福井鉄道
福井県内でバス、鉄道などを運営する企業 ウィキペディアから
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福井鉄道株式会社(ふくいてつどう、英: FUKUI RAILWAY CO.,LTD.[3])は、福井県越前市に本社を置き、福井県内でバス、鉄道などを運営している企業である。福鉄(ふくてつ)と略される。
本社社屋(2015年8月) | |
種類 | 株式会社 |
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略称 | 福鉄 |
本社所在地 |
日本 〒915-0802 福井県越前市北府二丁目5番20号 北緯35度54分37.7秒 東経136度9分56.0秒 |
設立 | 1945年(昭和20年)8月1日[1] |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 2210001011931 |
事業内容 |
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代表者 | 代表取締役社長 吉川幸文 |
資本金 | 1億円(2024年3月31日現在)[2] |
発行済株式総数 |
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売上高 |
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営業利益 |
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経常利益 |
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純利益 |
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純資産 |
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総資産 |
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従業員数 |
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決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 藤井宏澄公認会計士事務所[2] |
主要株主 | |
主要子会社 |
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外部リンク | https://fukutetsu.jp/ |
2009年2月に国の「鉄道事業再構築実施計画」の第1号認定を受け[4]、活性化・再建を進めた(2009年3月 - 2018年3月までの10年間)。営業収益(売上高)で見れば、運輸事業ではほかの多くの地方ローカル私鉄と同様、鉄軌道事業部門より自動車事業(特にバス事業)部門の営業収益の方が多くなっている。直近の2023年度(2024年3月期)決算によれば、自動車事業部門の営業収益が福鉄単体で見れば約62%[注 1]となっているのに対し、鉄軌道事業部門が占める売上割合は、福鉄単体で見ると約34%[注 2]である。
鉄軌道事業は1963年以降赤字が続き、バス事業や不動産事業などで上げた利益により赤字を補填する形で維持してきたが、規制緩和による貸切バス事業における他社との競争の激化、長引く不況による出控えなどによりバス事業部門の採算が悪化、バス事業部門自体が赤字となり収益構造に問題を抱えることとなった。福井鉄道は2006年度末(2007年3月期)ですでに累積損失約22億円、累積債務約30億7000万円を抱えていたが、国は都市銀行の準拠する基準を国内基準から国際基準に切り替えるために会計制度を変更、福井鉄道はそれに伴う減損会計の導入により、線路用地が“赤字を生む資産”として評価替えを義務付けられた結果、新たに9億7000万円の減損損失を計上することになった。これは貸借対照表では、固定資産の減少とその見合いによる累積損失の増加で、借入資本・負債が相対的に大きくなることを意味する。それにより、「経営上の重大な疑義が生じた」との判断がなされ福井鉄道へのこれ以上の銀行融資が困難になった。
