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船の種類の一。自動車等の乗り物ごと人を運ぶもの(カーフェリー)。より短距離で、自動車を運ばないものは「渡し舟」([[wikidata:Q2878108]]) ウィキペディアから
フェリー(英語: ferry)とは、川や浅い海を渡って、定期的に人や貨物や乗り物を運ぶ船舶[1][2]。公共交通に区分され、多くの停留所があるフェリーは水上バスとも呼ばれる。
フェリーのうち人だけを運ぶもの。
フェリーのうち自動車も運ぶものを「カーフェリー」や「ROPAX」と呼ぶ。
なお、アメリカ英語やカナダ英語ではen:car ferryと言うと、トレイン・フェリー(鉄道車両を運ぶフェリー)を意味する(北米ではこの単語の組み合わせでは習慣的にcarが鉄道車両を表す)。一方、イギリス英語ではen:Roll-on/roll-off(ROPAX)を意味し、英語圏内でもまぎらわしいため、最初からROPAXと呼ぶことで混同を避ける用法も行われている。
なお日本の雑学シリーズ本やテレビでは、
などと解説している。
旅客船と貨物船の2つの機能が求められるため、建造と運航がコスト高となる。
フェリーのうち、鉄道車両を乗せて運ぶもの。日本語では「鉄道連絡船」などの訳語を使っている。
1871年、Suhuletという船名(Suhuletは「便利」という意味)のフェリー船がトルコ、イスタンブールで建造された(この船が世界初のフェリーともされる)。鉄製の蒸気船でŞirket-iHayriye社(Bosporus Steam Navigation Company)のゼネラルマネージャーであるGiritliHüseyinHakiBeyによって設計され、イギリスの造船業者によって建造された。 157トン、長さ155フィート(45.7m)、幅27フィート(8.5m)、喫水9フィート(3m)、450馬力単気筒2サイクル蒸気エンジンで外輪を回して最大6ノットで航行できる船で、船舶としてユニークな点としては、馬車のための対称的な出入り口とハッチウェイのデュアルシステムが備わっていた点が挙げられる。1872年就航。ユスキュダル(イスタンブールに隣接する一地区)と カバタシュ(イスタンブール内の地区)を結ぶ航路で運航された(同航路では現在でも近代的なフェリーが運航している)。
渡し舟と初期のフェリーの違いは判然としないため、いつの時点から日本での最初のフェリーと呼んで良いかは断言できないが、1つの例として示せば、1934年に今の北九州市の若松区と戸畑区の間の400m程を結ぶ航路に43総トンの2隻のカーフェリー「第8若戸丸」と「第9若戸丸」が就航した事例が挙げられる[5]。これらのフェリーは船の前後に舵とスクリューを備えた両頭船であり、最大でもトラック2台とオート三輪を4台を積載できるのみであった。
1944年には現在の桜島フェリーの前身となる鹿児島港と桜島港との間を結ぶ156総トンの木造船、「第一桜島丸」が就航した。
第二次世界大戦後の1950年、下関と門司の間3.8kmを結んだ「第三関門丸」「第四関門丸」「第五関門丸」の3隻が就役した。また、瀬戸内海では1953年に宇野(岡山県)と高松(香川県)間を結ぶ「第一航走丸」150総トンが、1954年に明石海峡横断航路として明石 - 岩屋(兵庫県)間を結ぶ「あさぎり丸」220総トンが、同年に鳴門海峡航路として福良(兵庫県) - 鳴門(徳島県)間を結ぶ「若潮丸」220総トンがそれぞれ就航した。
1960年代後半には、自動車貨物輸送の拡大とモータリゼーションの本格化に伴い、関西と四国、九州の瀬戸内海沿岸各地を結ぶ航路をはじめ、日本全国に長距離フェリー航路が多数開設された[5]。1968年には阪九フェリーのフェリー阪九が神戸 - 小倉航路に就航した。これは、日本国内で初めての片道300kmを越える長距離フェリーであった[6]。フェリー航路は1973年には168航路、1980年には241航路にまで増加した。
