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平家の落人(へいけのおちうど)は、治承・寿永の乱(源平合戦)で敗北した結果、山間部などの僻地に隠遁した平家側の敗残兵などの生き残りである。平家の一門やその郎党、平家方の戦いに与した者が挙げられる。平家の落武者(へいけのおちむしゃ)ともいうが、落人の中には武士に限らず公卿や女性や子供なども含まれたため、平家の落人が一般的な呼称である。こうした平家の落人が特定の地域に逃れたという伝承が残っており、俗に「平家の落人伝説」という。
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今日、日本各地において平家の落人伝説が伝承されている。源氏と平家とが雌雄を決した源平合戦(一ノ谷の戦い、屋島の戦い、壇ノ浦の戦いなど)において平家方が敗退する過程で発生した平家方の落人・敗残兵が各地に潜んだことから様々な伝承が伝えられるようになった。平家の落武者と呼ぶ場合もあるが、落ち延びたのは武士だけではないため、平家の落人と言われることが多い。平家の落人が潜んだ地域を平家谷、平家塚、平家の隠れ里、平家の落人の里などという。
平家の落人伝承にある誤解としてよくあるのが、平家の落人の末裔が即ち平家一門の末裔であるという混同である。確かに平家一門が落ち延びたという伝承も少なくはないが、平家の落人という呼称が意味するものは「平家方に与して落ち延びた者」であり、平家の郎党の場合もあれば、平家方に味方した武士の場合もある。
中には、創作や脚色された信憑性の薄い伝承や誤伝に基づく話もある。戦において落人が発生することは珍しくはなく、平家の場合も例外ではないが、該当する家系と姻戚関係となった間接的な血筋までも平家の落人を称する場合があり、口伝を基本とする平家の落人伝承が誤伝したり曖昧になりやすい側面もある。
後に平家の残党が起こした三日平氏の乱やかつての平家方城助職の起こした謀叛などをみても、平家の落人が存在した事自体は間違いないが、元々が逃亡、潜伏した者であるため、歴史学的に客観的な検証が可能なものは少ない。学界で平家落人を研究したのは柳田國男・松永伍一・角田文衛らであるが、証拠があまりにも少なすぎるために推測を交えざるをえないことから、学者の間でも説が食い違うことはよくある。以下の平家落人集落の比定でも、ある学者は平家の落人の存在を肯定するが、別の学者が否定しているケースも少なからず存在している。例えば柳田が全否定した沖縄の南走平家については、奥里将建や大川純一など、沖縄の郷土史家の間では肯定的な意見が強い。角田が肯定した対馬宗家の平家末裔説も、他の学者は否定的である。といった具合である。
問題をややこしくしているのが、柳田や松永が指摘している平家落人伝説捏造説である。例えば、ある地方の平家伝説は安土桃山時代に突然発生したものである。柳田の調査によれば、この時期に近江の木地師集団が領主から命じられてその地域に入植している。木地師は木地師文書と呼ばれる、自己の正統性を主張するための宣伝文書を創作するのに長けた人々であった。木地師はその土地に伝わっていた話を元に、平家物語等に依って平家落人伝説を捏造したのではないかと柳田は考察している。これらの後世の捏造文書が非常に真実の探求を妨げているのである[1][2]。
日本各地の代表的な平家の落人伝承のある地域は以下の通りである。
笹森氏の望む所の鑑定即ち此頭蓋の平家の遺骨なるや否やに対しては此骨の数百年以前の古骨とは見えざること及び日本人普通の頭蓋と異なる点ある事とにより平家の遺骨なりと云う確言はなすを得ずと述べて置くべし
と結論している[27]。
1964年、九州大学の第三次八重山群島調査隊が与那国島を訪れた。隊長・永井昌文教授はダマトゥハガなどを調査し、報告書を提出した。その報告書で
大和墓並びに樽舞崖葬墓人骨は近代人骨と思われ、南支那や安南などとの交渉を思わせる陶磁類(多くは十六世紀以降)を伴う。樽舞人骨は計測成績の上では台湾南部先史時代人骨に最も近似し、与那国現住民とはなお相当の差異が認められる。大和墓の遺物その他を鑑定するに、墓として使用される以前に、住居として人間が生活していた形跡がある。即ち焼灰の層が処々に認められ、焼いたヤエヤマ・オオコウモリの顎や角質で出来た銛尖などが出ており、それから食用にしたと思われるヒザラ貝(地方名ンマテ)の間板が出ているからである。
祖納砂嘴地帯の人骨は崖葬と葬法を異にし、洗骨を伴わず、原埋葬の姿勢で出土し、層位的には、青磁、パナン焼片を包含する上層よりは明らかに区別される軽石層を距てた下層より出る。従って大和墓並びに樽舞崖葬墓人骨よりは古い時代の人骨と思われる。
と述べている[28]。
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