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競輪のGI競走 ウィキペディアから
オールスター競輪(オールスターけいりん)は、毎年8月(2016年以降)に開催される競輪のGI競走である。
この大会はプロ野球のオールスター戦を参考とする形で行われており、事前にS級S班ないし1班に在籍する選手の中から出場させたい選手をファンが9名ほど選び、競輪場や場外車券売場に備え付けの投票用紙[注 1]、あるいははがきやインターネットなどを使って投票を行い、その得票数を基にして出場選手を決定する仕組みとなっている。
2024年の第67回大会では優勝賞金6,100万円(副賞込み)となっており、6つあるGI格付けのレースの中で、日本選手権競輪(ダービー)の優勝賞金8,900万円(2024年の第78回大会。副賞込み)に次ぐ優勝賞金の高さを誇るレースである。歴史と伝統から「ダービー王こそ一番価値がある」と考えている選手がいる中で、「オールスターのファン投票で1位になることが1年を通してのファンの評価」と考えている選手も見られている[2]ことから、GIレースの中でも日本選手権競輪とともに特別な位置づけがなされている大会でもある。
2011年の第54回大会では、番外で2日目7レースにルーキーチャンピオンレースが行われ、さらに2014年の第57回大会では、番外で2日目7レースにKEIRIN EVOLUTIONが行われた。
以下は、第67回大会(2024年)の決勝戦における各着順の賞金額[3]。( )内は副賞(1〜3着に授与)を含んだ金額。単位は万円。
1956年、それまで春・秋とで年2回開催されてきた全国争覇競輪(現在の日本選手権競輪)が、年間最高位選手決定戦という意味合いから年1回・10月の開催となり、開催場も後楽園競輪場に固定された。それに代わる春の祭典として、川崎、大阪中央、名古屋での持ち回り開催による特別競輪として創設されたのが、このオールスター競輪である。創設当初は「全国オールスター争覇競輪」という名称であった[5]。
第1回は1956年5月に川崎で開催され、その後は大阪中央の廃止により岸和田での開催となった1964年の第9回から現在の「オールスター競輪」へと名称を改め、1972年の第15回(大垣)より持ち回り開催となり、開催月も秋へと移った[5]。
ファン投票上位9名のメンバーで対戦するドリームレースは1974年の第17回(静岡)から、ファン投票10〜18位によるオリオン賞レースは1987年の第30回(宇都宮)から実施されている[5]。
2005年の第48回(名古屋)からは従来の6日制を5日制に改め、また前半3日間の予選をポイント制とした。だが、このポイント制が不評であったため、2009年度の見直しにより、第52回(松山)では予選はポイント制を廃止して従来の勝ち上がり制に戻し、また1着選手が準決勝を経ずして決勝進出が可能となる二次予選のシードレースとして「シャイニングスター賞」が創設された。2011年度にも概定番組が見直され、「シャイニングスター賞」は1着選手の決勝進出を廃止し、失格とならない限り全員が準決勝に進出できるよう変更となった。
2013年の第56回(京王閣)から、2023年の第66回(西武園)まではガールズケイリンコレクションが併せて行われていた(出場資格は、オールスター競輪ファン投票と併せて行われるガールズケイリンのファン投票『ガールズケイリン総選挙』による得票最上位7名)。2017年の第60回(いわき平)からガールズケイリンコレクションは、「ガールズドリームレース」(ファン投票第1位~第7位)、「アルテミス賞レース」(ファン投票第8位~第14位)の2レースが実施されていた。
2016年の第59回(松戸)からは、他のGI競走との兼ね合いから8月のお盆開催へと変更された。ガールズケイリンコレクションもこれに合わせて、前年までの9月開催から8月開催へと変更されている。
2020年の第63回(名古屋)は、COVID-19の流行と感染拡大の防止の観点から無観客で開催された[注 2]。
2021年の第64回(いわき平)からは、GIでは朝日新聞社杯競輪祭に次いで二番目となるナイター開催とし、また6日間制とすることが前もって発表された[6]。オールスター競輪における6日間制は、2004年の第47回大会以来17年ぶりとなる。勝ち上がり方式については、一次予選は競輪祭でも既に行われているポイント制に変更された(オールスター競輪では2008年の第51回大会以来)[7]。なお、当初は前年度同様の理由で事前申込制とした上での有観客にて行う予定であったが、福島県といわき市にまん延防止等重点措置が発令された影響で、8月5日に急遽前年と同じく無観客での開催に変更される事が発表された[8][9]。
2022年の第65回(西武園)は3年ぶりの有観客開催となったが、西武園本場の滞留人数を最大5,000名[注 3]に設定した上で開催された[10]。
2023年の第66回(西武園)は4年ぶりに入場制限が撤廃された[注 4]。また、同大会から女子選手のファン投票は男子選手と同一の投票サイトに統一されたほか、同年限りでガールズケイリンコレクション(8月開催分)は取りやめになった。
2024年の第67回(平塚)は、前年度限りで廃止されたガールズケイリンコレクションの代わりとして、新設の女子オールスター競輪[11]を実施する。また、初の試みとして、インターネット投票のみの集計による、中間発表を実施した[12]。
2025年の第68回(函館)以降は、女子オールスター競輪をGIに格上げした上で、男子とは別個の開催とする予定[13]。その影響で、2012年の第55回(前橋)以来13年ぶりに男子のみの開催に戻る予定。
オールスター競輪の出場選手は、ファン投票の結果[注 5] を重視して選抜される。 毎回若干変更・修正されるものの、概ね以下の資格順位により正選手135名、補欠選手8名を選抜する[14]。
なお、補欠選手は正選手を除く平均競走得点上位者からさらに順次選抜される。
正選手のうち、以下の条件を満たした合計18名については、一次予選第1走にてポイントが優遇されるドリームレース、オリオン賞レースのいずれかに出走できる。
ドリームレース(9名)
オリオン賞レース(9名)