1973年からの第一次オイルショックと1979年からの第二次オイルショックの影響で、国内観光の需要が激減して輸送量が減少するともに、燃料油の価格が高騰。さらに瀬戸内海航路では1975年の山陽新幹線の博多延伸開業による旅客の減少もそれに追い打ちをかけた。運航会社の経営を圧迫し統合や廃業が相次ぐとともに、多くの航路が閉鎖された[5]。また、1988年から1999年にかけての本州四国連絡橋の完成によって、それまで四国と本州を結んでいた多くの航路が、減便や役割を終えて閉鎖された。一方、一部の航路ではフェリーの高速化が企図され、2007年に青函航路に就航し当時の日本最速となった「ナッチャンRera」[7](のち休航)のほか、従来と比較して速力を増したフェリーが多くの航路に就航している。
また原油価格の高騰が進んだこと、および高速道路におけるETC割引制度の充実(特に、2009年4月から2011年6月まで、日本国政府の景気対策の一環として実施された休日特別割引、いわゆる「高速1,000円」)により、自動車輸送の利用が低迷し廃航する航路が増加している。また関西 - 九州航路は、速達性に勝る山陽新幹線や旅客機との運賃差が縮小し、格安高速バスの登場もあってさらなる苦境にさらされている。これに対し、自動車輸送料金の値下げを行って対抗する会社もあるほか、物流以外の個人利用客の誘致のため、キャンペーンの実施、インターネット予約における割引の拡充、繁忙期適用期間の縮小などの施策をとっている会社も多い。
一方、フェリーによる輸送は、輸送単位当たりの二酸化炭素排出量が少ないことから、モーダルシフトを担う輸送手段として注目されている[8][9]。また、2011年に「高速1,000円」が終了したことや、2012年4月の高速ツアーバスの居眠り事故を契機とする長時間・長距離運転の社会問題化によって、運転手の労働負担軽減の観点から、フェリー輸送が再評価されている。このような動きを受けて、2015年以降、九州航路等で長距離フェリーへの新造船の投入が相次いでいる[6]。
また近年までに陸運におけるトラックやトレーラー等、車両輸送で対応可能な重量の増大を受けて、フェリーも重車両に耐える積載デッキや乗降ランプの強化が進んでいる。こうしたフェリーは戦車など重兵器と部隊人員を一挙に搬送しながら、中には並みの軍艦以上の25~30ノットの速力を発揮可能なものもあり、港湾間の急速展開を可能とする軍事輸送手段としても注目されている。実際に日本でも経済性の観点から定期航路をいったん退いたナッチャンWorldを防衛省が借り上げて運用している事例や、同じくインキャット社建造の高速フェリーを基にした輸送艦(HSV-X1、HSV-X2)をアメリカ軍も運用している。
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カーフェリーの最も特徴的な他船との構造上の違いは、船体内部に1層から3層程度の広い車輌甲板を持ち、大きなランプウェイ(斜路)を備えることである。運搬される車輌は、船の前後部や左舷に1-3つ程度備えられたランプウェイを自走して車輌甲板内に入り、搭載される。
中・大型のカーフェリーで船首ランプウェイを持つもの(RO-RO船)は、波浪が直接ランプウェイに当たって破損されるのを防ぐために、バウバイザー(Bow visor)と呼ばれる装置が船首部に備わっている船が多い。船首ランプウェイを持つ場合でも小型で航路が短いものではバウバイザーを備えず、荒天時には運休することで対応する船もある。
多くのカーフェリーでは、船首と船尾、または船首近くと船尾近くの左舷側にランプウェイを持つことで、車輌甲板内での自動車の前後方向を転換するという時間と手間の掛かる方法を避けて、車輌用の入口と出口を両方備えることで車輌甲板内では一方通行で済むようにしている。さらに、小型で航路長が極めて短いルートの船では、ランプウェイを船首と船尾の両方備えるだけでなく、スクリュー・プロペラと舵を船の前後に備え、さらに操船用のブリッジも2箇所に持つことで、接岸時の船の転回の必要をなくしているものがあり、このような船は「両頭カーフェリー」と呼ばれる[10]。
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カーフェリーは、陸上の輸送手段に比べて経済性が比較的良いが、貨物輸送の経済性では貨物船での輸送が優れる。以下に経済性の比較を示す。
