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東武鉄道が運行する特急の愛称 ウィキペディアから
けごんは、東武鉄道が浅草駅 - 東武日光駅間を伊勢崎線・日光線経由で運行する特別急行列車(以下「特急」)である。本項では、日光線の下今市駅より鬼怒川線方面に直通し、主に浅草駅 - 鬼怒川温泉駅間を運行するきぬならびに日光線・鬼怒川線方面発着の特急列車の沿革についても扱う。
けごん きぬ リバティけごん リバティきぬ スペーシアX リバティ会津 | |
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100系で運転の「けごん」 (2021年4月7日 幸手駅 - 杉戸高野台駅間) | |
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 東京都・埼玉県・群馬県・栃木県・福島県[注 1] |
前身 |
特急「きりふり」(けごん) 特急「ゆのさと」(きぬ) |
運行開始 |
1951年(けごん・きぬ) 2017年4月21日(「リバティ」各列車) 2023年7月15日(スペーシアX) |
運営者 |
東武鉄道 野岩鉄道[注 1] 会津鉄道[注 1] |
路線 | |
起点 | 浅草駅 |
終点 |
新栃木駅・東武日光駅(けごん・リバティけごん) 鬼怒川温泉駅・新藤原駅(きぬ・リバティきぬ) 東武日光駅・鬼怒川温泉駅(スペーシアX) 会津田島駅(リバティ会津) |
営業距離 |
135.5 km (84.2 mi)(けごん:浅草 - 東武日光間) 144.6 km (89.9 mi)(きぬ:浅草 - 新藤原間) 190.7 km (118.5 mi)(リバティ会津:浅草 - 会津田島間) |
平均所要時間 |
1時間50分(けごん) 2時間5分(きぬ) 3時間10分(リバティ会津) |
列車番号 |
1000+号数(スペーシアXを除く) 1007・1011・1025・1129(スペーシアX下り) 1024・1028・1038・1142(スペーシアX上り) |
使用路線 |
東武鉄道:伊勢崎線・日光線・鬼怒川線[注 2] 野岩鉄道:会津鬼怒川線[注 1] 会津鉄道:会津線[注 1] |
車内サービス | |
クラス |
普通車(下記以外) 以下は「スペーシアX」の座席区分 スタンダードシート(3 - 5号車) プレミアムシート(2号車) |
身障者対応 |
2・5号車(「リバティ」各列車) 5号車(スペーシアX) |
座席 | #使用車両・編成を参照 |
食事 | GOEN CAFÉ:1号車(スペーシアX) |
技術 | |
車両 |
100系電車 500系電車 N100系電車 (いずれも南栗橋車両管区) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 直流1,500 V |
最高速度 | 120km/h |
なお、300型・350型電車で運行された特急列車および「スカイツリーライナー」は、車両や料金制度などが「けごん」等と大きく異なるため本項では記載しない(それぞれきりふりおよびアーバンパークライナーを参照)。
日光線の特急は、無料特急時代を含めると1929年(昭和4年)の東武日光線全線開業時から運行されている。登場当初は一般車両のみ、その後は一般車両に特別席である展望車「トク500形客車」を連結して運行されていたが、1935年(昭和10年)には特急用車両であるデハ10系電車が新製投入された。
戦時中に一時運休した時期もあったが、戦後間もなくモハ5310形・クハ350形を使用した連合軍専用列車の一部車両を一般客に乗車させる形で特急の運行が再開された。この特急は、当初「華厳」「鬼怒」として運行され、後にひらがな表記の「けごん」「きぬ」となる。その後は、いずれもロマンスシート完備の「ロマンスカー」として東武鉄道の花形的特急として運行され、5700系、1720系「DRC」と製造当時最新型の車両で更新されている。2017年現在は、1990年に就役した100系「スペーシア」と2017年に就役した500系「リバティ」によって運行され「リバティ」の一部列車は「リバティ会津」として野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線経由で会津田島駅まで乗り入れる。