2007年9月、福井鉄道は、自主再建は困難とし、県、沿線3市に支援を要請した[5]。同月、県は、沿線3市、福井鉄道、株式の33%を保有する名古屋鉄道(名鉄)に呼びかけ、「福井鉄道福武線存続協議会」を設置、2007年2月、「第5回福井鉄道福武線存続協議会」において県は福武線の存続スキームを提示した。「福井鉄道福武線存続協議会」において存続スキームへの検討が進む一方で、連合福井の地域協議会(当時の鯖丹地域協議会・南越地域協議会)が自治会組織(鯖江市区長会連合会・越前市区長会連合会)やNPO等に勉強会開催の呼びかけを行ったことが起点となり、合意形成が進められていったが、2008年3月、鯖江市区長会連合会の呼びかけで沿線3市住民代表が合同会議を開催、続いて「福井鉄道福武線の存続に向けた沿線三市住民レベル合同会議」が開催され、3市で合同のサポート団体を立ち上げていくことで合意した。2008年3月の「第6回福井鉄道福武線存続協議会」では福井銀行がオブザーバーとして参加し、債権放棄はしないもののつなぎ融資を実行することを明言した。
2008年5月、「第7回福井鉄道福武線存続協議会」において、上下分離方式による再建スキームでの路線維持存続方針が確認され、沿線3市は「福井鉄道福武線活性化連携協議会」(法定協議会)を設置した。また、沿線3市で、それぞれの市を事務局とするサポート団体が設立され、2008年6月には3市のサポート団体による「福井鉄道福武線サポート団体等協議会」が設立されている。2008年11月25日に開催された福井鉄道の臨時株主総会では、福井銀行出身で元福井鉄道顧問の村田治夫が新社長に選任された[6]。これらを受け、2008年12月29日、福井鉄道の株式を保有していた名鉄が「福鉄が1株を新規発行しこれを10億円で引き受ける」という形の第三者割当増資を引き受けた上で、増資された1株を含む保有全株(合計24万6,899株)を地元自治体の出資するTMOや3市のサポート団体、商工会議所等へ1株1円で全面譲渡し、経営から撤退した[5][7][8][9]。
地元資本・地元出身経営陣による経営体制が確立した一方で、2009年2月24日には、国土交通省に申請していた「鉄道事業再構築実施計画」[4][10][11]が地域公共交通活性化法に基づき全国初の認定を受けた[5]。この計画は、安全対策の強化(各種設備の維持・改修・更新)、営業強化・ソフト面での利便性向上(運賃や運行形態の見直しなど)、ハード面での利便性向上(新駅設置やパーク・アンド・ライド促進に向けた駐車場設置など)の3点を目標の柱に掲げ、10年間というスパンで輸送量増加と経営改善を目指すものである。本計画では、施策実施に必要な財政支援策も併せて示され、総額55億2,700万円の財政支援が必要と算出された。その内訳については、沿線3市による鉄道用地の取得費が12億円、設備更新の費用が10年間で計31億2,700万円、設備の維持修繕費が10年間で計12億円とそれぞれ見積もられており、このうち土地取得費については県と沿線3市が、設備更新費については県と法定協議会が、維持修繕費については沿線3市がそれぞれ分担して負担することが決まっている。また、設備更新費のうち10億円が国庫からの補助金によって賄われること、固定資産税の優遇措置を受けること[12]もあわせて決定した。
財政面での裏付けを得て再構築計画は着々と進められ、特に営業施策の強化や利便性向上策が大きく進められた。営業施策については企画乗車券の発売やイベント列車の運行、沿線自治体と連携した観光客誘致策や地元住民の利用促進策に多数取り組んでいるほか、利便性向上策については新駅4駅の設置、パーク・アンド・ライド(P&R)駐車場の設置・拡大を進めている[11]。このうち新駅については、2009年度(2010年3月25日)にスポーツ公園駅が[5]、2010年度(2011年3月20日)には泰澄の里駅と清明駅がそれぞれ開業しており[5]、P&R駐車場についても「全区間あわせて393台」という増強目標に対し、2024年4月時点で393台にまで増強が進んでいる。また、鉄道設備の更新については、信号保安設備や線路設備の更新が徐々に進められている[13][14]ほか、車両面では4編成の新型車両の導入が盛り込まれ、2016年度までに導入された[15]。
こうした様々な施策もあり、2008年度に160万5千人であった乗車人員数は、2023年度では192万5千人へと約20%増加している[11]。
2016年3月27日には、「フェニックス田原町ライン」として福井鉄道福武線越前武生駅(現・たけふ新駅)とえちぜん鉄道三国芦原線鷲塚針原駅との間で、田原町駅を介して相互直通運転を開始した[16][17][18]。同時に、福井駅前電停への支線を福井駅西口広場まで延伸し同電停を広場に移設した[16][17]。狭い電停の拡幅改修、PTPS(公共交通優先信号)の設置も進められた。
