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必殺シリーズの第1作。テレビドラマ。 ウィキペディアから
『必殺仕掛人』(ひっさつしかけにん)は1972年9月2日から1973年4月14日まで毎週土曜日22:00 - 22:56[1]に朝日放送と松竹(京都映画撮影所、現・松竹撮影所)が共同製作、TBSテレビ系(現在とネットワーク編成が異なる)で放送された時代劇。全33話。主演は林与一、緒形拳。
必殺仕掛人 | |
---|---|
ジャンル | 時代劇 |
原作 |
池波正太郎 『仕掛人・藤枝梅安』より |
出演者 |
林与一 緒形拳 山村聡 |
ナレーター | 睦五郎 |
オープニング | 作曲:平尾昌晃「仕掛けて仕損じなし」 |
製作 | |
プロデューサー |
山内久司(朝日放送) 仲川利久(朝日放送) 櫻井洋三(松竹) |
制作 | 朝日放送 |
放送 | |
音声形式 | モノラル放送 |
放送国・地域 | 日本 |
第1 - 5話 | |
エンディング | 作曲:平尾昌晃「必殺!」 |
放送期間 | 1972年9月2日 - 9月30日 |
放送時間 | 土曜日22:00 - 22:56 |
放送枠 | TBS土曜10時枠の連続ドラマ |
放送分 | 56分 |
回数 | 5 |
第6 - 33(最終)回 | |
エンディング | 山下雄三「荒野の果てに」 |
放送期間 | 1972年10月7日 - 1973年4月14日 |
放送時間 | 土曜日22:00 - 22:55 |
放送枠 | TBS土曜10時枠の連続ドラマ |
放送分 | 55分 |
回数 | 28 |
特記事項: 放送回数:全33回 |
必殺シリーズの第1作である。
人足口入稼業の音羽屋半右衛門を元締に浪人の西村左内、鍼医者の藤枝梅安の仕掛人(殺し屋)グループが依頼者から金銭を貰い、悪人を抹殺して晴らせぬ恨みを晴らす。
池波正太郎の連作小説『仕掛人・藤枝梅安』とその基になった短編『殺しの掟』[2]を原作としている。『仕掛人』放送当時は連載が始まったばかりで、放送と並行して原作が書かれるという一種のメディアミックスの様相を呈していた。そのため、本作は『仕掛人』とは異なる部分が多く、原作の主要人物である彦次郎と小杉十五郎は登場せず、『掟』の登場人物の西村左内、音羽屋半右衛門、岬の千蔵に藤枝梅安という布陣になっている。ドラマの人気を受けて、音羽屋半右衛門が『仕掛人』にレギュラー登場するという逆転現象が起きた。
当時のテレビ時代劇『木枯し紋次郎』(フジテレビ)に対抗する為に、それまでにない新しい時代劇を意図して制作、金を貰って悪人を抹殺する者たちを主人公とした。これらの取り組みは視聴者に受け入れられ、以後は『必殺シリーズ』として継続した。
本作の放送前は『木枯し紋次郎』が躍進しており、朝日放送は対抗策として、人気時代劇『鬼平犯科帳』の原作者の池波正太郎作品を原作とする番組企画を立てた[3]。これは池波の短編『殺しの掟』『おんなごろし』を基に闇の殺し屋たちを主役とした時代劇ドラマであった。
当時のテレビ時代劇は勧善懲悪が基本で金を貰って、悪人を殺す殺し屋が主人公という設定は異例であった。原作は、この時点ではパイロット版に近く、作品としての『仕掛人・藤枝梅安』は確固としたものでは無かった。原作は『仕掛人・藤枝梅安』としつつも登場人物は『殺しの掟』がベースとなり、『掟』の登場人物の西村左内、音羽屋半右衛門、岬の千蔵に連載が始まったばかりの『仕掛人』から主人公の藤枝梅安を加えた構成となっている。このため、藤枝梅安を演じた緒形拳ではなく、西村左内を演じた林与一が主演となった。
制作会社は当時の時代劇製作の主導的立場にあり、朝日放送と縁の深かった東映と現代劇やホームドラマを数多く製作、時代劇の経験が皆無に等しい松竹に企画書を送り、コンペが開かれた。実際のプレゼンテーションでは手馴れていた東映に対して、松竹はテレビ部の一名しか来ないという有様であったが、山内は松竹を推して、最終的に松竹に任せることが決まった[4]。山内は型に嵌った時代劇になるのを嫌い、現代劇やホームドラマの要素を取り入れた新しい時代劇を構想しており、松竹に最初から任せるつもりでいた。コンペ前日に山内は松竹のスタッフと会談して、制作意図を予め伝えていた[4]。制作会議では「今までの時代劇と違う、現代的な感覚の作風とそれに合う音楽」「映画風の重みのある作劇」を『木枯らし紋次郎』への対坑策として打ち出すことが決まった[5]。
