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スウェーデンの音楽ストリーミングサービス ウィキペディアから
Spotify(スポティファイ)は、スウェーデンの企業スポティファイ・テクノロジーによって運営されている音楽ストリーミングサービス。2024年2月6日時点で、月間アクティブユーザー数を6億0,200万人(うち有料会員2億3600万人)抱えており[7]、音楽配信サービスとしては世界最大手である。また、楽曲数は1億曲を突破しており、こちらも業界最大級である[8]。
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
本社所在地 |
ルクセンブルク ルクセンブルク市 42-44, Avenue de la Gare(登記上) |
設立 | 2006年4月23日 |
業種 | 音楽 |
事業内容 | 音楽ストリーミング |
代表者 | ダニエル・エク(CEO) |
売上高 | 132億4700万ユーロ(2023年12月期通期決算)[2] |
営業利益 | ▲446万ユーロ(2023年12月期通期決算)[3] |
純利益 | ▲532万ユーロ(2023年12月期)[4] |
総資産 | 83億4600万ユーロ(2023年12月期)[5] |
従業員数 | 9,248人(2023年12月)[6] |
主要株主 |
|
パソコン・スマートフォン・タブレット型端末・ゲーム機などの電子端末に対応しており、日本では2016年9月にサービスを開始した。
運営会社のスポティファイ・テクノロジーは2006年夏にスウェーデン・ストックホルムで創業され、2008年10月にサービスを開始した。背景には、当時スウェーデンの音楽業界が海賊版や違法音楽データの横行による音楽セールスの激減に悩まされていたという事情があり、その問題を解決しアーティストらに十分な利益を還元することが当初の目的であった[9]。同社は創業から1年半で、800万人を超える顧客をヨーロッパで獲得し、2011年にはアメリカ進出を果たした。2023年1月現在、183の国と地域でサービスを展開している[注 1][10][11][12]。
4大レコードレーベルのソニー・ミュージックエンタテインメント、EMI、ワーナー・ミュージック・グループ、ユニバーサルミュージック、および独立系のマーリン・ネットワーク、オーチャード、コスモス・ミュージック・グループと契約を結び、合法的な音楽配信ビジネスを行なっている。経営理念として海賊版の撲滅を掲げるSpotifyは、優れたサービスの構築により、発足から5年間で海賊版の利用者を著しく減少させたとしている。
Facebookとの連携も行なっており[13]、以前まで配信にはP2P技術を利用していた[14](現在はP2Pは採用していない[15])。
2013年時点では年間10億ドル(約1000億円)以上の収益をあげており、そこからアーティストへのロイヤルティー(印税)として5億ドル(約513億円)を支払っている[16]。これが重荷となってSpotifyは赤字が続き、権利者への印税の減額交渉を開始するなど、収益改善に取り組んでいる[17]。ただし、2021年には黒字化を達成している。
2015年3月に、ソニーとの提携によりPlayStation Musicを世界41カ国で開始[18]し、ソニー・コンピュータエンタテインメント製のゲーム機PlayStation 3及びPlayStation 4でのサービス利用を可能にした。
2016年9月に、日本でのサービス開始を発表[19]。同年9月29日に招待制でスタートし、11月9日から正式サービスを開始した。
2017年3月には、全世界での有料会員数が5,000万人を突破し[20]、同年8月には6,000万人を超えたことを発表した[21]。その後も有料会員数は年々増え続け、2019年には上記の1億800万人に至っている。
2017年8月、マイクロソフトのゲーム機Xbox Oneでのサービスを開始した[22]。また同月、人種差別的な白人至上主義の「ヘイト・バンド」の楽曲を配信楽曲中から削除したことを発表した[23]。
2018年2月に、ニューヨーク証券取引所へ上場申請し、同年4月に初値165.90ドルで上場した[24][25][26]。初日の終値ベースで、時価総額は265億ドル(約2兆8200億円)となった[27]。
2021年2月、高音質ロスレスオーディオ配信サービスの「Spotify HiFi」を発表。CDと並ぶ音質での利用が可能としている。2021年の後半に一部地域で展開される予定だったが、2022年12月現在、サービスは提供されていない[28]。
現在提供されているサービスには、無料のSpotify Free(以下、Free)と月額制のSpotify Premium(以下、Premium)の2種類があり[注 2][29]、いずれも5000万を超える楽曲を提供している[30]。ただし、Freeでは広告の挿入や機能制限がある[30][31]。
FreeのWebプレーヤーではAAC 128 kbps、アプリではHE-AACv2 24 kbpsまたはOgg Vorbis 96 – 160 kbpsで再生でき、PremiumではWebプレーヤーでAAC 256 kbps、アプリでHE-AACv2 24 kbpsまたはOgg Vorbis 96 – 320 kbpsの音質が選択できるようになる[32][33]。
Premiumのみで利用できる機能としては、再生する曲の自由選択や曲順の変更[注 3]に加え、端末に楽曲をダウンロードしてオフライン環境でも再生が出来る機能や、対応するワイヤレス機器やネットワーク機器から直接ログインして再生するSpotify Connectが挙げられる[30][34]。
Spotifyは、経営理念に海賊版の撲滅を掲げている[35]。
