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ある団体の構成員に対して、その意思に関わらずに構成員たる地位を失わせる処分 ウィキペディアから
除名(じょめい・じょみょう)とは、一般的には、ある団体の構成員に対して、当該構成員の意に反して構成員たる地位を失わせる処分。
通常、当該構成員が団体の規則に違反し、それに対する制裁として行われる。この場合、地位の復権は認められないことが多い。もっとも、除名という処分の効力や地位の復権の可否は、それぞれの団体の規則や運用により異なるため、一概には言えない。
この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
除名は国会議員に対する懲罰の一種として規定されている(日本国憲法第58条第2項、国会法第122条第4号)。
除名処分は、「院内の秩序をみだした議員」が対象とされ(日本国憲法第58条第2項)、より具体的には衆議院規則では「議院の秩序をみだし又は議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者」を対象とするものとし(衆議院規則第245条)、参議院規則では「議院を騒がし又は議院の体面を汚し、その情状が特に重い者」を対象とするものと定めている(参議院規則第245条)。
懲罰事犯は懲罰委員会へ付託され(衆議院規則第234条、参議院規則第234条)、その後、本会議において委員長が報告することとなる。議員を除名するには除名対象議員が所属する議院の本会議において出席議員の3分の2以上の多数の賛成による議決が必要である(日本国憲法第58条第2項)。
なお、議院規則に基づき、本会議決議における除名決議において出席議員の3分の2以上の多数による賛成がなかった場合にも、出席議員の過半数の賛成で他の懲罰を科することができるとされている(衆議院規則第246条、参議院規則第246条)。これは、1949年10月31日に、参議院議員の中西功が本会議場において議長の登壇を阻止、副議長の職務の執行を妨害したことにより、懲罰委員会で除名とすべきとされたものの、出席議員の3分の2以上の多数による賛成がなかったために否決され、直後に登院停止30日間の懲罰を課すべきとの動議が改めて提出されて可決されたという例がある[1]。
除名処分が下されると、当該議員は議員の身分を失う。ただし、除名処分者は処分後の選挙に立候補して当選した場合には再び議員となることができ、両議院は、除名された議員で再び当選した者を拒むことができないものとされている(国会法第123条)。
本会議採決日 | 議院 | 議員 | 賛 | 反 | 比率 | 理由 |
---|---|---|---|---|---|---|
1950年(昭和25年)4月7日 | 参議院 | 小川友三 | 118 | 10 | 92.19% | 本会議での予算案採決に際し、反対討論を行っていながら賛成票を投じたことが国会運営の原則を無視するものだとして野党の反発を招いたため |
1951年(昭和26年)3月29日 | 衆議院 | 川上貫一 | 239 | 71 | 77.10% | 代表質問での不規則発言(発言許可を受けていない、要は野次。政府・GHQの政策を反動と非難して社会主義国家と革命を賞賛、議会政治の否定とも受け取れる発言)への陳謝を拒否したため |
2023年(令和5年)3月15日 | 参議院 | ガーシー (東谷義和) | 235 | 1 | 99.57% | 当選以来1度も登院せず海外に滞在し続け、議長の招状にも応じず、院議で懲罰となった「公開議場においての陳謝」も拒否したため →詳細は「ガーシー参議院議員への除名処分 § 除名処分までの経過」を参照 |
帝国議会における除名は、衆議院においては院議により、貴族院においては勅裁によるとされていた[2]。
除名の原因は懲罰を原因とするものと召集不応または欠席を原因とするものの2種とされていた[2]。
なお、貴族院議員については禁錮刑以上の刑に処せられた場合または破産宣告を受けてそれが確定した場合にも勅命をもって除名すべきとされ(貴族院令第10条第1項)、除名された議員についてはさらに勅許がなければ再び議員となることができないとされていた(貴族院令第10条第3項)。