なお、えちぜん鉄道との相互乗り入れ計画開始当初は、直通区間を福井市内で完結する形態となる、福武線の浅水駅 - 鷲塚針原駅間で福井鉄道車両のみの片乗り入れとする計画であったが[19]、福井鉄道側の施設面やダイヤ面、および旅客の利便性を向上させる目的から、当初計画を変更し、起点の越前武生駅からの直通およびえちぜん鉄道側も車両を用意しての相互直通運転とした[19]。一方で、えちぜん鉄道側は、相互直通列車の折返し駅は当初の計画通り鷲塚針原駅のまま(ただし厳密には一度西長田駅までの直通に計画変更をしたものの、再度の計画変更で当初計画に戻った)としたため、えちぜん鉄道直通列車はあわら湯のまち・三国港方面には設定されていない[20]。
また、2018年に当時の福井県知事西川一誠は、福井県議会において福井鉄道とえちぜん鉄道、ならびに北陸新幹線の開業にともない西日本旅客鉄道(JR西日本)から北陸本線の経営を移管されるハピラインふくいの3社での経営統合も含め、福井県内の地域鉄道3社のありかたについて検討する考えを示した[21]。2020年には福井県知事杉本達治が、3社の一体化を含めた経営体制について北陸新幹線開業10年めどに検討するとした[22]。2020年6月には、線路の保守にかかわる資材および工事を福井鉄道とえちぜん鉄道が共同で発注することについて合意が成立していることが報道されている[23]。2023年6月27日に開催された株主総会・取締役会において、福井県の産業労働部長、地域戦略部長を歴任した吉川幸文が福井鉄道の新たな社長に選任された。これにより、福井鉄道、ハピラインふくい、えちぜん鉄道の地域鉄道3社の社長は、すべて福井県庁出身者となった。さらに、2024年6月5日、この3社は、さらなる利便性の向上および経営基盤の強化を図るため、『福井県鉄道協会』を設立した[24]。
一般路線バス、高速路線バスおよび貸切バス事業を運営。福鉄バスおよび福鉄観光の通称も用いられている。
一般路線は越前市、鯖江市など福井県嶺北南部、および敦賀市など同嶺南東部を中心に運行しているが、福井市南部にある福武線の駅と周辺地域を結ぶ循環路線や、大飯郡おおい町にも路線がある。また、当該地域の一部自治体よりコミュニティバス等の運行を受託している。
経路など詳細は当該項目を参照のこと、<>内は共同運行会社
全便嶺北営業所担当。全国交通系ICカード(ICOCA定期券を含む)利用可能。以下、「…」区間はフリー乗降区間(停留所以外でも乗降可能)。
全便福井営業所担当。全国交通系ICカード(ICOCA定期券を含む)利用可能。
全便福井営業所担当。全国交通系ICカード(ICOCA定期券を含む)利用可能。以下、「…」区間はコールポスト停留所(要電話予約)。
ゴコイチバス(嶺北営業所担当)以外は嶺南営業所担当。フェリー線以外は全国交通系ICカード利用可能(ICOCA定期券利用不可)。
全便小浜営業所担当。全国交通系ICカード利用不可。
経路など詳細は当該項目を参照。
名鉄グループ時代から、一般路線車・高速路線車・貸切車ともに長年三菱ふそう製に統一されていたが、2023年末時点では、日野自動車製やいすゞ自動車製も在籍している[43]。一方、グループ会社のレインボー観光自動車は三菱製に統一されている[要出典]。
一般路線車では1990年代後半より低床型バスを積極的に導入し、2000年にはノンステップバスを導入[29]。
カラーリングは赤色と白色を用いた名鉄カラーを採用していたが[29]、ノンステップバス導入時に海と青空と雲をイメージした独自のデザインを採用している[29]。なお、導入当初は「ノーステップバス」の車体表記となっていたが、現在は「ノンステップバス」の車体表記も混在している[29]。
鉄軌道事業[注 4]では、福武電気鉄道により開業したたけふ新 - 福井市内間の福武線のほか、鯖浦電気鉄道により開業した鯖浦線や、武岡軽便鉄道(後に武岡鉄道、南越鉄道と改称し福武電気鉄道に合併)により開業した南越線を擁していたが、1973年に鯖浦線、1981年に南越線が廃止されて以降は福武線だけを営業路線としている。
福武線では、2006年(平成18年)4月に運用車両を名古屋鉄道より譲り受けた路面電車形車両に置き換え、従来車(鉄道形車両)の大半を代替したが、さらに2013年(平成25年)3月に、自社発注の低床型(路面電車形)車両「F1000形」を導入した[44][45]。この独自のデザインの車両は、「FUKURAM(フクラム)」という愛称がつけられている。福井鉄道には鉄道線と軌道線が存在するが、FUKURAMはそのどちらの直通運用にも対応した車両である。その特徴が評価され、2014年にはローレル賞[46]を受賞した。