日本では1970年代に運輸省が全国自治体に働きかけて旅客フェリー設備の整備が進められたが、港湾設備が整うと運航側が旅客営業を廃止し貨物船などに転換する「ただ乗り」現象が多発している。大阪港や神戸港と四国・九州の各港を結ぶ旅客フェリー航路は複数存在する一方、東京港から北海道方面に向かう旅客フェリー航路は大洗港などに拠点を移した。
国土交通省では、片道100km - 300km未満のフェリー航路は中距離フェリー、300km以上のものは長距離フェリーとされている[7]。
船舶安全法において、旅客船に限らず日本船籍の船舶が航行できる区域は、それぞれ以下のとおり定められている。
以上の航行区域を持つ船舶は、それぞれの船舶の航行区域、航行時間、総トン数などに応じて船体構造、通信設備、救命設備、旅客定員などが規定されている。 また、このほかにもその近海区域、沿海区域などの航行区域を持つ船舶のうち、その航行区域を港などの陸岸に近い区域にのみ限定しているものも多数存在する。航行区域を限定することによって必要な構造・設備が軽減されるメリットがある。これらの航行区域は公式ではないが通称「限定近海区域」、「限定沿海区域」、「湖川港内限定区域」などと呼称される。
日本の内航客船の多くは、その航行区域が「沿海区域」か「平水区域」であるが、「遠洋区域」や「近海区域」の航行区域を持つ船舶を内航客船に使用しても構わない。逆に「沿海区域」の航行区域を持つ船舶を外航客船に使用しても(その航行区域を外れない限り)構わない。
なお、日本の海上運送法では自動車(やオートバイなど)に乗ったままフェリーに乗船し、自動車類も一緒に運ぶことを自動車航送と分類・定義している。
日本では内航の旅客航路は一般旅客定期航路、特定旅客定期航路、旅客不定期航路の3つに分類される。
2007年4月時点では、純客船も合わせた日本国内の内航客船事業者は964業者あり、1,659航路に2,385隻、計136万総トンが運航している。内航フェリーだけでは158事業者、187航路に366隻、計118万総トンが運航している。この数字からカーフェリーが船の中ではかなり大きいこと、航路数は内航客船の航路数全体に比べてそれほど多くないことが判る。2005年の国土交通省の国内輸送実績のデータでは、フェリーを含めた客船・貨客船での輸送は、旅客: 1億320万人、輸送人キロ: 40億2,500万人、トラック: 537万台、乗用車: 1,119万台となっている[7]。
運航会社 | 船名 | 航路 | 運航距離 | 所要時間 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
新日本海フェリー | はまなす あかしあ |
舞鶴港←→小樽港 | 1,061km | 20時間15分 (1泊2日 小樽行き) |
|
らべんだあ あざれあ |
新潟港←→小樽港 | 692km | 17時間 (1泊2日 小樽行き) 16時間 | ||
すずらん すいせん |
敦賀港←→苫小牧東港 | 948km | 19時間30分 (1泊2日 苫小牧東行き) | ||
ゆうかり らいらっく |
敦賀港←→新潟港←→秋田港←→苫小牧東港 | 1,074km | 31時間20分 (1泊2日 苫小牧東行き) | ||
太平洋フェリー | きそ いしかり きたかみ |
名古屋港←→仙台港←→苫小牧西港 | 1,330km | 40時間30分 (2泊3日 苫小牧西行き) |
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商船三井さんふらわあ | さんふらわあ さっぽろ さんふらわあ しれとこ さんふらわあ ふらの さんふらわあ だいせつ |
大洗港←→苫小牧西港 | 754km | 19時間30分 (1泊2日 苫小牧西行き) |
|
さんふらわあ くれない さんふらわあ むらさき |
大阪港(南港コスモフェリーターミナル)←→別府港 | 425km | 11時間50分 (1泊2日 別府行き) |
||
さんふらわあ ごーるど さんふらわあ ぱーる |
神戸港(六甲アイランドフェリーターミナル)←→大分港 | 411km | 11時間20分 (1泊2日 大分行き) | ||
