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必殺シリーズの第17作、必殺仕事人シリーズの第2作、中村主水シリーズの第8作。 ウィキペディアから
『新・必殺仕事人』(しん・ひっさつしごとにん)は1981年5月8日から1982年6月25日まで、テレビ朝日系で、毎週金曜日22:00 - 22:54に放送された、朝日放送と松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)共同製作のテレビ時代劇。全55話。
必殺シリーズの第17作、必殺仕事人シリーズの第2作、中村主水シリーズの第8作である。
映像上のタイトルには新を□で囲ったものが使用されており(中点は無い)、「新必殺仕事人」と表記されることもあるが、本項では「新・必殺仕事人」と表記する。
本作は、『必殺仕事人』の続編であり、本作の続編は『必殺仕事人III』である。続編とはいえ前作『仕事人』とは元締の存在や後述のストーリー展開パターンなど本作と異なる点も多いが、本作以降の『仕事人III』『仕事人IV』は本作のフォーマットを踏襲して続いており、「新」というタイトルが示す通り本作から作風が新たに切り替わっている。安定した人気を得て、全55話の放送は必殺シリーズ歴代2位の長さとなった。
前作『仕事人』放送途中に盛り上がった飾り職の秀の人気をそのまま受け継ぐ形で、三田村邦彦が同役で連続登板した。『必殺仕置人』『新・必殺仕置人』の念仏の鉄(山﨑努)、『必殺必中仕事屋稼業』『江戸プロフェッショナル・必殺商売人』のおせい(草笛光子)に続く、作品をまたいで再登場したレギュラーメンバーの殺し屋となった。また、仕事人の密偵役として、加代の鮎川いずみも引き続き出演し、本作からお馴染みの「何でも屋」を第8話から開業する(前作では仕事人達より格下扱いで仕事人達に敬語で話していたが本作からは対等な立場)。
シリーズ第8作『必殺からくり人』などの必殺シリーズで主役を演じた山田五十鈴が、主水シリーズでは2度目となる出演を果たし、本作から新登場となった仕事人おりく役を演じた。山田は前作『仕事人』でも主水たち仕事人の元締おとわ役で出演しており、その容姿・性格や三味線をひく殺し技はほとんど同じであるが、前作『仕事人』のおとわと本作以降のおりくは全くの別人という設定となっている。
新キャラクターとして、シリーズ第12作『商売人』第3話と前作『仕事人』第61話でゲスト出演し、スペシャル『恐怖の大仕事 水戸・尾張・紀伊』で仕事人の与市に宙吊りにされ殺される悪役を演じ、第16作『必殺仕舞人』ではオープニング ナレーションを担当するなどしていた中条きよしが、第6作『必殺仕置屋稼業』の市松(沖雅也)と第7作『必殺仕業人』のやいとや又右衛門(大出俊)のキャラクターを併せたテイストを持つ、三味線屋の勇次役を演じた。勇次の糸を使い、首を吊るし上げる殺し技はその華麗な演出と相まって仕事人シリーズ名物となった。
本作の特徴として、主水シリーズの過去作『商売人』を思わせる、2つの殺し屋グループ(「主水・秀・加代」組と「おりく・勇次」組)が1つのグループとして統合し、時に対立しながらも共闘し仕事を遂行していく作劇方針が導入された。ただし、早くも第3話でおりくが旅に出ていったん退場してしまったため(山田のスケジュール調整がその理由)、『商売人』のようなグループ内派閥の対立劇を描く当初のコンセプトは中途半端なまま消滅し、主水・秀・勇次・おりく(不定期登場)の4人の仕事人と情報屋ポジションの加代、という仕事人グループになった。前作『仕事人』では主水たち仕事人グループには元締がおり、元締を通して殺しの依頼を受けるというストーリー展開だったが、本作は再び『仕事人』以前(『新・必殺仕置人』を除く)の主水シリーズと同じく元締が存在しないグループ内の合議制に戻っており、本作の続編『仕事人III』『仕事人IV』にも引き継がれた。主水たち仕事人は比較的平等な立場となっており、それぞれ関わった殺しの依頼を仲間内で共有して実行するというストーリー展開。
