宇部線
西日本旅客鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
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宇部線(うべせん)は、山口県山口市の新山口駅から山口県宇部市の宇部駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(幹線)である。
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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周防灘に沿って敷かれ、宇部市の中心市街地を貫通する。宇部市中心部および山口市南部(旧阿知須町を含む)と山陽本線の宇部駅・新山口駅との旅客輸送が中心となっている。他線への直通は厚狭駅や下関駅など宇部駅から西側方面のみであり、東側方面はすべて新山口駅が終着駅となっている。
かつては石炭輸送などの貨物輸送が盛んであり、沿線の工場などへの支線が数多く存在したが、主力であった宇部興産(現・UBE)向け(1998年廃止)やセントラル硝子宇部工場向け(2009年廃止)の石灰石輸送は宇部伊佐専用道路(宇部興産専用道路)などを使用したトラック輸送に切り替えられている[1](「UBE (企業)#鉄道貨物」も参照)。
全区間を広島支社の山口エリア統括部が管轄している[2]。路線図[3]や駅掲示時刻表のシンボルで使用されているラインカラーは赤紫(■)。
各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 出典 |
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新山口 - 宇部 | ||
1987年度(昭和62年度) | 5,568 | [5] |
2013年度(平成25年度) | 2,486 | |
2014年度(平成26年度) | 2,384 | [6] |
2015年度(平成27年度) | 2,520 | [7] |
2016年度(平成28年度) | 2,525 | [8] |
2017年度(平成29年度) | 2,528 | [9] |
2018年度(平成30年度) | 2,539 | [10] |
2019年度(令和元年度) | 2,450 | [11] |
2020年度(令和 | 2年度)1,904 | [12] |
2021年度(令和 | 3年度)1,927 | [13] |
2022年度(令和 | 4年度)2,037 | [14] |
2023年度(令和 | 5年度)2,108 | [15] |
1914年(大正3年)に、宇部軽便鉄道(のちに宇部鉄道と改称)によって宇部駅 - 宇部新川駅間が開業[16]し、その後1925年(大正14年)に宇部駅 - 宇部新川駅 - 小郡駅(現在の新山口駅)間の全線が開通した。宇部鉄道は石炭などの重要物資の輸送路線として1943年(昭和18年)に国有化され、宇部駅 - 宇部新川駅 - 小郡駅間が宇部東線となった。その後、宇部線と改称。宇部駅 - 岩鼻駅間の経路が藤曲経由から居能経由に変更された。
なお、宇部新川駅は1943年から1964年まで宇部駅を、その間山陽本線の宇部駅は西宇部駅を名乗っていた。
戦時買収による国有化以前から電化されていた路線の一つであるが、買収以前は中小私鉄3社(宇部鉄道・宇部電気鉄道・小野田鉄道)が各社独自に輸送を行なっていたために系統上の連絡がなく設備も劣悪で、一括買収した国鉄が統合的に運営できるよう戦後改良整備が進められた[17]。
まず旅客輸送面においては、小野田市方面と宇部市を結ぶ旧宇部電気鉄道の路線が宇部港駅をターミナルとしていたため、旧宇部鉄道のターミナルである宇部駅(当時、後の宇部新川駅)と徒歩連絡しなければならず、小野田市内においても新沖の山駅と小野田港駅間の連絡がないという問題を抱えていた[17]。また貨物線は当時最大の輸送量があった美祢線方面との連絡において、宇部駅から宇部港駅に至る連絡線(通称「上町線」)を経由して宇部中央銀天街などの繁華街を横断しなければならず、沿線の物資輸送に不都合が生じていた[17]。