背景に音楽市場が14年連続縮小していたことが挙げられる[36]。Spotifyが提供開始される2008年前後は、デジタル機器やインターネットの普及に伴い違法ダウンロードが横行していた。2011年の音楽市場全体の売上高は約150億ドルで、10年前の2001年と比較して40%減少していた[37]。このような売上高の減少はレーベル各社を苦しめた。
しかしSpotifyの登場後、AmazonやGoogle、定額制の音楽配信に興味を示していなかったApple[38]などの巨大企業が軒並み定額制音楽サービスを開始した。これにより定額制音楽サービスは急速に成長。音楽市場の売上高は2022年に262億ドル[39]と、Spotifyの提供が開始された2008年と比較して約60%拡大した。また、定額制音楽サービスが占める割合がCDなどの売り上げを超えた[40][41]。Spotifyは困窮していた音楽市場を甦らせ[42]、世界有数の市場へと成長させる起爆剤となった。
2013年に日本法人が設立。設立当初の代表取締役はハネス・グレー[45]。2016年9月29日に日本でのサービスを開始した。メールアドレスを登録し、招待コードを受けた者からサービス利用可能。Freeでもはじめの30日間はPremium(月額980円)を体験できた。
同年10月1日、玉木一郎(前・アマゾンジャパンKindle事業本部長)が社長に就任。2016年11月10日には一般公開が開始され、招待コードなしで誰でも利用できるようになった[47]。
2018年3月に、俳優の清水尋也と三吉彩花が出演するTV広告が関東地区・東海地区・関西地区で放送された[61]。
同年4月には、俳優の杏が出演するCM3篇が関東地区で放送された[62]。
2022年5月27日から、ミュージシャンの池森秀一(DEEN)と俳優の長井短が共演するCMを放送している[63]。
Spotifyをはじめとした定額制音楽配信サービスは、従来のCDやレコードによる音楽販売や、先行する音楽配信サービスであるiTunesのビジネスモデルを脅かすサービスとして、世間から注目を集めている。その一方で、これらのサービスの普及によるアーティストの収入低下が懸念されている[65]。
例えば、アメリカの人気ロックバンドであるメタリカは、Spotifyに楽曲を提供してからアルバムの売上が35%落ちたと主張している[66]。トム・ヨークはソロ作品とアトムス・フォー・ピースの作品をSpotifyから引き上げており、「このシステムでは弱小レーベルや新人アーティストに十分な報酬が入らない」とSpotifyを批判している[67]。テイラー・スウィフトも自身のアルバム『1989』を含む全楽曲をSpotifyから引き上げ、「音楽は芸術であり、価値がある。音楽は無料であるべきではない」と主張した[68](なお、2017年6月には再び配信を開始し[69]、2018年4月にはSpotify限定曲も発表した[70])。キング・クリムゾンもSpotifyのストリーミング・サービスへの音源提供を拒んでいた[67][注 4]。
その他にも、人気でありながらSpotifyでの楽曲リリースをしていないアーティストたちは数多く存在する。これは、他の定額制音楽配信サービスにも言えることである。
本サービスで配信しているコメディアンのジョー・ローガンのポッドキャスト番組において、新型コロナウイルスのワクチンの虚偽情報が拡散されているとして、世界保健機関(WHO)事務局長のテドロス・アダノムや科学者・医療従事者を始め、歌手のニール・ヤングやイギリスのヘンリー王子・メーガン妃夫妻などから多数の批判を受け、株価も急落する事態となった。これを受け、Spotifyは新型コロナウイルスに関する情報には注意喚起を掲載し、保健当局や専門家が公表している情報に誘導できるようにする措置を行うことを2022年1月に発表した[73][74][75][76][77]。
世界規模の利用者の広がりにより、人気の高い音楽家の作品は1曲だけで10億回を超える再生回数を記録することもある。2017年の間で14億回再生された『シェイプ・オブ・ユー』をはじめとしたエド・シーランの楽曲は合計で累計63億回の再生回数を記録し、2017年Spotifyで最もよく聴かれたアーティストとなった[78]。日本でも、英米歌手の規模には及ばないにせよ、新人にもかかわらずAmPm[79]のように世界でヒットする新人が出始めている。
2020年以降、ロスレス及びハイレゾ対応の定額制音楽サービスの台頭により、Spotifyは音質の低さが度々指摘されてきた。
実際、シェア2位と3位であるAmazon MusicやApple Musicはロスレス及びハイレゾ対応のみならず、イマーシブオーディオにも対応しており、特に音質に拘るユーザーは他のサービスへ乗り換えていった。
このような背景から、ユーザーの流出を懸念してSpotifyは2021年に「Spotify HiFi」を発表する。これは、CD相当の音源を楽しめるサービスで、2021年後半に展開が予定されていた。しかし、実際は大きくずれ込んでいて、2024年6月現在においても提供は開始されていない。
ただし、海外メディアによると「米ドル価格19.99ドルでPlatinumというプランが一覧に表示された」と報道されている[80][81]。また、Spotify共同社長のグスタフ・セーデルストレム氏は、アメリカのテック系メディア「The Verge」の取材[82]に対し、ある時点で登場するとの考えを示していて、提供の大幅な遅れによる社内での開発は中止されていないとしている[83]。
米Bloombergは2023年6月、Spotify内部の関係者の話として、新たな高価格プラン『Supremium($19.99)』が同年後半中の提供開始を予定していると報じた[84]。
2022年6月現在、Spotifyのサービスを利用できる国および地域は、以下のとおり[85]。
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