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西日本旅客鉄道が運行する特別急行列車 ウィキペディアから
WEST EXPRESS 銀河(ウエストエクスプレス ぎんが)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が運行している臨時特別急行列車である[2]。
WEST EXPRESS 銀河 | |
---|---|
概要 | |
国 | 日本 |
種類 | 特別急行列車 |
現況 | 運行中 |
地域 | 京都府・大阪府・兵庫県・岡山県・鳥取県・島根県・広島県・山口県・和歌山県 |
運行開始 | 2020年(令和2年)9月11日[注 1][1] |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 京都駅 |
終点 |
出雲市駅(山陰方面) 下関駅(山陽方面) 新宮駅(紀南方面) |
営業距離 |
440 km (270 mi)(京都 - 出雲市間) 604 km (375 mi)(京都 - 下関間) 315.5 km (196.0 mi)(京都 - 新宮間) |
列車番号 |
8411M・8420M(京都 - 出雲市間) 8075M・8076M(京都 - 下関間) 8077M・8078M(京都 - 新宮間) |
使用路線 | 東海道本線(JR京都線・JR神戸線)・山陽本線(JR神戸線)・伯備線・山陰本線・大阪環状線・阪和線・紀勢本線 |
車内サービス | |
クラス | グリーン車・普通車 |
座席 |
グリーン車指定席「ファーストシート」:1号車 グリーン個室「プレミアルーム」:6号車 普通車指定席「クシェット」:2・5号車 普通車指定席「ファミリーキャビン」:3号車 普通車指定席:2・3号車 |
娯楽 |
フリースペース 「明星」:3号車 「遊星」:4号車 「彗星」:6号車 |
その他 | 2号車は女性席 |
技術 | |
車両 |
117系電車 (吹田総合車両所京都支所) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 直流1,500 V |
備考 | |
臨時列車扱い |
JR西日本は「JR西日本グループ中期経営計画 2022」において、鉄道事業の事業戦略として、地域との対話と連携を通じ、観光を中心として西日本各エリアの活性化に貢献することを掲げており、本列車の運行はその取り組みの一環である[3]。
列車コンセプトは、鉄道での旅に慣れた乗客から普段あまり鉄道を使わない乗客、さらに訪日観光客まで幅広い客層に向けた「気軽に鉄道の旅を楽しめる列車」とし、同一区間を走行する「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」と棲み分けている[2]。
またキーワードとして「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」が挙げられている。
それぞれの具体策として「多様性」は多様な旅のスタイルへの対応のために普通座席の他にグリーン個室、ノビノビ座席、コンパートメントシート、女性席など複数の種類の座席の設置、西日本エリア内の様々な方面への旅行需要を喚起するために複数の区間を運行。
「カジュアル」は寝台料金を設定せず、またグリーン車だけではなく、普通車を設定するといった気軽に鉄道の旅を楽しめる価格設定。寝台料金を徴収しないため、グリーン座席などの寝台展開時はベッドではなくノビノビ座席と同様のフルフラットシートという扱いにされている。
「くつろぎ」は快適性が高く、落ち着いた車内空間の提供、車窓から沿線の風景を楽しめる座席配置、乗客が自由に使うことのできるフリースペースの設置がある。そしてこれらを通して、鉄道の旅の楽しさを伝えていき、リピーターの乗客を増やしたいとしている[2]。
列車名の「銀河」は、広い宇宙に存在する様々な星の集まりを指し、この列車が運転する西日本エリアを宇宙に、各地の魅力的な地域を星になぞらえ、それらの地域を結ぶ列車という意味が込められている[2]。「銀河」の名は2008年(平成20年)まで運行されていた寝台急行列車で用いられており、12年ぶりの復活となる[4]。
乗車には運賃の他、JR西日本インターネット予約「e5489」、「JR-WEST ONLINE TRAIN RESERVATION」、全国のみどりの窓口、旅行会社窓口で販売される特急券、グリーン券が必要となる[3]。ただし、新型コロナウイルスによる感染症の流行を鑑みて、2020年(令和2年)9月11日の運行開始から2023年(令和5年)8月10日まで日本旅行が企画・実施する旅行商品のみの発売となっていたが[5]、2023年(令和5年)2月13日以降の一部列車について初めて、「みどりの窓口」や「e5489」などでも発売され[6][7]、同年9月1日以降の運行日は貸切運行日を除いて「e5489」、全国の「みどりの窓口」、「みどりの券売機プラス」で発売される[8][9]。
またグリーン個室を連結した「WEST EXPRESS 銀河」の運行に際して、新たにグリーン個室料金が設定されており、料金は1人あたり100kmまでが4,360円、200kmまでが5,860円、300kmまでが7,240円、400kmまでが8,450円となっている[3]。
