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かつて行われていた日本の大学入学共通試験 ウィキペディアから
大学入試センター試験(だいがくにゅうしセンターしけん、英語: The National Center Test for University Admissions)は、1990年度から2020年度まで独立行政法人大学入試センター(DNC)により[注 1]、例年1月13日以降の最初の土曜日・日曜日の2日間にわたって行われていた日本の大学の共通入学試験である。かつての国公立大学共通第1次学力試験が大学共通第1次学力試験と改められ、さらに改称され大学入試センター試験となった。2020年度の試験をもって廃止され、これに代わって2021年度より大学入学共通テストが実施されている。
教科・科目ごとに決まっている高等学校の学習指導要領に沿って出題される(視覚障害・聴覚障害・肢体不自由・病弱系の特別支援学校高等部はこれらに準ずる)。全教科・全科目で設問の解答をマークシートに記入する方式となっており、記述式の設問はない。
平均点は各教科・科目とも6割程度になるように作成してあるが、年度や教科・科目によっては、想定以上のずれが生じることがある。
試験会場は国内ほとんどの大学が主となるが、一部の高校や予備校でも行われる。試験会場は年によって異なる場合があり、その年の年度後半に発表される。なお、試験1日目の前日の金曜日は、設営準備や不正防止のため、試験会場の建物とその周辺が「関係者以外立入禁止」となる場合がほとんどである。
正式名称は「大学入学者選抜大学入試センター試験(だいがくにゅうがくしゃせんばつだいがくにゅうしセンターしけん)」である。
一般には、1990年から2020年までのDNCによる「大学入学者選抜大学入試センター試験」のみを指して「大学入試センター試験」「センター試験」と表現する場合が多く、以下本稿でもその趣旨で「大学入試センター試験」「センター試験」と記載する。
なお、1992年頃までは「新共通テスト」[注 2]、現実に施行されてからは「共通テスト」「新テスト」の名称が使われ、マスコミでも「共通テスト(大学入試センター試験)」「新テスト(大学入試センター試験)」などと表記されていた。またNHKでは当初必ず「大学入試センター試験、いわゆる新テスト」と呼称し、「新テスト」を一般的な名称として使用していた。当初の略称には「大セン試験」なるものもあり、一部の予備校等で採用していた。
当試験が実際に採用されていた時代に受験生だった世代の人々や受験産業関係者の間では「センター」で通じる場合が多い。当時の塾などの資料上では「セ試(せし)」と略すこともあった。また、大学入試の願書等で「DNC」(Daigaku Nyushi Center)と記載されることもあった。
1979年から1989年までの間、国公立大学の入学志望者を対象とした大学共通第1次学力試験(共通一次試験、共通一次)を実施していた。これは、入学試験問題において、奇問・難問や重箱の隅をつつくような問題をなくし、一定の学力基準を測ることを目的として導入されたものである。しかし、当時は有名私立大学は参加できないばかりか実際にはこういった設問を完全に排除することができず、1990年から、国立大学の共同利用機関であるDNCの実施する大学入試センター試験に変更し、私立大学も試験成績を利用できるようにするなど、試験自体を流動性のあるものに改めた。2006年には英語のリスニング試験が、世界で初めてICプレイヤーを利用したリスニング試験として実施され、機械に関するトラブルも含めて話題となった。
国公立大学においては、(一部の推薦選抜などを除き)出願資格を「センター試験で本学が指定した教科・科目を受験した者」と規定している。生徒の学力低下を懸念して、ほとんどの国公立大学ではセンター試験で5(又は6)教科7(又は8)科目、合計950点分[注 3]の受験が必須である。多くの文系では外国語、国語、数学2科目、地理歴史及び公民の中から2科目、理科の基礎を付した科目から2科目が、理系では外国語、国語、数学2科目、地理歴史又は公民のうち1科目、理科の基礎を付していない科目から2科目が主流となっている。また、私立大学の参加も年々増加している。私大の場合、センター試験を入学者選抜にどう利用するかは、各大学が個別に決めている。英語リスニングの結果を採用しない大学[1]や、第一次選抜のみの使用の大学[2]もある。
センター試験開設当初とセンター試験廃止年度までの30年間に、受験する教科・科目が増加・改定される一方で、出題や運営に関するトラブルも発生した(後述)。難易度は教科・科目や年度によってばらつきがあり、満点者が出ない教科・科目がある年もあった。東京大学ですら第一次選抜を行わない年が現れる一方で、第1段階選抜得点を非常に高く要求する大学もある[注 4]。