これらの問題を解消するため、1948年(昭和23年)3月に国鉄は「宇部、小野田線緊急整備3箇年計画」を策定、小野田線新沖の山駅 - 小野田港駅間、宇部線宇部駅(後の宇部新川) - 居能駅間、居能駅 - 岩鼻駅間にそれぞれ短絡線を新設したほか、小野田線を電車化・昇圧し、1952年(昭和27年)4月に宇部線と小野田線の直通運転を実現、貨物輸送上も迂回解消など輸送系統が合理化された[17]。これら短絡線の完成と同時に、岩鼻駅 - 宇部駅(後の宇部新川)間3.3 km、西沖山駅 - 居能駅間1.7 km、港町駅 - 沖山新鉱駅間1.3 kmの電車運輸を廃止している[17]。
また、駅設備などの輸送力増強工事も行われ、有効長が100 mから130 m程度であった深溝駅、東新川駅、宇部岬駅の各駅にて180 mへ延伸したほか、宇部港駅の拡張、宇部駅(後の宇部新川駅)駅舎の改築などを実施した[17]。このほか、線路軌条が戦災によって弱骸化して入線可能な機関車が限られるなど弊害が生じていたため、道床・枕木の強化、橋梁の補強、分岐器改良、排水改良、一部山陽本線と同様の37 kg軌条による線路強化が行われた[17]。
一連の改良事業に続いて、輸送逼迫が予想された宇部駅(後の宇部新川駅) - 岩鼻駅間の複線化、山陽本線急行列車の宇部線経由化、宇部岬駅 - 宇部港駅間の海岸貨物線新設による貨客分離、宇部岬駅 - 宇部駅(後の宇部新川駅) - 居能駅間の高架化が計画されていた[17]が実現しなかった。なお上記宇部駅(後の宇部新川駅)駅舎の改築はこの高架化計画を想定して半高架構造の設計となっている[17]。
2023年3月18日改正時点の運行形態は次の通り[44]。
全列車が終日ワンマン運転(都市型ワンマン)を実施しており[45]、新山口駅 - 宇部駅間(一部は宇部新川駅で乗り換え)のほか、宇部岬駅・宇部新川駅 - 宇部駅間の区間運転の列車もあり、おおむね1時間から1時間半に1本運転されている。また、朝夕の一部列車は宇部駅から山陽本線に直通し、下関駅発着で運転されている。なお、宇部新川駅 - 居能駅間には小野田線の列車が乗り入れており、このうち朝の上り1本が宇部新川駅を越えて新山口駅まで直通している。
2020年(令和2年)3月14日のダイヤ改正では、朝の休日運休の宇部岬駅・宇部新川駅 - 宇部駅間の列車2往復を毎日運転へ変更した。
2002年(平成14年)3月23日のダイヤ改正までは23時台まで列車が運行されていたが、以後は21・22時台で終電になっている。また、国鉄時代は日付を越える終電が設定されていた。2021年(令和3年)3月13日のダイヤ改正では、新山口発宇部新川行の最終列車が、22時台から21時台に繰り上げられ、新山口駅に到着する東京方面からの最終「のぞみ」と接続しなくなった。
かつてはおおむね月1回程度の割合で、線路保守点検のため日中に列車を運休させることがあったが、現在は行われていない。なお、運休時間帯は3時間半 - 4時間ほど列車は運行されず、バス代行もなかった。
山陽本線宇部駅 - 厚狭駅間に宇部線から美祢線に直通する貨物列車のための単線の貨物線があった時代は、宇部線から山陽本線厚狭・下関方面や美祢線に直通する旅客列車もこの貨物線を走行していた。
2024年(令和6年)時点では、宇部線に定期快速列車は設定されていないが、かつては以下の列車が運転されていた。
貨物列車は前述の通り、宇部興産(現・UBE)を需要家として宇部港駅 - 居能駅 - 宇部駅間で美祢線美祢駅から直通する専用貨物列車(美祢へは石炭を、宇部港へは石灰石を輸送)が昼夜を問わず数多く運転されていたが、宇部興産専用道路の供用開始後、1998年に全廃、僅かに残った宇部駅継走の濃硝酸輸送貨物列車も翌1999年には廃止となり、宇部港駅の営業が休止となった(正式廃止は2006年)。
末期には宇部駅 - 宇部岬駅間で、セントラル硝子を需要家として宇部駅 - 宇部岬駅間で美祢線重安駅からの専用貨物列車(石灰石輸送)が1日2往復(水曜日は1往復のみ、厚狭駅で編成が分割されるため美祢線では1往復)運行されていたが2009年10月18日限りで廃止されている[1]。牽引機はDE10形ディーゼル機関車で、貨車はホキ9500形(太平洋セメント社籍。車体表示は前身の小野田セメント)の編成であった。
現在はすべて電車となっており、下関総合車両所運用検修センターに所属する105系およびクモハ123形が使用されている。クモハ123形のみで運転する列車はながらくトイレがない状態だったが、2013年10月より一部の車両においてトイレが設置され、同年12月には両開き扉を有するクモハ123-5とクモハ123-6にもトイレが設置された。2015年5月現在、すべての車両にトイレが設置されている。