大阪 - 出雲市間はかつての夜行快速ムーンライト八重垣と同一ルートである。大阪 - 下関間は過去につばめ・はとが運行されていた[注 2]。また京都 - 新宮間は定期運行の特急くろしおと同一ルートを運行する。そのうち下りは夜行列車として運行予定だが、過去には夜行普通列車「はやたま」や165系を用いた夜行普通列車(通称:新宮夜行)が運行されていた[注 3]。
2019年11月の運行概要発表時点で、運行時期により以下の2形態で運行されることが明らかにされた[3]。運行頻度はいずれも週2往復程度。
また、2021年5月に以下の運行形態が追加されている[10]。運行頻度は同じく週2往復程度。
紀南方面への運行は地元要望を踏まえて追加されたものである(詳細後述)。
当初は山陰方面が2020年(令和2年)5月8日から同年9月19日まで[11]、山陽方面が同年10月から2021年(令和3年)3月まで(「瀬戸内・広島デスティネーションキャンペーン」の一環)[3][23][24]の運行予定とされていたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う利用の状況を踏まえ[25]、運行開始日が2020年9月11日に延期され、山陰方面が同日から11月29日まで、山陽方面が2020年12月12日から2021年3月11日までの運行に変更された[26][16]。
京都 - 出雲市間を東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線経由で結ぶ。下り(月曜日・金曜日発)は京都発出雲市行き、上り(水曜日・日曜日発)は出雲市発京都行きとして運行される。停車駅は方面ごとに異なる。発売される切符には乗降区間の指定があり、下りは姫路 - 生山間、上りは備中高梁 - 神戸間を挟まない切符(特急券・グリーン券)は発売されない[7][11][注 4]。
京都駅 - 新大阪駅 - 大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - (西明石駅) - (姫路駅) - 〔備中高梁駅〕 - (生山駅) - 〔根雨駅〕 - 米子駅 - 安来駅 - 松江駅 - 玉造温泉駅 - 宍道駅 - 出雲市駅
京都 - 下関間を東海道本線・山陽本線経由で結ぶ。下り列車は月曜日・金曜日、上り列車は水曜日・土曜日に運行される[16][16]。山陰方面と異なり運行区間は上下とも同じだが、こちらも停車駅は方面ごとに異なる[26]。発売される切符には乗降区間の指定があり、下りは姫路 - 広島間、上りは下関[注 5] - 神戸間を挟まない切符(特急券・グリーン券)は発売されない[19]。
京都駅 - 新大阪駅 - 大阪駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 〔西明石駅〕 - 〔姫路駅〕 - 広島駅 - 〔宮島口駅〕 - 岩国駅 - 柳井駅 - 徳山駅 - 防府駅 - 新山口駅 - 宇部駅 - 新下関駅 - 下関駅
京都 - 新宮間を東海道本線・大阪環状線・阪和線・紀勢本線経由で結ぶ。下り(月曜日・金曜日発)は夜行特急として、上り列車は水曜日・日曜日に昼行特急として運行される。運行区間は上下とも同じだが、停車駅は方面ごとに異なる[10]。発売される切符には乗降区間の指定があり、下りは大阪 - 串本間、上りは白浜 - 和歌山間を挟まない切符(特急券・グリーン券)は発売されない[8]。
2022年度運行分からは、上り列車の新宮駅発車時刻を12時00分から9時50分へ繰り上げることにより、新大阪駅・京都駅到着時刻が1時間30分早まり、博多駅、東京駅、金沢駅への当日中の到着が可能となった。また編成についても向きを逆転させることにより、海側座席を倍増させている[20]。2023年度運行分から上り列車の新宮駅発車時刻を9時50分から13時2分へ再度繰り下げ、大阪駅へ停車するようになった[21]。
紀南方面への運行は当初の計画に含まれていなかったが、2020年10月7日、和歌山県と新宮市・すさみ町・古座川町・串本町・那智勝浦町・太地町・北山村が合同でJR西日本和歌山支社に対し、和歌山県南部への運行を求める要望書を手渡したことが報じられた。和歌山支社は今後、和歌山県南部への運行実現に向け取り組んでゆくとしており[28]、これを踏まえて計画され、2021年5月に計画が発表されたものである[10]。同年7月16日から運行を開始した[10]。
京都駅 - 新大阪駅 - 大阪駅 - 天王寺駅 - 日根野駅 - 和歌山駅 - (海南駅) - (紀伊田辺駅) - (白浜駅) - (周参見駅) - 串本駅 - (古座駅) - (太地駅) - 紀伊勝浦駅 - 新宮駅
使用車両はかつて関西圏の新快速などに使用された117系[29]6両編成を種車として改造したもので、デザインは「えちごトキめきリゾート雪月花」「肥薩おれんじ鉄道」なども手がけた川西康之が担当している[2][23]。
車体は瑠璃紺色で塗装され、西日本が誇る美しい海や空を表現している[2]。