一時期はファン投票で選ばれるのはドリームレースおよびオリオンレースのみで、その他の出場者は主催者による選考のみにより決定されていた期間もあったが、2009年より投票上位50名は無条件で出場でき、さらにリストアップされなかった選手などに対し特別枠で選手選考委員会が10名を選出できる仕組み[17] に変更された。
ファン投票の対象となるのはS級S班またはS級1班の選手である。開催のおよそ4か月~3か月前(2024年は4月12日~5月12日)が投票期間となっている。
競輪場・サテライトでの投票(それぞれの投票日は特定の1日)、競輪公式投票CTC会員は送付されるハガキ、インターネット投票が行えるが、全ての方式を通しファン1人につき1回の投票までしか許されていない。ファン1人は最大9名の選手を選び投票する。
女子オールスター競輪が同時開催される2024年は、男子の投票と合わせ女子1名以上の投票が条件となっていた。
6日制GIの高松宮記念杯競輪・朝日新聞社杯競輪祭と同様に1次予選をポイント制としており、1次予選を2走して得られたポイントを基に2次予選進出者を決める方式が取られている。但し、前記の2大会とは異なり当大会では1次予選においてポイントが優遇される事実上の特選が2レース設けられていることが特筆される。
かつては6日間開催のトーナメント制であったが、2005年度より大会の体裁が変更され1日短縮して5日間のシリーズで行われるようになり、勝ち上がり形式を1次予選は2走によるポイント制(ドリームレース・オリオン賞レース出走者はポイント優遇)で準決勝進出者を決定する方式を採用した。だが、この当時のファンにはポイント制に馴染みがなく、1次予選では選手もファンも常にポイントの計算が必要で分かりにくいと不評であったため、2009年度より番組体系を抜本的に改めることになった。
2009年度と2010年度はポイント制を廃止してトーナメント制度を復活させ、6日間開催時にかつて行われていた敗者復活戦を再び採用しただけでなく、ドリームレース・オリオン賞レース出走の成績上位者を集めた「シャイニングスター賞」の1着選手は準決勝免除で決勝進出権利を獲得できるという、2002年の日本選手権競輪で採用された6日間トーナメントを5日間に短縮する形での勝ち上がりに変更された。だが、「シャイニングスター賞」1着選手による準決勝免除と決勝進出権利の獲得[注 7] や、敗者復活戦の導入に伴い1次予選2着選手の一部が敗者復活戦へ回される、といった複雑な番組体系となってしまったことから、これもファンからは分かりにくいと指摘を受けるなど不評であったため、再度2011年度から、敗者復活戦やシャイニングスター賞1着選手による準決勝免除の廃止を柱として、勝ち上がりを分かりやすくすべく番組体系を抜本的に見直した[18][19]。以後、2020年度までこの制度が維持された。
ただ、2012年7月より開始したガールズケイリンにおいては予選はポイント制による勝ち上がり方式としたほか、男子の競輪でもGI競輪祭においては2018年の第60回大会から1次予選はポイント制を採用するなど、以前と比べてポイント制に対する理解が広まったと判断し、2021年度の第64回大会からは6日間開催の復活に併せて、1次予選は13年ぶりにポイント制を復活させることとした。
優秀 | 初日 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 | 最終日 |
---|---|---|---|---|---|---|
ドリーム(1) | オリオン(1) | Sスター賞(1) | 準決勝(3) | |||
一次予選1(9) | 一次予選1(4) | 一次予選2(10) | 二次予選(6) | 決勝(1) | ||
一次予選2(5) | ||||||
敗者戦 | - | (4) | (8) | (10) |
一次予選におけるポイントは、以下の通り。
ポイント[20] | 1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 5着 | 6着 | 7着 | 8着 | 9着 | 棄権 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ドリームレース | 18 | 17 | 16 | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 8 |
オリオン賞レース | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 5 |
一次予1 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
一次予2 | 13 | 11 | 10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 1 |
第1日~第3日は10レース、第4日~第6日は11レース[21]。これらのほか、3日目までは「女子オールスター競輪」各日2レースずつも行われる。
なお、4日目または5日目に「一般」を走った者は最終日を待たずに強制的に(失格はなくても)途中帰郷(「お帰り」)させられる。
1974年からのファン投票歴代第1位選手と、同年から実施されたドリームレース (DR) の勝利者、及び、2009年より実施されているシャイニングスター賞(SS賞)についても記述する。
地上波放送における決勝戦のテレビ中継は、1977年までTBS系列で放送され、それ以降2012年までは、2010年と決勝戦が中止順延で一日順延になった2011年を除いてテレビ東京系列で放送された。
2014年[注 10](第57回)以降は、当初から地上波中継の予定が無かった2016年[注 11](第59回)を除き、2020年(第63回)まで日本テレビ系列「坂上忍の勝たせてあげたいTV」で放送された。
ナイター開催に移行した2021年(第64回)は、9年ぶりにテレビ東京系列とBSテレ東で放送された(特番に組み込む形で放送)[34]。なお、2022年(第65回)は当初からBSテレ東のみで放送される予定だったが、中止順延の影響で決勝戦の中継は無しになった。2023年(第66回)以降は、再びテレビ東京系列でも放送されている(特番に組み込む形で放送)[35]。
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