軌間可変電車
日本の試験電車 ウィキペディアから
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日本における軌間可変電車(きかんかへんでんしゃ)とは、電車軌間を線路軌間に変動可能な試験電車。フリーゲージトレイン(Free Gauge Train, FGT)[1] ともいうが、これは和製英語であり、直訳すると「軌間が定まらない車両」となる。英語では Gauge Changeable Train または Gauge Convertible Train (共に直訳で「軌間可変車両」)と呼称される。
この項目「軌間可変電車」は加筆依頼に出されており、内容をより充実させるために次の点に関する加筆が求められています。 加筆の要点 - 第三次試験車両の節の2018年以降の説明を書いてください。 (貼付後はWikipedia:加筆依頼のページに依頼内容を記述してください。記述が無いとタグは除去されます) (2023年5月) |
日本では、主に標準軌(1,435 mm)と狭軌(1,067 mm)の両方の線路上を走行可能な車両を開発すべく、国土交通省の施策で日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の委託によりフリーゲージトレイン技術研究組合が開発を進めていたが、日本の急曲線が多い環境への対応が難しく実用化に至っていない[2]。2025年度(令和6年度)中に九州新幹線内に残る最後の試験設備の撤去工事の完了が予定されており、共同通信社によると開発を事実上断念する方向である[3]。
軌間可変は鉄道車両が異なる軌間の線路へ直通できる機構で、この機構を用いれば例えば標準軌と狭軌の路線間を直通運転する列車を運行でき、乗客・貨物・荷物の乗り換え・載せ替えが不要となって利用者の負担軽減を図ることができる。具体的な数値として、日本鉄道建設公団(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が新在直通運転について2001年(平成13年)に公開した報告書『新幹線直通運転化事業調査報告書』は、「通常の乗り換え1回の解消は、乗車時間が30分程度短縮される効果と同等の価値を有する」としている[4]。
オイルショックの経済混乱期以降、整備新幹線の建設にあたってはその効果に加えてコストも重視されるようになり、改軌(ミニ新幹線)方式と本項の軌間可変電車方式による整備が検討された。期間可変電車方式は、全線フル規格新幹線に対しては所要時間の面で格段に劣るが、新規路線の建設用地確保が不要であるため建設コストや建設期間を大幅に抑えられる。また、ミニ新幹線方式に対しては改軌によるコストや在来線のネットワークの寸断が生じないという利点がある。さらに、直通運転によるメリットは新在直通運転だけでなく軌間が異なる在来線路線同士の直通運転(在来線軌間可変電車)でも当てはまると考えられた[5]。
しかし、1990年代の研究開始以来、実用化のめどはなお立っておらず、開発費が嵩んでいる。開発に投じた公金は約550億円[6]。これまでの試験車両[どれ?]の試験結果では、新幹線区間では目標を達成しているものの、在来線の曲線区間においては、既存の特急列車に比べて速度が最大で40 km/hも低い状態であった。その後新たに開発された新形台車も振動や速度、車軸摩耗といった問題があった[7]。2020年(令和2年)9月2日、国土交通省鉄道局次長(当時)は佐賀県議会新幹線問題対策特別委員会で「安全性と経済性を考え、これ以上はFGT開発に予算と時間を費やせない」と強調して語った。新在直通車両のFGTはフル規格新幹線車両の1.9倍から2.3倍割高な上、最高速度は270km/hであり、300km/h時代(500系/N700系は300km/h、E5系/E6系は320km/h)には使えないという背景もあった[6]。
2022年に部分開業した西九州新幹線(武雄温泉 - 諫早)では軌間可変電車の実用化を前提として工事が進められていたが[8]、実用化の目処が立たなかったことからJR九州は軌間可変電車の導入を断念した[9]。
軌間が異なる路線同士の在来線の直通運転(異ゲージ在来線直通運転、在来線軌間可変電車)は、近畿日本鉄道の京都線・橿原線と吉野線の直通運転と、東京都大田区などが計画中の蒲蒲線(新空港線)を介した東急多摩川線と京急空港線の直通運転で導入が検討されている[7]。
第一次試験車両はGCT01-1、GCT01-2、GCT01-3の3両編成。走行試験では新幹線区間でも200 km/hまでしか出せず、車輪が揺れる問題もあった[14]。
この車両の試験にともない、新下関駅構内に直流1,500 V - 交流25 kV(60 Hz)のデッドセクションと軌間可変装置が設置された。また、GCT01は車籍を持っておらず、保守用のモーターカーと同じ扱いとなるため、試験時には線路閉鎖の必要があった。