灯火類はLEDに更新されたほか、正面上部中央にも1つ前照灯が加えられた。窓は寝転がりながら車窓を楽しめるよう大きなものに変更されている。またノイズ対策のために、コンプレッサーが交換されたほか、床の点検口が塞がれ、一部の窓は固定窓となっている[24]。
座席タイプである2+2列シートとノビノビ座席を除く車内の座席は、昼行特急列車運用時は座席状態に、夜行特急列車運用時はベッド状態になる[23]。
2+2列シートも、普通車指定席でありながら左右交互の千鳥配置でシートピッチは1200 mmと、他の特急列車のグリーン車並みの座席間隔が確保されている[24]。また車内にはWi-FiやUSBポート、大型荷物置場も完備されている[23]。
全6両が全て異なる座席構成となっている[24]。各号車それぞれの車内の詳細は以下の通り。
グリーン車指定席。1+1列の座席が設置されている。座席には「ファーストシート」の愛称が付く[2]。
昼行時は1+1列のボックスシートとなり、1区画で2名ずつ利用できるが、夜行時は就寝時にノビノビ座席と同様の簡易寝台を展開する都合上1区画1名利用となり、レースカーテンが取り付けられる[注 6][23][24]。
昼行時の定員は16名、夜行時の定員は8名[24]。
1号車デッキにはグリーン車の乗客専用のラウンジがあり、旅をイメージした書籍も設置されている。
普通車指定席。かつては女性専用車両[注 7]で、3区画に仕切られた上下2段式のノビノビ座席と、2+2列シートが設置されている。ノビノビ座席には簡易寝台の意味の「クシェット」の愛称が付けられている[2][23][24]。なお、2024年3月18日より一部の女性席の設定を終了した[注 8][9]。
女性更衣室、女性専用トイレを設置[23]。
定員は昼行時、夜行時ともに26名[24]。
普通車指定席。家族で利用できるコンパートメントシート2区画と、2+2列シートが設置されている。コンパートメントシートには「ファミリーキャビン」の愛称が付けられている[2][23]。「ファミリーキャビン」は昼行時は4名利用であるが、夜行時は折り畳まれたシートが広げられ2名利用となる[24]。
車端部には、フリースペース「明星」が設けられている[2][23]。
昼行時の定員は28名、夜行時の定員は24名[24]。
フリースペース車両。フリースペースには「遊星」の愛称が付けられている[2]。
自由に過ごせるようにテーブルや着席スペースが複数配置され、イベントなどで利用できる小さな屋台風カウンターも設置されている。一部区間で簡単なお弁当などの商品販売にも使われている[23]。夜行時でも終夜照明がつけられる[24]。テーブルには将棋、チェス、オセロ、囲碁のボードがある。
普通車指定席「ノビノビ座席」。5区画に仕切られたノビノビ座席が設置されている。ノビノビ座席には「クシェット」の愛称が付く[2]。
うち4区画は上下2段式で、このうち出入口ドアに近い1区画は車いす対応の1段ベッドとなっている。また車内には車いす対応座席、多機能トイレが配置されている[23][24]。
定員は昼行時、夜行時ともに18名[24]。
グリーン車指定席。鍵のかかる個室が5室配置されている[注 9]。個室には「プレミアルーム」の愛称が付けられている[2]。
個室の形を従来にない台形とすることで、一定のベッド面積に加えてレール方向に約4メートルの長さが確保されている[23]。
1人用個室以外の個室は、1室につき昼行時は3名利用だが、夜行時はベッドが広げられ2名利用となる[24]。
また車端部には、グリーン車利用客専用のラウンジ状のフリースペース「彗星」が設けられている[2][23][24]。
昼行時の定員は13名、夜行時の定員は9名[24]。
西日本各地へのデスティネーションキャンペーンの一環などで、通常の運行区間とは異なる区間での運転が行われている。いずれも旅行商品のみの発売で、駅窓口での切符の販売は行われなかった。
「四国デスティネーションキャンペーン」のクライマックスとして2021年12月25日から12月26日にかけて大阪駅 - 琴平駅間で1往復運転。これが初の四国エリア及び他社線での運行となった[33]。25日に琴平行きが、26日に大阪行きが運行された。いずれも昼行特急列車としての運転であった[33]。
「兵庫デスティネーションプレキャンペーン特別企画」としてとして2022年7月1日から7月2日にかけて大阪駅 - 城崎温泉駅間で1往復運転された。7月1日に城崎温泉行きが、2日に大阪行きが運行された。いずれも昼行特急列車としての運転である[35]
「岡山デスティネーションプレキャンペーン特別企画」としてとして2022年7月8日・9日、8月19日・20日、9月23日・24日の3回、岡山方面に運転予定[36]。月ごとに以下の3コースで運行される。
関西国際空港の開港30周年を記念し、空港への特別旅行プランとして2024年9月28日・29日に関西空港線へ乗り入れる団体列車の運行が予定されている[37]。客扱いを行った国鉄型車両が関西空港線へ乗り入れるのは今回が初となる。関西空港駅到着後は関西国際空港の制限区域内を見学するツアーが実施され、展望ホールスカイビューの夜間開放が行われる。
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