現行制度上、地方議員の除名については地方自治法第135条に規定されており、地方自治法並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対して行うことが可能である。除名は懲罰の一種であり(地方自治法第135条第1項)、その動議を議題とするには議員の定数の8分の1以上の者の発議によらなければならない(地方自治法第135条第2項)。また、除名については、定足数は議員の3分の2以上、表決数は議員の4分の3以上とされている。
政党においても、党則で反党行為や反社会的行為や公序良俗に反する行為に対する党員への除名(党によっては「除籍」)を定めている。特に、国会議員経験者や中央幹部経験者の行動における政党本部による処分の場合は注目される。
除名処分を受けた者が大量に出た例として、2005年の自由民主党(郵政民営化反対者に対する処分)、2012年の民主党(消費増税法案反対など党への造反者に対する処分)があり、特に民主党の例では同一年に70人以上が除籍(除名と同義)処分を受け、事実上党が分裂状態となる前代未聞の事態となった。
公職選挙法第86条第9項・第10項で、国政選挙の比例区の候補者が除名により政党に所属する者でなくなった場合、政党が「当該候補者が政党に所属する者でなくなった旨の届出」と「当該除名の手続を記載した文書」と「当該除名が適正に行われたことを党首が誓う旨の宣誓書」を提出することが規定されている。この手続きにより、仮に欠員が生じて繰り上げ当選の対象となっていたとしても、政党の比例代表名簿から抹消されているため、当選の権利を有しないこととなる。当該事例として、第16回参議院議員通常選挙で日本新党の比例代表区名簿に登載されていた松崎哲久(詳細は日本新党繰上補充事件を参照のこと)、第45回衆議院議員総選挙で民主党の比例東北ブロック名簿に登載されていた川口民一(比例単独)の事例があげられる。
一方で除名処分を受けた者が復党するケースも散見される。自由民主党では2016年に綿貫民輔が復党した際に、除名処分を受けた者の復党に際しての基準を新たに内規に定めた。内規では原則として「除名処分を受けて10年を経過し、(1)党や国への顕著な貢献がある(2)除名者が関係する党都道府県連や党所属国会議員の相当数が復党に賛同(3)刑事罰を受けていない、の3要件を満たす」ことを復党基準としている[3]。
いずれも後の保守合同によって自由民主党に参加している。
1950年代から60年代にかけての日本共産党では、武装闘争路線の継続を目指すなどの分派行為によって多数の除名者を出してきた。
これら除名者が改悛した場合を想定して、党規約54条後段には「除名された人の再入党は、中央委員会が決定する」という規定がある。ただし、除名決定の多くが中央委員会によってなされていることもあり(都道府県委員会や支部など下級機関による除名決定もあり得る)、除名を覆すことは困難である[11]。
除名は党規約54条の前段に「最も慎重に行わなくてはならない」と規定されている通り明確な反党行為が必要だが、除籍は「党員としての資格に欠けるか党の信頼を損ねた」という理由で可能である。また10条該当党員に対する支部や地区の決定による除籍では都道府県委員会による再入党決定という形で覆すこともできるが、反指導部的な理由でより上級の組織(都道府県ないしは中央)が除籍を決定した場合は対応が異なり事実上覆せない。その決定的な違いとして除名に認められている再審請求が除籍ではできないことが挙げられる。これは除籍の対象になった者から反論の機会を奪うという点で組織側に有利と判断されている。
なお、路線対立を理由とせず、贈収賄など議員・党員として相応しくない行為を理由とした除名・除籍も行われている。また、除名・除籍処分は過去に永年・50年党員や名誉役員などの表彰を受けていた者でも一切容赦しない。名誉役員の除名は元名誉議長野坂参三、50年党員の除名は最近では元立命館大学総長室長鈴木元の例がある。
