カタール航空(カタールこうくう、アラビア語: الخطوط الجوية القطرية; al-khuṭūṭ al-jawwīya al-qaṭarīya, 英語: Qatar Airways)は、カタールの国営航空会社でカタールのフラッグ・キャリア。
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法人番号 | 9700150000456 | |||
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設立 | 1993年11月22日 | |||
ハブ空港 | ハマド国際空港 | |||
マイレージサービス | Qatar Airways Privilege Club (Qmiles) | |||
会員ラウンジ | Qatar Airways First and Business Lounges | |||
航空連合 | ワンワールド | |||
子会社 |
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保有機材数 | 220機 (2018年12月現在) | |||
就航地 | 150都市 | |||
スローガン | Going places together | |||
本拠地 | カタール・ドーハ | |||
代表者 | アクバル・アル=バーキル (CEO) |
概要
カタールの首都ドーハにあるハマド国際空港を本拠地としている。コードシェアも含め150都市以上の国際的な目的地へ繋がっている。ワンワールドメンバーでアラブ航空会社機構の一員でもある。
イギリスのスカイトラックス社による航空会社の格付けでは、「ザ・ワールド・ファイブ・スター・エアラインズ(The World's 5-Star Airlines)」の認定を得ている[1]。航空券の座席予約システム(CRS)は、アマデウスITグループが運営するアマデウスを利用している[2]。
歴史
1993年11月22日に設立され、1994年1月20日にドーハ - アンマン線で運航を開始した。当社は元々王族の一族が所有者であったが、CEOのアクバル・アル=バーキル[注釈 1] (أكبر الباكر; ’akbar al-bāker, Akbar Al Baker) による新しい経営チームによって1997年4月に新しく設立された。資本はカタール政府(50%)及び民間投資家(50%)によって所有されている。ここ10年で、毎年35%の成長率でネットワークを広げている。
2007年に行われたドバイ航空ショーにおいて、カタール石油、シェル石油、エアバス、ロールス・ロイス、カタール・サイエンス&テクノロジー・パークの5社と提携し、天然ガス由来液体燃料を開発することを決定した[3]。これが実現すれば、カタール航空が世界で最初に天然ガス由来の燃料で飛行機を飛ばす航空会社になると示唆した。炭酸ガスの排出を大幅に削減し、地球温暖化の抑制を貢献できる利点があるとしている。
2007年、カタール航空は80機のA350や30機のボーイング787など、160億ドルにも及ぶ機材を発注した。また、今後数年で200機以上総額300億ドルに及ぶ機材発注を行う予定である。2008年、12月時点で平均機体年齢が3.2年と世界で最も新しい機材を使用している。
2010年4月25日、ドーハ - 東京/成田線就航。当初は関西国際空港経由で運航していたが、2012年10月28日より直行便化された[4]。
2012年10月8日、ワンワールドへ加盟するとの発表が出された。2013年9月9日、 ワンワールドへ10月30日から加盟を正式発表[5]。これを記念して、ワンワールド塗装をまとったボーイング777-300ER(機体番号:A7-BAA)のお披露目も行なわれた[6]。
2014年5月27日の発着便から、ドーハの発着空港をドーハ国際空港からハマド国際空港に移転した[7][8][9]。
2014年6月18日、ドーハ - 東京/羽田線就航[10][11]。
2014年9月17日、購入していた超大型機であるエアバスA380が引き渡されたが[12]、今後は退役する見込みとなっている[13]。
2014年12月22日、エアバスA350の最初の1機がエアバスから引き渡され、2015年1月15日からドーハ - フランクフルト線で運航を開始した[14][15]。
2016年1月12日、ドーハ - 関西線を週7便から週5便に減便[16]、同年3月31日、ドーハ - 関西線を運休[17]。
2017年2月5日よりドーハ - オークランド線を就航[18]。17時間30分の世界最長フライトとなる。
