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東日本旅客鉄道の鉄道路線 ウィキペディアから
飯山線(いいやません)は、長野県長野市の豊野駅から新潟県長岡市の越後川口駅に至る、東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(地方交通線)である。
長野県北信地方と新潟県中越地方南部を結ぶ鉄道で、長野県内では千曲川に沿い、新潟県内に入ると千曲川から名を変えた信濃川に沿って日本有数の豪雪地域を通る。沿線には野沢温泉などの温泉地やスキー場が多い。
路線のほとんどが谷沿いの山間部を通るため、主に夏季は大雨による土砂災害、冬季は大雪による雪崩や除雪作業等によりしばしば運休することがある。森宮野原駅は1945年(昭和20年)2月に駅における最高積雪量7 m 85 cmを記録し、それを示す標柱が駅構内に建つ。ディーゼル機関車導入前の除雪は、キマロキ編成(機(キ)関車・マックレー車[注 1]・ロータリー車・機関車)、ロキキマロキ編成(ロータリー車・機関車・機関車・マックレー車・ロータリー車・機関車)という特殊編成によって行われた。
一時は廃止路線リスト候補に挙げられたこともある赤字ローカル線であるが、ピーク時の一定方向の輸送量が1時間あたり1,000人を超すこと、冬季の代替道路未整備や、地元住民の利便性などにより廃線は免れている。
北陸新幹線が途中の飯山駅を経由するため、飯山線から直通運転しているしなの鉄道北しなの線長野駅 - 豊野駅間および飯山線の豊野駅 - 飯山駅間が同新幹線と並行している(選択乗車は不可)。2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線開業後、JR東日本の信越本線だった長野駅 - 豊野駅間はしなの鉄道に経営が移管されたが[3]、豊野駅 - 飯山駅間は並行在来線の概念とは異なることから引き続きJR東日本が運行し、長野駅 - 豊野駅間はJR東日本がしなの鉄道から運行業務を受託する方式で直通運転を実施している[注 2]。
豊野駅 - 森宮野原駅間は長野支社、足滝駅 - 越後川口駅間は新潟支社の管轄である。支社境界標は森宮野原駅 - 足滝駅間の長野・新潟両県境付近に設けられている。
豊野駅 - 十日町駅間は私鉄の飯山鉄道(いいやまてつどう)によって、十日町駅 - 越後川口駅間は国有鉄道十日町線(とおかまちせん)として開業した。両線は1929年に繋がって全通し、1944年に飯山鉄道が戦時買収により国有化され、十日町線を含めて飯山線となった。自動車営業が残された飯山鉄道は、1945年にバス事業を中越自動車(ただし松代-津南間を結ぶ外丸線のみ頸城鉄道自動車)、ハイヤー事業を魚沼タクシーにそれぞれ譲渡し解散した[5]。
地元の有志により発起された飯山鉄道は1917年に鉄道免許状が下付されたが、資本金50万円に対して建設費や車両購入費などでおよそ135万円かかるとされ、市町村の寄付を見込んでも50万円が不足していた。鉄道院監督局は不足分を借入金で賄うことに危惧していたという。ところが沿線の信濃川に流入する中津川に水力発電所を計画していた信越電力(東京電燈と鈴木商店の共同出資のちに東京電燈に合併)がその建設資材の輸送手段として飯山鉄道を利用するために出資することになり、株式の大半を保有することとなった[7]。そして電源開発のため延長することになり、資本金を300万円に増資した。1921年に豊野駅 - 飯山駅間が開通してからは発電所建設資材運搬のため下流の新潟県境へ延伸していくことになった。
年度 | 輸送人員(人) | 貨物量(トン) | 営業収入(円) | 営業費(円) | 営業益金(円) | その他益金(円) | その他損金(円) | 支払利子(円) | 政府補助金(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1921 | 62,057 | 8,871 | 35,959 | 49,317 | ▲ 13,358 | ||||
1922 | 258,832 | 63,327 | 199,470 | 161,331 | 38,139 | ||||
1923 | 413,129 | 79,851 | 299,577 | 219,318 | 80,259 | 雑損5,712 | 84,737 | 106,051 | |
1924 | 465,883 | 37,608 | 246,638 | 222,819 | 23,819 | 雑損54 | 61,612 | 245,725 | |
