株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(英: Sony Music Entertainment (Japan) Inc.、略称:SME、SMEJ)は、東京都千代田区に本社を置く、ソニーグループの音楽系事業統括会社(中間持株会社)。
ソニーグループ直接子会社であり、米国のソニー・ミュージック エンタテインメント (SME) からは独立して運営されている。
1968年(昭和43年)3月11日、「CBS・ソニーレコード株式会社」として設立され[2]、1991年(平成3年)4月1日から現社名となっている。さらに2001年(平成13年)には、分離・子会社化したレコード製作部門、営業部門、製造部門の統括会社(持株会社)になった。現在の法人は2003年(平成15年)に非音楽部門を分離するために行った会社分割の際に、旧ソニー・ミュージックエンタテインメントの音楽事業を承継し設立された。
音楽系事業以外は、2003年(平成15年)の会社分割で同時に設立された株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメントが統括会社となっていた。しかし、ソニーのリテール事業の売却に伴い、2006年(平成18年)5月17日に株式会社エスシーユーに商号変更したうえで、会社分割により新・株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメントとリテール事業の統括会社の2社を子会社として設立。株式会社エスシーユーはソニーに吸収合併され、さらに株式会社ソニー・カルチャーエンタテインメントも2006年(平成18年)12月1日に株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントに吸収合併された。この様にソニーによるグループの解体・再編が行われていた(リテール部門の売却については、スタイリングライフグループも参照)。
アメリカのソニー・ミュージックエンタテインメント(CBSレコード(初代法人)が母体)は、2004年(平成16年)にBMGエンターテインメントと合併し、「ソニーBMG・ミュージックエンタテインメント」が発足した。
2008年(平成20年)10月には、ソニーが「ソニーBMG・ミュージックエンタテインメント」のベルテルスマン持分を取得し、「ソニーBMG・ミュージックエンタテインメント」を完全子会社化した。同時にソニーの完全子会社であるソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ)は、「ソニーBMG・ミュージックエンタテインメント」からBMG JAPANの全株式の譲渡を受け、BMG JAPANを子会社化した[3]。その後2009年10月1日、BMG JAPANの国内制作部門および洋楽部門以外の部門を吸収合併した(BMG JAPANの国内制作部門は新設の株式会社アリオラジャパンへ、洋楽部門はソニー・ミュージックジャパンインターナショナルへ、それぞれ承継した)。
音楽配信事業を巡っては他のレコード会社と比べて一曲あたりの値段が若干高く設定されている他、デジタル著作権管理(DRM)が厳しく、従来まではソニー製ウォークマンやパソコン用プレイヤーでしか再生が不可能なATRAC方式が主体であったり[注釈 1]、音源が配信されているウェブサイトが、子会社のレーベルゲートが運営しているmoraとその提携先に限られていた。
しかし、アリオラジャパンを始めとした旧BMG JAPAN系の会社やレーベルは、SME傘下になっても引き続きiTunes Storeなどで楽曲提供を行っていた。2012年に入ると、2月22日にiTunes Storeで主要洋楽アーティストの楽曲提供を開始。さらに、10月1日のmoraのサイトリニューアルで、DRMフリーのMP3とAACによる楽曲配信が開始されたことで、SMEもこのフォーマットで楽曲提供を行うようになり、11月7日より、主要邦楽アーティストの楽曲提供も開始している。
また、レコード人気が再燃している状況を受け2017年6月29日に日本国内でのアナログレコードの自社生産を再開すると発表した。1989年に生産を終了してからは海外企業を含め外注しており、自社での生産は29年ぶりとなる。当初はSME系所属アーティストが中心となるが、今後外部レーベルからの受注生産も受け付ける[4]。
その一方で2000年以降CD不況でレーベルビジネスが厳しいと言われているなかにおいて、グループ会社のアニプレックス(アニメーション企画・製作)が手掛けるソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』が記録的なヒットを達成し、リリースした2015年以降大幅に売上高を伸ばしている。2018年3月期のグループ全体の売上高のうち、半分をアニプレックスが占めるほど、グループ間でのビジュアルビジネスへの比重が高まっている。