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組合においては、正当な理由がある場合に限り、他の組合員の一致によってすることができる。ただし、この要件は組合の内規により緩和することができる。医療法人、職業訓練法人および学校法人における構成員(社団法人の構成員)の場合は寄附行為で、財団法人および社団法人の場合は定款で定める。
除名(じょみょう/じょめい)とは、古代の律令制において刑を犯した官人・有位者に対する付加刑。八虐・故殺人・反逆の縁坐の罪を犯した場合、あるいは監臨・主守の職にある者が担当場所にて犯した罪、盗み・略人(人身売買)・受財枉法(収賄して法律を枉げる)・その他五流(流罪)相当の罪などを犯した場合、それぞれの本刑に加えて出身以来の官位・勲位を全て剥奪され、蔭位のない者の場合には庶人に降格された。また、位田・職田・賜田も没収されて一般庶民と同様に課役の対象とされたが、官人が持つとされた「士大夫」としての名誉を重んじる観点から、実際の労役・兵役が伴う課役については免除された。この他にも免所居官(現任の位階、無位であれば勲位の剥奪)、免官(現任の位階・勲位両方の剥奪)などが除名より軽い付加刑として存在していた。これらをまとめて除免(じょめん)と呼ぶ。
日本の律令制においては9世紀以降に執行が事実上停止となった死罪の代替として行われた流罪の付加刑として執行されることもあった。
除免および同様の効果をもたらす換刑措置である官当は官人の身分に関わる重大な処分であったことから、日本においては一旦刑部省などで処分が決定された後も太政官において再審が実施され、更に論奏の手続による天皇の裁可を必要とした。除免・官当となった者の位記は天皇の裁可が降りた日に太政官において破毀され、式部省や兵部省に保管されている位記の写しにも「毀」の一字が上部に記された。
除名とされた場合には処分を受けた時から6載の後(丸6年が過ぎた後の最初の叙位(通常は7年目の正月に実施される叙位))に元の位階などに応じて数段格下げされた位階が再叙された(なお、免所居官の場合には1載の後に1階格下げ、免官の場合には3載の後に2階格下げの位階を再叙されている)。なお、こうした再叙規定は日本では慶雲3年2月16日(706年4月3日)に初めて導入されたことが知られており(『続日本紀』慶雲3年2月庚寅条)、大宝律令には再叙の規定は存在せず、養老律令になってから初めて律令法の規定として加えられたとする説もある。
八虐・故殺人・反逆の縁坐以外の理由で除名された場合には、恩赦によって刑罰が執行されなかった場合でも除名は解除されなかったが、それ以外の理由による除名では恩赦で刑を免除されれば免所居官、減刑されれば免官に処分が引き下げられた。
日本の場合は、財団や社団となっている各競技団体が前述の「民法上の除名」に沿って、寄附行為や定款、またはルールブックなどで定めている。
プロ野球を統括する一般社団法人日本野球機構(NPB)では、野球協約[12] 第18章に「有害行為」という条項があり、有期・無期・永久の3段階の失格処分が定められている。このうち無期と永久が本項の「除名」に相当するものである。
失格処分を受けた場合、NPB所属チームおよび侍ジャパンの選手、指導者となることは禁じられ、独立リーグやNPBとの間に契約協定がある海外のプロ野球組織(MLB、KBO、台湾大聯盟、CBL)での現役継続もできなくなる。さらに、日本野球連盟を通じた社会人・クラブチームといったアマチュアへの新規登録、日本学生野球協会によるプロ経験者を対象とした学生野球資格回復研修会の受講も認められない[13]。この他、新聞社専属の野球評論家、放送局専属の野球解説者についても、失格選手となった者は採用しないという紳士協定がある[14]。なお、マスターズリーグはNPBではなく全国野球振興会管轄のため出場に問題はないが、2010年(平成22年)以降リーグとしての試合開催を行っていない。
永久失格を受けた例としては、黒い霧事件の池永正明ら3チーム6人が有名である。無期失格の例としては、2015年(平成27年)に発覚した巨人軍野球賭博問題での笠原将生、福田聡志、松本竜也がいる。有期失格は、巨人軍野球賭博問題で3人の無期失格が確定後に発覚した高木京介の例がある。
