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キク科の属 ウィキペディアから
トウヒレン属(トウヒレンぞく、学名:Saussurea、和名漢字表記:塔飛廉属)は、キク科アザミ亜科の属の1つ[1]。
トウヒレン属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Saussurea DC.[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Serratula alpine L.[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
トウヒレン属(塔飛廉属)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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雌雄同株。二年草または多年草で、ときに低木になる。茎は直立または斜上するが、頭花の重みで茎の上部がたわむこともあり、ときに岩壁から垂れ下がる種もある。茎が短縮して高さ数cmにとどまるものや無茎状になるものもある。葉は単葉で互生し、縁は鋸歯縁になるか羽状に切れ込む。しばしば葉柄に翼があり、葉柄の翼が茎を沿下して広いまたは狭い翼をつくることがある[1]。
花期は種によって夏から晩秋。頭花は筒状花のみからなり、2個から多数つけ、ときに単生し、両性で結実する。花冠は紅紫色から淡紅紫色、白色になり、褐色、黄色のものもある。白色のものは白花品種ではなく、常に白花をつける種があり、日本では山地性のものに多い。総苞は球状から鐘形、筒形、狭筒形になる。花床に剛毛が密生するが、ときに少ないかまたは無い。総苞片は4-12列あり、覆瓦状に並び、先端は圧着、斜上、開出または反曲する。果実は長楕円形または円柱形になる痩果で、多少とも稜がある。冠毛は2輪生で、外輪は短くて落ちやすく、内輪は羽毛状になり花後にも残る[1]。
高山植物には様々な特殊な適応を見せるものがあり、特にヒマラヤ付近では独特な適応例として温室植物とセーター植物というものがある。前者は花序の葉や包葉が広がって花を覆うようになったもので、後者は花序の毛が長く伸びて花を覆い包むというものである。両者共に本属の種があり、特に後者は本属のみに見られる。詳細は各項目を参照のこと。
北半球に約400種が分布する。中国大陸の横断山脈からヒマラヤ地域、ロシアのシベリアにかけて多くの種が分布している。日本には60数種が分布する。日本産の種は、氷期の遺存的な傾向があり、とくに高山帯に生育する種群にはその傾向が強い。したがって、山系によって総苞や総苞片などの形が少しずつ異なるものがあり、日本国内において充分な調査が行われていない地域では、未記載の分類群が見出される可能性があるという[1]。
属名 Saussurea は、18世紀のスイスの哲学者オラス=ベネディクト・ド・ソシュール (Horace-Bénédict de Saussure, 1740-1799) の名前に因む[3]。
日本産の種は、ヒメヒゴタイ節 Sect. Theodorea、ユキバヒゴタイ節 Sect. Depressae、トウヒレン節 Sect. Saussureaに区分され、そのほとんどがトウヒレン節に属する。トウヒレン節における分類では、頭花の花柄の長さと複花序の形態、総苞の形、総苞片の列数、茎の翼の有無、花期における根出葉の有無などが分類形質として使われる[1]。
本属に属する日本産の種の和名については、〇〇トウヒレン、〇〇ヒゴタイ、〇〇アザミとあり、紛らわしい[1]。北村四郎は、平凡社刊の旧版『日本の野生動物 草本III』で「日本ではこの属ははじめよく理解されないで、トウヒレンとか、ヒゴタイとか、アザミとかに比較されて、名もはなはだ不統一で、でたらめの感が深い」としている[4]。
「トウヒレン」は「塔飛廉」の意で、日本産の種、セイタカトウヒレンを意味したものと考えられている。北村によると「飛廉」とは、中国名でキク科ヒレアザミ属 Carduus のことであるが、セイタカトウヒレンの直立した総状花序のようすを「塔」に見立て、「塔飛廉」としたという。牧野富太郎による「唐飛廉」説もある。「ヒゴタイ」は同じキク科にヒゴタイ属 Echinops があるが、あまり似ていない。「アザミ」についてはアザミ属 Cirsium に似ていることからつけられたと考えられるが、本属の種にはアザミ属の種のように葉に刺がないため容易に区別がつく[1]。
学名に脚注があるものは『改訂新版 日本の野生植物 5』[1]および 『植物研究雑誌』Vol.98[5]から、脚注がないものはYListから。和名および解説は『改訂新版 日本の野生植物 5』および『植物研究雑誌』Vol.98による。
和名、学名は、YListから。
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