※ …旧・ソニー・カルチャーエンタテインメント傘下の企業
ミュージック&アーティストビジネスグループ
- ソニー・ミュージックレーベルズ - 音楽事業会社。2014年4月にレーベル8社の合併により発足。
- ソニー・ミュージックマーケティングユナイテッド - 音楽配信事業、ソニー・ミュージックグループの公式サイトやSNS公式アカウントの運営など、デジタルマーケティング事業を行う。2019年3月まではソニー・ミュージックグループ傘下の各レーベルの営業会社としても機能していた(2019年4月にソニー・ミュージックソリューションズに業務移管)。
- ソニー・ミュージックアーティスツ - アーティストマネージメントオフィス(芸能事務所)。
- 次世代 - SMEJの部署であった次世代ロック研究開発室を分割し2021年4月に設立。次世代アーティストによるIP創出・事業化を担う。
- ソニー・ミュージックパブリッシング - 音楽著作権の取得・管理・運用業務
- アルファミュージック - 音楽出版業務、元レコード会社。2001年より著作権管理および原版使用権をソニー・ミュージックパブリッシング(以下SMPJ)に委託し、音楽ソフトは荒井由実やいしだあゆみ、松山千春[注釈 15]などごく一部を除き、基本的にソニー・ミュージックダイレクトを経てソニー・ミュージックレーベルズから発売。2019年4月付でソニー・ミュージックパブリッシングの子会社となったが2022年4月付を以ってSMPJに吸収され、法人格が完全消滅することとなった。
- ミュージックレイン - 芸能事務所、レーベルとしての業務も兼営。規格品番はSM。
- room NB - ゲーム実況などネットコンテンツ関連事業、ネットクリエイターのエージェント業務、音楽朗読劇や舞台に関する事業など。2021年4月設立。
- SIREN SONG(Xが1989年にCBS・ソニーからデビューした際に設立されたX専用のレーベル。1992年まで)
- Oo RECORDS(1997年に親会社に吸収)
- TRUE KiSS DiSC(小室哲哉が主宰したレーベル。2001年に活動休止)
- Antinos Records(1994年 - 2004年 2002年7月までグループ会社だったが、エピックレコードに吸収合併され、2004年に運営終了)
- ソニー・ミュージックワークス
- パームビーチ(小坂洋二が代表取締役社長を務めたレーベル。2008年3月31日付でレーベル運営を解消し、事業解散)
- ボイス&ハート(2008年4月にアニプレックス傘下から独立)
- HIT STREET
- ザ・ミュージックカウンシル(2003年設立)
- BMG JAPAN(邦楽部門をアリオラジャパンに、洋楽部門(RCA/JIVEグループ)をソニー・ミュージックジャパンインターナショナルに承継の上、2009年10月1日に親会社に吸収合併され解散)
- ソニー・マガジンズ(2012年4月にミュージック・オン・ティーヴィと合併、エムオン・エンタテインメントの出版メディア事業部門となる)
- クリップゲート(2015年4月1日にレーベルゲートに吸収合併され解散)
- 閃光レーベル(ラジオ番組SCHOOL OF LOCK!のCD発売専用レーベル。2014年夏に閃光ライオットの終了に伴い運営終了)
- スティーズラボミュージック
- オーガスタレコード(オフィスオーガスタのプライベートレーベルとしてアリオラジャパン(旧BMGファンハウス時代に発足)から販売。規格品番はAU(Augusta)。2017年1月にオフィスオーガスタがユニバーサルミュージックと資本提携したのに伴い、同年4月にレーベルごとユニバーサルに移管)
- ソニー・ミュージックアーティスツに合併統合された芸能事務所(ヴィレッジ・ミュージック・ウエストサイドを除く5社は2009年4月1日に再合併して統合)
- ultraCeep(ウルトラシープ)2014年4月に設立。
- ソニーDADCジャパン(レコードプレス子会社として設立後、当社との再統合と再分離を経てソニー完全子会社になった後、2015年4月1日付でSMEの完全子会社を経て2019年4月1日付でソニー・ミュージックコミュニケーションズに吸収合併され法人解散)
- ジャレード(1975年設立。長きに渡って商品配送関係を担当していたが2019年4月1日付を以ってソニー・ミュージックコミュニケーションズに吸収合併され法人解散)
- ソラシア・エンタテインメント(CS放送を中心としたメディア事業(アジアドラマチックTV)、映像コンテンツ事業等。2019年4月1日付でソニー・ミュージックソリューションズに吸収合併され法人解散[24])
- レーベルゲート(2021年4月1日を以って、ソニー・ミュージックソリューションズに吸収合併)