2007年(平成19年)5月27日、鉄道建設・運輸施設整備支援機構により、JR九州小倉工場で、試験車両が報道公開された。GCT01-201、GCT01-202、GCT01-203の3両編成で、オール電動車(在来線区間交直両用)。車体はアルミニウム合金製。営業運転を意識し、中間車に座席が設けられた。駆動装置は、1次車で直接駆動方式とカルダン駆動方式と2種類設けられたものが、カルダン駆動方式に統一された。一方で、ブレーキシステムはディスクブレーキ(1、2号車)と、原動機内にブレーキを持つばね間ブレーキ(3号車)の2種類が設けられ、双方の有用性をはかる。高速性能を高めるために先頭形状をより抵抗の少ない流線型にし、各種機器の簡素化を図って車体が軽量化された。1、2号車に新在兼用の低騒音集電装置(パンタグラフ)が搭載された。空気ばねが利用された電子制御の車体傾斜装置が備えられた。新車両の開発費は1編成約30億円。
一次車両より軽量化された台車となり、振動、揺れが軽減され、乗り心地の改善が図られている。新幹線区間での最高速度は275km/h、在来線区間で130km/hが目標とされ、前者は270km/h運転を実現した[14] が、在来線のカーブ区間では線路への高負荷のため80km/h程度と目標に及ばなかった[14]。
新八代駅構内に新在直通試験線と交流25kV - 20kV(60 Hz)のデッドセクション、軌間可変装置が設置された。
小倉工場で基本的な安全性を確認したのち、8月までに日豊本線で走行試験が開始される予定であったが、機器類の調整で12月まで延期された。2009年(平成21年)6月に新八代駅構内の新在直通試験線での新在直通試験実施。2009年(平成21年)7月下旬からは九州新幹線鹿児島ルートの新水俣 - 川内間において新幹線区間の走行試験が実施され、最高速度は270km/hだった。しかし、台車に問題が多く、この台車での実用化は断念された[14]。走行試験は2009年(平成21年)末で中断され、2010年(平成22年)現在新たな台車の開発に移行したものの、その「3代目」の台車でも車輪のぶれが発生し、改良が難航していた[14]。9月7日に開かれた国の軌間可変技術評価委員会ではカーブでの走行試験結果について「台車の改良だけでは目標達成は難しい」とし、今後は台車の小型・軽量化と併せ、レールの継ぎ目を少なくする「ロングレール化」やレールの幅など誤差の管理を厳しくする「軌道整正」などの改良を検討し、目標達成を目指す考えを示した。一方、車輪の幅を変える軌間可変機構などの技術は一定の耐久性を確認し「確立のめどが立った」としている[17]。
2011年(平成23年)3月に改良台車が完成し、四国へ送られる。当初は4月から試験走行を開始すると報じられたが[18]、予定より遅れて6月28日に予讃線 多度津 - 坂出間で新しい台車を装着した試験走行がスタートした[19][20]。8月22日からは多度津 - 多喜浜間でカーブ区間の走行試験を実施[21]。これらの結果などが10月27日の軌間可変技術評価委員会で審議され、急カーブの走行試験は台車の軽量化、ロングレール化などで在来線カーブの目標速度である85 - 130 km/hを達成したことを確認。これにより、課題とされた在来線カーブでの走行試験で目標を達成し「実用化に向けた基本的な走行性能に関する技術は確立している」との評価をまとめた[22][23]。
12月15日からは予讃線で在来線耐久試験が開始され、2013年9月21日に走行試験終了。それまで計10万kmを走行する[24]。その他、新幹線高速走行試験なども行い、それらの結果を確認し実用化の最終判断を国が2013年度中に行う見通しとされた。
新たな試験用には第三次試験車両が新造されることになり、第二次試験車両は実験を終了した。先頭車の1両は2014年7月20日より、愛媛県西条市の四国鉄道文化館南館で保存展示されている[27]。
営業車両となる三次車両による実用化は当初、2010年(平成22年)とされており遅れていたが、二次車両での結果をふまえ政府は、2012年(平成24年)度予算案に過去最多の61億8700万円を計上し、実用化に向けて二次車両より軽量化・長編成化した三次車両の設計製作に着手した[28]。
2014年(平成26年)9月17日、JR西日本は金沢 - 敦賀間の開業に向けて開発を進めている「北陸ルート仕様」のフリーゲージトレインについて、2014年10月から模擬台車を使った軌間変換試験を始めると発表。2014年度中に北陸ルート仕様の6両編成の試験車両の設計と製作に着手[52]。北陸本線敦賀駅構内に新設する約180メートルの実験線を用いて、模擬台車にけん引車を連結して軌間変換装置を通過させ、変換動作の確認などを行う。試験車両の走行試験は2016年度中に始める[53]。この案は既に不採用決定によってJR西日本から取り下げている。
2018年(平成30年)5月15日、近畿日本鉄道は京都線・橿原線(標準軌、1,435mm)と吉野線(狭軌、1,067mm)の間で軌間可変電車による在来線区間同士の直通運転を実施することを検討すると発表と発表した。観光客の輸送を目的としており[54][55]、実現すると京都駅から橿原神宮前駅での乗換えなしで吉野駅まで行くことができる。同社は2022年(令和4年)5月25日に「鉄道技術展・大阪」に説明パネルを出展しており、引き続き開発を継続していることが判明した[56]。
以下の理由により、九州新幹線(西九州ルート)での営業量産車両は不採用となった。
かつて計画があった都市圏の路線。
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