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既成の市街地を再整備すること ウィキペディアから
都市再開発(としさいかいはつ、英語: Urban redevelopment)は、既存の市街地を再整備すること[1]。単に「再開発」とも呼ばれる[1]。防災対策としての古い密集市街地の再整備や、工場など企業用地移転などに伴う跡地の開発なども含まれる[1]。鉄道駅周辺の都市再開発は「駅前再開発」と呼ばれる[2][3]。
英語にはアーバン・リニューアル (Urban renewal) という概念があり、日本語では都市更新(としこうしん)と訳される[4]。
日本における都市再開発は、都市再開発法に定める「市街地再開発事業」を指すことが多い。また土地区画整理事業による都市再開発もしばしば行われる。
その他の都市再開発には、特定街区制度や総合設計制度を用いる場合、都市計画及び関連法による法定計画(例えば再開発促進区)が定められる場合、任意に事業が行われる場合(例えば工場跡地の再開発)などがある。
駅前再開発は、鉄道駅周辺の密集した市街地にある狭隘道路を拡張し、駅前広場を建設してロータリーやバスターミナルなどの交通広場を確保するために行うことも多く、日本全国各地に見られる事例である。駅前近くにある大規模な敷地(工場跡地など)の再開発や、震災などの災害復興のために行われるもの(震災復興再開発事業)など様々な事例がある。
都市計画法12条1項各号に掲げる都市の開発事業に「市街地開発事業」がある。地方公共団体などが一定の地域に総合的な計画に基づいて公共施設や宅地といった建築物の整備を一定的に行い、面的な市街地の開発を図ることを目的としている。
市街地開発事業の一つで、新都市基盤整備法に基づき大都市圏における健全な新都市の基盤を整備し、大都市における人口集中と宅地需給の緩和を図ることを目的とする。事業は新都市基盤法第5条により、すべて都市計画事業として施行し、大都市周辺部にあって新都市として開発されるべき自然的、社会的条件を備えながら、現状では都市化が困難な地域において、法第6条によって地方公共団体または都市再生機構(旧都市基盤整備公団又は旧地域振興整備公団)が事業主体となって事業を行うと定められている。 施行者は、施行区域内各筆の土地から一定割合の土地を取得した後、換地方式による土地整理で道路、鉄道、公園、下水道等の根幹的公共施設及び開発誘導地区に充てるべき土地を整備することにより、新都市の基盤をつくる、とされている。なお、開発誘導地区とは、都市として開発するための中核となる地区として、一団地の住宅施設、教育施設、医療施設、官公庁施設、購買施設などを誘導するための土地の区域をいう。施行区域のうち、根幹的公共施設及び開発誘導地区を除くその他の民有地についてはあくまで土地区画整理事業に準じて公共減歩、換地による地区の整備を行うこととされている。 なお、新都市基盤整備事業は、これまで実施例はない。
新都市基盤整備事業を定める場合の基準は、新都市基盤法第4条により、つぎのとおりである。
以上の施行区域の要件及び都市計画の基準に従って、新都市基盤整備事業の都市計画には、都市計画法第12条第2項、都市計画法都市計画令第7条、新都市基盤法第4条第1項にもとづき、市街地開発事業の種類、名称、施行区域、施行区域の面積、根幹公共施設の用に供すべき土地の区域、開発誘導地区の配置・規模、開発誘導地区内の土地の利用計画、を定める必要がある。
首都圏の近郊整備地帯、近畿圏については近郊整備区域といった都市開発地域での工業団地造成を都市計画事業として地方公共団体、都市再生機構(経過措置)が行う市街地開発事業・団地造成事業のひとつ。
計画的な市街地整備で工業都市として発展させるほか、既成市街地への工業産業及び人口の集中抑制と周辺地域への適正分配・配置によって製造工場等の敷地の造成と、道路、排水施設、鉄道、倉庫等の施設を併せて整備することで、首都圏及び近畿圏の秩序ある発展寄与を目的としている。事業化には都市計画法に基づく手続きのほか、施行計画を定めて国土交通大臣、市町村自治体施行のときは都道府県知事に届出る。また造成敷地等を処分しようとするときにも処分管理計画を定めて大臣に届け出なければならないほか、この工場用地の譲渡を受けた者は10年間の処分制限を受ける。