ちなみに永久失格は15年、無期失格はコミッショナー宣言を以て、または5年経過後に本人からの申請で見直しを行い、解除することができるが、実際に復帰するには失格処分を受けた当時の所属球団(その後に身売りや合併をしている場合は後身球団)の許可が必要である。
BCリーグ、四国アイランドリーグplusのチームであっても日本プロフェッショナル野球協約は適用されるが、失格処分を決定するのはNPBではなく、日本独立リーグ野球機構(IPBL)となる。
大学・高校のアマチュア野球を統括する公益財団法人日本学生野球協会では、日本学生野球憲章第29条に「協会は学生野球団体、野球部、部員、指導者、審判員および学生野球団体の役員が本憲章に違反し、または前条の注意または厳重注意に従わない場合には、当該の者に対して処分をすることができる」と定めており、その最も重い処分として同30条に除名の規定がある。
除名処分を受けると、該当する個人の学生野球に関わる資格がすべて失われ、憲章15条にある「学生野球資格を持たない者との交流」からも排除される。ちなみに除名は個人のみに適用されることになっており、野球部全体あるいは傘下の大学野球連盟・都道府県高校野球連盟を除名相当にする場合は、加盟校であれば「登録抹消」、未加盟校は「登録資格喪失」とする[15]。なお、部員または指導者個人が違反を起こした場合は野球部全体が合わせて処分を受けることがある[16]。また、学生野球と関係のない教職員や応援団、私立校であればその設置者たる学校法人の役員が違反を犯した場合にも指導者ないしは野球部全体が処分の対象になり得るとも規定されている[17]。
処分は高校であれば都道府県高等学校野球連盟から日本高等学校野球連盟に報告され、審議委員会で処分の方向性を決定した後、日本学生野球協会の審査室会議に上申されて最終決定が行われる。大学の場合は、所属する大学野球連盟から全日本大学野球連盟への報告を経て協会への上申となる。ただし外部者からの通報など協会に直接上申がなされることも可能であり、この場合審査室長の指示で日本高野連と全日本大学野球連盟が調査を行う。協会に直接通報された事案は、報告遅れとして処分が重くなる傾向がある。
協会は、除名によって学生野球資格を失った者であっても反省の度合いによっては復帰への道を開いており、憲章29条の6に「処分後の被処分者の情状を考慮して、処分の内容を解除変更することができる」と規定、将来的に除名が取り消される可能性もある。また、審査室が行った除名の決定に不服の場合は協会会長、または日本スポーツ仲裁機構に申し立てができるとも定めている。
1946年(昭和21年)の設立以降現在まで、協会が在学中の部員(選手)個人に対して除名処分を行った例はない。監督・責任教師など指導者に対しては複数の実例があり、最近では1997年(平成9年)に東洋大姫路の監督が常習賭博罪で逮捕された例、2002年(平成14年)に愛媛県立吉田高等学校の部長が児童ポルノ禁止法違反罪で逮捕された例[18] などがある。2011年(平成23年)12月には神奈川県立弥栄高等学校の野球部長を務めていた元教師が覚醒剤取締法違反で逮捕された後に除名処分を受け[19]、また2015年(平成27年)には学校名非公表となりながらも責任教師が青少年保護育成条例違反(淫行)で逮捕され、除名となった例がある[20]。
また野球部全体に対する登録抹消は2007年(平成19年)の専修大学北上高等学校と2011年の出雲北陵高校がそれぞれ日本高野連審議委員会から処分相当の内示を受け協会に上申された例があるが、どちらも審査室会議直前に野球部を解散したり高野連を脱退するなどし、処分は行われなかった。
社会人・クラブチームおよび日本学生野球協会に未登録の大学・高校の野球部については、公益財団法人日本野球連盟(JABA)の管轄となる。日本野球連盟では、チームないしは競技者個人については登録規程[21] 第16条で「本連盟、加盟地方団体及び地区連盟の名誉を傷つけ又は連盟設立の目的、定款および別に定める規程ならびに加盟地方団体及び地区連盟の目的、規約、規程等に違反する行為があったとき」に登録を取り消すことができると規定しており、これが除名に相当する。役員についても同第33条、地方団体・地区連盟については第42条で、ほぼ同様の規定が設けられている。処分は連盟理事会の議決かつ加盟地方団体・地区連盟会長の同意を得て行うとされている。