殺し屋の元締というシステムがないからか、前作『仕事人』までの主水シリーズのようにドラマの冒頭や前半から仕事の依頼が発生するようなことはなく、後半になって「被害者である『頼み人』が悪人に殺され、死に際に居合わせたレギュラーメンバーの一人が『この恨みを晴らしてくれ』という殺しの依頼を直接受ける」という流れの形式が基本フォーマットとして定着するようになり続編の『仕事人III』『仕事人IV』にも引き継がれた(前作までは回によって異なった)。毎回エンディング前のクロージング場面が「中村家における主水とせん・りつによるコメディシーン」に固定されるようになったのも本作からである(これも前作までは回によって異なった)。これらによって作劇がワンパターン化してしまった弊害はあるものの、視聴者が安心して観られるお茶の間の定番娯楽ドラマとしての後期必殺シリーズ(仕事人シリーズ)の作風を決定づけた作品とも言える。また、本作から各話に「主水、○○する」というコミカルなサブタイトルがつけられるようになった。
本作より『必殺仕事人IV』まで続く、主水・秀・勇次の3人の仕事人の顔ぶれは、後期必殺シリーズ(仕事人シリーズ)を代表する名キャラクターシフトでアイコン的な存在として、現在でも根強い人気を保っている。また、音楽も本作で初登場した仕事人出陣シーンのBGM「仕事人出陣」や殺しのシーンなど好評で後の作品でも使われている。
前作、『必殺仕事人』最終回で仕事人グループが解散してから月日が経ち、中村主水も裏稼業から足を洗った影響で、やや肥り気味になるほどの怠けた生活を送っていた。そんなある日、江戸を離れていた加代が、ぼろぼろの姿で主水の前に現れた。主水は加代に金を渡し、お互い会わなかったことにしてその場を立ち去る。
秀も江戸に舞い戻っており、三人の仕事人は再会を果たした。加代は「三人で、裏稼業を再開しよう」と持ち掛けるが、二人ともその気は全く無かった。一度辞めてしまった命がけの仕事を再開するほど気持ちの張りもなく、いつ返り討ちにあうかも知れない恐怖にも嫌気が差していたのだ。その上、秀には大店への婿入りの話があった。加代は仕方なく門付けを始めるため、壊れた三味線の修理を頼みに江戸は柳橋にある小さな三味線屋を訪れた。その店は気風の良い女将おりくと、その息子で容姿端麗な青年・勇次が営んでおり、二人に只者ではない気配を感じた加代は、その正体を探ろうと母子を見張り始める。
まもなく加代は勇次に捕まり、おりくに何をしたのか問い質される。ここ最近、おりくは勇次に何事か隠しており、その原因が加代だと勇次は思ったのだ。しかし加代を案じた秀の助けで、その場の難は逃れる。同じ頃、主水とおりくは偶然にも強請りがらみで顔を合わせ、お互いが仕事人だと知る。
おりくと勇次は、実は闇の仕事人であったが、おりくはある人物からそれをネタに強請られていた。同じ人物に弱みを握られ一味の手先となっていた女は、彼らの言いつけを拒絶したため幸福な生活を奪われ、絶望し飛び降り自殺する。彼女の死に際の恨みの言葉を聞いた主水は裏稼業への復帰を決意。加代と秀を呼び出し、仕置を宣言した。そこへおりくと勇次が現れ、主水たちに協力を申し出る。彼女が死んだのは自分たちにも責任あることだから、と。敵に回して容易に済む相手では無いと悟った主水は一度切りの条件付で手を組み、強請り一味を抹殺した。おりくと勇次との別れ際、「再会できるだろうか?」と呟く加代に対し、2人の殺しの凄腕振りを見届けた主水は「別に会いたくもない」と一蹴する(第1話)。
だが、別の事件をきっかけに、2つの仕事人グループは1つに統合。かくして不信感に満ちた、新しい仕事人グループが誕生した。
全体的に、従来の必殺シリーズに比べプロフェッショナル集団としての色は少なくなり、主水以外のメンバーは頼み人に対する個人感情で動くことが多い。前作での上総屋(かずさや)のような特定のアジトも設定されていない。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|
第1話 | 1981年5月8日 | 主水 腹が出る | 野上龍雄 | 貞永方久 |
第2話 | 1981年5月15日 | 主水 気分滅入る | 松野宏軌 | |
第3話 | 1981年5月22日 | 主水 子守する | 田中徳三 | |
