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エドモンド・ハミルトンの小説 ウィキペディアから
『キャプテン・フューチャー』 (Captain Future) は、主としてエドモンド・ハミルトンにより書かれたスペースオペラのシリーズ名であり、その主人公であるカーティス・ニュートンの愛称である。また本シリーズが主に掲載されたパルプ・マガジンの名称でもある。
キャプテン・フューチャー | |
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「恐怖の宇宙帝王」掲載号の表紙 | |
ジャンル | スペースオペラ |
小説 | |
著者 | エドモンド・ハミルトン |
出版社 | スリリング・パブリケーションズ |
掲載誌 | キャプテン・フューチャー誌 スタートリング・ストーリーズ誌 |
刊行期間 | 1940年 - 1951年 |
アニメ | |
原作 | エドモンド・ハミルトン |
シリーズディレクター | 勝間田具治 |
脚本 | 辻真先、金子武郎、神波史男 他 |
キャラクターデザイン | 野田卓雄 |
音楽 | 大野雄二 |
アニメーション制作 | 東映動画 |
製作 | 東映動画、NHK |
放送局 | NHK総合 |
放送期間 | 1978年11月7日 - 1979年12月18日 |
話数 | 53 |
テンプレート - ノート | |
ポータル | 文学、アニメ |
長編全20作中、3作はハミルトン以外の作家が担当している(→#作品リスト)。第二次世界大戦による紙不足の影響で『キャプテン・フューチャー』誌が廃刊となった後に発表されたシリーズ末期の長編および、本編完結後に書かれた番外編的な短編は『スタートリング・ストーリーズ』に掲載された。
物語ではキャプテン・フューチャーとフューチャーメンと呼ばれる3人の仲間たち(サイモン、グラッグ、オットー)が、愛機である宇宙船コメット号を駆って繰り広げる悪との戦いと冒険が描かれる。
物語の舞台は、太陽系内がそのほとんどを占めている。これは小説が執筆された1940年代という時代背景が反映されたもので、各惑星には固有のヒューマノイド(火星人など)がおり、太陽系のほとんどの惑星や衛星に地球人の植民地が設けられ、各惑星人が混在して生活しているという設定になっている。ちなみにSFガジェットとしての原子力は登場するが、現実の核分裂反応ではない。年代設定は、「恐怖の宇宙帝王」事件が起きたのが2015年となっていた。“人工知能”という概念さえなかった時代に、善悪を判断し自律行動出来るロボットやアンドロイド(グラッグとオットー)が登場している。
キャプテン・フューチャーとフューチャーメンの専用宇宙船。フューチャーメンが独自に設計、建造した。船体は涙滴型で、船殻は三枚のイナートロン(架空の金属)で出来ており、各々の隙間に特殊な絶縁体を充填した5層構造となっている。
九基の高性能サイクロトロンによる推進器によって太陽系最速を誇る(通常の燃料は粉末状の銅)。通常のエンジン音は「丸鋸を回転させているような特徴的な」音で、他のいかなる宇宙船とも異なるため、すぐに聞き分けることができる。高効率の噴射機構を備え、水中航行も可能。後に振動ドライブを設置したことにより超光速航行が可能となり、銀河間航行をも行い得る高い性能を誇る。また「時のロストワールド」事件においては航時推進機を搭載して、タイムトラベルをも行っている。
固定武装として二門(アニメ版では四門)のプロトン砲を装備。それ以外の特徴的な装備として、船外に荷電粒子をまとって彗星に偽装する「彗星カモフラージュ装置」、太陽に近接航行可能な「後光(ハロー)装置」、重力を検知する「グラヴィトメーター」、小惑星を検知する「ミティオロメーター」などを装備。また船内には非常にコンパクトながら充実した研究設備、各種資料、医療設備などを備え、科学者としてのキャプテン・フューチャーの活動を支えている。
太陽系全域の法と治安を守る組織。トップはハーク・アンダース長官。第一から第四課までの四つの部門がある。
1966年から1967年にかけて「太陽系七つの秘宝」「謎の宇宙船強奪団」「時のロスト・ワールド」の3冊が、ハヤカワ・SF・シリーズ(いわゆる銀背)より刊行。
1970年より、長編作品がハヤカワ文庫SFより各1冊で刊行(訳書の刊行順は、原著の刊行順と異なっている)。カバーイラストおよび挿絵は水野良太郎。
1995年に「透明惑星危機一髪!」「挑戦! 嵐の海底都市」「暗黒星大接近」「太陽系七つの秘宝」「謎の宇宙船強奪団」の5冊がハヤカワ文庫SFより復刊。カバーイラストは水野が新規に描き起こしたもので、絵柄はアメコミ風である。
2004年より、原著の刊行順に沿って、時系列順に長編2編ごとに文庫1冊に収められ、さらにシリーズ短編とCAPTAIN FUTURE誌掲載の掌編を1冊にまとめて最終巻とした『キャプテン・フューチャー全集』全11巻が、創元SF文庫より刊行された。さらに、2008年6月には野田昌宏によるパスティーシュ、『風前の灯! 冥王星ドーム都市』が別巻として刊行された(刊行は野田が逝去した月の下旬)。カバーイラストおよび挿絵は鶴田謙二。