センター試験の問題は、国公私立の大学教員などを中心に構成される、大学入試センターの「教科科目第一委員会」が作問する[10]。出題教科目の作業部会と点字問題の作成部会の計24部会が設置されており、委員の任期は2年で、毎年約半数ずつ交代する仕組みとなっている[11]。
作問には約2年をかけ、本試験と追試験の2種類を作問する。完成した問題は、大学入試センターの「教科科目第二委員会」に所属している、第一委員会での委員経験のある、国公私立の大学教員や学識経験者などの約100人によって点検される[11]。出題教科目ごとに計21の点検部会が置かれており、ここでは試験問題の構成や内容、解答、用字・用語などの点検が行われる[11]。続いて、国公私立の大学教員や学識経験者などで構成される「教科科目第三委員会」で形式や表現、各教科目間での整合性、重複などの点検が行われる。また、点検協力者として、高校教育現場を知る立場から難易度や出題範囲が学習指導要領から逸脱していないかを確認するため、高校での授業経験があり、現在は授業を担当していない管理職や教育委員会指導主事も参加している[11]。
点検が行われた問題は印刷に回され、24時間厳重に警備されている保管倉庫に一旦保管される。その後、試験数日前に全国約700の会場に送られて、当日まで厳重に保管される。ここまでの過程で、全体で数千人が関わってくる。なお、問題用紙は、警備員常駐のもと、専用車で試験場まで輸送されている。また大学入試センターは、警察庁や各都道府県の警察に対して、試験問題の輸送時における警備協力の要請を行っている[12]。
大学入試センターは、機密事項であることを理由に、問題冊子がどこで印刷されているかを公表していない。大学入試センターの関連文書では「印刷関係業者」とだけ記載されている。
問題自体は、本試験用・追試験用の2セットが毎年作問されるのに加え、問題の漏洩に備えた「緊急対応用試験問題」が準備されている[12]。緊急対応用試験問題に関しては、毎年作問されるわけではなく、一度作問したものを修正・再印刷して保管している。また、共通一次試験時代に(三大予備校などの)模擬試験と国語の出典が一致したことがあったため、作問者も模擬試験の検査をし、出典が重なっていた場合は問題を差し替えている。そのため、現在では模試と実際の試験問題の出典が一致することは減っている。しかし、2013年度にZ会による市販の演習問題集と一致するなど、模擬試験などと問題が合致するケースがなくなったわけではない。なお、このようなことが起きた場合にはそれぞれの予備校のWebサイトで「問題の予想が的中した」などと報告される。
以前までセンター試験では、前身である大学共通一次試験を含めて過去に出題した問題、いわゆる過去問題を再度出題したことはなかった。これは、問題を解いた経験がある受験生と、その経験がない受験生とで不公平が生じるのを避けるためである。加えて、教科書に載せられた題材も出題しないことが慣習となっている。これも過去問と同様に、履修した経験で不公平が生じるのを避けるためである。
しかし、作問の過程で、センター試験や他の大学の過去問、模擬試験、教科書などと題材が重複していないかを点検する作業に、膨大な時間と労力を割かれる状況が年々深刻化してきた。また一方で、センター試験の問題は、各大学が入試問題を作問するときに参考資料とすることが想定されているため、学習指導要領に基づいた良質な問題を出すことが求められており、年々少なくなる題材から良質な問題を作問することは限界に近付いていた。
このような状況を憂慮した大学入試センターは、文部科学省や国立大学協会などと協議したうえで、過去問の活用を行う方針を固めている。良質な問題の収集と分析評価を行い、過去問を再利用するのである。導入時期は2010年度からとしている。対象は主に国語や英語といった教科における「出典文」とされ、設問ではなく、文章や題材が再利用される。
センター試験においても、各大学が実施する入学試験と同様に、厳格に出願方法などが定められている。志願者は大学入試センターが配布している「受験案内」を参照し、出願から受験までの段階を踏むこととなる。「受験案内」はセンター試験を利用する大学で配布されているほか、取り寄せることもできる。
ほぼ全教科目で、設問に対して与えられた選択肢の中から受験者が正解と思うものの数字を選択し、それを解答用紙(マークシート)の指定された解答欄に鉛筆でマークする(塗り潰す)というものである。