さんふらわあ さつま さんふらわあ きりしま |
大阪港(南港コスモフェリーターミナル)←→志布志港 | 580km | 15時間 (1泊2日 志布志行き) | ||
オーシャン東九フェリー | フェリーびざん フェリーしまんと フェリーどうご フェリーりつりん |
東京港(東京港フェリー埠頭)←→徳島港←→新門司港 | 1,163km | 34時間10分 (2泊3日 新門司行き) |
|
東京九州フェリー | はまゆう それいゆ |
横須賀港(横須賀新港埠頭)←→新門司港 | 976km | 21時間15分 (1泊2日 新門司行き) 20時間50分 |
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名門大洋フェリー | フェリーおおさかII フェリーきたきゅうしゅうII フェリーきょうと フェリーふくおか |
大阪港(南港フェリーターミナル)←→新門司港 | 458km | 12時間30分 (1泊2日 新門司行き) |
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阪九フェリー | いずみ ひびき |
泉大津港←→新門司港 | 458km | 12時間30分 (1泊2日 新門司行き) |
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やまと つくし |
神戸港(六甲アイランドフェリーターミナル)←→新門司港 | 454km | 12時間30分 (1泊2日 新門司行き) | ||
宮崎カーフェリー | フェリーたかちほ フェリーろっこう |
神戸港(三宮フェリーターミナル)←→宮崎港 | 495km | 12時間20分 (1泊2日 宮崎行き) |
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十島村 | フェリーとしま2 | 鹿児島本港南埠頭←→口之島←→中之島←→平島←→諏訪之瀬島←→悪石島←→小宝島←→宝島←→奄美大島名瀬新港 | 427km | 15時間20分 (1泊2日 名瀬行き) |
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マルエーフェリー | フェリーあけぼの フェリー波之上 |
鹿児島新港←→奄美大島名瀬新港←→徳之島亀徳港←→沖永良部島和泊港←→与論島与論港←→本部港←→那覇港(那覇埠頭) | 735km | 25時間 (1泊2日 那覇行き) |
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マリックスライン | クイーンコーラルクロス クイーンコーラルプラス |
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奄美海運 | フェリーあまみ フェリーきかい |
鹿児島本港北埠頭←→喜界島湾港←→奄美大島名瀬新港←→奄美大島古仁屋港←→徳之島平土野港←→沖永良部島知名港 | 659km | 18時間50分 (1泊2日 知名行き) |
日本では外航貨物定期航路事業、外航旅客定期航路事業、外航不定期航路事業に分類される。
運航会社 | 船名 | 船籍 | 航路 | 所要時間 | 出典 |
---|---|---|---|---|---|
韓国・パンスターフェリー (サンスターライン) |
パンスター・ドリーム[31] | 韓国 | 大阪港←→釜山港( 韓国) | 19時間 (1泊2日 釜山行き) |
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日本・上海フェリー | 蘇州号 | 中国 | 大阪港←→上海港( 中国) | 約48時間 (2泊3日 上海行き) |
|
中国・中日国際輪渡有限公司 | 新鑑真 | 中国 | 大阪港・神戸港←→上海港( 中国) | 約48時間 (2泊3日 上海行き) |
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日本・関釜フェリー | はまゆう | 日本 | 下関港←→釜山港( 韓国) | 12時間15分 (1泊2日 釜山行き) |