開発インターチェンジ制度では、高速自動車網との開発事業では工業団地造成事業を事業者が遂行できる。
主な例として新帯広工業団地造成 (帯広市産業開発公社運営)、会津喜多方中核工業団地造成事業(旧地域振興整備公団、福島県喜多方市)、神戸三田国際公園都市、大生郷工業団地(水海道都市計画事業工業団地造成事業、茨城県常総市)、北摂三田ニュータウン、入間市狭山台工業団地造成事業、竜ヶ崎ニュータウン、など。
その他、高崎市高崎工業団地造成、発寒工業団地造成、香我美町大谷工業団地造成、善和工業用団地造成、伊予市下三谷工業団地造成、可児工業団地造成、吉野ヶ里遺跡#工場団地造成計画、長田野工業団地(府北部産業振興工業団地造成)諫早市諫早中核工業団地造成、国母工業団地工業団地造成、鹿島臨海工業地帯・鹿島臨海工業団地造成事業、などがある。
この市街地開発事業と、都市計画法で定める都市施設のうち、団地など住宅施設の一団地単位での住宅施設開発、官公庁施設の一団地単位の官公庁施設開発、流通業務団地開発などを合わせ「面開発事業」とも呼ばれている。
流通業務団地造成事業とは、都市開発手法のひとつで、流通業務団地について、流通業務市街地の整備に関する法律第2条第2項に定められている事業。都市計画法と流通業務市街地の整備に関する法律の定めによって建設される流通業務施設の全部又は一部の敷地の造成、造成敷地の処分、敷地とあわせて整備されるべき公共施設や公益的施設の敷地の造成又はそれらの施設の整備に関する事業のうち、都市計画事業として施行されるものをいう。 流通業務団地は、流通業務地区と呼ばれる土地区域があり、流通業務市街地の整備に関する法律第6条の2で、流通業務地区外の幹線道路、鉄道等の交通施設の利用が容易であること、良好な流通業務の団地として一体的に整備される自然的条件を備えていること、その区域の大部分が建築物の敷地として利用されていないことなどの要件を満たすことが定められている。流通業務団地造成事業の施行者は、地方公共団体、都市再生機構又は地域振興整備公団と定められている。
流通業務団地の例として流通センター (札幌市)の地域地区(流通業務地区)約230ヘクタールのうち約154ヘクタール、松本流通業務団地(長野県笹賀 (松本市))、千歳市工業団地内流通業務団地、花巻流通業務団地(花巻市、独立行政法人都市再生機構運営)、大分流通業務団地(大分県大分市)、神戸流通業務団地(神戸流通センター)、卸町駅 (宮城県)北側流通業務団地、北大阪流通業務団地、鹿児島西インターチェンジ流通業務団地、加須市加須流通業務団地などがある。
都市再開発は以下の都市整備事業手法で行われることが多い
国土交通省(旧建設省所管)で、市街地のまちづくり活性事業として、「市街地整備の推進」施策に位置づける市街地再開発事業等(都市局都市再開発課担当)は、以下の通りである。
国土交通省(旧建設省所管)で、市街地のまちづくり活性事業として、住宅局市街地建築課所管「再開発の促進」施策に位置づける都市再開発は、以下の通りである。
都市の再開発及び都市拠点の形成を図る事業を推進するため、対象となる事業に関連して道路、都市公園、下水道、河川等といった必要となる公共施設の先行的かつ集中的な整備に対する国庫補助事業。対象となる事業は、市街地再開発事業(法定再開発)のほか、土地区画整理事業、地区再開発事業、優良建築物等整備事業、都心共同住宅供給事業で優良建築物等整備事業の要件に該当するもの、である。
市街地改造法は公共施設の整備に関連する市街地の改造に関する法律(昭和36年法律第109号)といい、1969年に都市再開発法が創設されるまでは、公共施設の整備を行う場合、市街地改造法による市街地改造事業によって、国庫補助を受けて当該事業に必要な土地取得を行い、道路や広場といった公共都市施設と施設建築物とを一体的に整備する都市再開発を行っており、大阪市の大阪駅駅前地区や、東京都内では港区の新橋駅駅前地区、1966年の神戸市三宮市街地改造事業ではこの事業制度を利用して再開発事業がなされた。