NHKにより、『未来少年コナン』に続く連続アニメ第二弾としてアニメ化され、1978年11月7日から1979年12月18日まで52回にわたり放映された[1]。表記は「キャプテンフューチャー」。制作は東映動画。ちなみに、東映動画→東映アニメーションが制作したテレビアニメにおいて、最初のNHK制作番組で、同時に親会社の東映本体が主要制作事業者に名を連ねていない日本向け作品[注 6]でもある。当時は、NHK制作の番組に映画会社自体が直接関わることが制限されていたためである[注 7][注 8][注 9]。これに伴い、当時の東映動画が制作した民間放送向けテレビアニメにおいて、1969年以降、通常は東映本体のクレジットを単独で出していたが[注 10]、東映本体が製作事業者に名を連ねていないテレビ番組であるので、それ以降の作品で初めて東映動画のクレジットに変更[注 11]される措置を取られている。
原作の1作品分を30分×4回で描く形式で、全52話で13作品、さらにスペシャル版1話を入れると14作品がアニメ化された。
デザインや演出に、当時、一大ブームが起きていた『2001年宇宙の旅』や『スター・ウォーズ』、『宇宙戦艦ヤマト』などの影響が見られた。当時、同じエドモンド・ハミルトンの小説『スターウルフ』を原作とした同タイトルの実写特撮番組も放送されていた。
脚本を担当した辻真先によると、NHKから現代の科学に合うように脚色するよう求められたという[2]。キャラクターデザインの野田卓雄によると、カーティス・ニュートンのデザインは、映画俳優のロバート・レッドフォードをモデルにしているという。
初期のエピソードは、キャラクターが余りにも優等生的で、SF考証も現実の科学考証を重視したために、スペースオペラである原作から乖離した面があった。その反省から、途中からキャラクターの人間味のあふれる描写を強めて、ドラマ性や娯楽性を高める等の路線変更が行われた。
詳細は「#登場人物」を参照。
放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 | 美術監督 | サブタイトルの後に付いた語句 |
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1978年 12月31日 | 華麗なる太陽系レース | 辻真先 | 勝間田具治 | 野田卓雄 | 辻忠直 内川文広 原田謙一 | 「宇宙船が次々に消えるこの奇怪な事件の真相は?」 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 | 美術監督 | サブタイトルの後に付いた語句 |
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第9話 | 1979年 1月9日 | 破壊王(レッカー)の陰謀 | 金子武郎 | 森下孝三 | 篠田章 | 辻忠直 原田謙一 | 「惑星間の航行に重大な危機迫る!」 |
第10話 | 1月16日 | 海底の罠 | 落合正宗 | 坂本信人 | 「宿敵破壊王の挑戦をうけた
キャプテンフューチャー」 | ||
第11話 | 1月23日 | 戦慄の海悪魔(シーデビル) | 勝間田具治 | 森利夫 | 「身の毛もよだつ恐怖の未来科学」 | ||
第12話 | 1月30日 | 破壊王(レッカー)の謎 | 森下孝三 | 秦秀信 | 「ついに捕われの身となったフューチャーは、 そして破壊王の正体は?」 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 | サブタイトルの後に付いた語句 |
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第13話 | 1979年 2月6日 | 惑星に空気がなくなるとき | 神波史男 | (広田茂穂) 勝間田具治 | 森利夫 | 内川文広 | 「死の星を救うためコメット号は
宇宙に出発するが…」 |
第14話 | 2月13日 | 悲劇の暗黒星 | 高山秀樹 | 坂本信人 | 「氷の惑星に眠る人々、
救いの“4人組”は来るのか?」 | ||
第15話 | 2月20日 | 見張りの掟 | 佐々木正広 | 青鉢芳信 | 秦秀信 | 「神秘のベールに包まれた
物質生成の場をめぐる争い」 | |
第16話 | 2月27日 | 甦える惑星 | 松浦錠平 | 鈴木康彦 | 坂本信人 | 「始まったコル星軍の攻撃、
炎の海から立ち上がるフューチャー!」 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 | サブタイトルの後に付いた語句 |
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第21話 | 1979年 4月3日 | 銀河に眠る神秘の石 | 金子武郎 | 横井昭 | 森利夫 | 秦秀信 | 「ウル・クォルン再登場・
謎を秘めた神秘の石を次々と奪取」 |
第22話 | 4月10日 | 銀河サーカスの死闘! | 篠田章 | 坂本信人 | |||
第23話 | 4月17日 | キャプテンフューチャー死す! | (横井昭) 高山秀樹 | 青鉢芳信 | 内川文広 | 「暗黒の宇宙に漂う死体、
果たしてフューチャーか?」 | |
第24話 | 4月24日 | 未知のミクロ宇宙 | 松浦錠平 | 森利夫 | 秦秀信 | 「驚くべき小宇宙のなぞ」 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第25話 | 1979年 5月1日 | 渦巻く墓標 | 辻真先 | (中津川勲) 勝間田具治 | 森利夫 | 辻忠直 |
第26話 | 5月8日 | 吼える大氷流 | (中津川勲) 山内重保 | 坂本信人 | ||
第27話 | 5月15日 | 怪獣狩人(ビブルハンター)は語る | 佐々木正広 | 原田謙一 | ||