2017年6月5日、一部のイスラム諸国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦・バーレーン・エジプト・イエメン・モルディブなど)がカタールと国交断絶を表明したこと(カタール外交危機)により、対象国との運航便は運航停止され運休扱いとなったほか、サウジアラビア・エジプト・バーレーン・アラブ首長国連邦に関しては領空通過も禁止された。このため、北アフリカ向けの便については、イランやトルコ上空から地中海上空に、またサブサハラアフリカ向けの便については、オマーン上空からアデン湾上空に抜けるなど、アラビア半島を大きく迂回する形で飛行するようになっている。
2020年4月6日よりドーハ - 関西線を運航再開予定[19]であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年6月15日まで就航が延期された[20]。
2021年1月、クウェートとアメリカ合衆国の仲介によりカタール外交危機が終焉を迎えた。この外交危機による運休及び領空通過禁止措置は順次終了、運航再開している[21][22]。
保有機材
同社が発注したボーイング社製の航空機の顧客番号(カスタマーコード)はDZで、航空機の形式名はB777-2DZLR、B777-3DZERなどとなる。
※エグゼクティブ部門においてガルフストリーム G650ER型機やボンバルディア グローバル 5000型機などを運用している[23]。
備考
- エアバスA350のローンチカスタマーで-900型 / -1000型を発注。2014年12月に最初の1機を受領。2015年1月15日からドーハ - フランクフルト線に就航させた[24]。しかし、2021年8月にカタール航空当局の指示により、保有するA350のうち13機(-900型: 11機 / -1000型: 2機)の塗装の劣化が判明したため飛行停止措置を取り、代替機としてA350導入により整備保管していたA330を運用に復帰させたと発表[25]。
- 当初はエアバスA321neo型機を50機発注していたが、上記のA350塗装剥離問題からエアバス社とカタール航空の対立が激しくなり、エアバス側からオーダーをキャンセルされた[26]。また19機のA350-1000型機に関してもオーダーキャンセルとなり[27]、事実上エアバス社との関係が破綻して「出入り禁止」状態となったカタール航空はA321neo全機とA350-1000の一部の代替機材としてボーイングの737-10、777X全シリーズの導入をそれぞれ予定している。しかしながら、737MAXは事故による運航停止に伴う737-10の認証遅延と777X開発遅延に伴い納入遅延の可能性がある機種であるために、2022年現在では機材繰りに大きな狂いが生じている状態である。その上2022年W杯FIFAパートナーとしてのスポンサーでもあるため、オマーン・エアのA330-300x3機のウエット・リース及びキャセイパシフィック航空、ヴァージンオーストラリア航空などの一部777-300ERをドライリース運用している。
- エアバスとは2023年2月に和解し、改めてA321neo及びA350の購入契約を締結しており、同年5月より納入が再開されている[28]。
運用機材リスト
カタール航空の機材は以下の航空機で構成される。
機種 | 運用機数 | 発注機数 | 座席数 | 備考 | ||||||
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F | C | Y | 計 | |||||||
エアバスA320-200 | 29 | - | - | 12 | 120 | 132 | 一部ウィングレット装着機 2024年までに退役予定としていたが A350塗装剥離問題による後継機問題で延長の可能性あり | |||
132 | 144 | |||||||||
エアバスA321-200 | 1 | - | - | 12 | 170 | 182 | 退役機一部P2F改修後ヤマト運輸購入 スプリング・ジャパン運航貨物機転用予定 | |||
エアバスA321neo | - | 50 | - | - | - | - | 2022年2月にA350塗装剥離訴訟で全発注一時取消 2023年2月に訴訟和解により全発注復活、2026年以降受領予定 | |||
エアバスA330-200 | 6 | - | - | 24 | 236 | 260 | A350塗装剥離問題により運用復帰 | |||
エアバスA330-300 | 8 | - | - | 30 | 275 | 305 | A350塗装剥離問題により運用復帰 ほかオマーン・エア運用機(C24/Y265)3機ウエット・リース | |||