- ソニー・ミュージックアクシス(統括会社における経理・システム・人事・総務・法務の受託業務。2021年4月にSMEJ本体に吸収合併)
- ファニメーション(2022年3月1日、ソニーグループはCrunchyrollとの間でブランド統合を行い[25]、社名をファニメーション・グローバル・グループから、クランチロール, LLCに変更すると発表した[26][27]。一部残るファニメーションのサービスも、やがて完全にCrunchyrollへ統合され[28][29]、2024年4月2日をもってアプリとWebサイトも閉鎖された[30][31])
- ソニー・ミュージックダイレクト - 旧ソニー・ミュージックハウス。旧作音源の再発、通信販売。レーベルとしてSMDR GT musicもある。2022年4月1日にソニー・ミュージックレーベルズに吸収合併)
- デフスターレコーズ(DefSTAR Records) - J-POP等の個性派レーベル。2000年に発足。2015年にエスエムイーレコーズに吸収される形で運営終了。規格品番の販社コードはDF(DefSTAR)。
- Quatro A(2024年10月1日付でアニプレックスへ吸収合併され解散)
- フォワードワークス(2024年10月1日付でアニプレックスへ吸収合併され解散)
ここでは、各種クレジットのレーベル表記が「Sony Music Entertainment (Japan) Inc.」及び「SMEJ」等とされているアーティストのみ記載する。規格品番はXS。
- 現在は2019年4月より使用している3代目で、CGアニメーションなどは2代目と同様だが、レーベル名が「Sony Music Labels Inc.」の表記となっている。
- 初代(1991年4月 - 1990年代後期)
- 灰色の背景に、各傘下レーベル名と下に小文字で「Sony Music Entertainmant Japan Inc.」と表記されていた。
- 2代目(1990年代末期 - 2019年3月)
- ブラックバックに、各傘下レーベル名がロゴを光ディスクに回しているCGアニメーションが使用されている。2010年代より文字サイズを変更している。
- ※ただし、EPICレコードジャパン・キューンレコード( → キューンミュージック)・アリオラジャパン・デフスターレコーズ・サクラミュージック等に限ってはレーベルオリジナルのオープニングロゴを使用していたが、3代目と同様に終わってからオリジナルロゴを流すようにしている。
注釈
この当時はアルファベットが登記上使用できなかったため、実際の表記はシービーエス・ソニーレコード株式会社として登記された。詳しくは「商号#商号登記」を参照されたい。
この当時もアルファベットが登記上使用できなかったため、実際の表記は株式会社シービーエス・ソニーとして登記された。詳しくは「商号#商号登記」を参照されたい。
16ビット直線量子化を実現した初のPCMプロセッサー。ちなみに、サンプリング周波数は44.056kHzだった。このプロセッサーは後に改良版が、PCM-1600として翌年に発売された。
この当時もアルファベットが登記上使用できなかったため、実際の表記は株式会社エピック・ソニーとして登記された。詳しくは「商号#商号登記」を参照されたい。
1インチテープ使用。16ビット直線量子化、サンプリング周波数は50.35kHzで、後に改良して44.1kHzにも対応できる様にした。
16ビット直線量子化、サンプリング周波数は44.056kHzと44.1kHzと、記録用に使用するVTRによって自動認識するものである。
当時、新たに開発したDASHフォーマットを使った初のPCMマルチレコーダーである。1/2インチテープ使用、16ビット直線量子化。サンプリング周波数は44.1kHzと48kHzの2つに対応している。値段は3300万円。
この当時もアルファベットが登記上使用できなかったため、実際の表記は株式会社シービーエス・ソニーグループとして登記された。詳しくは「商号#商号登記」を参照されたい。
技術的スペックはPCM-1610と同一だが、前記発売時後のデジタル技術の発達により、A/D、D/Aの各コンバーター部分等が改良されている。
DASHフォーマットを使った48チャンネルマルチとしては初のPCMマルチレコーダーである。1/2インチテープ使用、16ビット直線量子化。サンプリング周波数は44.1kHzと48kHzの2つに対応、PCM-3324との互換性を有する特長がある。値段は3800万円。
各種ダウンロード・ストリーミング配信におけるレーベル表記は「YOASOBI」である。
出典
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント 令和5年度決算公告、2024年(令和6年)7月10日付「官報」(号外第165号)125頁。