お小言を食らわせたという[26]。
民間療法・俗信として、「癇癪にはキジの黒焼きが効く」(山形県)、「黒焼きに白砂糖を混ぜると効く」(富山県)、「羽を焼いて塗ると耳の痛みが取れる」(愛知県)など、肉には効能が説かれる一方、「怪我の時にキジを食べると、怪我が治らなくなる・古傷が悪化する」とする俗信も見られ、卵に関しては、「キジの卵を食べると薬が効かなくなる」(福岡県)といわれる[27]。
『桃太郎』、『長柄の人柱』など日本の民話に登場し、日本の野鳥として比較的知名度が高い。 「ケーン」と鳴く。「けんもほろろ」という言葉は、この鳴き声に由来している。また、「頭隠して尻隠さず」ということわざは、草むらに隠れたつもりになったキジの様子に由来している。きしめんの語源には諸説あるものの、キジ肉を平打ちの麺の具にして藩主に献上したから、という説がある。なお、「雉丼」という料理に使われているのは鶏肉。
括弧表記はかつて存在していた自治体。
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