実際に処分が行われた例としては、2013年(平成25年)に除名となった沼田拓巳がいる。沼田は大学を中退後、クラブチームに在籍しながらプロとの契約の可能性を探ったが、NPBとJABAの申し合わせで定められた交渉制限期間を無視してMLBロサンゼルス・ドジャースとマイナー契約したことが判明、その際にクラブから円満退部であることを証明する書面を取らず、なおかつアマチュア登録も抹消しなかったため、除名となった。沼田は帰国後、BCリーグの群馬ダイヤモンドペガサスで日本のプロ選手となっており、その後は同リーグの石川ミリオンスターズを経て、NPBの東京ヤクルトスワローズにドラフト指名され入団している。
相撲のプロ興行を行う公益財団法人日本相撲協会では、「解雇」を上回る最も重い処分として「除名」が制度上は存在し、一般企業の懲戒解雇、ヤクザ社会の絶縁に相当する強い意思を協会所属員の総意によって表すものと位置づけられる。
処分を受けた場合、退職金、功労金(一般企業の特別退職金に相当)などが一切支払われない。また今後協会が行う一切の活動に参加できなくなるだけでなく、協会ないしは関連の企業との間で利害関係、取引関係を持つこともできなくなる。現役力士が除名された場合は、それまでの番付・地位および競技成績についても一切無かったことにされる。
2014年(平成26年)2月に公益財団法人に移行した際に賞罰規定の改正が行われ、除名に相当する場合でも理事会で機動的に対応できる「解雇」を平常時に取り得る最高の処分とすることにした。ただし解雇ではファンの理解を得られないと執行部が判断した非常事態の場合に限り、評議員会の特別決議で除名処分が発動され得る。旧法財団法人時代は、理事会の4分の3以上の賛成で評議員会を招集し、そこで役員を含む年寄全員、日本国籍を持つ横綱・大関陣、および立行司からなる評議員全体の4分の3以上の賛成によって特別決議すると定めていた。
1925年(大正14年)の現法人設立以降では適用された例はないが、明治時代に運営方法の対立から前身の大角力協会とは別の団体を立ち上げようとした力士数名が除名となった例がある。2009年(平成21年)には大麻所持で逮捕された力士に対して除名論が出たが、「前年に大麻所持で逮捕された別の力士を解雇にしており整合性がとれない」「(4分の3以上に緩和されていても)否決でもされれば余計混乱する」として解雇に落ち着いている。なお、解雇でも「引退を許さない」点、また2014年に正式な処分として追加された引退勧告も拒否すれば解雇に切り替わる点を考慮すると何れにせよ極めて重い処分であり、かつ相撲のプロ組織は日本相撲協会しかないため事実上選手生命を絶たれることになる)。
2021年(令和3年)、1月場所中に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の為、不要不急の外出を禁止するなど、角界独自のガイドラインを作成している中において、麻雀店や風俗店への来店および複数人での外食などを繰り返した時津風親方の不祥事の悪質性を重くみた日本相撲協会が現法人の設立以降、史上初となる除名処分を検討中と報道された[22] が、最終的には「退職勧告処分(退職金30%減額)」で落ち着いており、除名処分は避けられている[23]。
柔道の段級位認定などを行う事実上の最上部団体である公益財団法人講道館では、倫理規定[24][25] 第3条で「館員[注 3] が柔道の場において人権侵害や人格否定行為を起こしたり、柔道精神に反する行為や柔道に携わる者の品位や名誉を傷つける行為があった場合、審理の上処分することができる」と定めており、具体的な処分として第4条に除名の制度がある。これは、傘下の団体である公益財団法人全日本柔道連盟の処分に優越し、講道館から除名処分を受けた者は、講道館が認定していた段級位も取り消される。
なお、全日本柔道連盟においては、除名に相当するものとして「会員登録の永久停止」があり、この適用を受けた者として内柴正人がいる。
プロボクシングの場合、選手と指導者・興行主で取り扱う団体が異なる。