日本では市街地再開発事業を行うため「都市再開発法」があり、第1種及び第2種市街地再開発事業について規定している。同法に基づく事業(都市計画事業)を一般に法定再開発と呼び、一定の要件を満たした場合、国の補助金などの助成が行われる。
都市の開発の手法としては、大正時代から耕地整理法(1909年)による農地の耕地整理やこれを準用した都市の区画整理が行われてきた。戦後に土地区画整理法(1954年)ができて土地区画整理事業による再開発が進められてきた。しかし、狭小な敷地に権利者(土地所有・借地・借家など)が多数存在している地価の高い都市市街地においては、土地の増価や減歩を行う土地区画整理事業を進めるのは困難であり、また土地を整理するだけの制度のために建築物の整備が伴わない問題があった。
そこで、都市施設整備とあわせて、建築敷地を集約して中高層共同ビルを建設し、その床に関係権利者が権利を移して入居できるように法的支援する制度として、「防災建築街区造成法」(1961年)と「市街地改造法」(1961年)を制定した。後にこれらをひとつにまとめて「都市再開発法」(1969年)を制定し、都市計画事業として市街地再開発事業を行うようにした。都市部の再開発事業は、この市街地再開発事業(法定再開発ともいう)が多い。土地区画整理事業と組み合わせる合併施行の事例もある。
市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画法(昭和43年法律第100号)及びこの法律(第7章を除く)で定めるところに従つて行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいい、第3章の規定により行われる第1種市街地再開発事業と第4章の規定により行われる第2種市街地再開発事業とに区分する。
都市計画法に基づく「市街化区域の整備、開発又は保全の方針」の一部として定められていたが、2000年の法改正により、独立した都市計画になった(都市計画法第7条の2、都市再開発法第2条の3)。この方針は、都道府県が既成市街地の中で再開発の必要があると認めた区域について再開発促進地区などを示すものである。「方針」なので、具体的な権利制限は伴わない。
一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域として、地区計画により建築物の用途、容積率等の制限などを定める。なお、かつて「再開発地区計画」という制度があったが、2002年の都市計画法改正により「再開発等促進区」に再編された。
市街地再開発は、市街地の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画法及び都市再開発法で定めるところに従って行われる建築物及び建築敷地の整備並びに公共施設の整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいう。鉄道駅の周辺で駅前広場を造るとともに商業ビル等を建設する駅前再開発や、都市部で狭い道路に面して低層の建物が密集している地域などで共同化ビルを建設する事業が典型的なものである。
中高層の施設建築物(いわゆる再開発ビル)を建設し、再開発の区域内の土地・建物等の権利者は、再開発事業前のそれらの権利の額に対応する再開発ビルの床(権利床)及びそれに対応する土地持分を事業者から取得する。これを権利変換という。権利変換を希望しない者は事業者から権利額に相当する金銭(補償金)等を受け取る。通常は権利床に加えて余分の床(保留床)を建設し、これを売却することによって事業費を調達する方法が取られている。
再開発区域内の土地建物を、再開発事業者がいったん買い取り、事業後に入居希望者に再配分する手法。保留床を売却し事業費をまかなう手法は第1種と同じである。区域内の土地建物の権利者のうち希望する者には、買い取る代わりに施設建築物の床を提供する。なお、第2種は防災上などで緊急性が高く公共団体が実施する事業について認められるもので、個人および組合の施行では不可となる。