第1、2話の監督は山内の意向で、後に『仁義なき戦い』のヒットで有名となるが当時は社内で冷遇されていた東映の深作欣二が起用された。深作は妻で女優の中原早苗が山内がプロデューサーを務めたテレビドラマ『お荷物小荷物』に出演した縁で彼と交流があった。本作では後に深作作品の代名詞となった手持ちカメラの多用などの撮影手法が見られる。深作は撮影開始前にカメラ テストを行い、撮影対象全体に光が当たる物と陰影を際立たせた物の二通りのライティングを提示して比較したが石原興カメラマンの「闇が撮りたい」の意見が決め手となり、陰影を強調した撮影手法を採用した。
当時のテレビ時代劇は東映の得意とする所で京都映画はそれに及ばず、全体に光を当てるとセットやメイク技術の甘さという弱点を露呈してしまうことになるため、影を利用して奥行きを出すという苦肉の策を採らざるを得なかったともされる[6]。結果的に、陰影を強調した撮影が功を奏して、後の必殺シリーズに引き継がれ、代名詞となった。
撮影の石原らはセルジオ・コルブッチ監督フランコ・ネロ主演の続・荒野の用心棒を、本作の画面作りの手本としたという[7]。
音楽は『紋次郎』のフォークに対して、歌謡曲の平尾昌晃を起用した[5]。平尾はギター、カスタネット、ブラス等による劇伴を製作、マカロニ・ウェスタン調の主題歌『荒野の果てに』を書いた。
キャスティングは前述の理由から、当時のホームドラマで活躍していた俳優が検討された。当初案では西村左内はホームドラマで活躍していた竹脇無我、藤枝梅安は新国劇で活躍、当時の映画、テレビドラマに多数出演して人気の高い緒形拳[9]、音羽屋半右衛門はホームドラマの父親役で人気が高かった山村聡であった。左内は竹脇が断ったために剣戟俳優の林与一が起用された。これらの草案(竹脇、緒形、山村)はコンペの前から、山内と松竹で既に決められていた。
『紋次郎』の中村敦夫が撮影中の事故で一時離脱したタイミングを見計らい、放送時間は『紋次郎』の30分前の22時開始にするなどの策が練られた[5]。第1話の完成後にキー局のTBSテレビが放送反対を表明するなどの問題に見舞われるが放送開始にこぎつけた。
革新的な作風の『必殺仕掛人』は当初の予想に反して、大きな支持を得て高視聴率を記録した。当時のTBSテレビ系列は『8時だョ!全員集合』『キイハンター』と土曜夜のゴールデンタイムが人気を得ていたが土曜22時の本作で、それを確固たるものとした。先述の様に『紋次郎』の中村のアクシデントも追い風となった結果、視聴率を上回り、2クールの放送予定が2か月延長され、好評のうちに終了した。2月終わりが4月終わりに延長したことに伴い、最終回で本来予定していた雪が降る中のラストシーンが撮れなくなったという[10]。
本作は『必殺シリーズ』の魁となり、放送終了後には映画が3本作られ、2作目の『必殺仕掛人 梅安蟻地獄』は小杉十五郎が登場、林与一が演じている。詳しくは必殺仕掛人 (映画)を参照。
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 監督 |
---|---|---|---|---|
第1話 | 1972年9月2日 | 仕掛けて仕損じなし | 池上金男 | 深作欣二 |
第2話 | 1972年9月9日 | 暗闘仕掛人殺し | 國弘威雄 | |
第3話 | 1972年9月16日 | 仕掛られた仕掛人 | 安倍徹郎 | 三隅研次 |
第4話 | 1972年9月23日 | 殺しの掟 | 池上金男 | |
第5話 | 1972年9月30日 | 女の恨みはらします | 大熊邦也 | |
第6話 | 1972年10月7日 | 消す顔消される顔 | 山田隆之 | 松本明 |
第7話 | 1972年10月14日 | ひとでなし消します | ||
第8話 | 1972年10月21日 | 過去に追われる仕掛人 | 安倍徹郎 | 大熊邦也 |
第9話 | 1972年10月28日 | 地獄極楽紙ひとえ | 山田隆之 | 三隅研次 |
第10話 | 1972年11月4日 | 命売りますもらいます | 國弘威雄 | 松野宏軌 |
第11話 | 1972年11月11日 | 大奥女中殺し | ||
第12話 | 1972年11月18日 | 秋風二人旅 | 安倍徹郎 | 三隅研次 |
第13話 | 1972年11月25日 | 汚れた二人の顔役 | 山田隆之 | 松野宏軌 |