第4話 | 1981年5月29日 | 主水 寝言に奮う | 保利吉紀 | 前田陽一 |
第5話 | 1981年6月5日 | 主水 アルバイトする | 石森史郎 | 井上梅次 |
第6話 | 1981年6月12日 | 主水 喧嘩の仲裁する | 工藤栄一 長瀬未代子 | 工藤栄一 |
第7話 | 1981年6月19日 | 主水 女の気持わかります | 林企太子 | 松野宏軌 |
第8話 | 1981年6月26日 | 主水 端唄で泣く | 南谷ヒロミ | 井上梅次 |
第9話 | 1981年7月3日 | 主水 留守番する | 高山由紀子 | 田中徳三 |
第10話 | 1981年7月10日 | 主水 純情する | 吉田剛 | |
第11話 | 1981年7月17日 | 主水 ふてくされる | 石森史郎 | 松野宏軌 |
第12話 | 1981年7月24日 | 主水 金一封あてにする | 南谷ヒロミ | 水川淳三 |
第13話 | 1981年7月31日 | 主水 体を大切にする | 長瀬未代子 | 松野宏軌 |
第14話 | 1981年8月7日 | 主水 悪い夢を見る | 吉田剛 | 田中徳三 |
第15話 | 1981年8月28日 | 主水 公休出勤する | 高山由紀子 | |
第16話 | 1981年9月4日 | 主水 家で説教する | 吉田剛 | 水川淳三 |
第17話 | 1981年9月11日 | 主水 心中にせんりつする | 高山由紀子 | |
第18話 | 1981年9月18日 | 主水 上役に届け物する | 保利吉紀 望月俔東子 | 貞永方久 |
第19話 | 1981年9月25日 | 主水 夜長にガッカリする | 石森史郎 | 松野宏軌 |
第20話 | 1981年10月2日 | 主水 つらく夜勤する | 田中徳三 | |
第21話 | 1981年10月9日 | 主水 左遷を気にする | 吉田剛 | 工藤栄一 |
第22話 | 1981年10月16日 | 主水 浮気する | 高橋稔 | 松本明 |
第23話 | 1981年10月23日 | 主水 かくれて夜勤する | 南谷ヒロミ | 黒田義之 |
第24話 | 1981年10月30日 | 主水 泣いて減食する | 吉田剛 | 貞永方久 |
第25話 | 1981年11月6日 | 主水 猫を逮捕する | 南谷ヒロミ | 松野宏軌 |
第26話 | 1981年11月27日 | 主水 仮病休みする | 石森史郎 | 松尾昭典 |
第27話 | 1981年12月4日 | 主水 出張する | 南谷ヒロミ | 工藤栄一 |
第28話 | 1981年12月11日 | 主水 弁解する | 篠崎好 | 松野宏軌 |
第29話 | 1981年12月18日 | 主水 ねこばばする | 石森史郎 福岡恵子 | 田中徳三 |
第30話 | 1981年12月25日 | 主水 御用納めする | 南谷ヒロミ | |
第31話 | 1982年1月8日 | 主水 蜂にゴマする | 田上雄 | 松本明 |
第32話 | 1982年1月15日 | 主水 安心する | 松原佳成 | 黒田義之 |
第33話 | 1982年1月22日 | 主水 粗食に我慢する | 藤城洋子 | |
第34話 | 1982年1月29日 | 主水 家でほっとする | 南谷ヒロミ | 松野宏軌 |
第35話 | 1982年2月5日 | 主水 友情に涙する | 吉田剛 | 田中徳三 |
第36話 | 1982年2月12日 | 主水 凧市で交通整理する | 石森史郎 | 山本邦彦 |
第37話 | 1982年2月19日 | 主水 娘と同居する | 吉田剛 | 田中徳三 |
第38話 | 1982年2月26日 | 主水 女の節句に遠慮する | 南谷ヒロミ | 松野宏軌 |
第39話 | 1982年3月5日 | 主水 友達を気にする | 吉田剛 | |
第40話 | 1982年3月12日 | 主水 ケチに感心する | 高橋稔 | 水川淳三 |
第41話 | 1982年3月19日 | 主水 父親捜しする | 篠崎好 | 松野宏軌 |
第42話 | 1982年3月26日 | 主水 バクチする | 南谷ヒロミ | 前田陽一 |