エアバスA350-900 | 34 | - | - | 36 | 247 | 283 | 塗装剥離問題により2021年から一部機体運航停止、 2023年2月塗装剥離訴訟和解により運航停止機改修見込み[33] | |||
エアバスA350-1000 | 19 | 23 | - | 46 | 281 | 327 | 塗装剥離問題により2021年から 一部機体運航停止及び発注残受領延期 2022年9月に発注残契約一時取消[27] 2023年2月塗装剥離訴訟和解により 運航停止機改修と一時取消契約復活見込み[34] | |||
24 | 371 | 395 | ||||||||
エアバスA380-800 | 10 | - | 8 | 48 | 461 | 527 | 2024年から退役予定でCOVID-19流行の影響で整備待機していたが、 A350の塗装剥離問題による機材不足と 2022年W杯のスポンサーでもあり8機が順次復帰再稼働中 A350塗装剥離訴訟和解後も777X計画遅延で当面運用される可能性あり | |||
ボーイング737 MAX 8 | - | 9 | 不明 | S7航空向けの機材を導入[35] | ||||||
ボーイング737 MAX 10 | - | 25 | - | - | - | - | ほか25機の追加オプション付き[36] | |||
ボーイング777-200LR | 9 | - | - | 42 | 217 | 259 | ||||
230 | 272 | |||||||||
ボーイング777-300ER | 53 | 2 | - | 42 | 312 | 354 | A350の塗装剥離問題で他社中古リース機運用 | |||
316 | 358 | |||||||||
24 | 388 | 412 | ||||||||
ボーイング777-8 | - | 10 | - | - | - | - | 777X計画遅延により8型を開発先行する9型への切換も検討 | |||
ボーイング777-9 | - | 30 | - | - | - | - | ||||
ボーイング787-8 | 30 | - | - | 22 | 232 | 254 | 2020年以降、品質問題により受領延期中 | |||
ボーイング787-9 | 7 | 23 | - | 30 | 281 | 311 | ||||
ボーイング747-8F | 2 | - | Cargo | |||||||
ボーイング777F | 26 | 2 | 2022年2月後述777-8F発注と同時契約で2機追加契約 | |||||||
ボーイング777-8F | 0 | 34 | ほか16機の追加オプション付き | |||||||
合計 | 234 | 208 | ||||||||
画像
就航都市
サービス
機内サービス
カタール航空の機内サービスの評価は国際的にも非常に高く、イギリスのスカイトラックス社による「5つ星航空会社」に認定されている11社のうちの1つに数えられる(2017年現在)。2007年にファーストクラス「世界第1位」の称号を受賞。中東地域におけるベストキャビンクルーの称号については6年連続獲得している(2008年現在)。さらに、「エアライン・オブ・ザ・イヤー」賞では、2011年、2012年、2015年、2017年と4回1位を獲得しており、キャセイパシフィック航空、シンガポール航空、エミレーツ航空などと共に高い評価を受けている。また、保有機就航年数も平均約4年と世界の中で最も新しい飛行機を所有・運航しており、設立以来1度も重大事故起こしていないことから安全性も高いと言える。
座席構成は、エアバスA380とエアバスA330(※-200、-300の一部)がファーストクラス・ビジネスクラス・エコノミークラスの3クラス、その他の機材はビジネスクラスとエコノミークラスの2クラスで運航されている。
機内食は豚肉を使わないムスリム食。日本路線においては、和食、ウエスタン、アラビア料理の3つのチョイスがある。事前予約が必要な特別食も充実している。また、エコノミークラスにおいてもビール、ワイン、ウイスキー、ウォッカ、ブランデーなど多様なスピリッツが無料で提供されている。
客室乗務員は世界100カ国以上出身の多国籍で構成されており、日本路線には日本語話者も常時2~3人程度乗務している。また、日本就航以前から日本人客室乗務員を採用しており、日本路線のみならず就航している全路線に乗務している。
地上サービス