一般財団法人日本ボクシングコミッション(JBC)からボクサーライセンスの発給を受けた選手に対しては、JBCがライセンスの剥奪を行うことにより除名相当の効果がある。一方、トレーナーやクラブオーナー、プロモーターなどの指導者ないしは興行主に与えられるライセンスの保有者に対しては、JBCがライセンスの発給を拒否するだけでなく、ボクシングジムの業界団体である日本プロボクシング協会、および下部組織たる各地域のボクシング協会が除名処分をする必要がある。
なお外国人選手に対しては、JBCが「招請禁止」とすることで有期の活動停止、「日本でのボクサー活動停止」とすることで除名や永久追放と同じ扱いになる。この規定により活動停止処分となった元世界2階級王者ルイス・ネリは、その後に追加された「無期限活動停止は処分開始後3年、ライセンス取り消し(剥奪)は5年経過していれば資格回復を申請できる」というルール改正により、2024年1月にJBCより処分解除を受け、スーパーバンタム級4団体統一チャンピオン井上尚弥と東京ドームで対戦することができた。
キリスト教において、異端の誤った教理の主張者や、罪を犯した者に対して、戒規処分として執行される。除名された者は教会員として扱われなくなり、教会から一切の交際を絶たれるが、悔い改めが認められた場合は、復帰が許される。
檀家制度においても寺院側に正当な理由があれば檀家を除名することができる。新宗教系教団では信徒個人または信徒団体が誤った教理を主張、ないしは開祖や幹部を批判したりした場合、あるいは罪を犯した者を除名することがある。
江戸時代には、檀徒が信徒としての責務を果たせないと判断された場合、寺は寺請証文の発行を拒否することができた。事実上の檀徒除名であり、後日、宗門人別改帳からも削除されて無宿や非人となり、社会生活から除外された。
信教の自由が保障された明治以降、菩提寺の住職が檀徒を除名することを「離檀処分」という。具体的には、檀徒となっている寺院に葬儀を依頼しなかった、墓地の管理費を長期間支払わなかったなど寺が著しい不利益を被る理由があるとの判断による。離檀処分を受けると、寺領内の墓地を使い続ける権利が失われ、離檀料を請求されることもある。
日蓮正宗では、「信徒除名」は破門よりもさらに上の、在家の信徒個人に対し宗派として取り得る最も重い制裁と位置付けられている。これが信徒個人ではなく、傘下の法華講全体を除名相当にするのであれば「講中解散」、また出家した僧侶に対する僧籍の剥奪を伴う制裁は「擯斥」(ひんせき)という。
1974年(昭和49年)、日蓮正宗は創価学会と激しく対立した妙信講を講中解散処分にした。これに反発した妙信講は創価学会を相手に暴力事件を起こし(妙信講学会本部襲撃事件)、激怒した宗門は関係した妙信講幹部33人を信徒除名にした。この中には講頭だった浅井甚兵衛や当時理事長で現顕正会会長の浅井昭衛も含まれている。
1980年代前半には、正信会に参加した僧侶ら200人以上が擯斥処分を受けた。
さらに1992年(平成4年)には前年に創価学会全体ともども破門していた名誉会長池田大作を信徒除名処分にし、1998年(平成10年)には宗規の改正により残る全学会員の信徒資格も喪失させた。
これは、日蓮正宗の信徒が他の宗教団体に所属した場合は信徒資格を失うというもので、日蓮正宗の信徒が他宗派を信仰している家に養子縁組をした(嫁いだ)場合に、縁組(嫁ぎ)先の家族を折伏し正宗に入信させず、その家の檀那寺に属した場合も除名の対象となる。江戸時代の宗門改において、民衆は同時期に1つの寺院にしか檀家として登録できないとされたことに由来するものである。
ただし、創価学会や顕正会、正信会から退会したり除名処分を受けた元会員を宗門として受け入れる方法も考慮されており、信徒除名ないしは資格を喪失した者も末寺に参拝し住職の許しを得て勧誡式を受ければ(「御受戒」ともいう)、信徒に復帰することが可能である。
日蓮正宗の傘下団体として発足し、その後仏教系新興宗教団体となった創価学会は会則69条で「会員は退会または除名によってその資格を喪失する」と定めており、その具体的運用として会則72条に「会員としてふさわしくない言動をした会員に対し、その情状に応じ、戒告、活動停止または除名の処分を行うことができる」という記述がある[26]。
処分に関しては中央および総県に設けられた「審査会」が、区本部長以上の幹部から出される申し立てに対して速やかに処理しなければならないとされる[27]。