第43話 | 1982年4月2日 | 主水 表の仕事に熱中する | 石森史郎 | 田中徳三 |
第44話 | 1982年4月9日 | 主水 予算オーバーする | 南谷ヒロミ | 水川淳三 |
第45話 | 1982年4月16日 | 主水 心配する | 松原佳成 | 松野宏軌 |
第46話 | 1982年4月23日 | 主水 火の用心する | 篠崎好 | |
第47話 | 1982年4月30日 | 主水 かくし芸する | 高橋稔 | 田中徳三 |
第48話 | 1982年5月7日 | 主水 倹約する | 仁多雪郎 | 黒田義之 |
第49話 | 1982年5月14日 | 主水 三味線にビクビクする | 石森史郎 | |
第50話 | 1982年5月21日 | 主水 金魚の世話する | 南谷ヒロミ | 松野宏軌 |
第51話 | 1982年5月28日 | 主水 ビックリする | 松原佳成 正中恵 | |
第52話 | 1982年6月4日 | 主水 つゆ支度する | 松原佳成 福岡恵子 | 田中徳三 |
第53話 | 1982年6月11日 | 主水 甘味対策する | 南谷ヒロミ | |
第54話 | 1982年6月18日 | 主水 入学祝する | 加田藤穂 | 松野宏軌 |
第55話 | 1982年6月25日 | 主水 仕事仕舞いする | 野上龍雄 筒井ともみ | 水野純一郎 |
※途中で打ち切られた局や、しばらくの間、放送する他系列ネットの局がある。
放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 備考 |
---|---|---|---|
近畿広域圏 | 朝日放送 | テレビ朝日系列 | 制作局 |
関東広域圏 | テレビ朝日 | ||
北海道 | 北海道テレビ | ||
青森県 | 青森放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
|
岩手県 | テレビ岩手 | 日本テレビ系列 | |
宮城県 | 東日本放送 | テレビ朝日系列 | |
秋田県 | 秋田テレビ | フジテレビ系列 テレビ朝日系列 |
|
山形県 | 山形放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
|
福島県 | 福島テレビ | TBS系列 フジテレビ系列 |
1981年9月まで |
福島放送 | テレビ朝日系列 | 1981年10月開局から | |
新潟県 | 新潟総合テレビ | フジテレビ系列 テレビ朝日系列 |
現・NST新潟総合テレビ |
長野県 | テレビ信州 | テレビ朝日系列 日本テレビ系列 |
|
山梨県 | テレビ山梨 | TBS系列 | |
富山県 | 富山テレビ | フジテレビ系列 | |
石川県 | 北陸放送 | TBS系列 | |
福井県 | 福井テレビ | フジテレビ系列 | |
静岡県 | 静岡けんみんテレビ | テレビ朝日系列 | 現・静岡朝日テレビ |
中京広域圏 | 名古屋テレビ | ||
鳥取県・島根県 | 山陰放送 | TBS系列 | |
広島県 | 広島ホームテレビ | テレビ朝日系列 | |
山口県 | 山口放送 | 日本テレビ系列 テレビ朝日系列 |
第42話まで、同時ネット 第43話より、4日遅れの火曜 22:00 - 22:54 |
徳島県 | 四国放送 | 日本テレビ系列 | |
香川県・岡山県 | 瀬戸内海放送 | テレビ朝日系列 | |
愛媛県 | 南海放送 | 日本テレビ系列 | |
高知県 | テレビ高知 | TBS系列 | |
福岡県 | 九州朝日放送 | テレビ朝日系列 | |
長崎県 | 長崎放送 | TBS系列 | |
熊本県 | テレビ熊本 | フジテレビ系列 テレビ朝日系列 |
1982年3月までは、日本テレビ系列のトリプルネット局 |
大分県 | 大分放送 | TBS系列 | |
宮崎県 | 宮崎放送 | ||
鹿児島県 | 南日本放送 | ||
沖縄県 | 琉球放送 |
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