外国語(英語のリスニングを含む)・国語・地理歴史・公民・理科(1)[注 10]の問題では、各問いに解答番号が1から連続して振られており、表示された番号と同じ解答番号の解答欄にマークする。数学と理科(2)も同様であるが、マークシートの解答欄は大問ごとに区切られ、解答番号も大問ごとに振られている[注 11]。第1問から取り組む必要はないが、マークずれを起こしやすい。
数学(「簿記・会計」及び「情報関係基礎」を除く)の解答方式は例外的で、一部の問いを除き、問題文中にある「ア」「イウ」といった枠で囲まれた文字に当てはまる数字や符号を直接マークする形式をとっている。誘導形式が多く、解けない問題があると、その先はできないことがある。また、共通一次時代にあった「*[注 12]」はないために、自分で出した数値と問題用紙の桁数が違うとその数値は誤答ということになる。決められた区域内の文字のマークが正解と全て一致しないと得点にはならない。
受験者は、出願時に受験教科(国語、地理歴史・公民、数学、理科、外国語)をそれぞれ受験するか否かを志願票に記入し、「受験する」と申請した教科のみ受験することができる。
科目は7グループに分類されており、この分類は同一日時に行われる科目の群と一致する。受験者は数学(1)、数学(2)、外国語から1科目ずつ、地理歴史・公民、理科(2)からは1科目又は2科目、理科(1)から2科目[注 13][注 14]だけの受験となる。出願する大学により指定されている科目は受験する必要があるが、不要な科目は受験しなくてもよい。科目については試験当日に指定するが、地理歴史・公民においては「2科目受験」「1科目受験」「受験しない」のいずれかを、理科(1)・(2)においては選択方法A - D[注 15]又は「受験しない」のいずれかを[注 16]、出願時に申請しなければならない。かつては印刷部数の大まかな数を把握するため受験する科目まで志願票に記入していたが、現在は行っていない。
なお、
の選択を希望する受験者は、出願時に「別冊子試験問題の配布希望」欄に配布を希望する科目を申請しなければならない。申請しなかった受験者には、試験当日に上記科目の問題冊子は配布されない。なお、申請した受験者には外国語の「英語」や、数学(2)の「数学II」「数学II・数学B」の冊子も配布され、試験時間中に急遽選択解答することも出来る。
センター試験では、高校での履修の有無などによる教科・科目の受験制限はない。また、一部の大学では理科、地理歴史及び公民を必要数を超えて受験した場合、高得点のものを採用するため、とりあえず受験してみる、といった受験者もいる。 しかし、大学によっては、「選択解答できる者は、高等学校において履修した者に限る」といった受験制限をしている場合(「地理歴史のA科目」「簿記・会計」「情報関係基礎」「工業数理基礎」など)や、第一解答科目のみの得点を採用する大学があるため、募集要項などで確認する必要がある。
なお、センター試験開始当初の学習指導要領における「現代社会」「理科I」(いずれも全学科で必修)は大半の大学が普通科・理数科に在籍していた人の選択を認めていなかった。
マークシートに受験した科目をマークしていなかったり、複数の科目にマークしたりした場合は理由を問わず0点となる。2007年度からは科目選択欄の横に「チェック欄」が付けられ、マークミスを防止する仕組みが整えられた。なお、「国語」と「英語(リスニング)」は1科目しかないため、受験科目のマーク欄はない。また、「外国語」において別冊子の配布を希望しなかった場合は、受験科目のマークをしなかった場合であっても「英語」として採点される。
疾病・負傷や身体障害等のため、解答方法、試験室、座席、所持品などについて、特別の措置を希望する受験生は、出願時に受験上の配慮を申請することができる[20]。受験特別措置は申請に基づき審査され、個別に「受験特別措置決定通知書」が送付される[20][21]。
日常生活において使用している補聴器、松葉杖、車椅子等を持ち込む場合は、申請が必要である[22]。
出願後の不慮の事故等で、受験特別措置を申請することもできる[23]。ただし、申請する理由が出願後に発生した場合に限られる[23]。志願者本人又は代理人が、受験票に記載の「問い合わせ大学」に、受験票と医師の診断書(形式任意)を持参、大学にある申請書に必要事項を記入し、申請する[23]。出願時の申請と同様、大学入試センターで審査の上、特別措置が決定する[23]。
特別措置の内容としては下記のようなものがある[22]。
また、上記の措置とは別に、リスニング試験におけるイヤホン不適合措置の申請によりヘッドホンの貸与が受けられる[24]。
「早い時期に」下記の行動が必要、とされている[要出典]。