また2023年7月15日からは、N100系を使用した「スペーシアX[注 3]」が浅草駅 - 東武日光駅・鬼怒川温泉駅間で運行を開始した[3]。
過去には「けごん」「きぬ」が運行される東京 - 日光間では、戦後の高度成長期に国鉄東北本線 - 日光線との激しい旅客獲得の競争(「日光戦争」)が繰り広げられた。詳しくは本項の「東武日光線優等列車沿革」および別項「国鉄・JR東日本日光線優等列車沿革」を参照。
2024年3月16日現在、日光線・鬼怒川線方面の特急には100系(スペーシア)、500系(リバティ)、N100系(スペーシアX)が使用されており、使用車両・発着駅に応じて下記の列車名にて運行されている。
「けごん」・「きぬ」は、使用車両の愛称を付して「スペーシアけごん」・「スペーシアきぬ」の呼称が案内で用いられることがある。
「けごん」・「リバティけごん」は浅草駅 - 東武日光駅間の運転を基本とするが、朝の上りと夜の下りに浅草駅 - 新栃木駅間の「リバティけごん」が設定されている。「きぬ」・「リバティきぬ」は日光線の下今市駅より鬼怒川線に直通し、ほぼすべての列車が浅草駅 - 鬼怒川温泉駅間の運転であるが、朝の上り1本のみ「リバティきぬ」が新藤原駅発浅草駅行きで運転される。「リバティ会津」は鬼怒川線を経由して野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線に直通し、浅草駅 - 会津田島駅間で運転される。「スペーシアX」は、使用車両のN100系の愛称をそのまま列車名としており、東武日光駅発着・鬼怒川温泉駅発着の両方が同じ列車名で運転されている。
30分から1時間間隔で上記特急列車のいずれかが走行するダイヤとなっている。「リバティ会津」は1日4往復、「スペーシアX」は東武日光駅発着4往復・鬼怒川温泉駅発着2往復の運転となっている。
ほとんどの「リバティ会津」[注 4]は浅草駅 - 下今市駅間で「リバティけごん」と併結して運行され、下今市駅での分割・併合を行っている。かつては下り「リバティけごん47号」が浅草駅 - 東武動物公園駅間で「リバティりょうもう43号」と併結して運行され、東武動物公園駅で分割を行っていたが、2021年に解消され単独運行となっている。
「けごん」・「きぬ」の列車号数は共通の通し番号が付されており、歴史的にも共通の車両が用いられている。2021年3月13日のダイヤ改正以降は、「リバティけごん」・「リバティきぬ」・「リバティ会津」・「スカイツリーライナー(春日部駅発)」についても共通の通し番号が付されている(「きぬ」・「リバティきぬ」・「リバティ会津」は100番台、新栃木駅発着の「リバティけごん」は200番台の号数が付されるが、下2桁は「けごん」・「リバティけごん」との通し番号である)。また、「スペーシアX」と、浅草駅発の短距離特急「スカイツリーライナー」・「アーバンパークライナー」は1号から附番されているが、列車番号については「けごん」等との通し番号となっている[4]。そのため本特急群の号数に欠番が生じている[注 5]。
会社名 | 路線名 | 駅名 | けごん | きぬ | リバティ会津 | 備考 |
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東武鉄道 | 伊勢崎線 | 浅草駅 | ● | ● | ● | |
とうきょうスカイツリー駅 | ● | ● | ● | |||
曳舟駅 | ■ | ■ | ■:浅草駅10時以前到着便と浅草駅17時59分以降発車便が停車 | |||
北千住駅 | ● | ● | ● | |||
春日部駅 | ● | ● | ● | |||
日光線 | 杉戸高野台駅 | ▼ | ▼ | ▼:浅草駅17時59分以降発車便が停車 | ||