1925 | 487,730 | 38,926 | 255,427 | 194,429 | 60,998 | 27,112 | 243,076 | ||
1926 | 447,275 | 48,447 | 280,464 | 275,139 | 5,325 | 7,619 | 345,640 | ||
1927 | 470,093 | 40,094 | 279,403 | 318,907 | ▲ 39,504 | 雑損5,390 | 36,824 | 347,789 | |
1928 | 504,119 | 34,745 | 270,248 | 359,790 | ▲ 89,542 | 118,988 | 350,651 | ||
1929 | 550,755 | 37,574 | 299,509 | 335,200 | ▲ 35,691 | 雑損10,907 | 154,638 | 354,201 | |
1930 | 496,082 | 30,286 | 242,235 | 327,571 | ▲ 85,336 | 雑損5,617 | 169,720 | 355,167 | |
1931 | 407,618 | 30,366 | 221,140 | 254,871 | ▲ 33,731 | 雑損2,925 | 155,379 | 273,515 | |
1932 | 382,504 | 42,170 | 206,379 | 206,665 | ▲ 286 | 雑損371 | 154,793 | 216,545 | |
1933 | 417,071 | 38,538 | 213,526 | 225,324 | ▲ 11,798 | 雑損2,328 | 152,404 | 161,007 | |
1934 | 462,998 | 45,994 | 228,767 | 198,674 | 30,093 | 雑損922 | 144,413 | 173,021 | |
1935 | 445,603 | 49,460 | 227,550 | 197,070 | 30,480 | 自動車231 | 雑損償却金60,528 | 127,592 | 177,920 |
1936 | 509,736 | 69,507 | 297,164 | 227,974 | 69,190 | 自動車業3,527 | 雑損償却金147,373 | 106,325 | 186,158 |
1937 | 677,251 | 150,768 | 468,675 | 396,401 | 72,274 | 自動車業21,126 | 自動車業2,490雑損償却金149,485 | 91,041 | 153,019 |
停車場・施設・接続路線 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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かつては、優等列車として急行「野沢」「うおの」などが運転されていたが、現在は普通列車のみの運転である。キハ110系気動車の投入が完了した1997年10月から戸狩野沢温泉駅 - 越後川口駅間の全定期列車と長野駅 - 戸狩野沢温泉駅間の一部列車(主に日中)でワンマン運転を実施している。また、キハ110系投入以前と比べ、約10分ほどのスピードアップが実現した。
列車は、利用状況を踏まえて1 - 4両編成で運行されている。このうち長野駅 - 戸狩野沢温泉駅間では最低2両編成での運行がされており、朝時間帯のみであるが4両での運転もある。逆に、戸狩野沢温泉駅以東では1両編成での運行がほとんどで、前述の4両編成も戸狩野沢温泉駅で2両を切り離す。なお、特に車両の組み合わせは決まっておらず、2両編成の列車でもキハ111・112形の2両が使われるとは限らない。また、後述の臨時快速「おいこっと」の運用がない日には、おいこっと用の車両が通常の普通列車に使用されることもある。
全区間通しで運行される列車のほか、途中の飯山駅・戸狩野沢温泉駅・森宮野原駅・十日町駅を始発・終着駅とする区間運転が設定されている。
飯山駅以西で運行される列車は、全列車が豊野駅から、しなの鉄道北しなの線を経由して長野駅まで直通運転している。長野駅 - 戸狩野沢温泉駅間は主に平日は長野県内の長野市 - 中野市・飯山市との間、または飯山市内やその周辺との間で通勤・通学輸送等を担う役割が、休日は沿線の観光地・温泉地への観光客の利用がそれぞれある。このため利用客が比較的多く、飯山線の主要区間となっており、運転本数も最も多く設定されているが、それでもほとんどの時間帯で1時間から1時間半に1本程度である。長野駅 - 飯山駅間の区間列車は2014年3月時点では設定されていなかったが[47]、2015年3月14日のダイヤ改正で長野駅発12時台に[48]、2017年3月4日のダイヤ改正で長野駅発21時台に[49]、いずれも戸狩野沢温泉駅折り返し列車の短縮で設定された。