第14話 | 1972年12月2日 | 掟を破った仕掛人 | 石堂淑朗 | 大熊邦也 |
第15話 | 1972年12月9日 | 人殺し人助け | 山田隆之 | 松本明 |
第16話 | 1972年12月16日 | 命かけて訴えます | 早坂暁 | 大熊邦也 |
第17話 | 1972年12月23日 | 花の吉原地獄の手形 | 松田司[26] | 松野宏軌 |
第18話 | 1972年12月30日 | 夢を買います恨みも買います | 國弘威雄 | 長谷和夫 |
第19話 | 1973年1月6日 | 理想に仕掛けろ | 山田隆之 | 松本明 |
第20話 | 1973年1月13日 | ゆすりたかり殺される | 安倍徹郎 山崎かず子 | 松野宏軌 |
第21話 | 1973年1月20日 | 地獄花 | 安倍徹郎 | 三隅研次 |
第22話 | 1973年1月27日 | 大荷物小荷物仕掛の手伝い | 本田英郎 | 長谷和夫 |
第23話 | 1973年2月3日 | おんな殺し | 山田隆之 | 松本明 |
第24話 | 1973年2月10日 | 士農工商大仕掛け | 池田雄一 | 深作欣二 |
第25話 | 1973年2月17日 | 仇討ちます討たせます | 國弘威雄 鈴木安 | 松野宏軌 |
第26話 | 1973年2月24日 | 沙汰なしに沙汰あり | 本田英郎 | 長谷和夫 |
第27話 | 1973年3月3日 | 横をむいた仕掛人 | 石堂淑朗 | 大熊邦也 |
第28話 | 1973年3月10日 | 地獄へ送れ狂った血 | 安倍徹郎 | 松野宏軌 |
第29話 | 1973年3月17日 | 罠に仕掛ける | 津田幸夫 | 長谷和夫 |
第30話 | 1973年3月24日 | 仕掛けに来た死んだ男 | 早坂暁 | 大熊邦也 |
第31話 | 1973年3月31日 | 嘘の仕掛けに仕掛けの誠 | 國弘威雄 鈴木安 | 長谷和夫 |
第32話 | 1973年4月7日 | 正義にからまれた仕掛人 | 山田隆之 | 松本明 |
第33話 | 1973年4月14日 | 仕掛人掟に挑戦! | 國弘威雄 | 三隅研次 |
『必殺仕掛人』では下記5作品が放送自粛により、再放送を見合わせられることが多い。
放送対象地域 | 放送局 | 系列 | 備考 |
---|---|---|---|
近畿広域圏 | 朝日放送(ABC) | TBS系列 | 制作局 |
関東広域圏 | 東京放送(TBS) | [27] | |
北海道 | 北海道放送(HBC) | ||
青森県 | 青森テレビ(ATV) | NET系列 TBS系列 |
[28] |
岩手県 | 岩手放送(IBC) | TBS系列 | |
宮城県 | 東北放送(TBC) | ||
秋田県 | 秋田放送(ABS) | 日本テレビ系列 | |
山形県 | 山形放送(YBC) | ||
福島県 | 福島テレビ(FTV) | TBS系列 フジテレビ系列 |
|
山梨県 | テレビ山梨(UTY) | TBS系列 | |
新潟県 | 新潟放送(BSN) | ||
長野県 | 信越放送(SBC) | ||
静岡県 | 静岡放送(SBS) | ||
富山県 | 富山テレビ(T34) | フジテレビ系列 | |
石川県 | 北陸放送(MRO) | TBS系列 | |
福井県 | 福井テレビ(FTB) | フジテレビ系列 | |
中京広域圏 | 中部日本放送(CBC) | TBS系列 | |
島根県 →島根県・鳥取県 |
山陰放送(BSS) | 第3話までの放送免許エリアは島根県のみ | |
岡山県 | 山陽放送(RSK) | 当時放送免許エリアは岡山県のみ[29] | |
広島県 | 中国放送(RCC) | [30] | |
山口県 | テレビ山口(TYS) | TBS系列 フジテレビ系列 NET系列 |
|
徳島県 | 四国放送(JRT) | 日本テレビ系列 | |
愛媛県 | 南海放送(RNB) | ||
高知県 | テレビ高知(KUTV) | TBS系列 | |
福岡県 | RKB毎日放送(RKB) | ||
長崎県 | 長崎放送(NBC) | ||
熊本県 | 熊本放送(RKK) | ||
大分県 | 大分放送(OBS) | ||
宮崎県 | 宮崎放送(MRT) | ||
鹿児島県 | 南日本放送(MBC) | ||
沖縄県 | 琉球放送(RBC) |
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