国鉄線となった当初は宇部鉄道から承継した電車を使用し、戦後には他の買収私鉄から承継した電車(買収国電)も転属して使用された。1950年代後半からこれらの買収国電に代わりクモハ11形・クモハ12形・クハ16形・クモハ40形・クモハ41形・クハ55形・クモハ42形・クモハ51形などの旧形国電が導入され、1981年に105系に置き換えられるまで使用された。
またかつては南福岡電車区に所属する交直流電車415・421・423系が山陽本線を経由し宇部線に乗り入れていた。国鉄分割民営化後、これらが九州旅客鉄道(JR九州)の所属となってからも続けられたが、現在では廃止されている。下関所属の115系が乗り入れたこともあった。現在でも年に1 - 2回ほど臨時列車として下関所属の115系が入線する。1980年代までは貨物列車と同様に宇部線から美祢線に直通する気動車列車も運転されたことがあった。
新山口駅 - 宇部駅間は山陽本線と宇部線の間に選択乗車の特例(旅客営業規則第157条)があり、一方を経由する乗車券を持っていれば他方の経路でも乗車できる。途中下車の禁止されていない乗車券であれば他方の経路上でも途中下車が可能である。
ほぼ全線にわたって国道190号が並行しており、国道を走行する路線バスが運行されている[47]。おおむね宇部新川駅(および近傍の宇部中央バス停)を境に、東側は宇部市交通局の、西側は宇部市交通局・船木鉄道(かつてはサンデン交通のエリアでもあったが、同社は2022年9月30日をもって宇部市への乗り入れを終了[48])のエリアとなっている。
宇部線のほうが運賃は安いが、バスのほうが運行本数が多い。宇部市交通局は新山口駅 - 宇部新川駅間(新山口線)で国道190号・嘉川駅前経由の普通便および山口宇部道路経由の特急便を運行しており、所要時間は普通便が72分 - 77分、特急が41分である(新幹線口 - 宇部新川駅間)[49]。同区間の宇部線の所要時間は約50分であるため[50]、特急便を利用すると宇部線よりも所要時間が短くなる。
2018年度、宇部市とJR西日本が中心となって、小野田線と共に宇部線をバス・ラピッド・トランジット (BRT) に転換する可能性について検討を始めた[51][52]。しかし、宇部市が試算したところ宇部線にBRTを導入した場合の概算整備事業費が約153億円となることが判明した[53]。そのため採算性に厳しく早期の実現は困難であるとしてBRT化は凍結され、JR西日本と沿線自治体(宇部市、山口市、山陽小野田市)の4者勉強会は休止となった[53]。
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | |
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駅間 | 累計 | ||||
新山口駅 | - | 0.0 | 西日本旅客鉄道: 山陽新幹線・■山陽本線(岩国方面)・■山口線 | ∨ | 山口市 |
上嘉川駅 | 2.8 | 2.8 | | | ||
深溝駅 | 3.1 | 5.9 | ◇ | ||
周防佐山駅 | 1.6 | 7.5 | | | ||
岩倉駅 | 1.3 | 8.8 | | | ||
阿知須駅 | 1.4 | 10.2 | ◇ | ||
岐波駅 | 2.5 | 12.7 | ◇ | 宇部市 | |
丸尾駅 | 2.5 | 15.2 | | | ||
床波駅 | 3.7 | 18.9 | ◇ | ||
常盤駅 | 1.8 | 20.7 | | | ||
草江駅 | 1.8 | 22.5 | | | ||
宇部岬駅 | 1.2 | 23.7 | ◇ | ||
東新川駅 | 1.6 | 25.3 | ◇ | ||
琴芝駅 | 0.7 | 26.0 | | | ||
宇部新川駅 | 1.1 | 27.1 | ◇ | ||
居能駅 | 1.8 | 28.9 | 西日本旅客鉄道:■小野田線[* 1] | ◇ | |
岩鼻駅 | 1.4 | 30.3 | ◇ | ||
際波信号場 | - | 32.0 | ◇ | ||
宇部駅 | 2.9 | 33.2 | 西日本旅客鉄道:■山陽本線(下関方面は直通あり) | ∧ |
新山口駅・宇部新川駅・宇部駅はJR西日本の直営駅、阿知須駅は簡易委託駅、その他の駅は無人駅である。
駅名・停留場名後の( )内は起点からの営業キロ。宇部線編入前(小野田線時代)の旅客駅は省略。
( )内は新山口駅起点の営業キロ。廃止区間の駅を除く。
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