森宮野原駅以北の新潟県側は十日町駅でおおむね運行系統が分離されており、十日町駅で北越急行ほくほく線、越後川口駅で上越線との接続を重視したダイヤが編成されているほか、1日2往復、上越線経由で信越本線の長岡駅まで直通する列車が朝時間帯に運転されている。
戸狩野沢温泉駅 - 越後川口駅間は1 - 3時間に1本程度で、4時間ほど運行されない時間帯がある。
全区間通しまたは長野駅 - 十日町駅(一部森宮野原駅)間で運転される列車は途中の戸狩野沢温泉駅にて車両の増結・切り離しが行われる場合がある。
なお、冬季には、首都圏方面などからスキー客向けの臨時列車「シュプール号」が戸狩野沢温泉駅まで運行されていたが、1995年3月の運転を最後に信越本線黒姫駅からのバス連絡だけになっていた(シュプール号は2005年度を最後に廃止)。ただし現在でもスキーブーム時と比較すると少ないものの、飯山線でのスキー客の利用はある。
2014年5月2日からは、越後川口側からの観光列車として高田駅 - 十日町駅間に臨時快速「越乃Shu*Kura」が主に金曜日から日曜日および祝日に[50]、2015年4月4日からは、長野側からの観光列車として長野駅 - 十日町駅間に臨時快速「おいこっと」が土休日を中心に1日1往復運転されている[51]。2015年3月14日からは、北陸新幹線開業に合わせ「越乃Shu*Kura」を上越妙高駅発着に変更した[52]。
飯山線には現在では特急・急行といった優等列車が設定されていないが、過去には「うおの」「野沢」という準急列車・急行列車が存在した。各列車の概要は下記の通りである。
定期列車で運用される(またはされた)車両は以下の通り。ここで述べている車両は全て気動車である。
キハ110系は1997年10月1日のダイヤ改正前から一部列車で導入[32]、同改正で全列車がキハ110系での運転となった[32]。主に、1997年3月の秋田新幹線開業直前まで走っていた特急「秋田リレー号」用の300番台からの改造編入車が充てられており、蛍光灯にカバーがついていたり、座席交換や塗装変更の跡も残っていたりするなど、他線区のキハ110系とは細かい部分で異なる仕様が見られる。また導入当初、キハ110系の一部の車両に、一部または全座席が千曲川(信濃川)の見える東側(長野県側のほぼ全域と新潟県側の一部)に向けられた展望車両「ふるさと」があり[32]、普通列車として運用されていたが、のちに従来のキハ110系と同じ座席に交換され、さらに2014年に「おいこっと」へと再改造された。
1991年にキハ40系、キハ58系、キハ52形の各車両は「飯山線色」として青とアイボリーホワイトで塗装、正面と側面には橙・山吹色・黄の三色ストライプが入り、側面窓下には「VOITURE AMITIÉ」というフランス語(「友情の列車」の意[54])が大きく表記された。文字は1995年頃までに消されたが、塗り分けはキハ110系に置き換えられる1997年[32]まで存続した。
2017年3月末に、信州ディスティネーションキャンペーンの一環としてこの「飯山線色」塗装を「VOITURE AMITIÉ」の表記入りで復刻したキハ110系2両が登場した[55][54]。
国鉄に引き継がれた車両は蒸気機関車6両、内燃動車7両、客車7両、貨車28両である。
便宜上、豊野側の全列車が直通する、しなの鉄道長野駅からの区間を記載。
運営会社 | 路線名 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 線路 | 所在地 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
駅間 | 累計 | |||||||
しなの鉄道 | 北しなの線 | 長野駅 | - | 10.8 | 東日本旅客鉄道: 北陸新幹線・■信越本線(■篠ノ井線直通・■しなの鉄道線直通) 長野電鉄:■長野線(N1) |
|| | 長野県 | 長野市 |
北長野駅 | 3.9 | 6.9 | ∨ | |||||
三才駅 | 2.9 | 4.0 | ◇ | |||||
豊野駅 | 4.0 | 0.0 | しなの鉄道:■北しなの線(妙高高原・直江津方面) | ◇ | ||||
東日本旅客鉄道 | 飯山線 | |||||||
信濃浅野駅 | 2.2 | 2.2 | | | |||||
立ケ花駅 | 1.7 | 3.9 | | | |||||