ハマド国際空港にて、ビジネスクラス、ファーストクラスの乗客には、アル・ムルジャン ビジネスラウンジにて、食事やシャワーのサービスを提供している[87]。 乗り継ぎ時間が5時間から12時間ある乗客には、無料の市内観光ツアーが実施されている[88]。乗り継ぎ時間が8時間を超える乗客には、ホテルを提供している[89]。
ドーハ国際空港を利用していた当時は、世界初となる、ファースト・ビジネスクラス専用「プレミアム・ターミナル」を2006年にドーハ国際空港に開設していた。スパ、サウナ、ジャグジ、マッサージ、仮眠室や、最先端の会議室、ビジネス施設、保育所、ビデオゲームルーム、レストラン、デューティーフリー・ショップなども設けられている。また、ドーハ国際空港にてヨーロッパ路線に乗り継ぐファーストクラス利用者には「プレミアムターミナル」から搭乗機まで、BMW・7シリーズでの送迎をしていた[90]。
マイレージサービス
カタール航空のマイレージサービス「プリヴィレッジクラブ」は、ワンワールド加盟航空会社でコードシェア便を運航している日本航空やアメリカン航空、ブリティッシュ・エアウェイズなどのほか、以下の会社とも相互協定を結んでいる。
受賞歴
- 中東ベストキャビンクルー7年連続受賞(2009年時点)
- ファーストクラス世界第1位(2007年)
- 中東ベストエアライン(2009年)
- ベストエコノミークラス(2009年)
- Skytrax エアライン・オブ・ザ・イヤー[91](2015年)
その他、エアライン・オブ・ザ・イヤーにも毎年、上位にランクインしている。
アメリカのフライトスタッツ社の調べによると、定時到着率は83.64%[92]と高い。
その他
コードシェア
ワンワールド加盟航空会社
その他
- アシアナ航空
- フィリピン航空
- ミドル・イースト航空
- ルフトハンザドイツ航空
- 中国南方航空(2020年1月からコードシェア開始予定)[97]
スポンサーシップ
カタール航空は現在、リーグ・アンのパリ・サンジェルマンと2020-21シーズンからスポンサー契約を締結しており、2022-23シーズンからは公式ジャージパートナーとしてユニフォームの全面に「QATAR AIRWAYS」のロゴが掲出されている[98]。他にはドイツ・ブンデスリーガのFCバイエルン・ミュンヘンとプラチナムパートナー契約も締結してる。
2012年11月、カタール航空はFCバルセロナのスポンサーになるとともに商業スポンサーとしては史上初のユニフォーム胸スポンサーとなり[99]、2016年シーズン末で契約満了となった。
過去には2014年10月にサウジアラビアのサッカークラブ、アル・アハリ(Al-Ahli)が推定年間1600万ドル(約17億6000万円)の3年契約を締結していたが、2017年6月に国交断絶が発表されたわずか数時間後に契約を打ち切ると表明した。そのほか2018-19から2020-21シーズンまでイタリア・セリエAのローマとの胸スポンサー契約を、アルゼンチンのボカ・ジュニアーズとのメインスポンサーにも指定されていた。
2017年から国際サッカー連盟(FIFA)パートナーおよびオフィシャルエアラインとなり、当初2022年までの契約を2030年までに更新[100]。また2018年アジア競技大会・UEFA EURO 2020/2024でもオフィシャルエアラインを担当した。
2019年から2022年まで南米サッカー連盟(CONMEBOL)が主催するクラブチームの大会コパ・リベルタドーレス、コパ・スダメリカーナ(レコパ・スダメリカーナも含む)の公式スポンサーを担当。
テニスでは2014年に開催されたインターナショナルプレミアテニスリーグの共同スポンサーとしてコカ・コーラとともに支援していた。
競馬でも、世界最高峰級レースである凱旋門賞のスポンサーを長年にわたり務めている。
2023シーズンよりフォーミュラ1世界選手権のグローバルパートナーに就任[101]したほか、同年12月よりAFCアジアカップ2023を皮切りに、AFCの公式グローバルパートナーに就任[102]。更に2024年にはMotoGPやプレミアパデルの公式エアライン・タイトルパートナーにも就任した。
2024年9月には前述のUEFA EURO 2020/2024の公式スポンサーシップでの成功を機に、UEFAチャンピオンズリーグの公式スポンサー契約[103]を2024/25から2029/30シーズンまでの長期に渡る契約を締結している[104]。
注釈
- 日本語のメディアでは「アクバル・アル・バクル」「アクバル・アル・ベイカー」「アクバル・アル・バケル」などと表記されることがある。
参考文献
外部リンク
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