国公立・私立問わず、各大学入試・選抜試験における受験特別措置について、学生募集要項等に「大学入試センター試験における身体障害者受験特別措置方法に準ずる」と記載する大学があり、大学入試センター試験の基準が、判断基準として採用されている場合がある。
センター試験の本試験において、同一グループの科目間で20点以上の平均点差が生じ、これが問題の難易差に基づくものと認められる場合には、「得点調整」と呼ばれる統計的処理が行われる[18]。適用対象グループは、「地理歴史の『世界史B』『日本史B』『地理B』(3科目)」「公民の『現代社会』『倫理』『政治・経済』(3科目)」「理科(2)の『物理』『化学』『生物』『地学』(4科目)」[注 17]の3つのみである[18]。ただし、受験者数が1万人未満の科目は得点調整の対象としない[18]。
センター試験終了約1週間後に行われる平均点中間発表の際に予告された上で実施される。対象となる受験者と対象とならない受験者間での公平性の観点から、平均点差のすべてを調整するのではなく、調整後も平均点差が15点となるように調整される[18]。この15点の差は、通常起こりうる平均点の変動範囲である[18]。
得点調整は各グループごとに「分位点差縮小法」という方式を使って行われる[18]。この方式によって、得点調整対象の科目のうち、最も平均点の高い科目と低い科目の得点の累積分布を比較し、受検者数の累積割合が等しい点(等分位点)の差を一定の比率で縮小する。平均点が最大/最小以外の科目についても、平均点差を同一の比率で縮小するように調整される。
得点調整が行われたのは、センター試験の導入以降、1998年度試験と2015年度試験の二度のみである[25]。1998年度には上記のルールに従い、地理歴史において、日本史Bの得点を地理Bに近づける形で調整が行われた。2015年度には、理科(2)の科目において、生物の平均点が物理Iの平均点より20点以上低かったため、物理、化学、生物、化学I、生物Iで得点調整が実施された[25]。なお、この年の地学の平均点は生物よりもさらに低かったが、受験者が1万人未満であったため、得点調整の対象とはならなかった[25][26]。地学Iも受験者が1万人未満であったため、得点調整の対象とはならなかった。
一方で、同一科目の平均点に差がある場合に「得点調整」を行うことについては反対意見もある。福井一成は著書で、例えば理科の場合、一般的に理科に強い理系の学生が多い物理・化学の平均点が、文系の学生が多い生物・地学の平均点に比べて高くなるのは自然なことであるとして、得点調整の必要性に疑問を示している[27]。
センター試験では開始当初、共通一次試験と同じく英語・ドイツ語・フランス語の3ヶ国語のみ試験を行っていた。その後、1997年度からは中国語を、2002年度からは韓国語を導入した。
英語以外の外国語は、外国系日本人や帰国生徒などのそれらの言語をいわば母国語又は母語としていた人が多く受験しているため、英語に比べ押し並べて平均点が高く、ときに批判がなされることもある。しかし文部科学省は受験者数の違い、ネイティブ中心の受験者なので難易度調整は不可能と回答している[28]。
私立大学では学部を問わず、センター試験での英語以外の外国語の得点が認められる場合が多い。ただし、韓国語のみ認められない場合などもある。 国公立大学については、ドイツ語・フランス語は、学部を問わず認められることが多い。中国語も、比較的選択可能な大学は多い。
なお、外国語の試験で英語にリスニングが導入された結果、英語の総合得点(素点)が250点満点となるため、他の外国語の200点満点と50点の差が生じる。差分の調整方法は各大学によって異なる。以下にいくつかの例を示す。
大学により、最終判定におけるセンター試験の利用法は異なるが、大きくいくつかの系統にまとめることができる。
大学入試に関する詳しい情報については大学受験を参照。
受験生は各大学に出願する前に自身のセンター試験での成績を知ることができない。そのため、解答時に問題用紙に自身の解答をメモしておき、後日、新聞などで発表される正解・配点と照合して自身の成績を推定する、いわゆる「自己採点」を行う[注 18]。
2012年度までは解答は「○(正解)」か「×(誤答)」のどちらかであったが、2013年度からは「△(部分点)」が与えられる回答がある問題も登場した。出願時はこの自己採点が唯一の情報源になるので、自分の解答を正確に控えておかなかったり、マークミスなどを犯していたりすると、自己採点の点数と実際の得点が違うということが起こり、受験校を決める上で致命的なミスにつながることもある。