第28話 | 5月22日 | 幻の星幻の文明 | (石黒昇) 高山秀樹 | 三浦清継 | 秦秀信 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第29話 | 1979年 5月29日 | 囚人船ハイジャックさる! | 小野竜之助 | (森下孝三) 長谷川康雄 | 森利夫 | 坂本信人 |
第30話 | 6月5日 | 銀河からの大脱走 | (富田義治) 山内重保 | 篠田章 | 辻忠直 | |
第31話 | 6月12日 | ゼロからの出発 | (石黒昇) 高山秀樹 | 森利夫 | 坂本信人 | |
第32話 | 6月19日 | 星くずのスペースマン | 松浦錠平 | 野田卓雄 | 辻忠直 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第33話 | 1979年 6月26日 | キャプテンフューチャー募集! | 金子武郎 | 森下孝三 | 落合正宗 | 秦秀信 |
第34話 | 7月3日 | 恐怖のスペース・ロケーション | 小出啓介 | 鈴木康彦 | 坂本信人 | |
第35話 | 7月17日 | 幻影の惑星 | 高山秀樹 | 森利夫 | 秦秀信 | |
第36話 | 7月31日 | 放たれた最終兵器(スーパーウェポン) | (森下孝三) 長谷川康雄 | 菊池城二 | 坂本信人 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第37話 | 1979年 8月7日 | 消えた宇宙船 | 星山博之 | 笠井由勝 | 菊池城二 | 辻忠直 |
第38話 | 8月14日 | 彗星の支配者 | 松浦錠平 | 秦秀信 | ||
第39話 | 8月28日 | アルルスの正体 | (石黒昇) 山内重保 | 鈴木康彦 | 坂本信人 | |
第40話 | 9月4日 | 悪夢の世界・四次元 | (森下孝三) 長谷川康雄 | 篠田章 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第41話 | 1979年 9月11日 | 不死密売シンジケート | 金子武郎 | (富田義治) 高山秀樹 | 森利夫 | 辻忠直 |
第42話 | 9月25日 | 不死帝王の挑戦 | 小出啓介 | 飯野皓 | 秦秀信 | |
第43話 | 10月9日 | 生と死の幻影 | 笠井由勝 | 森利夫 | 坂本信人 | |
第44話 | 10月23日 | 永遠の都の決斗 | 松浦錠平 | 飯野皓 | 辻忠直 伊藤岩光 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第45話 | 1979年 10月30日 | よみがえれ伝説の英雄 | 辻真先 | (森下孝三) 山内重保 | 田辺由憲 | 坂本信人 |
第46話 | 11月6日 | グラッグ奪回作戦 | 高山秀樹 | 飯野皓 | 内川文広 | |
第47話 | 11月13日 | ひとりぼっちの地獄刑 | 山内重保 | 菊池城二 | 松本健治 | |
第48話 | 11月20日 | 英雄カフールの謎 | 笠井由勝 | 飯野皓 | 坂本信人 |
話数 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | (絵コンテ) 演出 | 作画監督 | 美術監督 |
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第49話 | 1979年 11月27日 | 宇宙遺跡の謎 | 安藤豊弘 | (石黒昇) 山内重保 | 飯野皓 | 坂本信人 |
第50話 | 12月4日 | 半獣人の謎 | 佐々木正広 | 山口俊和 | ||
第51話 | 12月11日 | 死都の対決 | 松浦錠平 | 松本健治 | ||
第52話 | 12月18日 | 光と闇の彼方へ | 笠井由勝 | 森利夫 | 坂本信人 |
放映時に、以下の漫画家によりアニメ版のコミカライズがなされた。
放映時に、原作とは別にアニメ版の単行本が出版された。文章は高学年向きであった。
アニメ放送に伴い、ポピーから、ポピニカ・フューチャーコメット、ポピニカ・コスモライナー、超合金・グラッグ、プラデラ・フューチャーコメット、プラスチック製のプロトン銃などの玩具が発売された。なお、海外限定の展開として、胴・腕・脚にUFOロボ グレンダイザーの型を流用した超合金・キャプテン・フューチャーと、ポピニカ・サイモン・ライト(ミサイル発射、脳発光)が発売された。
2018年には、H.L.Proブランドより、アニメ版のコメット号のモデルが発売された[6]。
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、台湾、香港、韓国、中東などの欧米、アジア地区やチリなどの南米において放送された。なお、タイトルは国により異なり、アメリカ版は「The Adventures of Captain Future」、英語・ドイツ語版は「Captain Future」、フランス語版は「Capitaine Flam」[注 14]、イタリア語版とスペイン語版は「Capitan Futuro」、台湾版は「太空突撃隊」、韓国語版は「우주경비대 캡틴·휴쳐」または「우주전함 코메트호」、アラビア語版は「فارس الفضاء」である。
「キャプテン・フューチャー」
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