第2種の用地買収方式は、1975年の法改正で導入されたもので、事業区域が広いと権利者も多くなり権利変換までに非常に時間がかかることから、事業者に土地収用の権限を与えることにしたもの。大阪の阿倍野が適用第1号である。
都市再開発方針によって計画的な再開発が必要とされた市街地等で、敷地等の共同化による公共施設又は公共駐車場の計画的整備に資することとなる建築物及びその敷地の一体的整備、を行う再開発事業を地区再開発事業という。制度としては、当該事業について補助が得られる。
阪神・淡路大震災による被災市街地の早期復興と被災者の生活再建を図りかつ災害に強いまちづくりを実現するため、被災市街地復興特別措置法(平成7年法律第14号)5条1項に規定する被災市街地復興推進地域等において、市区町村が策定する復興に関する計画に従い実施される市街地再開発事業。 具体には補助対象の拡充措置がなされている。その内容は、5分の2非常災害時補助率の適合や地区施設の一部を補助対象に追加するといったものなどである。
大都市の既成市街地等において、都市機能の更新と市街地の整備改善、業務核都市の整備や都市拠点の形成等を目的として行う事業。
特定再開発事業は1981年に事業制度が創設されるが、その後に被災市街地の復興や密集市街地の整備改善、都心の低未利用地の高度利用等を目的とした事業を加え、名称も都市機能更新事業となった。 手法には土地区画整理事業と市街地再開発事業が活用され、大都市の既成市街地等において、土地区画整理事業により、公共施設の整備と都市機能の更新を一体的かつ総合的な市街地の再開発を促進すべき相当規模の地区の計画的な整備改善を図っている。
事業施行は土地区画整理法第3条の2第1項の規定により、面積規模は原則16ヘクタール以上、一団の国有地や公有地等を活用する場合には5ヘクタール以上かつ関係する地方公共団体からの要請に基づいて、事業実施される。 主な事業に交通結節点整備である仙台市あすと長町地区、UR都市再生機構の主導のもとで行われている「あまがさき緑遊新都心」キリンビール尼崎工場跡地開発、神戸ハーバーランド、丹波口駅、八尾市の大阪竜華都市拠点、など。
市街地再開発事業とは別に、法定手続きを取る必要が無い再開発を任意再開発と呼んでいる。これらには「優良建築物等整備事業」などの都市計画制度を利用した再開発や信託事業の手法などがあり、種別は都市再開発に含まれている。任意型は都市再開発法に基づいて手続きをとり実行する市街地再開発事業とは異なり、都市計画決定等の法的手続きは要しない。赤点と呼ばれ、法定手続きなどを取らないで契約だけで再開発が出来る任意の再開発は、法定再開発の場合の面積は広く、相手にする地権者の数が多くなって困難な場合も多く生じるという点とは違い、面積的に小規模で地権者数も少ないものが大多数であるという特徴がある。
中国やアメリカなど世界的に多いのは買収額が重要となる全面買収方式で、権利変換などの選択肢の多い合意形成をともなう再開発は日本独特であるが、任意型の再開発は等価交換を基本としている。地権者全員の合意が必要となる一方で、手続きは簡便であって一定要件を満たして補助金も得られる場合もある。
優良建築物等整備事業とは、市街地に良質な住宅建物の供給促進を図ることで市街地の環境改善を行う任意型都市再開発事業の代表的なもので、国の優良建築物等整備事業制度要綱に基づき行われる。 市街地の環境改善や市街地住宅の供給等を推進するため、土地利用の共同化、高度化に寄与する優良建築物等の整備を行う。 一定割合以上の空地(くうち)確保などの優れた建築物等の整備に対して共同通行部分や空地の整備補助を行う。共同化や市街地環境形成、マンション建て替えなどの優良再開発型、住宅複合利用や優良住宅供給などの市街地住宅供給型、既存ストック活用型、耐震型の四つの類型がある。 一定要件を満たす民間再開発に対しては、国と地方公共団体が必要な助成を行う制度となっている。事業例は、優良建築物等整備事業#事例を参照。特に優良建築物等整備事業による小規模な再開発事業によるものは現在、中心市街地の再開発においても多機能公共公益・民間商業利便性複合施設整備といった手法で多く進められている。