現在では、採点結果を大手予備校に送ることにより、ある大学の志望者の中における成績の位置を知ることのできるシステムも整備されている。予備校は試験終了翌日の夜までに全国の高校・予備校・書店から申込者の自己採点結果を回収し、コンピュータシステムを使いデータを分析する。そして、試験終了から4日後には申込者に分析結果を配布するのである。予備校では、このデータ分析に加えて各高校などに配布する成績資料も同時に作成しなければいけないため、この時期は繁忙を極めている。なお、受験者の多くは複数の予備校に自己採点の結果を送るため、予備校ごとに順位や合格判定の結果に大きな差が出ることはあまりない。代表的なものでは、河合塾のセンター・リサーチ(Web入力はバンザイシステム)、駿台予備学校・ベネッセコーポレーションのデータネット、東進ハイスクールの合否判定システムなどが挙げられる。
提出した答案用紙は、独立行政法人が取得した『個人情報を含む行政文書』に該当するため、個人情報開示制度の対象となる。この制度を利用して提出後に答案用紙の原本と読み取った成績のデータが開示された事例がある。この事例ではさらに開示された内容と自身が試験会場でマークした内容が違うと主張し、『個人情報の訂正』として答案用紙の訂正を請求したが却下された[29][30]。
2006年5月25日、大学入試センターは1984年度以降23年間、解答用紙のマークシートに受験番号などをマークし忘れた受験生の答案でも0点にせずに、受験者を割り出して採点していた事実を明らかにした。
受験番号のマーク漏れなどがあると、電算処理でエラーが出て採点できない。センター試験の解答用紙は、模擬試験などでよく用いられる冊子型にはなっておらず、試験ごとに解答用紙が配布される仕組みになっている。そのためセンターでは、解答用紙に割り振られたコードや番号から受験者を割り出すことができないため、解答用紙に記入された名前や、座席順などから受験生を割り出し、手作業で受験番号を入力してきた。受験番号のマークミスなどがあった際の措置について、センターの公式サイトでは「個人が特定できた場合に限り、採点します」と説明していたが、実際には全員を救済してきた。一方、受験案内では「受験番号が正しくマークされていない場合は、採点できないことがあります」とだけ記している。
共通一次試験は受験番号の記入ミスを、1979年度から5年間は採点せず一律0点としていた。しかし、「一発勝負の重要な試験であまりに酷だ」との声が上がり、センター内に委員会を設けて検討した結果、救済措置が決定された。センターでは「高校3年間の学習到達度を測るという趣旨も考慮し、解答とは異なる部分のミスに限定して教育的配慮をした」と説明している。
この救済措置について当時、文部科学大臣を務めていた小坂憲次は、「何年も受験のためにがんばってきた努力を、たった1つのマークミスですべてを失わせるのは、受験者の大半が現役生であることを考えるとあまりにも酷過ぎる」と、センターの対応に理解を示した。一方で文科省は「大学受験生を大人とみて自己責任を負わせるべきなのか、それとも子どもと見て手を差しのべるべきなのか、判断が難しい」とコメントしている。
なお、2007年以降の試験については救済について明示されるようになった。受験科目が複数ある教科(外国語を除く)については、採点者が受験者の回答科目を半ば推測的に判断することになるため、受験科目欄の塗り忘れを救済していない。ただし外国語は、別冊子配付希望を出していない受験生に限り「英語」とみなして採点を行う。同様の理由で、大問ごとに解答欄が設けてある科目(数学など)の解答欄を間違えた場合など、答案に直接関係のある部分のマークミスについては、実際にマークされた内容のまま採点が行われる。一方、答案に直接関係しない「試験会場コード」「受験番号」のマーク漏れ・マークミスは、個人が特定できた場合に限り救済が行われる[31]。
2020年度の実施日程と出題教科・科目は以下の通り(過去の出題教科・科目については#沿革参照)。全6教科30科目。志望する大学の学部(又は学科)が指定した教科目を選択して受験する。ただし、例外として外国語では、「英語(筆記)」を受験する場合、志望する大学の学部・学科が「英語(リスニング)」を指定していなくても、リスニング試験を受験しなくてはならない。
回 | 西暦(和暦)年 | 第1日目 | 第2日目 |
---|---|---|---|
1 | 1990年(平成 2年) | 1月13日 | 1月14日 |
2 | 1991年(平成 3年) | 1月12日 | 1月13日 |
3 | 1992年(平成 4年) | 1月11日 | 1月12日 |
4 | 1993年(平成 5年) | 1月16日 | 1月17日 |
5 | 1994年(平成 6年) | 1月15日 | 1月16日 |