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韓国・釜関フェリー | 星希 | 韓国 | |||
日本・蘇州下関フェリー | UTOPIA | パナマ | 下関港←→太倉港( 中国) | 32時間 (貨物のみ) |
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日本・カメリアライン | ニューかめりあ | 日本 | 博多港←→釜山港( 韓国) | 5時間30分 (釜山行き) 11時間30分 (1泊2日 博多行き) |
運航会社 | 船名 | 船籍 | 航路 |
---|---|---|---|
日本・ハートランドフェリー | アインス宗谷 | 日本 | 稚内港←→コルサコフ港( ロシアが実効支配中) |
ロシア・サハリン船舶会社 | サハリン7 | ロシア | 小樽港←→ホルムスク港( ロシアが実効支配中) |
ロシア・極東船舶会社 (FESCO) | ルーシ号 | マーシャル諸島 | 伏木港←→ウラジオストク港( ロシア) |
日本・東日本フェリー(会社清算-廃止) | パンスター・ハニー | パナマ | 金沢港←→釜山港( 韓国) |
日本・チャイナエクスプレスライン | 燕京 | 中国 | 神戸港←→天津港( 中国) |
日本・オリエントフェリー | ゆうとぴあ | パナマ | 下関港←→青島港( 中国) |
日本・有村産業(会社清算、廃止) | クルーズフェリー飛龍21 クルーズフェリー飛龍 |
日本 | 那覇港・平良港(宮古島)・石垣港←→基隆港・高雄港( 台湾) |
韓国・光陽フェリー | 光陽Beech | 韓国 | 下関港←→光陽港( 韓国) |
短距離航路では1から2クラスの船室区分があることが多い。長距離になるほど多様な料金体系による船室区分となる傾向がある。また、従来の数字による等級命名法を採用しない例もある(商船三井さんふらわあ夕方便の場合2等「ツーリスト」「コンフォート」「スーペリア」「プレミアム」「スイート」の5段階)。
日本国内の「フェリー標準運送約款」による。これは一般的説明なので、必ずしも各社の規定がこれに合致するとは限らない。
日本のフェリーの運賃は、鉄道などと多少異なり、大人1人につき小児1人まで無料となる、と定められている。また、指定されている座席または寝台を1人で使用する場合を除き無料となるのは、1歳未満の小児(鉄道でいう「乳児」)に限られる。原油価格高騰の時は、運賃が燃油サーチャージ込みの値段で提示される。
また、自動車を載せる際の運賃には大人1人分の2等船室運賃があらかじめ含まれているので、2等船室に乗船する際には、改めて運転手の運賃を支払う必要はない。ただし、1等船室に乗船する場合は、その差額が必要となる。4ナンバー貨物車の車両運賃は、航路によって乗用車運賃が適用される場合と、乗用車運賃よりも割増となる貨物車運賃が適用される場合がある。
手回り品は、20kgまでは無料となり、超過分は有料となる。持ち込むことができるのは30kgまでであるが、30kgまで無料というわけではなく、30kg持ち込んだ場合は10kg分は有料となる。ただし、車椅子、身体障害者補助犬は上記の重量制限に含めない。
二輪車(自動二輪・軽二輪・原動機付き自転車)および人力で移動する軽車両(自転車・乳母車・荷車等)は「特殊手荷物」扱いとなり、四輪車(乗用車・貨物車)の車両運賃とは別建ての料金となる場合が多い。長距離航路では一般に特殊手荷物の運賃は車両運賃よりも大幅に安価である(750cc超の二輪車でも乗用車の数分の一)。
二輪・四輪ともに「無人航送」と呼ばれるサービスを用意している航路もある。この場合は人間分の運賃が不要となる。発着港での積み下ろしサービス(有料)を利用すれば、必ずしも船の発着を待ち受けなくてもよい。長距離フェリーの場合無人航送を利用すれば、車両のみフェリーで送り人間は他の移動手段(航空機・鉄道等)を用いることで大幅な時間の節約が可能となる。
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