民間活力を活用した簡便な手続きによる再開発事業を支援するため平成10年5月の法改正により創設された再開発事業制度に、認定再開発事業がある。これは都市再開発法129条の3に基づいて認定した、市街地再開発事業を除いた再開発事業計画に係る再開発事業をいう。制度の特徴は、高度利用地区といった都市計画決定を経ずとも、当該首長が認定した再開発事業計画ならば、事業に関し税制特例を与え、任意再開発事業を優良なものに誘導しようとするところにある。策定した「再開発事業計画」が一定の基準に合致すると、優良事案として当該首長の認定が受けられ、税制の特例措置が受けられるが、その認定条件は、すべて都市再開発法第129条の3に基準が規定されている。概要は、事業区域が都市再開発方針二号地区内にあり、耐火建築物等が2分の1以下、土地の利用状況が著しく不健全なこと、建築物等の整備計画については、都市再開発方針二号地区の整備又は開発の計画の概要に即したもので、地階を除く階数が3以上の耐火建築物、建築面積が200平方メートル超で、容積率が指定容積率の3分の1以上、建ぺい率が指定建ぺい率のマイナス10パーセント以下であること、公共施設が必要な位置に適切な規模で配置されていること、事業計画が当該区域の都市計画に適合していること、都市機能の更新に貢献するものであること、事業期間が事業を確実に遂行するため適切なものであること、事業者が事業を遂行するために必要な経済的基礎及びその他の能力が十分であることがあげられている。
基本的に多くの地権者が集まる再開発は時間もかかり採算性が悪い場合も多い。このため一般に再開発者側の考え方としてまとまった土地が得られかつ権利関係も複雑でない土地から開発を始めておき、開発が一巡し、問題の土地利権がクリアになってから再開発を行おうとすることが多いが、小布施町で実施された小布施方式は話し合い型で進めた等価交換任意再開発の代表例で、1982年から話し合いから開始し、1987年頃に完了している。権利者同士で十分納得を得るために話し合いに2年程かけ、仮設住宅などつくらずに、順繰りと事業を行い、事業完成までには3年費やしている。
任意の再開発事業は他に、既成市街地等において、優良な民間の再開発を促進するため、税制の優遇措置を適用する「特定民間再開発事業」と「特定の民間再開発事業(租税特別措置法施行令の規定による特定の民間再開発事業等の認定)」がある。
前者は土地、建物などを譲渡した個人又は法人が、当該事業で建築した中高層耐火建築物等もしくは当該事業の施工地区外で一定の土地、建物を取得した場合、一定の要件の下で所得税、法人税の課税繰延べに関する特例の認定制度で、後者は一定の要件を満たす任意再開発事業のため、長期保有資産である土地、建物等を譲渡した者に対し、その譲渡に係る所得税及び住民税に軽減税率が適用される制度である。
両者とも都市再開発法によらない任意の再開発事業のうち、一定の要件を満たす場合に適用される税制上の措置という上では共通で、適用条件も地上4階以上の中高層耐火建築物、施行地区面積が1,000平方メートル以上、都市施設用地または一定の空地の確保、地区内の従前権利者が2人以上という用件すべてを満たす必要がある。特定民間再開発事業はこの他にプラスして、従後の地権者が従前権利者を含む2人以上の共有が必要となる。
都市再開発と類似の用語に都市再生がある。日本で実施されている都市再生プロジェクトは都市再生本部が都心における重要な政策課題、全国都市再生モデル調査で明らかになった課題と都心再生の取り組みの展開等の中から、重要かつ緊急に取り組むべきものを選定し、その事業を推進するもので、さまざまな都市の課題ついて、内閣府を中心に関係省庁、地方公共団体、関係民間主体が参加・連携し、総力を挙げて取り組むプロジェクトである。代表事例に国際文化公園都市, ミューザ川崎(第一種市街地再開発事業として都市公団が施行)、神戸医療産業都市構想(知的クラスター創成事業としても), 京成成田空港線(第二次決定), 首都高速神奈川7号横浜北西線(第二次決定)、寝屋川大東線沿線の密集市街対策(第三次決定) 東京大学柏キャンパス地域「大学と地域の連携恊働による都市再生の推進」, 北千葉道路計画早期具体化, 都営地下鉄浅草線「首都圏の空港アクセス緊急改善対策」などがある。