6 | 1995年(平成 7年) | 1月14日 | 1月15日 |
7 | 1996年(平成 8年) | 1月13日 | 1月14日 |
8 | 1997年(平成 9年) | 1月18日 | 1月19日 |
9 | 1998年(平成10年) | 1月17日 | 1月18日 |
10 | 1999年(平成11年) | 1月16日 | 1月17日 |
11 | 2000年(平成12年) | 1月15日 | 1月16日 |
12 | 2001年(平成13年) | 1月20日 | 1月21日 |
13 | 2002年(平成14年) | 1月19日 | 1月20日 |
14 | 2003年(平成15年) | 1月18日 | 1月19日 |
15 | 2004年(平成16年) | 1月17日 | 1月18日 |
16 | 2005年(平成17年) | 1月15日 | 1月16日 |
17 | 2006年(平成18年) | 1月21日 | 1月22日 |
18 | 2007年(平成19年) | 1月20日 | 1月21日 |
19 | 2008年(平成20年) | 1月19日 | 1月20日 |
20 | 2009年(平成21年) | 1月17日 | 1月18日 |
21 | 2010年(平成22年) | 1月16日 | 1月17日 |
22 | 2011年(平成23年) | 1月15日 | 1月16日 |
23 | 2012年(平成24年) | 1月14日 | 1月15日 |
24 | 2013年(平成25年) | 1月19日 | 1月20日 |
25 | 2014年(平成26年) | 1月18日 | 1月19日 |
26 | 2015年(平成27年) | 1月17日 | 1月18日 |
27 | 2016年(平成28年) | 1月16日 | 1月17日 |
28 | 2017年(平成29年) | 1月14日 | 1月15日 |
29 | 2018年(平成30年) | 1月13日 | 1月14日 |
30 | 2019年(平成31年) | 1月19日 | 1月20日 |
31 | 2020年(令和 2年) | 1月18日 | 1月19日 |
( )内は受験対象者数又は受験者数
志願者数及び受験者数の推移は以下のとおり[33]。
現在、技術上の問題で一時的にグラフが表示されなくなっています。 |
なお、正解に関わるミスが2件あったのは1997年以来である[54]。
英語のリスニング試験では、ICプレイヤーの不具合によるトラブルが開始年度から毎年報告[59]されている。2006年度は451人、2007年度は381人、2008年度は175人の受験生が再テストを受けることになった。リスニング試験に関しての一定確率でのトラブルは大学入試センターとしても想定済みの事態であり、試験当日における対応マニュアルなども試験監督者に渡されている。6回目となる2011年度では初めて昨年度のICプレーヤーを修理・点検し再利用しており、不具合は2010年の220人から半減した105人(再テストは97人)となった[60]。
その他、機器の不具合以外のトラブルで再試験が認められる例が何件か報告されている。
センター試験の時期には、「明日はJK(女子高校生)を痴漢しまくっても通報されない日です」などと受験生を標的とする痴漢予告が多発している。これは、試験に遅刻できない[注 21]ため通報されないと見込んでのものであり、2020年には悪質な書き込みが1000件以上確認されている。
センター試験は毎年50万人程度が受験することから学生や受験業界以外にも注目度が高く、ユニークな出題がネット上などで話題になることがある[注 22]。中には、センター試験オリジナルの出題について著作権の帰属が曖昧なまま[注 23]、その出題についての様々な二次創作グッズが勝手に販売されるケースもあった。
試験が行われる1月中旬 - 下旬は厳冬期に当たるため、雪によって公共交通機関のダイヤに混乱が生じた場合には、開始時刻を遅らせる等の措置を取ることが多い。また、警察がパトカーで受験生を会場まで送り届けることもある[83]。
「センター試験の日は雪の特異日」と言われることもあるが、それは降雪が大々的に報道されているだけであり、センター試験実施日は毎年異なり、気象学や統計学的にも天候に特定の偏りはないため、他の日とさほど変わらない[84]。
東京ではセンター試験が開始された1990年から2015年までセンター試験当日に降雪があった日は5日しかない[85]ものの、他の地域での降雪は完全には避けられない状況であり、影響は毎年のように報道されている[86][87][88]。
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