上今井駅 | 3.0 | 6.9 | | | 中野市 | ||||
替佐駅 | 1.9 | 8.8 | ◇ | |||||
蓮駅 | 5.8 | 14.6 | | | 飯山市 | ||||
飯山駅 | 4.6 | 19.2 | 東日本旅客鉄道: 北陸新幹線 | ◇ | ||||
北飯山駅 | 1.3 | 20.5 | | | |||||
信濃平駅 | 3.3 | 23.8 | | | |||||
戸狩野沢温泉駅 | 3.7 | 27.5 | ◇ | |||||
上境駅 | 3.6 | 31.1 | | | |||||
上桑名川駅 | 4.3 | 35.4 | | | |||||
桑名川駅 | 2.2 | 37.6 | ◇ | |||||
西大滝駅 | 2.1 | 39.7 | | | |||||
信濃白鳥駅 | 2.1 | 41.8 | | | 下水内郡 栄村 | ||||
平滝駅 | 2.9 | 44.7 | | | |||||
横倉駅 | 1.9 | 46.6 | | | |||||
森宮野原駅 | 3.1 | 49.7 | ◇ | |||||
足滝駅 | 2.8 | 52.5 | | | 新潟県 | 中魚沼郡 津南町 | |||
越後田中駅 | 2.4 | 54.9 | | | |||||
津南駅 | 3.0 | 57.9 | | | |||||
越後鹿渡駅 | 4.2 | 62.1 | | | |||||
越後田沢駅 | 2.4 | 64.5 | | | 十日町市 | ||||
越後水沢駅 | 3.0 | 67.5 | | | |||||
土市駅 | 2.9 | 70.4 | | | |||||
十日町駅 | 4.9 | 75.3 | 北越急行:■ほくほく線 | ◇ | ||||
魚沼中条駅 | 3.1 | 78.4 | | | |||||
下条駅 | 4.4 | 82.8 | | | |||||
越後岩沢駅 | 5.3 | 88.1 | | | 小千谷市 | ||||
内ケ巻駅 | 5.1 | 93.2 | | | |||||
越後川口駅 | 3.5 | 96.7 | 東日本旅客鉄道:■上越線 | | | 長岡市 |
2023年度の時点で、JR東日本自社による乗車人員集計[56]の対象駅(北しなの線区間は他社線となるため対象外)は、豊野駅・信濃浅野駅・飯山駅・戸狩野沢温泉駅・信濃白鳥駅・平滝駅・横倉駅・森宮野原駅・津南駅・十日町駅・越後川口駅である。それ以外の駅は完全な無人駅のため、集計対象から外されている。
各年度の平均通過人員(人/日)は以下のとおりである。
年度 | 平均通過人員(人/日) | 出典 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
全線 | 豊野 - 飯山 | 飯山 - 戸狩野沢温泉 | 戸狩野沢温泉 - 津南 | 津南 - 越後川口 | ||
2011年度(平成23年度) | 735 | 2,229 | 863 | 159 | 419 | [57] |
2012年度(平成24年度) | 755 | 2,248 | 850 | 170 | 453 | |
2013年度(平成25年度) | 770 | 2,301 | 871 | 163 | 466 | |
2014年度(平成26年度) | 704 | 2,093 | 779 | 154 | 431 | |
2015年度(平成27年度) | 676 | 1,959 | 638 | 158 | 456 | |
2016年度(平成28年度) | 646 | 1,858 | 600 | 156 | 441 | [58] |
2017年度(平成29年度) | 607 | 1,777 | 541 | 124 | 421 | |
2018年度(平成30年度) | 598 | 1,725 | 543 | 126 | 421 | |
2019年度(令和元年度) | 576 | 1,696 | 503 | 106 | 405 | |
2020年度(令和 | 2年度)491 | 1,444 | 416 | 77 | 359 | |
2021年度(令和 | 3年度)477 | 1,438 | 406 | 63 | 342 | [59] |
2022年度(令和 | 4年度)488 | 1,445 | 410 | 76 | 355 | |
2023年度(令和 | 5年度)477 | 1,398 | 414 | 84 | 342 | [60] |
各年度の収支(運輸収入、営業費用)、営業係数、収支率は以下のとおりである。▲はマイナス(赤字)を意味する。
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