都市再生と単に呼ぶ場合、指定された地域における都市再生に関する事業を指すことが多い。これには都市再生特別地区、都市再生総合整備事業等が具体的な事業としてあるほか、都市再生ファンドが設立されている。
都市再生特別地区は都市再生特別措置法第36条に規定される地区で、同法令により指定された都市再生緊急整備地域内において、土地の合理的かつ健全な特別の高度利用と都市機能の更新とを図り、当該地区の特性に応じた用途や高さ、配列、形態を備えた建築物の建築を誘導するために、各都道府県の都市計画により定められる。同地区では用途地域における規制を受けない。また、都市再生総合整備事業は国土交通省住宅局による、都市における面的整備に対する補助事業で、旧工場跡地や衰退している既成市街地の再生に際して先行的投資を行い、地域再生の引き金となる事業に対し補助が行われる。総合整備型と拠点整備型の2タイプが用意されている。
都市再生特別措置法は近年における経済社会の構造的な変化、国際化の進展などに対応し、都市の再生を図るために制定された。2002年6月から施行され、都市再生に関する基本方針の策定を行うと同時に、都市再生緊急整備地域を指定し、同地域内の都市計画の特例、金融支援等の処置を行うことで、地域における新たな計画や事業を支援することが可能となった。
都市再生土地区画整理事業(としさいせいとちくかくせいりじぎょう)とは、空洞化が進行する中心市街地や、防災上危険な密集市街地など都市基盤が貧弱で整備の必要な既成市街地等において、道路整備など都市基盤の整備と併せて街区の再編を行う土地区画整理事業。国の一般会計による補助事業で、補助金交付要綱としては都市再生推進事業制度要綱(平成12年3月24日付け建設省都計発第35-2号)および都市再生推進事業費補助交付要綱(平成12年3月24日付け建設省都計発第35-3号)の規定に基づき実施する。 土地の有効利用を促進するとともに、安全で快適な、活力のある市街地への再生・再構築を行うことを目的としている。 なお、国の都市再生事業とは、一般に同事業と、被災市街地復興土地区画整理事業、緊急防災空地整備事業から構成される。道路整備特別会計による補助事業では都市計画道路の整備に特化させているのに対し、都市再生事業は市街地環境の整備改善を図るための事業制度であり、他の特別会計との併用を可能としてある。
阪神・淡路大震災の教訓を受け、平成8年度に創設されたが、現在は前述の都市再生土地区画整理事業制度に組み込まれている。いままで全国で実施されてきた土地区画整理事業より規模が小さい区画整理事業の総称で、道路・公園等の公共施設の整備水準が低い木造密集市街地等を対象として、防災性の向上を図り、安全な市街地を形成するのを目的に創設。この制度により、個人施行や組合施行で小規模なものであっても事業が実施できるとして、事業の実現性が増したことから、近年、注目されている既成市街地の整備手法でもあり、次のような種類がある。
公共施設整備よりもあくまで敷地の整序に主眼がおかれている。これは、一定の都市基盤整備が既になされている既成市街地内で、空き地、駐車場等の小規模かつ不整形な低未利用地が散在し早急に土地の有効利用を図ることが必要と認められる地区において、相互に入り込んだ少数の敷地を対象として、その整序を図り、土地の有効高度利用を実現することを目的にしているからある。 この制度を適用する事業については、その主旨に鑑み、土地区画整理法における公共施設の新設・変更の解釈や、同法施行規則で規定されている技術的基準を弾力的に運用できるとされ、小規模な敷地レベルの事業を実施可能にしている。
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