南栗橋駅 | ■ | ■ | ■:浅草駅10時以前到着便と浅草駅17時59分以降発車便が停車 | |||
板倉東洋大前駅 | ○ | ○ | ○ | ○:上下1本(併結列車)のみ停車 | ||
栃木駅 | ● | ● | ● | |||
新栃木駅 | ○ | ○:上り1本(当駅始発)、下り1本(当駅終着)のみ停車 | ||||
新鹿沼駅 | ● | ● | ● | |||
下今市駅 | ● | ● | ● | |||
東武日光駅 | ● | || | || | |||
鬼怒川線(※) | 新高徳駅 | ● | ||||
東武ワールドスクウェア駅 | ● | ● | ||||
鬼怒川温泉駅 | ● | ● | ||||
鬼怒川公園駅 | ▲ | ● | ▲:上り1本(新藤原駅始発)のみ停車 | |||
新藤原駅 | ▲ | ● | ▲:上り1本(当駅始発)のみ停車 | |||
野岩鉄道 | 会津鬼怒川線 | |||||
龍王峡駅 | ● | |||||
川治温泉駅 | ● | |||||
川治湯元駅 | ● | |||||
湯西川温泉駅 | ● | |||||
中三依温泉駅 | ● | |||||
上三依塩原温泉口駅 | ● | |||||
会津高原尾瀬口駅 | ● | |||||
会津鉄道 | 会津線 | |||||
会津田島駅 | ● | |||||
スペーシアX・スペーシア・リバティ | ||||||||||||
← 東武日光・鬼怒川温泉・会津田島 浅草 →
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「けごん」・「きぬ」には100系「スペーシア」が、「リバティ」各列車には500系「リバティ」が、「スペーシアX」にはN100系「スペーシアX」が充当される。先述した500系併結列車の場合、「リバティきぬ」「リバティ会津」が進行方向前部に「リバティけごん」が進行方向後部に連結される。スペーシアの5号車1番は車椅子優先座席となっている[5]。
なお500系「リバティ」就役以前には車両故障等で300系が使用される場合もあった。
2017年(平成29年)4月21日のダイヤ改正以降は一般的な平日・土休日別ダイヤで運行されている。
それ以前は、毎日運行される定期列車とは別にいわゆる旧国鉄→JRの季節列車・予定臨時列車のように運行があらかじめダイヤ上設定されており、繁忙期となる期間をA期間、閑散期をB期間と設定しており、一部列車はA期間のみに運行されていた。当時の期間別は下記の通りである。
日光線東武日光方面と鬼怒川線の分岐駅である下今市駅では、「けごん」と鬼怒川線方面発着列車、「きぬ」と東武日光発着列車の接続が考慮されている。接続列車には南栗橋駅や新栃木駅発着の普通列車のほか、下今市駅 - 東武日光駅間のみ運行の短距離普通列車も設定されている。一部の接続列車は「SL大樹」となっている。
かつて、下今市発着の列車は、接続する列車の種別に応じて「特急連絡」・「急行連絡」[注 6]の種別名で運行されており、鬼怒川線方面発着の特急・急行(のちに特急)列車に接続する下今市 - 東武日光間運行の連絡列車は、ほぼ全ての列車が上今市駅を通過していた。また、東武日光発着の特急列車と接続する鬼怒川線発着列車の一部には、特急停車駅に準じた停車駅で運行される列車もあった。2006年3月18日ダイヤ改正に伴い、接続列車は特急車(100系電車)使用の列車を除き各駅停車での運行となり、2009年6月6日のダイヤ改正で、各駅停車で運行される接続列車は「普通」と案内されるようになった。最後まで残った朝2本の特急車使用の「特急連絡」東武日光駅発下今市駅行も、2022年3月12日のダイヤ改正で廃止され普通列車に置き換えられた[7]。特急車両を使用する「特急連絡」は、時刻表では「(特急車両接続)」と表記されているが、この列車には特急料金は設定されていない。
快速・区間快速が運行されていた頃は、それらの列車が接続列車となる場合もあった。