また、F1000形の導入と並行して、注目度向上や鉄道ファンの集客を狙い、元ドイツ・シュトゥットガルト市電の車両で、1990年から2000年まで高知県の土佐電気鉄道(現在のとさでん交通)で導入・運用されていた735形電車[47]を購入・改修して運用する案が具現化、車両購入費200万円と運行に必要な改修費・輸送費7,600万円の計7,800万円について、全額を県が補助することを盛り込んだ予算案が、福井県の2013年度当初予算案に盛り込まれた[48]。福井鉄道での形式名はF10形とし、愛称は「レトラム」とした。2014年3月29日に披露式を行ったが、配電の不具合により数十m走行したところで運行を打ち切った。その後、4月12日に営業運行を開始したが、度重なる故障により6月14日には運行を停止。その後、9月6日に運行を再開したが故障により9月8日から9月30日まで運休した。現在は、春と秋の土休日にのみ運転されている。[49]
F1000形及びF2000形は「フェニックス田原町ライン」として、えちぜん鉄道三国芦原線の田原町駅 - 鷲塚針原駅間と相互直通運転を行っている(概要節も参照)[50]。
年 | 10形 | 20形 | 80形 | 120形 | 130形 | 140形 | 160形 | 200形 | 300形 | 560形 | 600形 | 610形 | 770形 | 800形 | 880形 | F1000形 | F10形 | 計(冷房車) |
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1982- 1985 | 1 | 2 | 4 | 4 | 2 | 6 | 2 | 6 | 27 | |||||||||
1986 | 1 | 2 | 4 | 4 | 6 | 2 | 6 | 2 | 27(2) | |||||||||
1987 | 1 | 4 | 4 | 6 | 2 | 6 | 4 | 27(4) | ||||||||||
1988 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 27(6) | |||||||||||
1989 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 28(8) | ||||||||||
1990 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 28(10) | ||||||||||
1991 | 4 | 3 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 28(12) | ||||||||||
1992 | 4 | 2 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 27(14) | ||||||||||
1993- 1997 | 4 | 2 | 6 | 2 | 6 | 6 | 1 | 27(16) | ||||||||||
1998 | 4 | 2 | 6 | 6 | 6 | 1 | 1 | 26(17) | ||||||||||
1999 | 4 | 2 | 4 | 6 | 6 | 1 | 2 | 25(18) | ||||||||||
2000- 2005 | 4 | 2 | 2 | 6 | 6 | 1 | 2 | 2 | 25(20) | |||||||||
2006 | 4 | 2 | 2 | 6 | 6 | 1 | 2 | 2 | 8 | 2 | 10 | 45(40) | ||||||
2007- 2011 | 6 | 2 | 2 | 8 | 2 | 10 | 30(30) | |||||||||||
2012 | 3 | 2 | 1 | 8 | 2 | 10 | 26(26) | |||||||||||
2013 | 3 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 1 | 28(28) | ||||||||||
2014 | 3 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 1 | 1 | 27(26) | |||||||||
2015 | 1 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 2 | 1 | 26(25) | |||||||||
2016 | 1 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 4 | 1 | 28(27) | |||||||||
2017- 2018 | 1 | 1 | 8 | 2 | 10 | 4 | 1 | 27(26) | ||||||||||
2019- 2020 | 1 | 8 | 10 | 4 | 1 | 24(23) | ||||||||||||
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