公明党から除名された議員経験者は遅かれ早かれ学会からも除名されることになる。実例として竹入義勝が1998年(平成10年)に公明党から除名された直後、創価学会も竹入を除名している。また1988年(昭和63年)に党を除名された大橋敏雄も学会から除名されている。しかし藤原行正や矢野絢也は公明党が処分を見送ったため、離党届受理、学会も自主的退会で済んでいる。
一般会員、学会幹部でも犯罪などで警察に逮捕された場合には容赦なしで除名される。さらに会員規定4条で学会員は会の内外を問わず個人的な金銭の貸し借りを禁じられており、これが発覚すると処罰の対象となり情状に応じ、戒告、降格、活動停止の処分が下り最悪の場合除名もあり得る(あくまで数千円や数万円などのまとまった金額に対してであり、ジュース代やタバコ銭などの一時的な小銭の貸し借りは容認されている)。
この規定は第2代会長戸田城聖が存命だった時代には厳しく運用され、大阪事件では当時の理事長小泉隆と選挙運動の最高責任者として派遣されていた渉外部長の池田大作(後に3代会長・名誉会長)以外に逮捕された学会員全員が除名された。しかし、戸田が死去し池田体制になった後は、日蓮正宗と違って一度除名処分を受けると二度と活動に復帰することはできないという内部の事情もあり、学会が起こした事件に関与した幹部の中には除名されなかった者もいるなど、「学会のために行動して逮捕された」と認められた学会員や幹部への処遇は戸田時代より甘くなった。
例として、言論出版妨害事件や宮本顕治宅盗聴事件に関与し逮捕され、宮本顕治宅盗聴事件の判決文で挙げられた学会員の一人が除名されず、2004年(平成16年)のYahoo! BB顧客情報漏洩事件では創価学会幹部として逮捕されている。また、2002年の携帯電話通話記録窃盗事件では逮捕された実行犯の三人は除名されず、通信会社を懲戒解雇処分になった学会員は裁判確定前に創価学会弁護団の斡旋で別の企業に再就職した経緯も存在する[28]。
なお、一般会員が退会の手続きを取らないまま日蓮正宗あるいは正信会系の寺院で御授戒を受けたり、冨士大石寺顕正会の入信勤行を行ったことが発覚した場合、総県審査会で除名されることがある。過去には退会の手続きを取っていながら後で取り消されて除名に切り替わったケースがある。
同じく日蓮正宗系の新興宗教団体である冨士大石寺顕正会にも会員(信徒)を除名できる制度がある。しかし、顕正会の会則は創価学会と違い除名に関しては何の規定もされていない。学会は除名の最終決定を文書によって行うが、顕正会では支部や隊の幹部が口頭ないし電話で本人に決定を伝えるだけで除名になってしまう。
また学会と同様に一度除名されると復帰は不可能だが、稀に退会者と同様の折伏が行われることもある。その場合、過去に支部や隊レベルで除名の決定を受けていたことが後日発覚すれば本部レベルでの除名に切り替わり、再入信はできなくなる。
創価学会から顕正会に移籍した会員については、昭衛への忠誠心が低下したという理由で除名されても、前述の通り退会ないしは除名処分を受けた時点で学会に戻れなくなる。この結果、学会復帰を諦めて宗門や正信会へ再度移籍した人もいる。ただし、顕正会への入会前に学会員の経験がなかった者については顕正会を除名された後、創価学会へ移籍することができる。この場合、入会に際して地区部長や区本部レベルで通常の新規折伏よりも厳しい審査が行われ、総県を担当する副会長や幹部経験者であれば中央本部の承認が必要となることもある。
なお、会長浅井昭衛の身内であっても一切容赦はない。昭衛の長男で元総男子部長の浅井克衛や、娘婿で顕正新聞発行人などを歴任した小峰勝彦は「大石寺の戒壇本尊は後世に作られた偽物である」という、宗門元高僧河辺慈篤による「河辺メモ」を事実と認める発言をしたことから昭衛の怒りを買って除名され絶縁(事実上の勘当)、教団外へと去っている。
イスラム教では信仰を捨てることが禁止されているが、これは逆にいうとイスラム教徒に対して破門や除名を行うことはできないという意味になる。そのため、イスラム教では除名という概念が存在しない。
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