1986年(昭和61年)10月9日に野岩鉄道会津鬼怒川線が開業した後は、東武特急が鬼怒川温泉駅などで野岩鉄道の列車と短時間で接続するダイヤを組んでおり、東武伊勢崎線・東武日光線・東武鬼怒川線沿線と会津鬼怒川線、さらには会津鉄道会津線、JR只見線を経由して福島県の会津若松駅に至る沿線間の旅客利便性に寄与している。
1990年(平成2年)10月12日に会津線会津高原(現在の会津高原尾瀬口) - 会津田島間が電化された後は、浅草から会津田島まで直通する快速急行「おじか」→急行「南会津」が運行されるようになり、2002年以降は終点の会津田島駅で会津線快速「AIZUマウントエクスプレス」に接続していた。
2005年(平成17年)2月28日付けで急行「南会津」が廃止された後は、快速「AIZUマウントエクスプレス」・「AIZU尾瀬エクスプレス」が鬼怒川線に乗り入れ、鬼怒川温泉駅で特急「きぬ」と接続するダイヤに変更された。
また、2006年(平成18年)3月16日のダイヤ改正でJR直通特急「(スペーシア)きぬがわ」が新設された後は、毎日2往復運転される「AIZUマウントエクスプレス」の1往復が鬼怒川温泉駅で「(スペーシア)きぬがわ」と接続するダイヤに変更されている。
その後は東武634型電車を使用した「スカイツリートレイン南会津号」が平日を中心に臨時特急として運行され、さらに2017年(平成29年)4月21日のダイヤ改正で500系就役に伴い「リバティけごん」と併結するかたちで「リバティ会津」が運行を開始した[8]。
「スペーシアX」とそれ以外とで料金体系に差異が設けられている。
「スペーシア」と「リバティ」では運行日・使用車両による価格差はなく、全列車で同一の価格に設定されている。浅草駅 - 南栗橋駅間もしくは下今市駅 - 東武日光駅・鬼怒川温泉駅間の各駅相互間を利用する場合は、乗車距離に比較して割安な特定区間料金が適用される。また「けごん」・「きぬ」には、大人4名又は小児6名まで利用可能な個室が設けられており、特急料金を含め1室ごとに発売される。
なお、「リバティ」は、鬼怒川温泉駅 - 会津田島駅間の各駅相互間のみ乗車する場合は特急券が不要であり、空席を利用できる(特急券を購入して座席指定を受けることも可能)。2022年3月11日までは、下今市駅 - 東武日光駅・鬼怒川温泉駅間も同様の取り扱いであった[9][10]。
「けごん」・「きぬ」の特急料金は2003年(平成15年)3月19日に値下げされた。2023年3月17日までは「平日料金」・「土休日料金」の2種類が設定されており、中長距離区間の平日料金は土休日料金より割安であった[11]。また、2003年3月19日より2021年(令和3年)9月30日までは乗車日や列車により割安な「午後割」・「夜割」の制度が設けられていた[12]。翌10月1日から2022年(令和4年)2月28日の間は経過措置として、インターネットによる購入またはTOBU POINTアプリを提示して、それまでの「午後割」・「夜割」対象列車の特急券を前売り購入した場合に、割引料金で利用できるキャンペーンも実施していた[13]。なお、JR直通特急は当初より通年平日料金でJR内は繁忙期閑散期なしの通年通常期料金である。
「午後割」・「夜割」は、乗車駅でなく下記の列車で指定されており、従前の急行料金(300型・350型使用の特急)に相当する額であった。
リバティは運行開始当初より、乗車日に関係なく土休日料金相当の料金体系が適用されていた。
座席に応じて、スタンダードシート特急料金・プレミアムシート特急料金が設定されている。「スペーシア」・「リバティ」の特急料金に対し、スタンダードシート特急料金は2割程度、プレミアムシート特急料金は5割程度割高な料金設定となっている。また、「スペーシアX」には各種特別座席が設けられており、特別座席を利用する場合には、スタンダードシート特急料金と特別座席代金を合算した料金となる。
東武日光線旧急行・快速急行列車沿革も合わせて参照されたい。
(五十音順)
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